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ACクローズアップレンズ自作アイピース(広角化編) [天文>機材>アイピース]

今回は例のACクローズアップレンズNo.17を使用した自作60mmアイピースにACクローズアップレンズNo.5、更にMCクローズアップレンズNEO No.4を足す事で、見掛け視界を60度程度に広角化させてみました。これにより焦点距離は45mm程度に短縮されています。

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構成は、

----<アイカップ部分>
・ノーブランド 55mm→37mmステップダウンリング
・ノーブランド 58mm→55mmステップダウンリング
・ノーブランド 58mm継手リング(メスーメス)
----<本体部分>
・ケンコー MCクローズアップレンズ NEO No.4 58mm
・ケンコー ACクローズアップレンズ No.5 58mm
・ノーブランド 58mm継手リング(オスーオス)
・ケンコー ACクローズアップレンズ No.17 58mm
・ノーブランド 58mm継手リング(メスーメス)
・BORG M57→M58AD【7407】
・BORG 50.8→M57/60AD【7425】

となり、これによりレンズ構成は6群7枚、重量は約414gと、見た目も普通の2インチ広角アイピースの風格が出てきました笑。

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広角化のきっかけとなったのはふと見掛けた古い天文ガイドの元祖マスヤマアイピースの広告で、マスヤマアイピースのラインナップの中で25mmのみ広角のモデルが存在していましたが、そのレンズ構成図を見たところではマスヤマアイピースの基本となる構成(アストロプラン設計)の手前に平凸レンズを一枚足しただけのように見えました。

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また以前12mmクラシックアイピース対決で使用したSVBONYのWA-12mmのレンズ構成も2群3枚のケーニヒの構成にやはり手前側に平凸レンズを足したような構成でしたので、これは標準視界のクラシックな構成のアイピースの手前に平凸レンズを足せばお手軽広角アイピースになるのでは?と考えて手元にあったACクローズアップレンズNo.9をNo.17にかざしてみたところ予想通り見掛け視界が70度程度に大きく広がり、これはいけるかも!?と期待に胸が膨らみます。

実際にブランカ70EDTでオリオン座周辺をPentax XL40と見比べてみたところまずまずの見え味でしたが、周辺像の崩れが大きかったのでNo.9では値が大き過ぎると判断、今度はAC No.5で試してみると見掛け視界は60度弱に下がったものの周辺像の崩れも少なく、これならもう少し広角にできるのでは?と欲が出て、更にMC No4を足してみたところ見掛け視界65度弱となり周辺像もまずまず、これによりアイレリーフも短縮し、ブラックアウトも殆ど発生しなくなり格段に覗き易くなったのでこの組み合わせで完成させる事にしました。

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また視野最周辺の星像の崩れが少し気になったのでほんの少し絞れないかと考え、2インチバレル部分を構成する50.8→M57/60AD【7425】の内側に48mmのフィルターネジが切ってある事を利用して、この内側から2インチフィルターの枠のみ取り付ける事で丁度良い絞り環となり、見掛け視界は60度程度に下がりましたが普通のアイピースと変わらない視野環がくっきりとした見え方となりました。

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出来上がったアイピースの性能を確かめようとミニボーグ60ED-BINOを使用し、XL40とサイドバイサイドで見比べたところ、周辺像はこちらのアイピースが上回ってましたが微光星の見え味で結構な差があり、やはりレンズを追加した事により透過率が下がってしまった可能性があるので素直に60mmアイピースとして使う方が無難だったかも知れません。しかしクローズアップレンズを適当に組み合わせたこのアイピースがPENTAXの高性能アイピースにまともに勝負ができる時点で既に驚きと言えましょう。

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後日ヌプカの観望会にこのアイピースを持参し、再び施設のPentax 150EDで覗かせてもらえましたが、導入されていたペルセ二重星団がかなり綺麗に見えました。鏡筒のFがかなり長い事もあって周辺の崩れは認められず、透過率が特に悪いようにも感じられませんでしたので、高性能アイピースとサイドバイサイドで見比べなければこれでも十分実用になるように思えました。

あわよくばXL40からこのアイピースに乗り換えられればと考えていましたが、そこまでは行かなかったとしても構成を組み替えるだけで60mm~40mmの間で焦点距離を可変できる非常にユニークなアイピースとして今後の活躍も見込めそうです。