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笠井 ELS正立双眼装置 その2 [天文>機材>双眼装置]

個人的にELS双眼装置購入の本来の目的だったVX250L(英オライオン25cmF6.3ニュートン)での星雲星団観望を何度か実施できましたのでインプレします。

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双眼装置にはUF15mmを組み合わせ、これとイーソス17mmによる単眼との見え味を比べましたが、全体的な印象として何れの対象でも単眼と比較すれば双眼では像が暗く、解像度も下がります。例えばM3やM15辺りの球状星団では単眼だと中心まで分解して見えますが、双眼だと一見星雲状に見え、且つ暗いです。中心部の粒状感はかなり落ち、よく見れば双眼でもツブツブに見えてきますがキラキラ感は余り無くキメ細やかが劣ります。一方銀河は意外に健闘している印象で、単眼から切り替えてもそれ程イメージは変わらない印象もありますが、M51などでは単眼では銀河の渦巻き構造が淡くうっすら見えたのに対し、双眼では構造までは見えてこない感じで、少なからず差はあるかも知れません。一方M57、M27など惑星状星雲では単位面積当たりの光量があるせいか球状星団ほどの劣化は感じませんでした。散光星雲など広い面積体の天体も割と普通に見えますが、単眼と比べればやはりディテールの表現が落ちる事は否めません。

この像の劣化は双眼装置によって光路が二つに分断される事による光量の低下に主に起因していると思われますので、これが月惑星など光量が十分にある対象ではそれ程問題とはならないのに比べ、星雲銀河など乏しい光量の天体で無視できない問題となりますが、単純に大口径で光量を稼げれば恐らくこの弱点をカバーでき、その点では大口径ドブソニアンなどと組み合わせる事でその真価を発揮できるアイテムではないかと思います。主観では口径25cmではそこそこ楽しめる、と言った具合で、銀河の形状などを楽しむのであれば40cmクラスが欲しい気がします。

またELS双眼装置用の0.66xレデューサーによる見え味も確認しましたが、周辺像が優秀なUF15mmと組み合わせている事もあってかレデューサー使用による周辺像の崩れは殆ど認められませんでした。これは鏡筒がニュートンにしてはF6.3と長い事も関係しているのかも知れませんが、この見え味であればこのレデューサー使用をこの双眼装置使用の前提にしても良いように感じました。

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一方少し気になる点としては、目位置にシビアなのか両目で見ているのに片目で見ているような、左右で視野の明るさが同じでない(片方だけ視野がケラレてる)と感じる時がたまにあります。MarkVではこのような現象が起こらないので光路を縦に真っ二つにするこの双眼装置の独特な造りが関係しているのかも知れませんが、月などを見てるとしっくりこない場合があります。原因がよく分かりませんが、目幅をきっちりと合わせる、目位置をしっかりアイピース中央に持ってくると言った対策は最低限意識した方が良さそうです。

星雲星団観望において単眼と双眼装置による双眼ではそれなりに見え味に差はありますが、ただそれらは見比べて分かる違いでもあり、双眼装置によるある程度の像の劣化は仕方の無いものと割り切れば、双眼視による見易さもあるので大口径を活かした観望スタイルとしては大いにアリだと思います。ELS双眼装置自身にも見え方に多少癖はありますが、この製品単体でどんな望遠鏡も無改造で等倍双眼化できるメリットは何物にも変え難く、双眼にこだわる人にとっては強い味方となるアイテムとなる事でしょう。