12mmクラシックアイピース対決 その2 [天文>機材>アイピース]
以前は新品で手に入るアイピースにしか関心が無く、双眼装置での最高倍率用として個人的に使用する12mmのアイピースに関してはTMBモノセン、Brandon、笠井HC-Or、笠井APの4種をそれぞれ新品購入し、その見え味の違いを楽しんでいましたが、アイピースを中古で購入する事に徐々に抵抗が無くなった事で往年の銘アイピースの見え味に興味が湧いてしまい、その後手始めにニコンO-12.5を入手してしまいました。
それまで古アイピースには目を向けない事でアイピースの増殖を抑えてきた自分でしたが、中古で、あまつさえツァイスサイズのアイピースに手を出してしまったとなってはもう誰にも止める事はできません汗;あらゆる種類の焦点距離12mmのクラシックアイピースを見比べてみたくなり、集めたのが以下のアイピースです。
本当は現行品である、国際光器 Fujiyama HD-OR12.5mm、タカハシ LE12.5mmも比較対象に加えたかったのですが、前者は同じ国産アッベオルソのHC-Or12mm、後者は国産アストロプランのAP12.5mmと殆ど差異は無いだろうと判断し、今回は見送りました。
鏡筒は主にFC-100DLを用い、たまにブランカ70EDTも使いました。今回見比べは殆ど木星と土星で行い、主に中心像(見掛け視界で言えば30度程度の範囲)を使って見え味を評価していましたので周辺像の良し悪しは殆ど評価しておらず、また高拡大率バロー(+双眼装置)を使用した評価の為、短焦点鏡筒との相性なども評価の対象としていません。故に長焦点鏡筒における惑星の見え味をメインとした、中心像に着目したアイピースの評価とお考えください。評価項目は解像度、コントラスト、明るさ、ヌケなどの要素に加え、迷光処理や覗き易さも加味した総合力をアイピースの実力として以下にランク付けしてみました。
A+とAの差は小さく、A+のアイピースの方がよく見えるような『気がする』程度の差しかありません。条件によっては評価が逆転してもおかしくない微妙な差で、木星の表面模様はペンタOが一番見えると感じた時もあれば、土星は笠井APが一番見えた気がする時もあり、見る対象によっても順位が入れ替わるかも知れません。この4種でコンスタントに良く見えると感じたのがニコンOでしたので現時点ではこの様なランク付けとなっています。
またAとBも惑星の表面模様の詳細を見る事ができる解像力と言う点では殆ど差はありません。Bランクでもここまで見えれば十分と思えるレベルで、ブラインドテストで判別できるか?と言われれば見分ける自信は正直ありません汗;ただ例えばWA-12mmであれば木星の両端に色が付く、Ke12mmはゴーストが発生する、Omni PL12mmやHM12.5mmは木星などを見ると光条や迷光が目に付くと言った点で差を付けています。
またBよりAの方が例えば土星を見た時の本体の立体感や環の前後が判別し易いなどの表現力の様な部分で差を感じた事がありその点を加味していますが、低廉な中華製アイピース代表として比較対象に加えたOmni PL12mmや、子供の頃に見たイメージの再確認の目的で入手したHM12.5mmが高価なアイピースと比べてもそれ程遜色無く見えたのはある意味ショックだったかも知れません笑
一方Sランクですが、A以下のアイピースから交換した時にはっとするような見え味の違いを感じ、模様の詳細に関してはAでもBでも見えているのですが、Sのアイピースはそれらが見易い、くっきりあるいは立体的に見えると言った差を感じます。個人的には欧米アイピースを特に信仰してはいないつもりですが、評価の高いアイピースにはやはりそれなりの理由があるのかなと得心するところです。TMBとBrandonの差は特に明るさで、どのアイピースと比べてもまず明るいと感じさせるTMBはやはり特異なアイピースなのかも知れません。
これらのアイピースを見比べて感じたのは、今時普通に手に入るアイピースで、標準視界のクラシックアイピースと言う範疇であれば、これは見えない、使えない、と言う製品は殆ど存在しないのでは?と言う印象で(製造不良による個体差はもしかするとあるかも知れませんが、設計的にはおかしいものは無さそう)、ある意味初心者の方でも安くて良く見えるアイピースが手に入る良い時代になったのかなと思うところです。自分は特に鋭眼の持ち主ではありませんので、逆に言えば今のアイピースは安価な製品でも普通の眼力の人であれば高価なアイピースと比較しても差が殆ど分からないレベルには仕上がっている、と今回のテストでは言えるのかも知れません。
一方BrandonやTMBが他より良く見える、と感じた事も事実で、高くても良いので一本最上級の惑星用クラシックアイピースが欲しいと考える方には、現行品で入手可能なBrandonを買えば間違いないだろうと個人的には思うところです。それでも価格に見合う見え味かどうか気になる方は丁度国際光器でBrandonのデモ品がレンタル(それも現時点ではタダ!)されていますのでこれを利用してみるのも良いかと思います。
本来はこの見比べは評価の高い欧米、国産のアイピースが良く見える事を実感したくて始めたつもりだったのですが、安価なアイピースと見比べる程、思った(期待した?)程の差が無い事が分かり、今時の低廉なアイピースの基本性能の良さを逆に実感する結果となりました。とは言え良し悪しの感じ方も個人差があるかも知れませんし、何度も見比べている内に評価が変わる事もありますので、あくまでご参考までです。
それまで古アイピースには目を向けない事でアイピースの増殖を抑えてきた自分でしたが、中古で、あまつさえツァイスサイズのアイピースに手を出してしまったとなってはもう誰にも止める事はできません汗;あらゆる種類の焦点距離12mmのクラシックアイピースを見比べてみたくなり、集めたのが以下のアイピースです。
名称 | 生産国 | 形式 | バレル径 |
TMB スーパーモノセントリック12mm | ドイツ | モノセントリック | 31.7mm |
Brandon 12mm | 米国 | 改良プローセル | 31.7mm |
笠井 HC-Or12mm | 国産 | アッベオルソ | 31.7mm |
笠井 AP12.5mm | 国産 | アストロプラン | 31.7mm |
Nikon O-12.5 | 国産 | 改良プローセル | 24.5mm |
Pentax O-12 | 国産 | 改良アッベ | 24.5mm |
スコープタウン Ke12mm | 国産 | ケルナー | 24.5mm |
SVBONY WA-12mm | 中華 | 改良ケーニヒ | 31.7mm |
Celestron Omni PL12mm | 中華 | プローセル | 31.7mm |
ビクセン HM12.5mm | 国産 | ミッテンゼーハイゲンス | 24.5mm |
本当は現行品である、国際光器 Fujiyama HD-OR12.5mm、タカハシ LE12.5mmも比較対象に加えたかったのですが、前者は同じ国産アッベオルソのHC-Or12mm、後者は国産アストロプランのAP12.5mmと殆ど差異は無いだろうと判断し、今回は見送りました。
鏡筒は主にFC-100DLを用い、たまにブランカ70EDTも使いました。今回見比べは殆ど木星と土星で行い、主に中心像(見掛け視界で言えば30度程度の範囲)を使って見え味を評価していましたので周辺像の良し悪しは殆ど評価しておらず、また高拡大率バロー(+双眼装置)を使用した評価の為、短焦点鏡筒との相性なども評価の対象としていません。故に長焦点鏡筒における惑星の見え味をメインとした、中心像に着目したアイピースの評価とお考えください。評価項目は解像度、コントラスト、明るさ、ヌケなどの要素に加え、迷光処理や覗き易さも加味した総合力をアイピースの実力として以下にランク付けしてみました。
《S+ランク》 |
・TMB スーパーモノセントリック12mm |
《Sランク》 |
・Brandon 12mm |
《A+ランク》 |
・Nikon O-12.5 |
《Aランク》 |
・Pentax O-12 ・笠井 AP12.5mm ・笠井 HC-Or12mm |
《B+ランク》 |
・スコープタウン Ke12mm ・Celestron Omni PL12mm ・ビクセン HM12.5mm |
《Bランク》 |
・SVBONY WA-12mm |
A+とAの差は小さく、A+のアイピースの方がよく見えるような『気がする』程度の差しかありません。条件によっては評価が逆転してもおかしくない微妙な差で、木星の表面模様はペンタOが一番見えると感じた時もあれば、土星は笠井APが一番見えた気がする時もあり、見る対象によっても順位が入れ替わるかも知れません。この4種でコンスタントに良く見えると感じたのがニコンOでしたので現時点ではこの様なランク付けとなっています。
またAとBも惑星の表面模様の詳細を見る事ができる解像力と言う点では殆ど差はありません。Bランクでもここまで見えれば十分と思えるレベルで、ブラインドテストで判別できるか?と言われれば見分ける自信は正直ありません汗;ただ例えばWA-12mmであれば木星の両端に色が付く、Ke12mmはゴーストが発生する、Omni PL12mmやHM12.5mmは木星などを見ると光条や迷光が目に付くと言った点で差を付けています。
またBよりAの方が例えば土星を見た時の本体の立体感や環の前後が判別し易いなどの表現力の様な部分で差を感じた事がありその点を加味していますが、低廉な中華製アイピース代表として比較対象に加えたOmni PL12mmや、子供の頃に見たイメージの再確認の目的で入手したHM12.5mmが高価なアイピースと比べてもそれ程遜色無く見えたのはある意味ショックだったかも知れません笑
一方Sランクですが、A以下のアイピースから交換した時にはっとするような見え味の違いを感じ、模様の詳細に関してはAでもBでも見えているのですが、Sのアイピースはそれらが見易い、くっきりあるいは立体的に見えると言った差を感じます。個人的には欧米アイピースを特に信仰してはいないつもりですが、評価の高いアイピースにはやはりそれなりの理由があるのかなと得心するところです。TMBとBrandonの差は特に明るさで、どのアイピースと比べてもまず明るいと感じさせるTMBはやはり特異なアイピースなのかも知れません。
これらのアイピースを見比べて感じたのは、今時普通に手に入るアイピースで、標準視界のクラシックアイピースと言う範疇であれば、これは見えない、使えない、と言う製品は殆ど存在しないのでは?と言う印象で(製造不良による個体差はもしかするとあるかも知れませんが、設計的にはおかしいものは無さそう)、ある意味初心者の方でも安くて良く見えるアイピースが手に入る良い時代になったのかなと思うところです。自分は特に鋭眼の持ち主ではありませんので、逆に言えば今のアイピースは安価な製品でも普通の眼力の人であれば高価なアイピースと比較しても差が殆ど分からないレベルには仕上がっている、と今回のテストでは言えるのかも知れません。
一方BrandonやTMBが他より良く見える、と感じた事も事実で、高くても良いので一本最上級の惑星用クラシックアイピースが欲しいと考える方には、現行品で入手可能なBrandonを買えば間違いないだろうと個人的には思うところです。それでも価格に見合う見え味かどうか気になる方は丁度国際光器でBrandonのデモ品がレンタル(それも現時点ではタダ!)されていますのでこれを利用してみるのも良いかと思います。
本来はこの見比べは評価の高い欧米、国産のアイピースが良く見える事を実感したくて始めたつもりだったのですが、安価なアイピースと見比べる程、思った(期待した?)程の差が無い事が分かり、今時の低廉なアイピースの基本性能の良さを逆に実感する結果となりました。とは言え良し悪しの感じ方も個人差があるかも知れませんし、何度も見比べている内に評価が変わる事もありますので、あくまでご参考までです。
2019-11-04 01:36