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笠井 BLANCA-70EDT [天文>機材>望遠鏡]

ベランダお気軽観望用に2kg以下で月惑星が良く見える鏡筒が欲しくなり、MarkV双眼装置の重量を支えられ、バックフォーカスにも余裕があり、2インチ天頂ミラーの回転を防ぐ2箇所以上のネジ止めが可能な接眼部を搭載している点が決め手となりこの鏡筒に手を出してみました。元々クレイフォード接眼部に余り良い印象を持っていない自分的にラックアンドピニオンな部分も好感が持てました。

実物を手にしてみて、WO製品の様な高級感、持つ喜びなどはあまり感じられませんが、造りに粗を感じる事も無く堅実に作られている印象です。第一の目的である軽さに関しては鏡筒バンドが最小限の構造で必要十分な機能、強度があり、全体の軽量化に寄与していると感じます。バンドに取り付けるアリガタも出来るだけ軽量になるようにBORGのVプレート60S【3164】を使用、ファインダーアリミゾは笠井のDXファインダー台座を装着し、これで総重量は約1770gとなっています。

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月惑星しか見ていませんが、見え味に関しては予想以上に良く見えます。過剰倍率を掛けても非常に像はシャープで、いつも笠井の宣伝文句は誇大な印象がありましたが、この鏡筒の光学性能に関しては誇張では無いと感じました。口径70mmの小口径にしてはFPL-53を用いた3枚玉と豪華な造りですが、スペック倒れでなくそれが性能に結びついている印象です。中華製の3枚玉と言う事で警戒していた光軸もほぼきっちり合っており、恒星の焦点像を見ても教科書通りの極めてシャープな見え味です。笠井の中華アポと言うとアポと言うには色収差が多い評判がある製品もあるようですが、この鏡筒に関してはF6と言う短焦点に関わらず月を見ても色収差を微塵も感じないのは立派な光学性能だと思いました。

逆に光学性能が良いので、420mmと言う焦点距離がネックで高倍率が出し難いのが難点です。双眼装置+4xバロー+12mmアイピースでも140倍しか稼げないので、より短焦点のアイピースか高拡大率のバローを用意したくなります。そこで像が悪化しそうであまりやりたく無かったのですが、バローに延長筒を噛ませた上で(これでバローの拡大率が約4.4倍)ナグラー9mmを使った約200倍で観望しても木星など破綻せずに見えました。この有効径の3倍近い倍率で破綻しないとなると高倍率性能はタカハシ鏡筒並み、と言うのは言い過ぎでしょうか。

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光学性能には満足出来ましたがここで終わらないのが笠井製品です笑。かつて笠井のクレイフォード接眼部を使っていた際、重量アクセサリーがずり落ちない様にドロチューブの締め付けのテンションを上げると微動が空回りする不具合があったのですが、このラックアンドピニオン接眼部においても微動の空回りが発生し、ピントの微調整ができず現状粗動を使って合わせているのでこれなら微動が無い方がマシです。この接眼部も特に悪い製品ではないのでしょうが(BORGで採用されているのも同じものの様です)、この双眼装置と天頂ミラーの重さが想定外なのか、この辺の不具合は何時解消されるのか、何で微動と祖動がギアで繋がっていないのか、構造はよく分かりませんが何とかして欲しいものです。ただドロチューブの動きはスムーズそのもので、ラックアンドピニオンに関わらず、ガタやバックラッシュが一切無いのは感心しました。

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中華アポにはアルミケースが付属している場合が多いですが、この鏡筒に関してはありませんでした。ので何か良いケースは無いものか探した結果、例によってアイリスオーヤマのAM-35Tと言うアルミケースが縦横寸法的にはぴったりでした。深さ的には若干余裕があったのでクッションを敷いています。

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微動が使えないのでピント合わせには多少難儀しますが、軽さとコンパクトさ、そして光学性能を鑑みればお手軽観望用として自分の要求に適う、買って良かったと思える鏡筒でした。

C6FC-100DLとの比較観望の様子はこちら

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