SSブログ

Unihedron スカイクオリティメーター SQM-L [天文>機材>その他]

夜空の暗さを測定して数値化してくれるこのスカイクオリティメーター(SQM)ですが、より暗い観望地を探し求める場合などに非常に重宝します。SQMにはいくらか種類があり、SQM-Lの場合『L』は"with Lens"のLで、レンズが付いているので夜空の特定の(一番暗い)場所を狙って測る事ができます。標準タイプのSQMの場合測定範囲が広く、周囲に街灯などの照明が存在するとその明るさを拾ってしまう可能性があるので、純粋に夜空の暗さのみを測定したい場合はこのLタイプが向いているかと思います。

etc-sqm-l_1.jpg

測定結果は小数点以下二桁までの数値で表示されますが、小数第2位の値は毎回大きく変動するのでそれ程参考にならず、小数第1位までの値で主に判断する事になるでしょう。同じ場所でも測る日時によっても値が変動するので、何度も測って平均を取って判断するのがいいと思います。「さっきより暗くなったかな?」「ここよりあっちの方が暗いかな?」と言った疑問にすぐさま答えてくれるのは大変便利です。

数値と明るさの関連については自分が測ってみたところでは、

・満月時の自宅前:17.5
・月の無い自宅前で肉眼でオリオン大星雲やすばるが見える程度:18.5
・自宅前でほぼ最高に星が見えた時、但し天の川は見えず:19.5
・大停電時の自宅で天の川が見えた時:20.8
・いつもの遠征先(人口5000人程度の農村在住の親戚の家の敷地内):20.9
・いつも参加する観望会が開かれる場所:21.3
・夜にカーテンを閉め切った自室(自分の手が殆ど見えない暗さ):22.2
・限りなく暗闇(布団の中):23.9~計測不能

と言った具合で暗くなればなるほど測定に時間が掛かり、余りに暗いと測定エラーになります。体感では天の川が見えるか見えないかの境界が20位で、21を超えると天の川も明瞭、明るい星座がギラギラ輝いて見え、22以上の星空は見た事無いですがほぼ暗闇に近いだろうと言う印象です。

本体下部に書かれた絵にはSQM値と星空の様子との対比が描かれていて、これを見ると21以上あれば十分と言った表現となっており、メーカーの商品説明でも『「21以上」に測定された場合は、ほぼ真暗状態を意味します。』となっていますので、21以上が測定されれば星見の観望地としては十分合格と言えるでしょう。

etc-sqm-l_2.jpg

21強の夜空となると冬の天の川も見えますし、ライトを点けなければ人の顔も判別できず、迂闊に歩き回ると足元の機材を蹴っ飛ばしてしまう程の暗さですが、噂に聞くような海外の観望地での天の川で影ができると言った暗さにはまだまだ及ばない印象で、そのレベルだと恐らく22(もしくは23?)は超えるのでは無いかと思います。一度体験してみたいですね。

この値は他のSQMとの比較も可能で、ネットなどで情報交換すれば全国規模でどこの観望地がより暗いのかを比べる事ができますので、「肉眼で○○が見えた」と言う尺度には個人差がありますが、これであれば客観的に答えを出す事が可能です。

例えば『網状がノーフィルターで見えた』や『馬頭が眼視で見えた』と言われて自分の目では見えない場合、自分の眼力が足りないのか、空の暗さが足りないのかと悶々としてしまいますが、SQMで比較できれば白黒結論づける事ができるでしょう。

またLight Pollution Mapと言う光害マップサイト(https://www.lightpollutionmap.info/)を見つけたのですが、このサイトでは光害のレベルを8段階に色分けした地図を見る事ができ、これで見ると自分のいつもの遠征先は黄緑色部分の領域で、いつもの観望会が開催される場所は緑青色の地域(ほぼ青地域との境界)に該当します。

etc-lpm_2.jpg

SQMの値と対比させるなら、黄緑色の領域はSQM値で20、緑青色の地域なら21、青~黒色の地域なら22に迫る夜空を見られるのではないかと予想しますが、このマップの青色の地域で既に人が立ち入るような場所ではありません(山の中)。緑青色の地域でも十分人里から離れていますし、熊の出没にも気を払わねばならず、この領域で安全に観望できるなら恵まれた観望地と言えそうです。

こうしたWebサイトで観望候補地を探す事はできますが、実際現地に行って明るさを確認する、他の候補地と比較したいとなった場合には、SQMは理想の観望地を決める上での大きな一助となる事でしょう。