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Carl Zeiss Jena 12,5-O [天文>機材>アイピース]

12,5は12.5の誤表記ではありません。ドイツ(EU?)圏では小数点はピリオドではなくカンマ表記なのでここでもその様に表記します。

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通称CZJ(オルソ)と略される元祖オルソスコピックなアイピースですが、このアイピースに関してはZeissに関してはニワカな自分が多くを語らない方が良いかも知れません。自分がこのアイピースを入手するに当たって参考とさせて頂いたのは恐らく多くの天文ファンにお馴染みの鈴木さんの『ツァイス望遠鏡の展示室』HPで、この中の「Zeissアイピースの変遷」と言うコーナーにZeissの望遠鏡用アイピースの変遷や特長など詳しく丁寧にまとめられています。

こちらの内容から判断するに、自分が手に入れた2本の12,5-Oは80年代前半のモデル(見口周辺がザラザラの仕上げで12,5-Oの印字が上面)と80年代後半のモデル(見口周辺がザラザラの仕上げで印字が本体側面)と言う事になりそうです。便宜上これらを前期モデル、後期モデルと呼称します。

両方のモデルを見比べると前期モデルがずっしり重く感じられ実測で91g、後期モデルは53gと真鍮素材とアルミ素材の使用の違いが表れています。アイレンズの位置は前期モデルが僅かに浅く、後期モデルは見口上面から深い位置に存在する為クリーニングが難しいです。またアイレンズの曲率にも違いが見受けられ、前期モデルの方が比較的平坦に見えます。コーティング色はどちらもブルーのシングルコートと思われます。

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自分も1年程海外の中古市場を彷徨っていた感想で言えば、CZJオルソ(O-8に関しては東西ドイツ統一後の製品の様ですのでCZ「J」では無いと思われますが)の入手難度は

O-8>>>12,5-O>>4-O、6-O>25-O>10-O、16-O

と言う印象で、12,5-Oの入手難度は非常に高いと感じました(O-8は見た事がありません)。また中古相場も高く、状態が良ければ海外市場でも500ユーロは下らないかも知れません。12mmクラシックアイピースの見比べを行うに当たって、どうしてもツァイスのアイピースを加えたかったと言う想いから入手検討を始めましたが、ZAOには12mmの焦点距離は存在しない為、CZJに目を付けるしかなかったのですが、この時ばかりは12mmに拘っていた自分を呪う事となりましたσ(^_^;)

その様な訳でこれを2本入手するのは骨が折れましたが、当初からいくらなんでも古すぎると言う先入観が拭えず、よって実は見え味にはそれ程期待しておらず、海外の評判は高かったですが、Zeissにはただならぬ想い入れを持ったエンスージアストの方も多いので、一般人から見るとバイアスが掛かった評価なのでは?とやや穿った目線で見ていました。

その一方で同じCZJの望遠鏡用対物レンズのC50/540を手に入れて、その上品な造りと優秀な見え味から古いものでもきちんと作られたものは全く現在でも通用する性能を持っている事も認識していたので、我が家の数多の12mmクラシックアイピースの中でどこまで健闘できるかは楽しみでもありました。正に見せてもらおうか、CZJのオルソスコピックの性能とやらを!と言ったところです。

見比べは主にFC-100DLTSA-120ブランカ150SEDと言った鏡筒で双眼装置バローを付けて行いましたが、他のアイピースからこのアイピースに交換した時にえっ!?と驚きました。それまでシーイングのせいと思っていたややぼんやりとしていた木星や火星の模様の詳細がぐっと浮かび上がってくる感じに見えるのです。やや像が暗く、色合いが黄色っぽい気もしましたが、中心解像度は間違い無くトップクラスで何でこんなに古いアイピースがこんなに良く見えるの?と不可解さを覚えるレベルでした。

他のアイピースより少し劣ると感じたのは迷光処理の部分で、火星や木星などの明るい天体を見ると丸い光芒(ゴースト?)が前面に出てくる感じでもしかすると表面模様のコントラストを下げているかも知れませんが、とにかくそんな事を忘れさせる程模様が良く見えるアイピースで、これであれば苦労して手に入れた甲斐があったと報われた気分でした。また室内環境で周辺像のチェックもした限りでは歪曲の少なさもトップクラスでツァイスのオルソの名は伊達ではないと感じました。

古いCZJでこの見え味であれば、マルチコートされたより設計の新しいZAOが惑星用アイピースとして最強と称されても頷ける気がします。しかしCZJでも十分良く見えますので、ZAO程は高騰しない、数も比較的出回っていて入手し易い10-Oや16-O辺りを狙うのも惑星観望派の方にはアリかも知れません。

12mmクラシックアイピース対決2020 [天文>機材>アイピース]

昨年の12mmクラシックアイピース対決以降順調にアイピースは増え続け、あまつさえ20倍の顕微鏡用接眼レンズが12.5mm相当である事を知ってしまった事で収集に拍車が掛かり、現在はこの様な有様となっています。

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こうして見ると見境無く増やした感がありますが、ここまで同じ焦点距離のアイピースをかき集めている理由を少し説明させて頂くと、当初はどのアイピースが一番優れているか知りたい動機で始めましたが、アイピースの種類が次第に増えていく中で、製造不良でもない限りどのアイピースも良く見える事が分かって、特に中心像に関しては好条件の空で見比べて僅かな差異が感じられるかどうかと言う非常に微妙な違いであり、そこそこの条件の空でも絶えず変動するシーイングの中で大量のアイピースのランク付けを行うのは難しいものがあり、評価に悩む中で次第に自分が観望を楽しめなくなっている事に気づく事になりました。

そうした中でも世界にどんな種類のアイピースが存在するのかを調べる事は面白く、様々な設計の違い、製造国や年代、開発の経緯などを知る事で見え味に大差が無くても楽しめる、例えば望遠鏡で様々な恒星を観望する場合に、見た目はどれも光の点でビジュアル的に大差はありませんが、その星までの距離や大きさ、どのような天体かを頭に入れておくと俄然楽しめるようになるのと同じ様に、アイピースの見比べも知識と想像で見た目を補う眼視観望の楽しみ方に通じるものがある事に気付き、違いを見つける事に余り拘らずに様々なアイピースを覗く事が再び楽しめるようになりました。

なので現在はランク付けは目的としては二の次になり、ファッション感覚でその日の気分で見たいアイピースをピックアップしてこれらの開発者や使ってきた先人の考えに思いを馳せながら見え味を楽しむようになっています。

その様な訳で今回の対決に使用した鏡筒はブランカ70EDTFC-100DLTSA-120ブランカ150SEDなど主にアポ屈折で、Mk-V双眼装置バローの使用を前提に主に木星、土星、火星の見え味を評価したランキングになります。ランキング表の項目は、アイピース名称/形式/レンズ構成/見掛け視界/製造国/バレル径、と言った順に表記しています。

《SSランク》
TMB SuperMono12mmモノセントリック1群3枚30°31.7mm
CZJ PK20x(10)改良ハイゲンス?3群4枚?46°東独 30.0mm
《Sランク》
Brandon 12mmプローセル2群4枚45°米国31.7mm
CZJ 12,5-Oアッベオルソ2群4枚40°東独24.5mm
・ZWG Kpl20x37°西独23.2mm
《A+ランク》
Nikon O-12.5プローセル2群4枚45°日本24.5mm
Pentax O-12アッベオルソ2群4枚42°日本24.5mm
笠井 AP12.5mmアストロプラン3群5枚50°日本31.7mm
笠井 HC-Or12mmアッベオルソ2群4枚42°日本31.7mm
Leica 20x/1255°独?30.0mm
《Aランク》
Meade SP12.4mm(JP)プローセル2群4枚52°日本31.7mm
・タカハシ MC Or12.5mmアッベオルソ2群4枚41°?日本24.5mm
タカハシ LE12.5mmアストロプラン3群5枚52°日本31.7mm
・五藤 MH-12.5mmミッテンゼーハイゲンス 2群2枚43°?日本24.5mm
・谷 Or12.5mmアッベオルソ2群4枚44°日本31.7mm
自作 Dollond12mm(Ver.K) ドロンド1群2枚20°中華31.7mm
Nikon UW20x69°日本30.0mm
・CZJ PK20x(8)37°東独23.2mm
《B+ランク》
Celestron Omni PL12mmプローセル2群4枚52°中華31.7mm
・GSO PL-12mmプローセル2群4枚50°台湾31.7mm
LongPerng PL12.5mmプローセル2群4枚55°台湾31.7mm
EO RKE12mmリバースドケルナー2群3枚45°米国31.7mm
ビクセン HM-12.5mmミッテンゼーハイゲンス2群2枚40°日本24.5mm
Nikon E20x改良ケーニヒ?2群3枚55°日本30.0mm
・Olympus G20x56°日本30.0mm
《Bランク》
・タカハシ NP-12?°日本24.5mm
・Celestron 8-24Zoomズームアイピース40-60°中華31.7mm

※注1)CZJはCarl Zeiss Jenaの略称です。
※注2)ZWGはZeiss West Germanyの略称です。(勝手に付けました)
※注3)EOはEdmund Opticsの略称です。

<Sランク寸評>
惑星用アイピース個人的絶対王者TMB SuperMonoと今回同ランクに付けたのは何とCZJの怪しい顕微鏡接眼レンズでした。CZJ12,5-Oも噂通り、自分の想像以上に非常に良く見えるもののシングルコーティングのせいか迷光が目に付くのに対し、PK20x(10)の方は恐らくマルチコートされている事から12,5-Oより設計が新しく、解像度は同等ながら迷光の少なさでコントラストが良い部分を加味してこのランク付けとなりました。一方西ドイツツァイスの顕微鏡接眼レンズ、Kpl20xも他のアイピースから交換した時により詳細な模様が浮き出てくるこのクラス独特の見え味を有している事からSランク入りとしました。Brandonもやはりどの様なシチュエーションでも安定した高レベルな見え味を発揮しています。

但し今回登場した東西ツァイスの顕微鏡接眼レンズに総じて言えるのは良像範囲が狭く、惑星が画面の端に移動するとかなりの倍率色収差が発生します。これはPKの「P」やKplの「pl」は顕微鏡のプラン(周辺像が補正された)対物レンズと組み合わせる事を前提にした接眼レンズである事を意味している事から望遠鏡の対物レンズとの相性が良くないのではと考えているのですが、視野の中央3割程度は良像ですのでそこを上手く使えば望遠鏡で使用しても問題はありません。これに対して12,5-Oは周辺まで微塵も像が劣化せず、望遠鏡用に作られたツァイスのオルソの名は伊達ではないと思いました。

<A+ランク寸評>
このクラスの日本製のアイピースも非常に良く見えるものの、アイピースを交換した時により細かい模様がぐっと見えてくる感じがあまり得られず、そこがSランクアイピースとの評価の分かれ目になっています。それでもこのクラスはどれも見蕩れる程の見え味で、海外での評価も高いニコンO、ペンタOは勿論、プアマンズZAOとも呼ばれていた笠井のHC-Or(Baader Genuine Ortho、University Optics HD Ortho同等品)、そしてマニアの一部で評価の高いAPも負けていません。顕微鏡接眼レンズであるLeica20x/12も一目見て優秀と判る見え味で、55度の見掛け視界を持ち、このクラス以上で最も広角である事から個人的に経緯台での観望では現在最も出番が多いアイピースかも知れません。

<Aランク寸評>
このクラスもとても良く見えるアイピース揃いで、A+ランクとの違いは僅かですが強いて違いを挙げるとすると惑星を立体的に見せる性能、表現力に僅かに差があるように感じています。解像度の面ではA+ランクと殆ど違いは無く、日本製のMeade SPやタカハシのMC Or、LE、そして谷Orはバランスの良い見え味で自分の中ではアッベ/プローセル/アストロプランのそれぞれの設計に対するリファレンス的な(評価基準となる)存在となっています。五藤MHもハイゲンスながら高レベルな見え味を発揮し、やや覗き難いなど扱いにピーキーな部分もありますがお気に入りです。

ピーキーと言えば自作のDollondで見掛け視界が狭すぎて経緯台では使う気になれませんが、合成Fを30程度にするなど条件を整えてあげれば1群2枚のポテンシャルを感じさせる見え味です。逆に顕微鏡接眼レンズのUW20xは今回見比べたアイピースの中でも圧倒的な見掛け視界の広さを誇り、それでいて見え味も優秀ですので他のアイピースでは真似ができない、この唯一性は高く評価したいところです。PK20x(8)は他のツァイス接眼レンズより低めの評価ですが、これは迷光処理があまり良くない部分で減点した結果で、像質から言えばA+の実力はあると思います。

<Bランク寸評>
このクラスも見え味には何の問題もありません。何となく中華アイピースが下に来てしまった感じになりましたが、低廉なアイピースであるOmni PLやGSOも決して性能が低い訳ではありません。LongPerng(Sterling) PLは望遠鏡アイピースの中では55度と広い見掛け視界が強みでしたが、同程度の見掛け視界を持つ顕微鏡接眼レンズが加わった事で個性がやや失われてしまった感があります。但しSterling PLは丁寧なマルチコートが施されていますので、迷光処理の点ではこれらより優れています。顕微鏡接眼レンズのE20x、G20xに関しては周辺の歪曲の少なさは特筆するものがありますが、迷光が目に付く点がマイナスポイントとなっており、惑星観望より別の使い方が向いているかも知れません。エドモンドのRKEも全然悪くは無いですが、可もなく不可もなくと言った見え味で、個性に乏しい印象です。

タカハシのNP-12は拡大撮影用のアイピースで、ペンタXPのタカハシ版とも言えるアイピースで眼視観望にも使えるとの謳い文句でしたので手に入れてみましたが、思ったよりぱっとしない印象でした。ただ双眼用に揃えた2本の焦点位置が微妙に違っていた可能性があり、ピントが今一つ合わない気がしたのはこのせいかも知れません。セレストロンのズームアイピースはクラシックアイピースでは無いですので本来ここに並ぶ資格がありませんが、たまたま手元にあったので12mmでの見え味をチェックした次第ですが、安価なズームアイピースと言う印象から受ける程見え味は悪く無く、普通に惑星観望に耐える見え味でした。

<総評>
今回の対決で感じたのは顕微鏡用接眼レンズの予想以上の健闘です。どこかの業者の様に顕微鏡用と望遠鏡用ではあまりに性能が違うなどと言うつもりはありませんが、ユニークな性能、設計を持つ接眼レンズが多いのは確かです。使用感に関しては顕微鏡用接眼レンズだからと言って特に特別な準備や覚悟が必要な訳ではなく、バレル径さえ工作すれば後は望遠鏡用アイピースと同じ様に使えます。問題は主に中古でしか手に入らない点ですが、望遠鏡用アイピースの様にプレミアが付いて高騰する様な事が余り無いですので、性能の割に安価に入手できるのも魅力的な部分かも知れません。

一方望遠鏡用アイピースに目を向けると前回と順位に大きな変動は無く、今回加わった個人的に見比べてみたいと思っていた往年の日本製アイピースも総じて優秀な見え味でしたが、名立たる望遠鏡メーカーがクラシックアイピースの開発に鎬を削る時代はとうの昔に過ぎ去って、スマイスレンズを含んだハイアイや広角アイピースが市場を席巻する今となってはこの順位をひっくり返すような新製品が今後出る可能性は薄い様に思われ、その点では個人的な収集も一段落付くだろうと思われますが、少し寂しい気もします。

その一方でクラシックアイピースの需要が完全に無くなる事も考え難いですので、その点で今後注目すべきは低廉な中華アイピースかも知れません。これらの中華アイピースにはプローセルを筆頭にしたクラシックアイピースの現行品が数多く出回っており、その性能も決して侮れず、中には上位陣を脅かす性能を持つものも存在するかも知れません。いわば宝探しの感覚で優れたアイピースを見つける楽しみがありますので、個人的にも面白そうなものがあれば今後も取り上げていければと思っています。

APM UF30mm(+マスヤマ32mmとの比較編) [天文>機材>アイピース]

ミニボーグ50-BINOの低倍率用アイピースとして焦点距離30mm前後の広角アイピースが欲しくなり、最終的にチョイスしたのがAPMのフラットフィールド性能を売りにしたこのアイピースでした。

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当初真っ先に候補に挙がったのが大井光機のMasuyama32mm/85°で、2インチのほぼ最大視野を確保できるこのアイピースであれば、ミニボーグ50との組み合わせであれば口径50mmで7.8倍、実視界10.88度の広視界が得られるのが何より魅力的でしたが、やはり懸念したのは周辺像の崩れ具合でした。

一方UFシリーズはUF15mmを使っていて周辺像の崩れの少なさは評価できるものがありましたので、その延長上のUF30mmに関しても期待が出来る一方、見掛け視界が70度となっているのでミニボーグ50との組み合わせでは8.3倍で実視界が8.4度となり、マスヤマ32mmよりかなり狭くなります。

ただここで気になったのがAPMのHPに掲載されている、UF30mmのスペック表です。

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これを見ると見掛け視界(Field of view)が75度となっており、何故この様な本体表記との食い違いが生じているのか分かりませんが、もし本当は75度で周辺まで良像であれば、良像範囲の絶対的な広さにおいてはマスヤマを凌駕する可能性も出てきます。

どちらにすべきかあれこれ考えましたが、周辺像の崩れ具合がどの程度生じるのか、またその生じた崩れに対して自分的にどの程度許容できるのか、これに関しては実際に覗いてみない事にはいくらスペックを眺めていても分かる事はありませんので、悩んだ挙句両方手に入れてしまったのでした。

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まず気になっていたUFの見掛け視界に関してはXWを一回り上回る程度で72、3度と言ったところでしょうか。ここで顕微鏡用接眼レンズの視野数から見掛け視界を算出する式を用いて、視野数=視野環径ですので、上のUFのスペック表から視野環径(Field stop)が38mmとなっている事から、38/30×180/π=72.57度と算出されますので、見た目の広さと合致しており、75度は無かったとしても70度はやはり超えていた事で少し得をした気分になれました。

コーティング色がマスヤマが赤茶系、UFが黄緑系で共にアイレンズは大きめですがブラックアウトするような事も無くどちらも覗き易い印象です。特にUFのアイカップの長さが絶妙で効果的に外からの迷光を遮断してくれます。

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バレル側から覗いてみるとUFの方がレンズが詰まっている事が分かり、重さは実測でマスヤマが437gで、UFが542gとかなりずっしりとした重さがあります。

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肝心の見え味についての比較ですが、ミニボーグ50(250mmF5)との組み合わせではマスヤマの良像範囲は6割、UFの方は9割と言ったところでやはり周辺像の補正に関してはUFが圧倒的に優れています。しかし良像範囲内の見え味を比べるとレンズ枚数が5枚のマスヤマは9枚のUFと比べるとやはりヌケが良く、微光星の見え方に若干の差があります。また昼の景色を見比べた場合はUFはやや黄色掛かっており、マスヤマはすっきりした見え味で透明感に優れた印象です。

サイドバイサイドで見比べる程お互いの長所短所がはっきりと認識できて、これはどちらが優秀と言うよりは設計コンセプトの違い、好みの問題の様に思えてきました。

UFは多少像質を落としてでも(と言っても声高に言う程悪い訳ではありません)とにかく周辺像の補正を優先させた設計で、他に周辺像が優れている30mmクラスの広角アイピースとなるとペンタXW30やナグラー31mmなどがありますが、これらが双眼ではとても使えない様な太い鏡胴となってしまうのに対して、双眼で使える太さの制約の中で有効最低倍率に近くなるF5対物との組み合わせにおいても周辺像を崩さずに、できるだけ広い視界を確保する事を目標にした設計のように思われ、72~73度と言う中途半端な見掛け視界もそのぎりぎりを攻めた結果だと考えれば合点がいく気がします。

個人的にはその割り切った姿勢に好感が持てて、双眼で使う前提だった事もあって今回はマスヤマではなくUFを選んだ次第ですが、よりFの長い対物との組み合わせで周辺像の崩れが少なくなるのであれば、恐らく淡い星雲などの検出ではより優れると思われるマスヤマを選択する可能性も大いにありました。ただ実際にミニボーグ50双眼でUFを覗いてみるとやはり個人的には周辺像の崩れが少ない方が星見に集中できて好みです。

UF30mmと近いスペックで似たようなコンセプトを持つアイピースとしてバーダーハイペリオンアスフェリック31mmがあった事を後から思い出しましたが、機会があればこれも見比べてみたいものです。

Nikon E20x(顕微鏡用接眼レンズ、12.5mm相当) [天文>機材>アイピース]

以前顕微鏡用接眼レンズ(UW20x)のインプレを初めて書きましたが、実は最初に手に入れた顕微鏡用接眼レンズはこっちになります。スペックは「20x/12」で例の計算式では焦点距離12.5mm、見掛け視界は約55度となり、UW20x程ではありませんが、手持ちの12mmクラシックアイピースの中ではかなり広い方です。

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見え味に関しては双眼装置で惑星を見る分には普通(に良く見える)と言ったところですが、特筆すべきは周辺像の歪曲の少なさで、同じ見掛け視界の広さを持つSterlingプローセルの場合、木星が視野の周辺に向かうにつれて形状が楕円に多少歪むのに対し、このE20xに関しては中心像と変わらない見え味、形状のまま視野の外にすっと消えて行く感じで、最周辺でも歪みを感じさせない性能の高さは望遠鏡用アイピースとは一味違うと感じさせるものがありました。

一方少し難ありと感じたのは迷光の出方で、木星を見ると周囲に円形のハロ(ゴースト?)と木星中心から四方八方に伸びる光条が重なって見えるのがかなり目障りに感じ、この迷光が木星表面の模様のコントラストを下げている様に思えましたが、後々この個体をよく見るとアイレンズに微細なキズが多数見受けられ、これが迷光の原因となっている可能性は低くないかも知れません。ただ仮にキズの影響が特に無かったとしても、この程度の迷光を発する望遠鏡用アイピースも無くはないです。

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これまでの自分の考えではクラシックアイピースで見掛け視界を広く取ろうとすると周辺像に何かしら無理が生じ、もしプローセル系ならアイレリーフも短くなる印象でしたので、このアイピースの周辺像の良さと覗き易さはどこから来ているのだろうかと気になり、LE12.5mmのインプレでも書いたように、顕微鏡の光学用語にプランと言う単語がよく見受けられるので、3群5枚のアストロプランに近い設計(この場合ただのプラン?)か、もしくはこの接眼レンズも90年代頃の製品らしく、ニコンOを最後にニコンのアイピースが天文ガイドから一時消え去った前後の時期でしたので、ニコンOの設計を引き継ぐプローセルの更なる改良型かも知れないと推察し、中身を見てみたい欲望に駆られ、キズも見受けられる個体だった事から思い切って分解する事にしました。

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ここで文字通り蓋を開けてびっくり、プローセルでもアストロプランでも無い、2群3枚のケーニヒに近い設計で、ケーニヒは一般的に視野レンズは凹面なのに対し、この接眼レンズは僅かに凸面となっており、前群の2枚貼り合わせレンズの内部もよく分からないので、ケーニヒに準ずる設計かどうかも定かではありません。

前群後群
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見掛け視界が広くて周辺像も良い設計となるとレンズ枚数が多くなるだろうと考えていた(実際見掛け視界の広いケーニヒの改良型はアイレンズを1枚増やした3群4枚の設計が多いと思われます)自分の固定観念が打ち砕かれた思いで、2群3枚でこれだけの性能を実現するニコンすごくない?と良い意味で期待を裏切ってくれた、自分には分からない事がまだまだまだまだ多いと実感させられた結果となりました。

惑星しか見ていないので分かりませんが、2群3枚となるとヌケの良さも期待でき、仮に望遠鏡用アイピースに迷光処理の点で一歩劣っていたとしても、惑星の様な光量の多い天体でなければこのデメリットも目立つ事も無く、この見掛け視界の広さと周辺像の良さを活かしたDSO観望などで威力を発揮する接眼レンズかも知れないと感じました。

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ニコン製で日本製ながら中古相場はそれ程高くなく(これが分解に踏み切った最大の理由)、比較的手の届き易い接眼レンズだと思いますので顕微鏡用接眼レンズがどんなものか興味ある方にはオススメできる一本かも知れません。

タカハシ LE12.5mm [天文>機材>アイピース]

LEシリーズはLE50mmが1989年に発売されて以来、国産アイピースの中でも異例のロングセラー製品となっています。焦点距離ラインナップは5mm/7.5mm/10mm/12.5mm/18mm/24mm/30mm/40mm/50mm、これに超短焦点のHi-LE2.8mm、Hi-LE3.6mmが後に加わり豊富なラインナップとなっています。

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LEとはロングアイレリーフの意味らしく、その為か短焦点のLE5mm、7.5mmはスマイスレンズ入りの設計となっています。これより長焦点は3群5枚の所謂アストロプラン、もしくはその改良型と言える設計かも知れません。

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国産のアストロプラン設計のアイピースと言えば笠井APが個人的に馴染みでしたが、焦点距離ラインナップは5mm/7.5mm/10mm/12.5mm/15mm/20mmとなっており、LEと比較すると5mm、7.5mmはスマイスレンズは内蔵されておらず、LEには15mmや20mmの焦点距離は存在せず、アイレリーフや見掛け視界、アイレンズの大きさも異なる(LE:約12mm、AP:約13mm)ので別の設計と自分は見ています。

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ところで最近顕微鏡用接眼レンズに手を出した事で顕微鏡の仕組みについて色々調べたところ、Plan/プランと呼ばれる単語がよく目に付き、これはドイツ語で「平面」の意味が語源とされ、顕微鏡光学系においては像面湾曲や非点収差などの周辺像が補正された設計を指すらしく、例えば顕微鏡の対物レンズにはプランアクロマート、プランアポクロマートと言った種類が存在します。

よって天体向けのアストロプランやプラノキュラー(Planokular)と言ったアイピースは天文向けのPlan接眼レンズ、平坦なアイピースと言った意味合いが込められているのではと推察します。

3群5枚とアッベオルソやプローセルに比べてレンズが1枚多いアストロプラン設計の長所が個人的に今一つ分からないところがありましたが、アッベオルソは見掛け視界45度未満のものが多いのに比べると見掛け視界が多少広く、同様の見掛け視界を持つプローセルと比較した場合には周辺像の補正に優れており、更にアイレリーフも長いとするならば、アストロプラン設計の特徴、長所が見えてくる気がします。

95年頃の天文ガイドを見るとLEシリーズの広告に、

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と書かれており、タカハシの最新のカタログ(2020年度)のLEシリーズの説明にも「52°の視野の周辺まで星像が崩れにくいスタンダードなアイピース」と記されています。

室内環境で以下のアイピース、

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アイピース名アイレリーフ見掛け視界
タカハシ LE12.5mm 9mm 52度
笠井 AP12.5mm 10.6mm 50度
Meade SP12.4mm 8mm 52度

APは同じ日本製のアストロプラン設計と言う事と、SPは同じ見掛け視界を持つ日本製プローセルと言う事で周辺像に着目して見比べたところ(鏡筒はブランカ70EDT)、LEとAPの良像範囲は9割程度に対してSPは8割程度で歪曲も比較的大きい印象で、まずまず推測通りと言ったところでしょうか。

中心像に関しては良く出来たアイピースの標準と言ったところですが、扱い易く性能のバランスの取れたシリーズで、自分もアイピースを見比べする時に良し悪しの基準にする事も多いアイピースです。

Nikon UW20x(顕微鏡用接眼レンズ、12.5mm相当) [天文>機材>アイピース]

顕微鏡用の接眼レンズを望遠鏡用として流用すると意外に性能が良いと言う話はこれまで耳にした事があったもののこれまで特に食指が動く事は無かったのですが、20倍の顕微鏡用アイピースが焦点距離が12.5mm相当と聞いて俄然興味が湧いて少し調べる事にしました。

顕微鏡用接眼レンズには本体に例えば「10x/22」と言ったスペックが表記されている事が多く、左側の数値は倍率を示し、右側の数値は視野の広さを示す視野数と呼ばれる性能値が書かれています。

これは望遠鏡用のアイピースとして考えた場合何を意味するかと言えば、まず顕微鏡の世界では明視距離(物体をはっきりと見易い距離)を250mmとする決まり事があり、よって物体を10倍の倍率で見る接眼レンズの焦点距離は25mmとなり、20倍であれば12.5mm、30倍なら約8.3mmと言った具合に250mmを倍率で割る事で焦点距離に変換できます。

また視野数に関しては、これはアイピースの視野絞りの直径(視野環径)をmmで表した数値で、以下の数式、

[実視界]=[視野環径] ÷ [望遠鏡の焦点距離] × 180/π ・・・①

[実視界]=[見掛け視界] ÷ [倍率]
[実視界]=[見掛け視界] ÷ [望遠鏡の焦点距離]/[アイピースの焦点距離] ・・・②

この2式から、

[見掛け視界]=[視野環径] ÷ [アイピースの焦点距離] × 180/π

と導けますので、視野数、即ち視野環径が22であれば倍率10倍(焦点距離=25mm)の場合、見掛け視界は約50.42度、大体見掛け視界50度のアイピースと算出できます。

今回顕微鏡接眼レンズを選定するに当たり、ebayで出品されている数多の中古品から絞り込んだ条件は、冒頭に書いた通り倍率は20倍のもので、メーカーは有名どころでZeiss、ニコン、オリンパス辺りから選びたいと考え、当初Zeissの顕微鏡接眼レンズを調べましたが殆どが10倍のもので、20倍の接眼レンズを殆ど見つける事ができず断念、次にニコンを調べてみると幾つか候補が見つかりましたが、20倍の接眼レンズはバローが内蔵されていると思しきものや、アイレンズが12.5mmにしては不自然に大きいものが目立ち、こうした接眼レンズはハイアイや広角を目指した現代風の設計の可能性があり、自分が求めるのは惑星観望用にレンズ枚数が少ない、クラシックな設計のアイピースでしたので、商品画像を吟味してバローを内蔵して無さそうなもの、アイレンズの大きさが12mmのクラシックアイピースとして妥当なもの、そして日本製と思われるものに限定して物色し、その中で特に面白そうに感じたのが今回の接眼レンズでした。

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顕微鏡用接眼レンズは望遠鏡用アイピースに比べるとネット上での情報開示に乏しく、この接眼レンズがどのような設計かなど詳しい情報は得られませんでしたが、販売年代は1990年代とされている情報をかろうじて見つける事ができました。この接眼レンズのスペック表記は「20x/15」となっており、先述の式から算出すると焦点距離が12.5mmで見掛け視界が約69度となります。もしこの接眼レンズの設計がクラシックなものであった場合、見掛け視界69度となると望遠鏡用アイピースでもあまり類を見ないかなり広角な部類に入り、このクラスの焦点距離でここまでの広角を実現しているクラシックアイピース(の改良型)となると他にはユニトロンのワイドスキャン笠井のEWV、復刻版Masuyama位しか思い浮かばず、こんな接眼レンズをニコンが作っていて、星見にも使えると考えるだけでテンションが上がります。

但し、顕微鏡のアイピースは望遠鏡アイピースとはバレルサイズが違い、そのままでは使う事ができません。顕微鏡アイピースのバレル径は30mmと23.2mmが規格となっており、望遠鏡のバレルサイズ(31.7mmや24.5mm)より一回り小さいですのでバレルにテープなどを貼ってサイズを合わせる事で流用するのが一般的なようです(流用そのものが一般的かどうかはさておき)。今回は植毛紙を試しに貼ってみたところまずまず具合が良かったのでそのままこれを採用しました。

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実物を手に入れてまず見掛け視界の広さをXWと比べたところ70度のXWより僅かに小さく、計算通り約69度程度ありそうです。またアイレンズを見ると紫色のマゼンダコートの様なコーティングが施されていますが、色合いに深みを感じるのでマルチコートなのかシングルコートなのか判断が悩ましいところです。一方バレル側から覗くとやはりバローは入っていない模様で、それ程長くは無いアイレリーフや全体のサイズ感からシンプルな設計、クラシックアイピースに類するものと推測されますが、見た目よりかなりずしりとした重さがあり、より凝った設計の可能性も十分考えられます。

まずF6屈折(ブランカ70EDT)を使用して室内環境で周辺像のチェックしたところ良像範囲は8割以上あり、同じ環境でEWV-16mmをチェックするとこちらは良像範囲は6割程度と言ったところで、良像範囲の絶対的な大きさで比べるとUWの方が広い印象です。

次に双眼装置で惑星を見た時の印象は、この時は自分的に望遠鏡用アイピースとして標準的な見え味(所謂「普通に良く見える」)と評価するタカハシLE12.5mmやGSO PL-12mmなどと比較して、中心像に関してはそれ程違いは感じませんでしたが、やはり視野の広さは圧倒的で、他の12mmアイピースでは木星土星を200倍以上で観望すると衛星が少なからず視野からはみ出るのに対して、この接眼レンズであれば多くの衛星を捉えられるのでより宇宙を感じさせてくれる、最近惑星は標準視界で覗く事に慣れていた自分的に、久々に広角の良さを思い出させてくれた印象深い体験となりました。

また望遠鏡用アイピースと見比べていて感じたのは顕微鏡用接眼レンズと言っても使用感は殆ど変わらないと言う点で、12mmのクラシックアイピースとしては比類ない広角を実現しつつ、中心から周辺まで良像で広角アイピースとしてバランスが取れたある意味ニコンらしい見え味で、この様なユニークで質の高い製品を手に入れる事が出来ただけでも顕微鏡用接眼レンズに目を向けた甲斐があったと思いました。

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因みにこの接眼レンズの製造年代が恐らく90年代と言う事で適当に97年の天文ガイドを見ると、ビクセンはLVやOr、K、H、タカハシはLEにMC Or、ペンタックスはXLやXP、SMCオルソ、Meadeは4000SPなどを販売していた時代で、ニコンの名前は既にここにはありませんが、やはりハイアイのアイピースが流行る前の日本製のクラシックアイピースが市場を席巻していた頃と言えるかも知れません。

この頃のクラシックアイピースは今でも銘アイピースとして評価の高いものも多く、こうしたアイピースを好む自分がこの頃のニコンのクラシックアイピースを覗いてみたいと考えた場合に、顕微鏡用接眼レンズに手を出す事になったのは必然だったのかなと思わなくもありません。

Long Perng Plossl/Sterling Plossl 12.5mm [天文>機材>アイピース]

台湾Long Perng社のプローセルですが海外ではSterling Plosslの名称で広まっており、こちらでもSterlingPLもしくはスターリングプローセルと呼称します。

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このアイピースの特徴は基本設計はプローセルでありながら55度と言う広い見掛け視界を実現しており、国内ではスタークラウドがHCW(ハイクオリティワイド)プローセルの名称で販売し、40層のマルチコーティングが施され、98%の透過率を持つとされ、Long Perngが製造しているだけあってビルド品質も非常に高く、安価な中華プローセルが市場に多く出回る昨今、現代の技術で本気で改良を目指した中華プローセルと言えるのかも知れません。(安価な中華プローセルの実力は決して侮れませんが)それでいてやはりリーズナブルでしたので海外でも評価の高いアイピースです。

実物を見るとアイレンズ、視野レンズ共に凹レンズの使用が認められ、テレビューのPLよりは曲率が大きく、北軽のRPLよりは恐らく少ない、見掛け視界やアイレリーフなどのスペック的にも両者の中間的な存在と言えるかも知れません。

双眼装置を使って惑星を見た印象ですが、普通に良く見える、と言ったところで逆に言えば手持ちの数多の12mmアイピースの中では、中心像に関しては特筆する程の特徴は見出せなかったのが正直なところです。勿論見掛け視界の広さはこのアイピースならではですが、木星を見ると視野周辺8割位から形状が楕円に変形するので歪曲がそこそこあるのかなと言う印象です。また恐らくこの広角の代償として他の12mmクラシックアイピースと比べるとアイレリーフが短く、人によっては多少の覗き難さを感じるかも知れません。

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ただ2群4枚の少ないレンズ構成で徹底したマルチコートが施されている事もあって、コントラストやヌケは良いように感じます。この辺りは限界的に暗い2重星の検出などで有利に働くかも知れません。また室内環境でチェックする限りは周辺の歪曲は多少ありますが像面湾曲は少なく、周辺まで星を点に見せる性能は他のアイピースより高いように思えます。よって惑星よりもDSO向けのアイピースと言える知れませんが、この広い見掛け視界を活かした月面観望などでも威力を発揮してくれる、ある意味オールマイティに使える良質なアイピースと思いました。

自作 Dollond 12mm(Version.K) [天文>機材>アイピース]

かつてクチュールボール(Couture Ball)なる光学ガラスのボール玉をレンズにしたアイピースが存在し、見掛け視界は10~15度程度と非常に狭いながらも想像以上によく見えたらしく、やはり構成するレンズ枚数が少ないのはアイピースの設計においては大きな強みと感じ、この様な極限的にシンプルなアイピースは他に無いものかと古典アイピースのデザインをネットで眺めていて目に付いたのがこのDollondと言う設計でした。因みにこの方(John Dollond [1706-1761])はラムスデンの義理の父との事です。

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この構成図を見る限り平凸の色消しダブレットのみと言うデザインですので、単純にプローセルを分解して前群のみ利用すれば実現できそうで、これによりレンズ透過による光量損失もプローセルの半分となり、臨界F値はf/15、見掛け視界は20度となっていますが、双眼装置使用(バロー併用)による惑星観望に限定すればこの条件下でも支障なく使用が可能ですので、1群2枚と言う極限に近いレンズ構成を活かした究極の双眼用プラネタリーアイピースができるでは?と期待が高まり、自作できないか考える事になりました。

まずは手持ちのプローセル(セレストロン Omni PL12mm)を分解してみましたがシンメトリカルな設計となっており、アイレンズも視野レンズも見たところ平面です。これが設計を改良したプローセルの場合、曲率を持たせている場合がありますので、今回の目的においては逆にこの様な安価なプローセルを使用した方が良いかも知れません。またこの構成から後群を取り除くと焦点距離は長くなりますので、12mmのDollondを作ろうとなるとより短焦点のプローセルからレンズを調達する必要があります。

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そこで何mmのプローセルが必要かを考えた場合に、シンメトリカルな平凸レンズ2枚をほぼ接する形で12mmの焦点距離を出しているのなら半分の6mmのプローセルを用意すれば良さそうに感じ、中古で入手が容易なところでケンコーのPL6.3mmを入手、後群を取り除き、双眼装置でOmni PL12mmと並べて見比べたところ計算通り(計算など微塵もしていませんが;)ほぼ同倍率となっており、計画実現の可能性が高くなった事から後群のレンズを抜いた事で生じる隙間を埋める為のパイプ状のスペーサーをミスミで調達する事で、割とあっさりとDollond 12mmの自作が完成しました。

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問題の見え味については木星土星をFC-100DLTSA-120ブランカ150SEDなどで覗いてみましたが、第一印象がやはり見掛け視界の狭さで、分かってはいましたが覗いていてかなり窮屈に感じます。それでも双眼装置にBS3xバロー(約3.5x)を組み合わせていますので良像範囲は7~8割程度はあり、300倍でも木星の視直径以上は十分にありますので表面模様の観察に支障はそれ程ありません。解像度は狙い通り良好でよく出来たアイピースとして及第点(Aランク)をあげられる見え味ですが、150SEDの様な光量の多く得られる鏡筒で木星を見るとかなりのフレアが発生して表面模様のコントラストを大きく下げてしまいます。自作する上で迷光対策の類は何もしていないので、その辺りを工夫すればもっと良く見えるアイピースとなるかも知れません。

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他のアイピースより特段優れているかは現時点では分かりませんが、使用条件に上手く合わせれば期待に応える見え味を発揮してくれる事が分かり、古典アイピースの侮れない実力を再認識した次第です。

アイピース室内チェック環境構築 [天文>機材>アイピース]

先日双眼装置のバローの拡大率を算出する為に室内の窓ガラスに方眼紙を貼り付けて計測していましたが、思ったよりも方眼紙の表面の詳細が見えた事から室内でアイピースの見え味の比較が出来ないだろうかと考え始めたそんな折、ふと視界を方眼紙から壁に向きを変えて見たところ顕微鏡で見るような表面の詳細が見えて、歪曲収差を見るには方眼紙が向いていますが、解像度や明るさ、ヌケやコントラストと言った性能を量るにはこっちの方が適しているのでは?と感じて試験的に見比べを始めてみました。

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後日双眼装置のバローの取り付け方を変更した事から再度拡大率を測ろうと機材をセットし、夜で室内照明だけでは暗かったのでライトを使って方眼紙付近を照らして測っていましたが、例によって視界を方眼紙からその横のすりガラスにずらしてみたところそこには驚きの光景が。

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何とライトの光を反射した無数の点光源が視野一杯に広がっており、さながら満天の星空のようで、更に明るい光点には綺麗なジフラクションリングまで見えています。室内照明を落として、ライトの光量も落とす事で更に夜空に近い雰囲気が得られ、点光源以外の部分でも淡い濃淡のガラスの表面模様が星雲の見え方に通じるところもあり、これなら室内で見え味を比べる環境としては理想的、とまでは行かなくとも実用レベルに達しているではと思わなくもありませんでした。

自分は基本的に望遠鏡の性能を見るのに昼の景色で判断するのは当てにならないと考えており、景色で望遠鏡を見比べてAよりBが良いと判断しても、星で見ると見え味が逆転する事が当たり前に起こるので、見比べは実際の天体で判断する事に拘っているのですが、今回の環境であればある程度参考になる性能比較が可能になるのではないかと期待しています。

何より天候やシーイングに左右されないでじっくり見え味を確認できるのは本当に楽で、これに慣れると星で見比べする気にならなくなるかも知れませんwそれは冗談として、今後は星だけでなくこちらの環境での見え味もインプレする上での参考としてみようかと考えています。

Celestron Omni 12mm Plossl [天文>機材>アイピース]

12mmクラシックアイピース対決を実施するにあたり、欧米の評価の高いアイピースに加えてごく標準的な、中華製の低廉なアイピースも比較対象として加えたいと考えて、以前太陽望遠鏡用に購入したセレストロンのOmniプローセルの印象が良かったので、この12mmを手に入れてみました。

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外観の造りはやはり若干荒っぽく、ゴム見口はヘナヘナでその内千切れそうな予感がしたので(個人的にゴム見口が好きではない事もあって)取り払ってしまいましたが、鏡胴がシルバーのデザインが中々カッコイイ様に思えます。

上述の対決では見え味はB+ランクとしましたが、当初の予想通りとても良く見えるアイピースでこれはAランクでも良いかなと考えた程です。迷光処理は若干甘いかも知れませんが、月惑星を見る限り中心解像力においては高級アイピースとの差異は殆ど感じられません(自分の眼では)。

とにかく手荒に使っても惜しくない安さで、扱いに神経質にならなくて良いので使っていて気が楽で、それでいて信頼の置ける性能を持っているので、最近観望会に行く時は12mmは専らこのアイピースしか使っていません。

アイピースに特段の拘りが無ければ、安くて性能も必要十分なアイピースとしてオススメです。


Nikon O-12.5 [天文>機材>アイピース]

12mmクラシックアイピース見比べ企画での参加アイピースとして、この往年の銘アイピースは外せませんでした。我が家で初めてのニコンのアイピースとなり、ツァイスサイズでありながら古さを感じさせないデザインにPentaxと並ぶニコンのセンスの良さを感じます。

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手に入れる前はこのアイピースの形式はプローセル系らしいと言う事しか知らなかったのですが、後に調べてみるとどんなプローセルかと言う事が少し分かってきました。twitterでこもロハスさんより見せて頂いた資料(地人書館『天体望遠鏡のすべて'87年版』)によればBrandonに似た非対称の改良プローセル設計(O-5のみ3群5枚のアストロプラン設計)となっており、abe1998さんのブログ(Zeiss_Telementor_World:https://abe1998.blog.fc2.com/)を読むと、かつてA.ケーニヒがプローセルの視野レンズ側を凸面にした改良プローセルの設計を考案し(ケーニヒが考案した多くのアイピース設計の一つとして)、これを採用したのがかの有名なフランスのClaveとの事で、これに対しアイレンズ側を凸面に設計したのが米国のBrandonであり、ニコンOはこれに対し視野レンズを凹面にした設計を採用しています。これを略図で表すと、

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設計 視野レンズ側  アイレンズ側 
 Konig/Clave凸面平面
 Brandon平面凸面
 Nikon凹面凸面
表:各プローセルの設計の違い

このような違いがあり、プローセルを元により優れたアイピースを作ろうと世界各地で模索されてきた経緯を知ると、後発のニコンがClaveやBrandonに対してどの程度勝負できるプローセルを作ったのか、見比べが一層楽しみになりました。因みにテレビューのプローセルはこれら3種とも違う、アイレンズ側を凹面とした(恐らくは視野レンズ側も)設計を採用していたり、北軽のRPLのような広角を実現した意欲的な設計のプローセルもあり、市場には多種多様なプローセルの亜種が出回っているのかも知れませんね。

ニコンのオルソ(以下ニコンOと呼称)のラインナップはO-5/O-7/O-9/O-12.5/O-18の種類が存在し、手持ちの天文ガイドで確認する限りでは、10cmEDや8cmEDではO-7、O-12.5、K-25が標準付属アイピースとなっており、O-12.5は比較的入手し易い方、なのかも知れませんが、これらは中古市場では既に定価の2~3倍のプレミアが付いています。

肝心の見え味に関してはやはりとても良く見える印象で、今回見比べた他の国産クラシックアイピースより頭一つ抜きん出ている気もします。特に印象的なのが視野のバックグラウンドの暗さで迷光処理が優秀なお陰か、土星の立体感や木星の表面模様などの表現力に優れたアイピースの印象を受けました。Brandonとの見比べでは当初はBrandonが上回っている印象でしたが、見比べる回数を重ねるごとにニコンOが追い上げている気がします。

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来年の惑星観望シーズンで更に見比べる予定ですが、30年前の製品ながら現在でも十分通用する優秀なアイピースである事は間違い無さそうです。

ACクローズアップレンズ自作アイピース(広角化編) [天文>機材>アイピース]

今回は例のACクローズアップレンズNo.17を使用した自作60mmアイピースにACクローズアップレンズNo.5、更にMCクローズアップレンズNEO No.4を足す事で、見掛け視界を60度程度に広角化させてみました。これにより焦点距離は45mm程度に短縮されています。

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構成は、

----<アイカップ部分>
・ノーブランド 55mm→37mmステップダウンリング
・ノーブランド 58mm→55mmステップダウンリング
・ノーブランド 58mm継手リング(メスーメス)
----<本体部分>
・ケンコー MCクローズアップレンズ NEO No.4 58mm
・ケンコー ACクローズアップレンズ No.5 58mm
・ノーブランド 58mm継手リング(オスーオス)
・ケンコー ACクローズアップレンズ No.17 58mm
・ノーブランド 58mm継手リング(メスーメス)
・BORG M57→M58AD【7407】
・BORG 50.8→M57/60AD【7425】

となり、これによりレンズ構成は6群7枚、重量は約414gと、見た目も普通の2インチ広角アイピースの風格が出てきました笑。

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広角化のきっかけとなったのはふと見掛けた古い天文ガイドの元祖マスヤマアイピースの広告で、マスヤマアイピースのラインナップの中で25mmのみ広角のモデルが存在していましたが、そのレンズ構成図を見たところではマスヤマアイピースの基本となる構成(アストロプラン設計)の手前に平凸レンズを一枚足しただけのように見えました。

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また以前12mmクラシックアイピース対決で使用したSVBONYのWA-12mmのレンズ構成も2群3枚のケーニヒの構成にやはり手前側に平凸レンズを足したような構成でしたので、これは標準視界のクラシックな構成のアイピースの手前に平凸レンズを足せばお手軽広角アイピースになるのでは?と考えて手元にあったACクローズアップレンズNo.9をNo.17にかざしてみたところ予想通り見掛け視界が70度程度に大きく広がり、これはいけるかも!?と期待に胸が膨らみます。

実際にブランカ70EDTでオリオン座周辺をPentax XL40と見比べてみたところまずまずの見え味でしたが、周辺像の崩れが大きかったのでNo.9では値が大き過ぎると判断、今度はAC No.5で試してみると見掛け視界は60度弱に下がったものの周辺像の崩れも少なく、これならもう少し広角にできるのでは?と欲が出て、更にMC No4を足してみたところ見掛け視界65度弱となり周辺像もまずまず、これによりアイレリーフも短縮し、ブラックアウトも殆ど発生しなくなり格段に覗き易くなったのでこの組み合わせで完成させる事にしました。

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また視野最周辺の星像の崩れが少し気になったのでほんの少し絞れないかと考え、2インチバレル部分を構成する50.8→M57/60AD【7425】の内側に48mmのフィルターネジが切ってある事を利用して、この内側から2インチフィルターの枠のみ取り付ける事で丁度良い絞り環となり、見掛け視界は60度程度に下がりましたが普通のアイピースと変わらない視野環がくっきりとした見え方となりました。

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出来上がったアイピースの性能を確かめようとミニボーグ60ED-BINOを使用し、XL40とサイドバイサイドで見比べたところ、周辺像はこちらのアイピースが上回ってましたが微光星の見え味で結構な差があり、やはりレンズを追加した事により透過率が下がってしまった可能性があるので素直に60mmアイピースとして使う方が無難だったかも知れません。しかしクローズアップレンズを適当に組み合わせたこのアイピースがPENTAXの高性能アイピースにまともに勝負ができる時点で既に驚きと言えましょう。

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後日ヌプカの観望会にこのアイピースを持参し、再び施設のPentax 150EDで覗かせてもらえましたが、導入されていたペルセ二重星団がかなり綺麗に見えました。鏡筒のFがかなり長い事もあって周辺の崩れは認められず、透過率が特に悪いようにも感じられませんでしたので、高性能アイピースとサイドバイサイドで見比べなければこれでも十分実用になるように思えました。

あわよくばXL40からこのアイピースに乗り換えられればと考えていましたが、そこまでは行かなかったとしても構成を組み替えるだけで60mm~40mmの間で焦点距離を可変できる非常にユニークなアイピースとして今後の活躍も見込めそうです。


国際光器 Fujiyama HD-OR12.5mm(起源考察編) [天文>機材>アイピース]

現行の貴重な国産アッベオルソです。かつて笠井HC-Orが販売終了後まもなく谷オルソも販売終了となり、国産アッベオルソの供給が途絶えたと思われた中で国際光器からこのHD-ORを始め、サイトロン、BORG、タカハシから一斉に似たような国産アッベオルソが発売されましたが、これらは全てマスヤマアイピースで有名な大井光機(http://www.ohi-optical.co.jp/)で製造されたOEM製品と思われます。海外での評判も上々の様子でプアマンズZAO(ツァイス・アッベ・オルソ)との呼び声も高く、個人的にはリーズナブルでゴム見口が無いアイピースが好みなのでこのHD-ORを手に入れてみました。

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HD-OR発売以前は国産のアッベオルソと言えば笠井のHC-Or、そして谷光学研究所の谷オルソが有名でしたが、このHD-ORがどっちの流れを汲むアイピースなのかずっと気になっていました。笠井HC-Orの焦点距離のラインナップは5mm/6mm/7mm/9mm/12mm/18mmとなっており、一方谷オルソのラインナップは4mm/5mm/6mm/7mm/9mm/12.5mm/18mm/25mmと2種類多く、HD-ORのラインナップは谷オルソのラインナップと同一だったので、当初HD-ORは谷オルソのマルチコート版では?と仮説を立てていました。

しかしtwitterのフォロワーのLambdaさんとこの件について情報交換している内に、笠井HC-Orと同じOEMと思われる海外アイピース、University OpticsのHDオルソシリーズ(見た目はほぼHC-Orと同一)に後から4mmと25mmが追加された情報が得られ、これで谷オルソとラインナップがほぼ一緒になった事から焦点距離からHD-ORのルーツを推測する根拠が薄れてしまいました。

ここで手元にあるHC-OrとHD-ORを見比べてみます。

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外観的には多少違いがあり、HD-ORの方がよりコンパクトで、想像以上に上質な造りです。スコープタウンのOrなどは値段の割に見え味が良いと評判ですが外観はやはり安っぽさが感じられるのに対し、HD-ORはHC-Orと同様に品質面でも手を抜いていないように感じられ好感が持てました。何よりバレルから脱落防止溝を廃した判断は賞賛に値します(個人的に)。

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アイレンズの大きさに着目して見比べるとほぼ一緒に見えます。ここでアイレンズを電灯にかざした反射像を見比べてみます。

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こちらがHC-Or、

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こちらがHD-ORで画像の通りコーティングの色こそ異なりますが、5つ見える電灯の反射像の出方がほぼ一緒でした。

HC-Orは笠井の商品説明曰く、「3枚+1枚のクラシックなアッベオルソ設計を忠実に踏襲し」となっており、一方谷オルソはスコープタウンの解説(https://scopetown.co.jp/SHOP/696464/list.html)によれば「正確にはアッベオルソとは相違あります」「アッベの視野レンズの1面について、凸面のところが平面になっています。」となっていますので、この説明を信じるならばHC-Orと谷オルソでは視野レンズの設計が大きく異なっており、HD-ORがもし谷オルソと同じ設計であれば反射像の内一つはHC-Orとは大きく異なるはずと予想していましたが、この結果からHC-OrはHD-ORとほぼ同様の設計で、その光学設計や製造は大井光機が担い、一方谷オルソは光学設計は谷光学によるもので、上記のリンクに書かれているように大井光機からレンズ供給を受けた上で手作りで製造されていたのではないかと推測しています。

そう考えると谷光学が廃業したにも関わらず谷オルソの設計が何故か残ったと考えるよりは、大井光機がHC-Orをリニューアルし、各所への販売を再開させたと考える方がしっくりくる気がします。

海外の評判を見てもHC-Orの系列アイピース(Baader GenuineオルソやUniversity Optics HDオルソ)もかつてプアマンズZAOとの評価を受けており、HD-ORも同様の評価を受けているのもある意味当然なのかも知れません(下手すると光学設計は変わっていないので)。

なので当時HC-Orが販売終了となった時は残念に思ったものですが、実はその設計は今でも生きていたと考えると今度こそ国産アッベオルソが途絶えてしまわないように応援してあげたい気持ちになりました。とは言えHC-Orを既に所有している現状で、中身がほぼ一緒と考えると双眼での見比べ用として2本揃えるかどうか少々悩ましいところです。

勿論この推測は個人的な仮定に基づいたものですのでどこか間違えているかも知れず、業界の方が見たらそんな事も知らなかったの?の一言で済まされそうな内容かも知れませんが、一般人には知る由もない話ですので、自分の中でひとまず答えが導き出せたのはスッキリできて良かったです。



その後2本揃えました

12mmクラシックアイピース対決 その2 [天文>機材>アイピース]

以前は新品で手に入るアイピースにしか関心が無く、双眼装置での最高倍率用として個人的に使用する12mmのアイピースに関してはTMBモノセン、Brandon、笠井HC-Or、笠井APの4種をそれぞれ新品購入し、その見え味の違いを楽しんでいましたが、アイピースを中古で購入する事に徐々に抵抗が無くなった事で往年の銘アイピースの見え味に興味が湧いてしまい、その後手始めにニコンO-12.5を入手してしまいました。

それまで古アイピースには目を向けない事でアイピースの増殖を抑えてきた自分でしたが、中古で、あまつさえツァイスサイズのアイピースに手を出してしまったとなってはもう誰にも止める事はできません汗;あらゆる種類の焦点距離12mmのクラシックアイピースを見比べてみたくなり、集めたのが以下のアイピースです。

名称生産国形式バレル径
TMB スーパーモノセントリック12mm ドイツ モノセントリック 31.7mm
Brandon 12mm 米国 改良プローセル 31.7mm
笠井 HC-Or12mm 国産 アッベオルソ 31.7mm
笠井 AP12.5mm 国産 アストロプラン 31.7mm
Nikon O-12.5 国産 改良プローセル 24.5mm
Pentax O-12 国産 改良アッベ 24.5mm
スコープタウン Ke12mm 国産 ケルナー 24.5mm
SVBONY WA-12mm 中華 改良ケーニヒ 31.7mm
Celestron Omni PL12mm 中華 プローセル 31.7mm
ビクセン HM12.5mm 国産 ミッテンゼーハイゲンス 24.5mm

本当は現行品である、国際光器 Fujiyama HD-OR12.5mm、タカハシ LE12.5mmも比較対象に加えたかったのですが、前者は同じ国産アッベオルソのHC-Or12mm、後者は国産アストロプランのAP12.5mmと殆ど差異は無いだろうと判断し、今回は見送りました。

鏡筒は主にFC-100DLを用い、たまにブランカ70EDTも使いました。今回見比べは殆ど木星と土星で行い、主に中心像(見掛け視界で言えば30度程度の範囲)を使って見え味を評価していましたので周辺像の良し悪しは殆ど評価しておらず、また高拡大率バロー(+双眼装置)を使用した評価の為、短焦点鏡筒との相性なども評価の対象としていません。故に長焦点鏡筒における惑星の見え味をメインとした、中心像に着目したアイピースの評価とお考えください。評価項目は解像度、コントラスト、明るさ、ヌケなどの要素に加え、迷光処理や覗き易さも加味した総合力をアイピースの実力として以下にランク付けしてみました。

《S+ランク》
・TMB スーパーモノセントリック12mm
《Sランク》
・Brandon 12mm
《A+ランク》
・Nikon O-12.5
《Aランク》
・Pentax O-12
・笠井 AP12.5mm
・笠井 HC-Or12mm
《B+ランク》
・スコープタウン Ke12mm
・Celestron Omni PL12mm
・ビクセン HM12.5mm
《Bランク》
・SVBONY WA-12mm

A+とAの差は小さく、A+のアイピースの方がよく見えるような『気がする』程度の差しかありません。条件によっては評価が逆転してもおかしくない微妙な差で、木星の表面模様はペンタOが一番見えると感じた時もあれば、土星は笠井APが一番見えた気がする時もあり、見る対象によっても順位が入れ替わるかも知れません。この4種でコンスタントに良く見えると感じたのがニコンOでしたので現時点ではこの様なランク付けとなっています。

またAとBも惑星の表面模様の詳細を見る事ができる解像力と言う点では殆ど差はありません。Bランクでもここまで見えれば十分と思えるレベルで、ブラインドテストで判別できるか?と言われれば見分ける自信は正直ありません汗;ただ例えばWA-12mmであれば木星の両端に色が付く、Ke12mmはゴーストが発生する、Omni PL12mmやHM12.5mmは木星などを見ると光条や迷光が目に付くと言った点で差を付けています。

またBよりAの方が例えば土星を見た時の本体の立体感や環の前後が判別し易いなどの表現力の様な部分で差を感じた事がありその点を加味していますが、低廉な中華製アイピース代表として比較対象に加えたOmni PL12mmや、子供の頃に見たイメージの再確認の目的で入手したHM12.5mmが高価なアイピースと比べてもそれ程遜色無く見えたのはある意味ショックだったかも知れません笑

一方Sランクですが、A以下のアイピースから交換した時にはっとするような見え味の違いを感じ、模様の詳細に関してはAでもBでも見えているのですが、Sのアイピースはそれらが見易い、くっきりあるいは立体的に見えると言った差を感じます。個人的には欧米アイピースを特に信仰してはいないつもりですが、評価の高いアイピースにはやはりそれなりの理由があるのかなと得心するところです。TMBとBrandonの差は特に明るさで、どのアイピースと比べてもまず明るいと感じさせるTMBはやはり特異なアイピースなのかも知れません。

これらのアイピースを見比べて感じたのは、今時普通に手に入るアイピースで、標準視界のクラシックアイピースと言う範疇であれば、これは見えない、使えない、と言う製品は殆ど存在しないのでは?と言う印象で(製造不良による個体差はもしかするとあるかも知れませんが、設計的にはおかしいものは無さそう)、ある意味初心者の方でも安くて良く見えるアイピースが手に入る良い時代になったのかなと思うところです。自分は特に鋭眼の持ち主ではありませんので、逆に言えば今のアイピースは安価な製品でも普通の眼力の人であれば高価なアイピースと比較しても差が殆ど分からないレベルには仕上がっている、と今回のテストでは言えるのかも知れません。

一方BrandonやTMBが他より良く見える、と感じた事も事実で、高くても良いので一本最上級の惑星用クラシックアイピースが欲しいと考える方には、現行品で入手可能なBrandonを買えば間違いないだろうと個人的には思うところです。それでも価格に見合う見え味かどうか気になる方は丁度国際光器でBrandonのデモ品がレンタル(それも現時点ではタダ!)されていますのでこれを利用してみるのも良いかと思います。

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本来はこの見比べは評価の高い欧米、国産のアイピースが良く見える事を実感したくて始めたつもりだったのですが、安価なアイピースと見比べる程、思った(期待した?)程の差が無い事が分かり、今時の低廉なアイピースの基本性能の良さを逆に実感する結果となりました。とは言え良し悪しの感じ方も個人差があるかも知れませんし、何度も見比べている内に評価が変わる事もありますので、あくまでご参考までです。

スコープタウン Ke12mm [天文>機材>アイピース]

12mmアイピース見比べ企画でこの焦点距離のケルナーの見え味も確認してみたくなり、谷ケルナーなどの中古品の入手も考えましたが、スコープタウンのケルナーは25mmを持っていて非常に良く見える事と、現行品の国産ケルナーと言う部分で応援する気持ちも込めて、このアイピースを新品購入しました。

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スコープタウンの日本製アイピースは31.7mm径と24.5mm径のラインナップがありますが、24.5mm径にしか存在しない製品もあり、この中でもKe6mmと12mmは鏡胴のデザインが他のラインナップと毛色が違った為、手持ちのKe25mmと製造が別なのでは?と気になって聞いてみましたが、両者とも同じ大一光学製との事でした。

見え味は予想通り良く見えますが、木星などを見るとゴーストが発生が目に付きます。これはかつて持っていたINTESのモノセントリックの見え味を想い出しますが、これと同様に対象と点対称の位置にゴーストが発生するので対象を中心から外せば重なりを回避できます。この部分が気にならなければ解像度はとても高い見え味ですので、惑星観望用にも適していると思います。

ビクセン HM12.5mm [天文>機材>アイピース]

12mmクラシックアイピース見比べ企画で古いアイピースに手を出してしまった事で、どうせなら子供の頃覗いてたミッテンゼーハイゲンスの見え味も確かめてみたいと思い、数あるMHの中で特に高級でも低廉でもない、ごく標準的な出来と思われたビクセンのHMを中古で(千円以下)手に入れました。

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アイレンズが他の12mmアイピースに比べると極小で、個人的にアイレリーフの短い、覗き難いアイピースは好みでは無いのですが、バロー併用の双眼装置越しに見ているせいか、見掛け視界も広くない事もあり(公称40度)、目を密着させなくても普通に視野を見渡せて思った程見辛くありません。

さてさて当時の見え味は?と正直全く期待していなかったのですが、覗いた瞬間、は?・・・良く見えるじゃん!?と一見他のアイピースと遜色ない見え味に衝撃を受けましたw 色々見比べましたが、ペンタOで見たNEBの微細な輪郭は・・・見えるじゃん!笠井APで見たカッシーニのキレの良さは・・・見えるじゃん!これ、レンズ2枚なんだよね??とミッテンゼーハイゲンスのポテンシャルの高さに驚く結果となったのでした。

迷光処理が若干甘いのかフレアが対象によっては目に付きますが、解像度そのものは現行のアイピースに引けを取りません。他のアイピースより特別良く見える、とまでは行かないかも知れませんが、普通に高倍率観望に耐えます。

本当はちょっと懐かしの見え味を確認したらすぐに手放すつもりだったのですが、鏡筒が高性能ならちゃんと期待に応えられるアイピースと分かり、初心に帰る、原点に立ち返る意味でこれは持っておこうかと思い直しました。アイピースの見比べなどに疲れた時にこのアイピースを覗くと何故か癒される気がします笑 心の故郷アイピース(←?)と言ったところでしょうか。

AC-No17アイピース その2(アイカップ構築編) [天文>機材>アイピース]

ACクローズアップレンズNo.17を使った自作アイピースですが、アイポイントがシビアで実用が厳しいと感じていたのでレンズフード等を利用したアイカップを構築する事により、更に怪しいアイピースへと進化しました笑。

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構成は、

----<アイカップ部分>
・Neewer 43mm→37mmステップダウンリング
・Neewer 52mm→43mmステップダウンリング
・Neewer 55mm→52mmステップダウンリング
・Neewer 62mm→55mmステップダウンリング
・Kenko LMH58-62 BK(レンズメタルフード)
----<本体部分>
・ケンコー ACクローズアップレンズ No.17
・ノーブランド 継手リングφ58mm径 (メスーメス)
・BORG M57→M58AD【7407】
・BORG M57/60延長筒S【7602】
・BORG 50.8→M57/60AD【7425】

となりました。重量は約350gです。

アイカップはステップダウンリングを重ねる事で高さの調整と覗き口のセンタリング誘導を実現しています。

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これでかなりブラックアウトの発生も収まって覗き易くなったのですが、ベランダ観望での確認では今一つ有効性が分かりません(バックグラウンドが明るいのでブラックアウトの影響を感じ難い)。これはもっと暗い空で試さなくては、と言う事で士幌高原ヌプカの観望会にこれを持参、何とこの施設備え付けのPentax 150EDに装着する機会に恵まれました。このアイピースの60mmと言う焦点距離は公共天文台で使うようなスペックですので、F12のペンタ150EDとの相性は悪くないだろうと自分でも思っていました。

OIIIフィルターを使用して網状星雲などを観望しましたが、問題無く、いや結構良く見えていると感じました。正直クローズアップレンズで作ったアイピースである事と他の同じクラスの望遠鏡用アイピース(マスヤマ60mmやラベンデュラ63mm等)を覗いた事が無かったので、この見え味がまともなのかどうか確信が持てなかったのですが、他の観望仲間の方に覗いて頂いて、周辺まで点像で良く見える、と評価して頂いたので自信になりました。覗き易さに関しても一般参加者の方が概ね普通に覗いていた様子だったので、普通のアイピースとしての及第点はあげられるかと思いました。

自分で見る限りは覗き易さはやはりアイカップの使用で劇的に改善した印象で、以前ナグラー22mmを使用していた時、瞳ガイドプレートなるオプションが付属していましたが、瞳位置を正しく誘導する事が如何に重要かをこのアイピースで再認識した次第です。

その様な訳でほぼネタで作ったこのアイピースでしたが、我が家の主力アイピースの一員として正式に加わる事になりました。いらっしゃいませ。

その後、広角アイピースとして更に進化しました。


SVBONY WA-12mm [天文>機材>アイピース]

このアイピースの名称らしきものが無かったのでWA-12mmは自分で勝手に名付けましたすみません;

アイレリーフが10mm以上のスマイスレンズを含まないクラシックアイピースで最高倍率を得たいとなると焦点距離12mm程度のアイピースが概ね候補となるのですが、この条件で広角を実現しているアイピースとなると殆ど見つける事ができません。今回のアイピースは見掛け視界60度となっていてこの稀有な条件に当てはまり、双眼装置で使う高倍率用の広角アイピースとして使えないかと期待して手に入れてみました。

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レンズ構成を見るとケーニヒに凸レンズを一枚プラスしたいわゆる改良ケーニヒと呼ばれるタイプでしょうか。笠井で販売されているWAシリーズと同じ設計かな?と予想しています。

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アイレンズはこの焦点距離のクラシックアイピースとしては大きく一見覗き易そうですが、アイレリーフが短めなので全視野を見るにはそこそこ目を近づける必要があります。

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見え味は中心像はすっきりしたシャープな見え味で普通に良く見えますが、経緯台で木星を見ていると視野の周辺に移動するにつれて両端にかなりの色が付き個人的に結構気になるレベルです。バローを使う双眼装置での使用前提で、見掛け視界60度程度なら周辺像の崩れはあまり無いのではと期待していましたが、その点では予想より厳しい結果となりました。

ただ中心像は問題なく使えるレベルですので値段を考えるとコスパは高く、月などの面積体を観望する場合にはこの見掛け視界の広さはかなりのアドバンテージになりますので、双眼装置と相性の良い広角アイピースとしてユニークで価値ある存在と言えるかも知れません。


ケンコー ACクローズアップレンズNo.17-60mmアイピース [天文>機材>アイピース]

以前の実験で目的なく勢いのみでポチってしまったACクローズアップレンズNo.17ですが、対物レンズとしての利用はNo.9でもぎりぎりアウトだったのに、このNo.17の口径約50mmで焦点距離が60mm、F値は実に1.2と言う超短焦点レンズと組み合わせるアイピースが思い付かず、こりゃ流石に使い道ないのでは?と諦め掛けていた時に、ケンコー・エンスージアスト(←?)のあぷらなーとさんの「アイピースにしてみては?」との一言に目から鱗。あ、ヤバイ・・・それ、アリ寄りのアリなのでは?と直感的に感じ、これに2インチバレル付けたら・・・と急遽ボーグパーツを家宅捜索する事により怪しいアイピースが爆誕しました。

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構成は、

・ケンコー ACクローズアップレンズ No.17
・ノーブランド 継手リングφ58mm径 (メスーメス)
・BORG M57→M58AD【7407】
・BORG M57/60延長筒S【7602】
・BORG 50.8→M57/60AD【7425】

となっています。

アイピースの当たり面に焦点が来るようにパーツを調整したので視野環もくっきりで見掛け視界も50度弱程度あり、この焦点距離としては中々の広さではないかと思います。アイレンズも50mm程度と大きいので覗き易く、アイレリーフは3cm強あるでしょうか。アイポイントは若干シビアです。

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FC-100DLを使い昼間の景色を見たところすっきりとした見え味で、XL40と見比べても特に欠点の見当たらない素直な見え味に感じました。

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これは星見でも期待できそうとALTER-7を使い星雲星団観望に使用してみました。しかし昼間に見た時とは比べ物にならないくらいブラックアウトが多発し、アイポイントがシビアで視野全体を上手く見る事ができません(視野のどこかが陰る)。像質は特に問題無さそうで、この位アイレリーフの長いアイピースとなるとアイカップの作り方も重要になると思われますので、工夫次第では実用になるかも知れません。

このままでは実用するのは正直辛い印象ですが、天体用でもなんでもないクローズアップレンズをただアイピースの形にしただけでそれなりに見えるのは驚きで、重量が非常に軽く、2インチをフルカバーする視野の広さがありますので、アイカップを用立てて天体導入用に使えないかなと模索しているところです。

その後アイカップを構築して覗き易さが劇的に改善しました。

賞月観星 XWA9mm [天文>機材>アイピース]

格安100度アイピースとして最近評判のXWAシリーズですが、31.7mm径では13mmが最も広視野が得られるのですが、個人的に9mmを選んだのは幾つか理由がありました。

一つはACクローズアップレンズBINOで100度双眼視を実現する上で、最小目幅をなるべく小さく(60mm以下に)したかった為、鏡胴径58mmとより細い9mmが適していた事、次にAPM10cm対空双眼鏡で中倍率アイピースとしてこれまでナグラー9mmを使っていたので、XWA9mmであればこれまでと倍率を変えずに100度双眼視が実現できる事が都合が良かった事、そしてELS双眼装置で使う上で、焦点距離9mm×見掛け視界100度=900と1000以下となり、この双眼装置でケラレない最大視野が得られる100度アイピースとして好適だった事、と言った理由が重なりました。

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この内APM10cm対空双眼鏡で100度双眼視が実現できる事が特に魅力的だったのですが、この双眼鏡で気を付けなければならないのがバックフォーカスの余裕の無さで、どんなに見え味が素晴らしくてもピントが出なければどうしようもありません。こればかりは実際に試さないと分からない部分でしたが一本だけ先に購入して試したところ問題無く無限遠でピントが出て、むしろXW20よりピントに余裕があり、これで晴れてナグラー9mmから完全移行できる結果となりました。

当初イーソスを使う事も検討しましたが、2インチと31.7mmの両方の接眼部に対応した独特のバレル形状が仇となり、31.7mm径アイピースとして使うには差し込み量が少な過ぎで落下の危険性が高いと感じて採用には至らなかったのですが、今回のXWAであればバレル根元までアイピースが挿さり、脱落防止溝もあるので落下の心配も無く、こうした双眼鏡との組み合わせにおいてはイーソスよりも適しているアイピースと言えるかも知れません。

個人的にはアイピースの脱落防止溝は廃止して欲しいと願うほど嫌っているのですが(特にリング締め付け式の固定方法と致命的に相性が悪い)、このXWAに関しては溝の下側の段差がテーパーになっていて引っ掛かりを抑える造りになっており、最近のアイピースはこうした工夫がされているものが増えていると感じます。だからと言ってまだ溝の存在を許容する気にもなれないのですが、今回のXWAの様な長大な31.7mm径アイピースを付けたまま鏡筒を振り回すとすっぽ抜ける危険性は少なからず存在し、溝のある方が確かに安心できるので、せめて今回のように段差にテーパーを設けたり、軽量級のアイピースでは溝を設けないなどケースバイケースで対策してもらえれば脱落防止溝もユーザーに受け入れられる存在となるかも知れません。

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肝心の見え味に関してはまずミニボーグ45ED-BINOイーソス17mmと見比べましたが、イーソスの方が覗き易く、その分周辺像も若干良く見えるとは感じましたが倍率がかなり違うので近い焦点距離でないとどちらのどこが上とはちょっと判断し辛い感じです。

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次にAPM10cm対空双眼鏡で像を確かめましたが、目位置がアイレンズ中心から動かさない場合は周辺8~9割程度から僅かに像が崩れる印象もあるのですが、周辺像をよく見ようと目位置をレンズ端に移動させるとちゃんと点に見える印象で、これは周辺まで点像と言って良いのか分かりませんが、F5.5の対物でこれだけ周辺が良く見えれば十分に優秀と感じました。個人的に周辺の崩れが大きいアイピースだと視野を流したりした場合に周辺から不快な感じを受けるのですが、このアイピースではこれだけの見掛け視界でありながら周辺から特に嫌な感じを受けず(非点収差や歪曲が少ない?)、ナグラー9mmとも比較しましたが、ナグラーの見掛け視界をそのまま広くしたような印象で、周辺像に割と拘る自分でも気持ち良く覗けます。また見始めた当初は目位置がシビアなブラックアウトし易い印象もありましたが、慣れてくると気にならなくなりました。

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イーソスとの性能差はあるのかも知れませんが価格差を考えた場合、価格が半額でも見え味がイーソスの6割や7割程度の出来であれば、見え味に拘る人であれば高くてもイーソスを選択する事もあるかと思いますが、XWAに関してはイーソスの8、9割位の出来はあると思われ、XWAのイーソスの3割程度と言うあまりの爆安さに見え味に拘る人でもこの程度の差ならこっちで良いのでは?と天秤を狂わせる魅力があると思います。

かつてナグラーが流行った時、ナグラーコピーも大いに出回りましたが(セレストロンやミードなど)、大抵は本家より重く大きくなってしまい、やはり本家が一番スタイリッシュな出来と思わせましたが、イーソスに対してXWAはその点においても引けを取っておらず(細くて軽い)、バレルの仕様などはこちらの方が扱い易い部分もあり、質感は確かに中華製を思わせますがデザインは洗練されたものを感じます。

言い換えればいつもの様にコストパフォーマンスが高い、と言う結論になりますが、こんなコピーを出されたらテレビューも困ってしまうのではないでしょうか。

アイピースのスペックはこちら

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

賞月観星XWA9mm
価格:26500円(税込、送料別) (2019/5/25時点)



12mmクラシックアイピース対決 [天文>機材>アイピース]

ふとFC-100DLで木星を観望すると(MarkV4xバロー使用)かなり良いシーイングで300倍掛けても破綻していなかったので、急遽TMBモノセン笠井HC-Or笠井APブランドンの12mmアイピース4種(焦点距離900mm÷12mm×4倍バロー=300倍)で木星の模様をひたすら見比べました。折角のシーイングなのでTSAを出そうかと思いましたが、FCと同じ焦点距離でFCの方がより過剰倍率となるので、アイピースの限界性能を見るにはFCの方が良いかと思いそのまま続行。

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SEB、NEBの濃淡や輪郭、その間(EZ)の淡い縞模様の見え具合、大赤斑、及びその周辺の模様などで比べていましたが、今日の条件では、

・明るさ:TMB>HC-Or>AP>ブランドン
・解像度:ブランドン>=TMB>AP>=HC-Or
・コントラスト:ブランドン>AP>TMB=HC-Or

と言った印象で、今までこの4種ではTMBが総合力で頭一つ抜けている印象でしたが、今日の見比べではブランドンが一番見えていると感じ、当初自分の中ではそれなりの評価のブランドンでしたが、今回TMBクラスのアイピースだと認識を改める結果となりました。TMBはやはり第一印象が像が明るく、ブランドンはその逆で暗く感じますがその分コントラストが高く見え、両者とも非常に良く見えます(解像度が高い)が、味付けが好対照なのが面白いです。国産アイピースもじっくり見てるとちゃんと細かい模様も見えていると感じましたが、TMBからAPに変えたり、HC-Orからブランドンに変えた瞬間に細かい模様の見え方(見易さ)で差を感じる印象です。

ただシーイングは刻一刻と変わりますので、たまたま良いシーイングの時に覗いていたアイピースの評価が高くなる事もありえますので公平な評価となるように2時間以上とっかえひっかえ見続けましたが腰が悲鳴を上げて撤退しました;最後に少し倍率を下げてブランドン16mmで見た木星が一番きれいに見えた気がします笑

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賞月観星 UF15mm [天文>機材>アイピース]

ELS双眼装置で使えるアイピースは開口径の都合上、焦点距離×見掛け視界=概ね1000以下となるものに限られるのですが、15mm近辺の焦点距離で候補となったのがペンタックスのXW14(14×70=980)、もう一つがAPMから販売されていたUltra Flat Fieldシリーズ(以下UFF)の15mm(15×65=975)で、周辺像の良さを売りにしていながら安価なUFFは魅力的だったものの、個人輸入するとなると国際送料が高いので一本ずつ買うと高上がりとなり、かと言って素性の分からないアイピースを2本一気に購入するのも大きな賭けとなるので、結局性能に間違いの無いXWを一本購入しました。

しかしXWを2本目を買おうと考えたところでどうにも値段が高く、また双眼装置用のアイピースとしてはXWはかなり重たいと感じたので再びUFFが気になり出し、再び個人輸入するかどうか悩んでいたところで突如このアイピースが賞月観星からUFシリーズとして販売される事を知り、値段もAPMで買うより大幅に安く済むので、これは渡りに舟とばかりにUF15mmを即一本ポチったのでした。

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これにより似たようなスペックのUF15mmとXW14が手元にある状況となりましたので比較テストする事にしました。機材はAPM10cm対空双眼鏡(F5.5アクロ)で天の川の中心部を狙い、主に周辺像の崩れ方に着目して見比べました。

見比べて最初に感じたのは視野を移動させた際、UFは若干中心がズームされるような歪曲(樽型?)を感じ、像面の平坦さではXWに軍配が上がる一方で、個人的に最も気になる良像(星が点で見える)範囲に関してはUFはXWに比べても文句無しで、最周辺までほぼ点像で良像範囲98%のメーカー公称値は誇張でないと感じました。この多少歪曲があっても周辺が点像である事を優先した見え味はテレビューの広角アイピースに似ている感じもあり、パンオプティックの代用品としても有用な存在となるかも知れません。

但しUFとXWを見比べて気になったのはUFでは若干の周辺減光が認められ(周辺から1割位の領域)、XWの視野円がくっきりしていて気持ちの良い見え味に比べるとややすっきりしません(但し昼間の景色では分からないレベルかも知れません)。またXWは5度の差とは言え見掛け視界が広いのはやはり大きなアドバンテージで臨場感があり、像面がフラットで周辺減光も感じない、とにかくストレスを感じさせない見え方は流石XWと言ったところでしょうか。

一方星像に関してはUF、XW共に非常にシャープで、特にUFの方はXWを覗いた後だと星が明るく見え、バックグラウンドが暗く、XWよりコントラストが高いように感じました。星が明るく感じるのは焦点距離の差かも知れませんが、バックグラウンドがUFの方が暗く引き締まって見えるのは迷光処理がXWより優秀なのか、ぱっと見の印象なのでもう少し詳しい検証が必要かも知れませんが、第一印象ではそのように感じました。

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まとめるとXWの優秀さは間違いありませんが、UFはXWより圧倒的に軽くコンパクトでありながら、多少の歪曲や周辺減光があってもほぼ100%の良像範囲を保っているのは優秀な性能と言え、これまで個人的に中華広角アイピースに対して抱いていた周辺像が弱いイメージ(例外として笠井EFシリーズがありましたが)を払拭させる良質なアイピースだと思いました。値段がXWやパンオプの半分以下である事を考えると、コストパフォーマンスは非常に高いと言えるでしょう。

アイピースのスペックはこちら

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

賞月観星UF15mm
価格:11200円(税込、送料別) (2018/8/21時点)



ノーブランド 23mm62° Aspheric [天文>機材>アイピース]

最近ネットで格安ながら良く見えるアイピースとして評判の、このメタリックオレンジの帯が目印の非球面レンズを使用した(と思われる)広角アイピースの実力を知るべくamazonで一本1500円程で入手。

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まず見掛け視界をチェックしたところ予想以上に広いです。同じ見掛け視界62度の谷Er25mmと比べて明らかに広く、他のアイピースと見比べてXL40以上XW弱の見掛け視界があり、実測67度位あるでしょうか。この23mmはアイレリーフが17mmとの事ですが目位置にも寛容でとても覗き易いのが好印象です。

見え味に関してはやはり強引に見掛け視界を広くしたアイピースにありがちな周辺像の崩れ、周辺減光が目立ちますが、それでも良像範囲は8割程度はあり、周辺までフラットを特に謳っていない比較的安価な広角アイピースであればこの程度の崩れは割と普通ですので、値段を考えれば十分及第点の性能と言えるでしょう。個人的には公称値通りにもう少し見掛け視界を絞ってあれば性能の良さが引き立って良かったのでは無いかと思います。

普通に真っ当なアイピースと性能を比較していますが、この価格であればまともに像を結ばない粗悪品であっても不思議ではありませんでしたので、この価格の広角アイピースが普通に使えると言う点だけでも評価に値するのではないかと思います。本体はプラ製で新品購入時の時点で小キズが散見されたりしましたが価格を考えれば気にするポイントでは無いでしょう。

とにかく安価に広角を味わいたいと言った要求には十分に応えてくれるアイピースかと思います。同シリーズの他の焦点距離(4mm、10mm)の性能も気になるところです。


スコープタウン Or9mm(PLタイプ) [天文>機材>アイピース]

ブランカ70EDTで高倍率観望したい場合、従来双眼装置で最高倍率用として使っていた焦点距離12mmのアイピースでは倍率が稼げないのでアイレリーフが10mm以下のアイピースは使わないとしていた個人的な方針を曲げて、この鏡筒限定で使うのでなるべく安い(且つ性能が良い)クラシックアイピースが欲しかった事で再びここの製品にお世話になる事になりました。

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このアイピースを使う事でブランカでも200倍超を何とか出せるようになり、口径が小さいのでこの倍率だと若干暗いですが木星などを見ても破綻せずよく見えます。ただ久々にアイレリーフ10mm以下のアイピースを覗きましたが個人的には(このアイピースのアイレリーフの)7mmはやっぱり短いと感じます。

同社のOr14mmはプローセルにしては異例のアイレンズの大きさと見掛け視界の広さが特徴的でしたがこちらの9mmは特にスペック的にユニークな部分はありません。覗き比べたところ見掛け視界は同社のKe25mmと同等で公称通り(45度)かと思います。

アイピースのスペックはこちら

国際光器 WIDE SCAN TYPEIII 20mm [天文>機材>アイピース]

双眼装置での月面観望で笠井EWV-16mmの見掛け視界85度の迫力ある見え味が気に入っていたのですが4xバロー併用の場合やや倍率が高めに感じた為、同等の見掛け視界でより低倍率が得られるこのアイピースに関心が湧き、販売終了からかなり月日が流れていましたが中古で何とか手に入れる事ができました。

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31.7mm径でありながら焦点距離20mmで見掛け視界84度、このスペックはナグラーであれば2インチアイピースとなるので本当に実現出来ているのか半信半疑でしたが、実視でEWVと同等の視界で20mmの倍率も偽りでない事が確認できました。

テレビューのHPでアイピースの絞り環直径が公開されていますが、ナグラー20mmで絞り環径が27.4mmに対しPL32mmが27.0mmとPL32mmは31.7mm径アイピースで最大の実視界を実現するアイピースと称されていましたのでこれ以上をどう実現しているのかと、WS20mmの絞り環をバレル側から見たところ確かにPL32mmより絞りが広い(と言うより31.7mm径バレル内径を限界まで使っている)事が分かります。

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PL32mmの絞り環はバレル内に存在しますが、この方法ではこれ以上の実視界を稼げないので、WS20mmの絞り環は本体内部に位置している模様で(下の画像はバレルを外して中を写したものです)、このアイピースのインプレでよく見受けられるバックフォーカスの短い筒ではピントが出ないと言われる要因と思われますが、この広角を実現するための苦肉の策だったのかも知れません。

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見え味に関してはEWVの見え方をそのまま倍率を低くした印象で、周辺像の崩れ方も同様ですが高拡大率バローとの併用ではそれ程気にならず、ヌケが良い素直な見え味で、アイレリーフがEWVより長く、アイレンズも大きい事でかなり覗き易い点が特に気に入りました。

このアイピースは元々ユニトロンで開発販売された製品と同一思われますが、2本の内一本を国際光器で入手した際、商品説明に谷光学製と書かれていて、ユニトロンの設計を谷光学が受け継いで国際光器で商品化された製品なのかと考えましたが真偽の程は定かではありません(国際光器に聞けば分かるかも知れませんが)。

EWVと同等のスペック(16mm/85度)のアイピースは他社製の現行品でも見受けられますがWS20mmのスペックの製品は他に類を見ないと言ってよく、ピント(絞り環)位置が他のアイピースと違う事から敬遠される事を覚悟の上でこのスペックを(無理矢理?)実現させたその心意気を買いたい(笑)と思わせるアイピースです。

見え味に不満は無く、当初の期待通りの見え方で月観望の常用アイピースとなりました。勿論日本製です。

アイピースのスペックはこちら

Meade 4000 Super Wide Angle 40mm [天文>機材>アイピース]

ミニボーグ60ED-BINOで低倍率用にXL40を使っていますが、『日本製』『双眼視可能な太さ』『2インチ40mm』『見掛け視界70度クラス』の条件に当てはまるアイピースとしてこのアイピースの存在を思い出し、この頃のMeadeの広角アイピースはTVに真っ向勝負のラインナップで製造は日本製で質も高いと思われた為、XL40と見比べてみたくなり中古で入手してみました。

サイドバイサイドの見比べで周辺像の像の崩れはXLより顕著ですが傾向としてはLVW42mmと近い印象です。良像範囲はこのBINOで7~8割位と上々の性能だと感じました。XLより若干視野が広いのも良いですね。

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Vernonscope Brandon 12mm、16mm(フラットトップ仕様) [天文>機材>アイピース]

双眼装置に使うアイピースとしてアイレリーフが10mm以上のクラシックアイピースと言う個人的な制約を設けている都合上焦点距離12mm近辺が最も短焦点(4xバロー併用で3mm相当のアイピースとして使用)のアイピースとなる為、TMBモノセン12mm笠井HC-Or12mm笠井AP12.5mmと揃えてきましたが、よく出来たプローセルのこの焦点距離のアイピースも見てみたくなり、このブランドンに手を出してみました。個人的にはラバーアイカップがあまり好きではなかったのでこの『フラットトップ』仕様を個人輸入、また16mmの方はシーイングが今一つの時にこの焦点距離のアイピースが欲しいと常々思っていたので併せて購入しました。

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硝材が「バリウムフリント」「ランタンクラウン」「軽クラウン」「ダブルエクストラ重フリント」と異なる4つの素材により構成されており、光学レイアウトも安価なプローセルと違い前群と後群でレンズ形状も異なります。単純なシンメトリカルな設計では無く、プローセルを踏襲しつつ更なる高性能を目指した事が窺える設計です。

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モノセントリックのTMB、アッベオルソのHC-Or、アストロプランのAP、そしてプローセルのBrandonと揃ったので主に木星と土星で数ヶ月見比べましたが、自分のヘタレ目では正直なところそれ程見え味は変わりませんでした汗。双眼装置で組み合わせるバローも本来の使い方では無いので相性の問題も多分にあると思われますが、当初はブランドンはAPやHC-Orより解像度で劣る印象もありました。鏡筒を色々変えて見比べるとブランドンも良く見えるアイピースだと言う事が分かりましたが、有意な差があるかと言えば微妙なところで強いて言えば、明るさ解像度のTMB、ヌケの良さの笠井、コントラストのブランドンと言えるかも知れません。総合力ではTMBが頭一つ抜けている印象です。

正しい評価を下すには双眼装置もバローも使わない環境で比較するべきだと思いますが、自分の使い方以外の環境で評価を下しても個人的にはあまり意味が無いのでこうした結果となりました。誤解無いように言いますが、ブランドンも十分優秀なアイピースと思います。あと見え味以外の部分ではめちゃめちゃ軽いのも良いですね。

その後更にアイピースの見比べをしました。

アイピースのスペックはこちら

Meade SP40mm(日本製) [天文>機材>アイピース]

ミニボーグHα太陽望遠鏡で使う31.7mm径の焦点距離40mmのアイピースはセレストロンのOmniプローセルで特に不満はありませんでしたが、日本製の40mmと言えばMeadeのかつてのSPシリーズに存在していた事を思い出し、現所有の日本製SP20mmの性能の高さは知っていたので見比べてみたくなり、気長に中古が出てくるのを待って2本入手する事ができました。

eyep-sp40.jpg

Omniプローセルはよく出来た台湾製プローセルより良く見えたので中華製アイピースも侮れないと感じて、SP40mmが日本製と言えども目に見える差は無いだろうと思いつつ見比べたところプロミネンスやプラージュの見え方(主に解像感)で思いの他差がある事が分かり、こちらを太陽観望の常用アイピースとする事になりました。Omniプローセルの方は外観の造りも雑なところがありましたが日本製SPは流石に隙の無い造りで、これにより日本製アイピースに対する思い入れが再び強くなりましたw

日本製のプローセルと言えばテレビューのPLシリーズが現行品でありますが、TVの長焦点プローセルはごつい外観が個人的にマイナスポイントで、その代わりアイレンズが大きいので目位置に比較的寛容で覗き易い長所がありますが、Meade SPとは一長一短と言ったところでしょうか。現行の中華製のSPシリーズとの差も気になるところです。

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スコープタウン Ke25mm [天文>機材>アイピース]

双眼装置で太陽観望や星雲観望する際に出番となる25mmアイピースですが、谷Er25mmに特に不満はありませんでしたが、ケルナーのアイピースは今まで一つも覗いた事が無かったので以前から興味があり、レンズ枚数が3枚と少ないので見掛け視界が狭くてもプロミネンスや散光星雲など淡い対象の検出で有利に働くのではと期待してこのアイピースを試してみる事にしました。お安いですし。

eyep-stke25_1.jpg

昼間の景色を見ると明らかに谷Erより明るく、色が薄い感じがしましたがヌケも良いと感じました。木星観望でも使ってみたところ(TSA-120で4xバロー使用で144倍)、明るさ、解像度、シャープネスで谷Erを上回っており、谷Erも優秀なアイピースですが、自分の中のケルナーの認識を改める驚きの見え味でした。木星ではコントラストも悪くありません。

Or14mmでも思いましたがここのアイピースは値段を考えると破格の性能と言っていいかも知れません。日本製でこの安さを実現できているのは正直驚きで、初心者だけでなくマニアの使用にも十分耐えうるアイピースだと思います。

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スコープタウン Or14mm(PLタイプ) [天文>機材>アイピース]

双眼装置での惑星観望で12mmと15mmの間のアイピースが欲しいと感じる事が何度もあったのですが、その焦点距離で日本製(or欧米製)のクラシックアイピースとなると選択肢が殆ど無く、その意味ではこのアイピースは貴重な存在と言えるかも知れません。4xバローとの組み合わせで使うのでこの場合3.5mm相当の焦点距離になります。

eyep-stor14_1.jpg

このアイピースが独特なのは焦点距離だけでなく、目を引くのがプローセルの14mmにしては大きいアイレンズで、TV PL15mmはおろか谷Or18mmより大きい程で視野レンズも同様に大きく、アイレリーフもTV PL15mmより長く覗き易いのでこれ本当にプローセルの14mm?と不安になってw倍率を確認するとちゃんと15mm以上12mm以下の倍率が出ていて、ここで気づいたのが見掛け視界の広さでした。明らかにTV PL15mmより広く、他のアイピースとの比較したところでは55度程度あり、プローセルにしては異例の広さで、実視界もこちらが広いです。

高倍率惑星観望に用いても高級アイピースに引けを取らない見え味で、これまでの自分の中のプローセルの常識を覆された気分でwとても魅力あるアイピースだと思います。覗き易く視界が広い部分で使い勝手が良いので経緯台での観望などで重宝しています。

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