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ACクローズアップレンズBINO その2 [天文>機材>望遠鏡]

先日MoreBlueの目幅調節装置を導入し、ACクローズアップレンズBINOの台座をこれに換装させる事で、目幅調整に視軸調整が格段にやり易くなりましたが、この目幅調節装置の左右の台座の最小間隔は60mmとなっており、以前のBINOの最小目幅(57mm)を出せなくなった事が少々不満だったので改善策を考える事になりました。

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この目幅調節装置は鏡筒をファインダーアリガタを介して左右の台座のアリミゾに取り付ける構造となっていましたので、ファインダーアリガタを2段重ねにした上で上段のアリガタを内側にそれぞれオフセットさせる事により、以前の最小目幅を出せるようになりました。

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この2種類のアリガタは共にMoreBlue製で型番はFG304(上段側:40mm長)、FG310(下段側:80mm長)となっています。

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このBINOは接眼部を31.7mm径に妥協する代わりにXWA9mmを利用した100度双眼視が目幅の小さい方でも体験可能な部分が利点でしたので、この長所を引き継ぐ事ができて安心しました。

自作 Dollond 12mm(Version.K) [天文>機材>アイピース]

かつてクチュールボール(Couture Ball)なる光学ガラスのボール玉をレンズにしたアイピースが存在し、見掛け視界は10~15度程度と非常に狭いながらも想像以上によく見えたらしく、やはり構成するレンズ枚数が少ないのはアイピースの設計においては大きな強みと感じ、この様な極限的にシンプルなアイピースは他に無いものかと古典アイピースのデザインをネットで眺めていて目に付いたのがこのDollondと言う設計でした。因みにこの方(John Dollond [1706-1761])はラムスデンの義理の父との事です。

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この構成図を見る限り平凸の色消しダブレットのみと言うデザインですので、単純にプローセルを分解して前群のみ利用すれば実現できそうで、これによりレンズ透過による光量損失もプローセルの半分となり、臨界F値はf/15、見掛け視界は20度となっていますが、双眼装置使用(バロー併用)による惑星観望に限定すればこの条件下でも支障なく使用が可能ですので、1群2枚と言う極限に近いレンズ構成を活かした究極の双眼用プラネタリーアイピースができるでは?と期待が高まり、自作できないか考える事になりました。

まずは手持ちのプローセル(セレストロン Omni PL12mm)を分解してみましたがシンメトリカルな設計となっており、アイレンズも視野レンズも見たところ平面です。これが設計を改良したプローセルの場合、曲率を持たせている場合がありますので、今回の目的においては逆にこの様な安価なプローセルを使用した方が良いかも知れません。またこの構成から後群を取り除くと焦点距離は長くなりますので、12mmのDollondを作ろうとなるとより短焦点のプローセルからレンズを調達する必要があります。

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そこで何mmのプローセルが必要かを考えた場合に、シンメトリカルな平凸レンズ2枚をほぼ接する形で12mmの焦点距離を出しているのなら半分の6mmのプローセルを用意すれば良さそうに感じ、中古で入手が容易なところでケンコーのPL6.3mmを入手、後群を取り除き、双眼装置でOmni PL12mmと並べて見比べたところ計算通り(計算など微塵もしていませんが;)ほぼ同倍率となっており、計画実現の可能性が高くなった事から後群のレンズを抜いた事で生じる隙間を埋める為のパイプ状のスペーサーをミスミで調達する事で、割とあっさりとDollond 12mmの自作が完成しました。

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問題の見え味については木星土星をFC-100DLTSA-120ブランカ150SEDなどで覗いてみましたが、第一印象がやはり見掛け視界の狭さで、分かってはいましたが覗いていてかなり窮屈に感じます。それでも双眼装置にBS3xバロー(約3.5x)を組み合わせていますので良像範囲は7~8割程度はあり、300倍でも木星の視直径以上は十分にありますので表面模様の観察に支障はそれ程ありません。解像度は狙い通り良好でよく出来たアイピースとして及第点(Aランク)をあげられる見え味ですが、150SEDの様な光量の多く得られる鏡筒で木星を見るとかなりのフレアが発生して表面模様のコントラストを大きく下げてしまいます。自作する上で迷光対策の類は何もしていないので、その辺りを工夫すればもっと良く見えるアイピースとなるかも知れません。

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他のアイピースより特段優れているかは現時点では分かりませんが、使用条件に上手く合わせれば期待に応える見え味を発揮してくれる事が分かり、古典アイピースの侮れない実力を再認識した次第です。

アイピース室内チェック環境構築 [天文>機材>アイピース]

先日双眼装置のバローの拡大率を算出する為に室内の窓ガラスに方眼紙を貼り付けて計測していましたが、思ったよりも方眼紙の表面の詳細が見えた事から室内でアイピースの見え味の比較が出来ないだろうかと考え始めたそんな折、ふと視界を方眼紙から壁に向きを変えて見たところ顕微鏡で見るような表面の詳細が見えて、歪曲収差を見るには方眼紙が向いていますが、解像度や明るさ、ヌケやコントラストと言った性能を量るにはこっちの方が適しているのでは?と感じて試験的に見比べを始めてみました。

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後日双眼装置のバローの取り付け方を変更した事から再度拡大率を測ろうと機材をセットし、夜で室内照明だけでは暗かったのでライトを使って方眼紙付近を照らして測っていましたが、例によって視界を方眼紙からその横のすりガラスにずらしてみたところそこには驚きの光景が。

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何とライトの光を反射した無数の点光源が視野一杯に広がっており、さながら満天の星空のようで、更に明るい光点には綺麗なジフラクションリングまで見えています。室内照明を落として、ライトの光量も落とす事で更に夜空に近い雰囲気が得られ、点光源以外の部分でも淡い濃淡のガラスの表面模様が星雲の見え方に通じるところもあり、これなら室内で見え味を比べる環境としては理想的、とまでは行かなくとも実用レベルに達しているではと思わなくもありませんでした。

自分は基本的に望遠鏡の性能を見るのに昼の景色で判断するのは当てにならないと考えており、景色で望遠鏡を見比べてAよりBが良いと判断しても、星で見ると見え味が逆転する事が当たり前に起こるので、見比べは実際の天体で判断する事に拘っているのですが、今回の環境であればある程度参考になる性能比較が可能になるのではないかと期待しています。

何より天候やシーイングに左右されないでじっくり見え味を確認できるのは本当に楽で、これに慣れると星で見比べする気にならなくなるかも知れませんwそれは冗談として、今後は星だけでなくこちらの環境での見え味もインプレする上での参考としてみようかと考えています。