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笠井 AZ-3経緯台 [天文>機材>架台]

複数の鏡筒を所有していると同時に出して見たくなる事がありますが、以前は2つの架台を並べていたのですがやはり手間なので設置の手間が省ける2台の鏡筒を同架できる架台を探したところ、フリーストップのT型の経緯台などは2台同架できるものもありますが、個人的には必須となる手動微動が可能な架台となると極端に選択肢が減り、更に2台の鏡筒の平行調整も可能となるとこの経緯台位しか選択肢が無いかも知れません。

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この経緯台では2台の鏡筒の視軸調整を実現する為に一台(主鏡筒)は架台の横に、もう一台(副鏡筒)は架台の上に載せる形となっていますがこれにより、対空双眼鏡など横倒しに出来ない機材をL型プレートなどを介さずにそのまま搭載できるのが期せずしてメリットとなっていると思います。

造りや塗装など外観は荒々しく中華クオリティを感じさせますが、各部を動かすとノブやクランプが干渉しないようにとても上手く配置されていると感じます。肝心の手動微動の操作感も良好で当初は問題がありましたが(後述)、調整後は通常使用で不満に感じる部分は特にありません。

少し使い難いと感じたのは副鏡筒の視軸調整部分で、かなり固いグリスが使われているのか上下動の動きが固く、左右の動きも雑な感じで微調整が難しいので左右の鏡筒の視軸合わせが中々スムーズに行かないのですが、苦労してでも一度合わせて固定してしまえばそれ以降は触る事はあまり無くなるのでそれ程大きな問題とはならないと思います。

また購入後1、2回使用して微動にガタが発生し、ウォームネジも少し浮いていたのかクランプを締めても架頭がグラグラ動く不具合が発生したのですが、笠井さんに調整方法を教えてもらい、自力調整で問題をクリアできました。この調整方法は公開してもよいと笠井さんから許可を頂いたので以下にご紹介します。

まず微動ノブを行き来させると1/5回転程度ノブが空転する症状があったのですがこの対処は、

1)下の写真の緑色矢印部分の2箇所のイモネジを緩めて微動ノブを外します。

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2)微動シャフトの根元に付いている六角ナットを緩めます。
3)ナットが噛んでいる内側の筒状のネジを締め込みます。

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4)再び六角ナットを締め込んで元に戻します。
5)微動ノブを再度装着します。

※3番の筒状のネジはあまり強く締め込むと微動が固くなりますので、適当な強さで締め込んでください。

また次にクランプを締めても、架頭がグラグラ動く場合の対処(ウォームネジの噛み合わせ調整)は、

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1)上の写真の緑の矢印のネジを全て少し緩めます。
2)赤の矢印のネジを少し締め込みます(これがギアの間隔を調整するネジ)。
3)緑の矢印のネジを元のように締め込みます。

※2番のネジをあまり強く締め込むと微動が固くなりますので、適当な強さで締め込んでください。

この架台を運用しているとどうしてもバランスが手前側に寄るので微動(ウォーム)に負荷が掛かり易く、長期間使用するとガタが発生する事は避けられないかも知れませんが、こうして自力で調整が可能だとなれば安心して末永く使う事ができそうです。

架台の強度的には思いの外頑丈で、GP2などよりしっかりしている感じもあり、主鏡筒側はTSA-120ALTER-7を載せても余裕があり、10kg位まで載りそうな雰囲気です。副鏡筒側は視軸調整機構の上に載せる為、バランス的にもそれ程重い機材は載せられないと思われますが、それでも7kg近いAPM10cm対空双眼鏡を載せても問題ありませんので、架台全体としての積載重量は中々のものがあるかも知れません。またこの架台の三脚取り付け径はビクセン旧規格(φ60mm)となっており、現行のHAL三脚に取り付ける場合はアダプター(GP60→45AD)が必要となります。

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単に2台の望遠鏡を同架したいのであればGPX赤道儀マルチプレートを組み合わせる方法もあるのですが、このAZ-3は搭載重量の割にウェイトが軽く済むので全体重量もGPXを使うより軽く済み、モータードライブを使う必要が無ければこちらの方が手軽に扱えるので出番も多いです。

何より10cm対空双眼鏡やミニボーグBINOなどを望遠鏡と同架できるのはこの架台ならではの芸当で、対空双眼鏡と望遠鏡と言った得意な対象が大きく異なる機材の組み合わせが可能となり、これ一台で幅広い対象をカバーできるので個人的に重宝する架台となっています。