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オライオンUK VX250-L その2(C11と比較編) [天文>機材>望遠鏡]

ここ数年引っ張り出すのが小口径が多く、英オライオン25cmF6.3ニュートン(以下VX250L)の出番が少ないです。一番のネックはやはり大きさで、持ち運びを考えるだけで気が重くなります。そこで最近気になるのがセレストロンのC11、定期的に欲しくなり、ポチってしまいそうになったのも一度や二度ではありません。そこで例によって再びVX250Lの良い部分を見直してみる事にしました。

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まずC11の長所ですが、やはりシュミカセならではのコンパクトさ、機動性の高さで、VX250Lの長大さでは自分の小さい車では助手席倒して載せる必要がありますが、鏡筒長の長くないC11であれば後部座席に載せる事も可能で積み下ろしもかなり楽になる事が期待できます。

次にバックフォーカスの長さ。ニュートン反射で双眼装置を使うには一般的にバックフォーカスが足りないので、低倍率で観望したい場合はELS双眼装置の様な特殊な双眼装置を使う必要がありますが、C11であればMarkV双眼装置を等倍で使えるので、双眼装置を二つ持つ必要が無くなります(ELS双眼装置は現状VX250L専用となっています)。その分アイピースも減らせてお金にできるので一石二鳥です笑

そして改めて口径が3cm大きい点。VX250Lでも銀河などの見え味に関しては物足りないと感じる事も多く、少しでも口径を稼ぎたい想いも強いので、その点だけでも価値があります。

一方VX250Lの長所ですが、まずC11と比較して補正板が無いので温度順応が早く結露し難い(斜鏡は注意)部分は運用面での大きなメリットと言えるでしょう。

また以前はC11と比べて双眼装置で等倍観望が出来ない(双眼派にとっては)大きな弱点がありましたが、これはELS双眼装置のお陰である程度解消されています。ELS双眼装置は開口径の都合で余り実視界は稼げませんが、C11は焦点距離が相当長いですので、これにMarkV双眼装置を使っても得られる最大視野は両者似たようなものです。例としてC11でMarkV双眼装置にSP40mmの組み合わせで得られる倍率は70倍、実視界は0.63度、瞳径は4mm、一方VX250LでELS双眼装置にKe25mmの組み合わせでは倍率は64倍、実視界は0.7度、瞳径は3.9mmとなります。ほぼ一緒ですね。

また双眼装置を使わない場合、単眼で観望する条件であれば、2インチ広角アイピースを使えば焦点距離の短いVX250LはC11より格段に広い視界が得られるのは最大の光学的アドバンテージかも知れません。

一方高倍率性能に関しては、両者の光学系を比較して補正板、主鏡、副鏡と3つの光学エレメントの組み合わせで像を作るシュミカセに対して、パラボラ一枚の精度のみで像が決まるニュートンは軸上無収差で特に惑星観望においては強みを発揮し易く、このVX250LはF6.3と口径の割に長焦点で中央遮蔽率も20%とかなり小さく(C11は34%)、高精度ミラーを採用している点も加味すると惑星の見え味に関してはC11との3cmの口径差を跳ね返せるポテンシャルはあるのではと個人的に思うのですが、C11の惑星像も評判良いですのでどちらが見え味が上なのか正直判断が付きません。

個人的にはあらゆる天体の中で惑星を見るのが一番好きなので、惑星観望性能でVX250LがC11を上回れるならそれだけでも今後も使い続ける十分な理由となるのですが。これこそ比較してみたいですね。

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また集光力ではVX250Lが1275.5倍に対してC11は1600倍と約1.25倍上回りますが、先述したようにシュミカセは3つの光学エレメントで成り立っており、主副鏡の反射率だけで見てもスターブライトXLTミラー(最大反射率95%)よりも英オラニュートンのHilux増反射コート(最大反射率97%)の方が上回る上に、C11は補正板による光量損失(平均透過率83.5%)も加わりますのでトータルでの像の明るさ、淡い天体の検出能力においてもそれ程差が出ない可能性もあります。

こう書いてみるとVX250Lも悪くない気がしてきましたが、口径が3cm大きい、双眼装置を一本化可能、コンパクトで機動性が高い、これらの点でC11は非常に魅力的な鏡筒で、VX250Lも愛着ある鏡筒ですので、それぞれの長所短所をよく見極めた上で更なる検討を進めたいところです。