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ミニボーグ55FL対空正立ファインダー [天文>機材>ファインダー]

WXの入手に伴い退役させたミニボーグ55FL-BINOでしたが、見え味では及ばなかったにしても実視界の広さと特に良像範囲の広さはかなりWXに迫っていた部分もあり、折角探し当てたこの対物とアイピース(UF30mm)の出色の組み合わせを解消させるのが惜しかったので片側鏡筒をファインダーとして引き続き活かす事にしました。

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今回の構成は対物側から、

・BORG ミニボーグ55FL対物レンズ【2555】
・Pixco BORG互換延長筒28mm
・BORG M57/60延長筒L【7604】
・57-55mmステップダウンリング
・55-42mmステップダウンリング
・M42回転装置
・Baader T-2/90°アミチ天頂プリズム(#02)
・SCTオス-M42オスAD
・笠井 SCT/2インチスリーブ変換アダプター
・APM UF30mm

となっており、今回は合焦機構を省き、アイピースの抜き差しでピントを合わせる運用となっています。また今回大きく構成変更した部分はダイアゴナルで、以前の2インチ正立プリズムはファインダーに使用するには大きく重過ぎると感じたので、これより一回り小さい正立プリズムとしてバーダーのT2アミチ天頂プリズムを入手して換装しました。UF30mmの視野環径38mmに対してこのプリズムの開口径が31mmとやや狭いですが間隔を適度に開ける事でケラレを回避しています。

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口径55mm、倍率8.3倍、実視界8.64度、見掛け視界72度、良像範囲ほぼ100%とスターホッピング用の対空広角正立ファインダーとしてはこれまで自作した中では格段に高性能で導入が楽になり(特にスターホッピングでは視野の周辺まで使うのでそこに崩れが無いのはストレスを感じずに導入に集中出来る)、5cmクラスの対空正立ファインダーでこれ以上の性能は(十字線が無い点を除けば)望めないだろうと感じる程理想的な物が出来上がったと自己満足しています。重量も約1520gとこの性能を考えればまずまずかと思います。

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APM 20x80MS その2(フィルター装着編) [天文>機材>双眼鏡]

APM20x80双眼鏡は口径、倍率、視野の広さのバランスがとても良く、お手軽にメシエ天体を眺めるにはとても適した機材だと感じて気に入っていましたが、この度フィルターの装着が可能になりました。

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中口径双眼鏡にフィルターを取り付ける例としてはフジノンのFMTシリーズなどはオプションで接眼レンズに取り付けるネビュラフィルターが販売されていましたがこれを参考に、接眼レンズ手前にフィルターを装着する方法は無いものかと思案していましたが、この双眼鏡の接眼レンズの周囲のラバー部分の外径が50~51mm程度とほぼ2インチサイズであった事から2インチスリーブアダプターを差し込んで対物側ネジにフィルターを取り付けるアイデアを思い付き、上手く適合するアダプターは無いものかと物色して見つけたのがこのTSM48-2インチスリーブアダプター(国内では星見屋さんで取り扱い)でした。

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このアダプターは全長が17.8mmと短いので双眼鏡の接眼部に差し込んでも本体に突き当たる事が無く、対物側がM48メスネジですので2インチフィルターをそのまま取り付けられる絶妙な設計でしたが、今回はM48を31.7mmフィルター径に変換するアダプターを装着して31.7mm径のフィルターを装着する運用としています。

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アダプター装着により接眼レンズ部外径が大きくなったので(φ60mm)鼻がアダプターに当たる事もありますが、自分的には許容範囲内で思った程覗き易さは悪化してはいない印象です。ただフィルターと目がかなり近づくので曇り易く、アイレリーフ的にも眼鏡使用では全視野は見通せない裸眼専用機材となってしまうかも知れません(2インチフィルターで運用する形態にすれば多少改善しそうです)。

それでも可逆的な改造でフィルターが使用できるようになり、今後運用の幅も広がりそうです。また今回の手段は恐らくこの双眼鏡とほぼ同じ筐体設計と思われる賞月観星のED KING80mmシリーズや接眼部が同様と思われるAPMの10cmや11cmのMSタイプの直視双眼鏡にも適用出来るのではないかと思われますのでご参考になれば幸いです。

ビクセン カスタム60Lオフセット双眼望遠鏡 [天文>機材>望遠鏡]

オフセット双眼望遠鏡構築における特有の課題の一つとして下側鏡筒のバックフォーカスを如何に引き出すかが挙げられ、バックフォーカスが足りない場合は鏡筒切断などによる短縮改造が必要になる事もありますが、今回はバローレンズで焦点を引き出す事により、鏡筒改造無しのオフセット双眼望遠鏡の構築に挑んでみました。

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この場合バローを常用する事により低倍率は出し難いBINOとなりますが、今回は惑星観望用の高倍率専用機として割り切る事でデメリットを感じさせないBINOに仕上げました。鏡筒の選定は当初高倍率適性の高い小口径アポ屈折も検討していましたが、かねてより長焦点アクロの高倍率性能も確認してみたかった事もあり、ベランダで運用が可能な長さとしてスペックは6cmF15程度、また余りに古い鏡筒は避けたかった事と比較的程度の良い中古が安価に出回っていた点も勘案して(個人的には見た目もカッコイイと思える)ビクセンCUSTOM-60L(口径60mm、焦点距離910mm)に今回白羽の矢を立てました。

バックフォーカス引き出しに使用したバローレンズは笠井のBS双眼装置用の1.6xエクステンダーでこれをダイアゴナル先端(+延長筒)に装着、M42の延長筒を間に入れる事により拡大率を約2.2倍、12mmアイピースを使用した時に有効最高倍率付近(約167倍)となるように調整しています。

また今回のBINOのもう一つの構築目的は裏像ではない惑星観望を可能とする事で、高倍率に耐える裏像にならないダイアゴナルとして笠井の31.7mmDXペンタプリズムを採用し、これまで自分の惑星観望では定番のアポ屈折単筒に天頂ミラー+双眼装置と言った組み合わせでは裏像を許容するしかありませんでしたが、このBINOの構築で我が家の惑星観望用機材としては唯一裏像とはならない(倒立像)双眼観望を可能とさせました。

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今回BINOの特徴としては下段鏡筒からファインダー支持リングを介して上段鏡筒を支持する事で、ファインダー調整と同じ要領で視軸調整を可能としている点で、これはかつて自作したGuideFinder50-BINOで用いた手法ですが、高倍率での視軸調整は少し慣れは必要ですが微動雲台などを使用する方法に比べて調整機構が極めて簡素で軽量に仕上がる部分が大きなメリットと考えています。目幅調整はFL90S-BINOと同様に下側ダイアゴナルの傾斜で対応していますがやはり個人的に問題は感じません。これらの簡素な機構の積極的な採用によって重量は約3.5kgと10cmアポ単筒(102EDPの場合約4.7kg)よりも軽量に仕上がっています。

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見え味は月を見ても色収差を殆ど感じず、木星や土星も非常にシャープ(参考までのデジタルスケッチはこちら)でアポと遜色が無い印象、長焦点アクロの高倍率性能の高さを味わうには十分な見え味で、初心者向けの望遠鏡としてこれだけの性能が出ていれば十分良心的な鏡筒と感じました。また裏像ではない事で月面観望においてガイドブックに掲載されている地形との照合が容易(と言うか裏像では困難)な部分はやはり大きなメリットと感じます。

とは言え口径6cmの鏡筒なので出せる倍率は木星で180倍位までと言う印象で、FL-90Sでは最高250倍程度まで使える事を考えると見え味を点数化するならFL-90Sを61点、BLANCA-70EDTを54点とするなら53~55点位かなと感じました。また小口径BINOの利点として冬季の温度順応が早い事が挙げられ、9cm単筒と6cm双眼で比較しても双眼の方が別々に冷えていくので温度順応が早く、素早く観測体制に入れるのもこのBINOならではのメリットとなっています。

昔の自分は高倍率の惑星観望用途としてアクロ鏡筒の使用は正直アウトオブ眼中なところがありましたがCZJのC50/540を覗いた時から認識が変わり、これだけの長焦点鏡筒を用いれば十分高倍率での惑星観望にも耐えるだろう事は予想は付きましたがやはり期待通りの見え味でコストパフォーマンスはとても高いと感じられ、入門機として今も昔も長焦点アクロが定番なのは極めて合理的であると再認識した次第です。

我が家の自作BINOの特徴、及び使用アイピースの考察 [天文>機材>望遠鏡]

日頃我が家の自作BINOに組み合わせるアイピースの選定に頭を悩ませる事が多く、運用シミュレータを毎回叩くのも手間なので、ある程度考えが固まったものを自分用のメモとして表にまとめてみました。

 使用アイピース 倍率 見掛け視界 実視界 射出瞳径

 VX10LMk-V
等倍延長レンズ使用)
UW6mm
UW9mm
SSW14mm
XW20
267倍 
178倍
114倍
80倍
68度
68度
83度
70度
0.26度
0.38度
0.73度
0.88度 
0.9mm
1.4mm
2.2mm
3.1mm 

 R200SS-BINO
(1.8xバロー内蔵)
・SSW14mm
・XW20
SWA32mm
103倍 
72倍
45倍
83度
70度
70度
0.81度
0.97度
1.56度 
1.9mm
2.8mm
4.4mm 

 APM12cm双眼・UW6mm
XWA9mm
・SSW14mm
ES24mm
110倍
73倍
47倍
28倍
68度
100度
83度
68度
0.62度
1.36度
1.76度
2.47度
1.1mm
1.6mm
2.5mm
4.4mm

 FL90S-BINO12mm3.6xバロー
EWV16mm+3.6xバロー 
WS20mm+3.6xバロー
・XWA9mm
Ethos17mm
Masuyama32mm
246倍
184倍
145倍
90倍
48倍
25倍
50度
85度
84度
100度
100度
85度
0.2度
0.46度
0.58度
1.11度
2.1度
3.36度
0.4mm
0.5mm
0.6mm
1mm
1.9mm
3.6mm

 ミニボーグ71FL-BINO ・12mm+3.6xバロー
・EWV16mm+3.6xバロー
・WS20mm+3.6xバロー
・XWA9mm
・Ethos17mm
・Masuyama32mm
121倍
91倍
71倍
44倍
24倍
13倍
50度
85度
84度
100度
100度
85度
0.43度
0.94度
1.18度
2.25度
4.25度
6.8度
0.6mm
0.8mm
1mm
1.6mm
3mm
5.7mm

 CUSTOM60L-BINO
(2.2xバロー内蔵)
・12mm
・EWV16mm
・WS20mm
167倍
125倍
100倍
50度
85度
84度
0.3度
0.68度
0.84度
0.4mm
0.5mm
0.6mm

 CUpレンズNo5-BINO・XWA9mm
・Ethos17mm
・Masuyama32mm
22倍
12倍
6.3倍
100度
100度
75度
4.5度
8.5度
12度
1.8mm
3.3mm
6.2mm

自分的にBINO用のアイピースの決め方としてはまず最大実視界が得られる低倍率側のアイピースと、その機材で実用範囲の最高倍率を出せるアイピースを決めた上で、その間を2、3のアイピースで埋める、と言う傾向が多いように思えます。

また自作BINOが増えてきて、その特徴、使用目的、コンセプトを明確にしておかないと機材作りが迷走して際限無く増殖してしまう懸念がある事から(やや手遅れ)、各BINOの長所、短所についても以下にまとめてみました。

《R200SS-BINO》
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【長所】
・集光力が高く、銀河、球状星団が良く見える。
【短所】
・視軸の微調整が困難な構造の為高倍率が不適。
・裏像。
・コントラストが低いのか淡い散光星雲が思ったより見えない。
《APM12cm双眼》
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【長所】
・大口径屈折の利点を活かしたコントラストの高さで散光星雲に強い。
 → ナローバンドフィルターを使えば色収差、像の甘さはキャンセル出来る。
・正立像。
・視軸調整が不要。
・一体型構造の為口径の割に運用が楽。
【短所】
・構造上高倍率は不適。
・星像が甘く、散開星団の見え味は今一つ。
《FL90S-BINO》
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【長所】
・星像が非常に鋭く、散開星団に強い。
・コントラストが高く、散光星雲も口径なりに強い。
・ダイアゴナルが一回反射の為光量損失が最小限。
・2インチアイピース使用可能。
【短所】
・視軸が非常にずれ易い。
 → 調整機構の操作性は良いのでかろうじて高倍率観望が可能。
・裏像。
・構成パーツが多く、口径の割に手軽では無い。
《ミニボーグ71FL-BINO》
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【長所】
・小口径だがそれを感じさせないオールラウンダー。
・正立像。
・2インチアイピース使用可能。
・目幅調整、視軸調整機構の精度が高い。
【短所】
・高倍率適性は高いが短焦点の為高倍率が出し難い。
《CUSTOM60L-BINO》
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【長所】
・裏像ではない高倍率双眼観望が可能。
・L字プレートなどが不要で架台に直接取り付けられる構成の為設置撤収が早い。
・小口径の為温度順応が早く、冬場でも短時間で惑星観望が可能。
【短所】
・視軸調整が癖があり慣れないと難しい。

自分が最初の自作BINO、ミニボーグ45ED-BINOを作ったきっかけはイーソス17mmを使用した100度双眼の世界をどうしても味わってみたいと言う理由が第一でしたが、もう一つ、雑誌やネットで望遠鏡・双眼鏡サミットや双望会と言ったスターパーティで紹介されるオリジナリティー溢れる自作機材を拝見して、自分も小口径でも良いのでオリジナルの機材を所有する事に憧れた事も大きな原動力となりました。

実際作ってみると期待以上の見え味に自作の手応えを感じ、市販の機材に比べると自由度や万能性、機動性などは低いかも知れませんがその分一点突破の尖ったスペックで至上の見え味を味わえるメリットに加え、アイデアを思い付いて工夫、改善を積み重ねた機材が狙い通り、もしくはそれ以上の機能、性能を実現出来た時のカタルシス、大きな達成感が得られるところが自作の醍醐味と言えるのかも知れません。

自分にとって達成感とはある目標を決めてそれを達成する事で自己成長が実感出来、それが自分の自信に繋がり、人生を前向きに生きる原動力、生きる力にも繋がるものと考えていますので、それ故に最近は自作する過程が楽しく、ややもすると「手段の為には目的を選ばない」状況に陥り兼ねませんが笑、投じれる資金や保管スペースには限りがありますのでその機材が本当に必要かどうかもよく吟味した上で今後も自作を楽しんでいければと思うところです。

天体観測あおちゃん [お絵描き>萌え系]

以前弊ブログ100万PV記念で描いたあおちゃん絵に背景を描き起こして天体観測風に仕上げてみました。

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自作バローレンズ Ver3.0 [天文>機材>バローレンズ]

前回自作したバローレンズ12mmアイピース使用を前提とした直進ヘリコイドを使用した可変倍率のバローとしていましたが、前回このバローとEWV-16mmとの相性も良い事が分かり、同じくスマイスレンズを使用していない広角アイピースのWS20mmとの相性も良く、惑星観望用途だけでなくDSO用途にも使えるバローとなる事が期待できた為、12mmアイピース使用の拘りを捨ててヘリコイドも撤去し、固定倍率のバローに再構成しました。

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今回使用パーツは対物側から、

・バーダーハイペリオンズーム2.25xバロー
・31.7mmバレル→M42オスAD
・M42延長筒80mm
・M42メス→31.7mmスリーブAD

とシンプルな構成となっており、前回のバローはバックフォーカスが短い鏡筒では合焦しない弱点がありましたが、今回は先端のバローをより拡大率の高いバーダーハイペリオンズーム2.25xバローに換装する事で光路消費が抑えられ、これにより拡大率は約3.6倍となりました。

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よって今回のバロー使用により、

・12mmアイピースの場合 → 焦点距離3.3mm相当
・EWV16mmの場合 → 焦点距離4.4mm相当
・WS20mmの場合 → 焦点距離5.6mm相当

となり、Nikon双眼装置使用により出番が減っていた(Mk-V双眼装置より射出口径が小さく、視野がケラれる為)EWV-16mm、WS20mmを高倍率用アイピースとして再活用する道が開けて一石二鳥となりました。

APM 20x80MS [天文>機材>双眼鏡]

WXを快適に運用出来るようにZERO経緯台やエレベーター式三脚(Manfrotto 475B)を用意しましたが想像以上に頑丈で(逆に言えばお手軽では無く)耐荷重的にまだまだ余裕があった事から(ZEROは7kg、475Bは12kg)、WXより一クラス上の口径の直視双眼鏡を同架出来ればより観望が楽しめそうと考えて相方として手に入れたのが今回の双眼鏡です。

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当初2~3万円台の安価な20x80双眼鏡を物色していましたが、以前安価な15x70を所有していて有口径が実測で約63mm(対物口径の9割)しか無かった事から20x80も同じ欠陥を抱えていないかが気がかりで、15x70と20x80の外観を見比べて対物レンズ以外のプリズム収納部分は部品が共通(大きさが同じ)に見えた事からやはり少し怪しいと感じ、別設計と思われる20x80を探してみたところこのAPMの製品が価格は大きく上がりますがプリズム部分の大きさは一回り大きく見え、安価な双眼鏡は視軸のズレの当たり外れも懸念材料だったので、その点でAPM製品は自分でもこれまでいくつか手にしてきて品質面や性能、サポート面で高い信頼のおけるメーカーの認識でしたので今回は確実性、安心感を優先させました。

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実物を手にした感想はWXではないですがこれまた軽い!が第一印象でした。重量は約2.5kgとなっていますが見た目の大きさ、質感から得られる感覚より相当軽く感じます。また気になる有口径ですが瞳径を測定してきちんと4mmありましたので口径のケラレは無く一安心しました。そして見え味ですがこれも驚きで、以前スカイマスターや安価な25x100双眼鏡も所有していましたが昼間の景色は色収差が顕著でベールが掛かったような眠たい画質、ただ星見にはそれ程支障は無い、と言う印象でしたが今回の20x80は昼間の景色を見ても視界が透き通っており、EDは使用していないモデルですが色収差もあまり感じず(APM12cm双眼より格段に少ない)全く鑑賞に耐えます。もう一つ心配していた視軸のズレも皆無でした。

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また星見では気になる良像範囲ですがこれも想像以上に素晴らしく、見掛け視界66度の広角に関わらず微光星を見る限りではほぼ視野最周辺まで点像なのは嬉しい誤算で(1等星以上の明るい星だと8割位から若干崩れます)星像もシャープです。この双眼鏡の対物レンズの焦点距離が公称305mmとなっている事から口径80mmからF値は約3.8となり、20倍の倍率から接眼レンズの焦点距離は約15mmと算出され、この短焦点対物に広角アイピースの組み合わせでこの良像範囲の広さは正直立派な性能と感じます。この双眼鏡全体のレンズ構成はスペックシートを見ると5群8枚となっていますが、この内対物レンズは1群2枚で残りは4群6枚、この内3群5枚を接眼レンズとしても一枚余りますのでやはり性能の良いフラットナーが入っている(もしくはアイピースのフラット性能が高い)構成なのではないかと推測しています。

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また双眼鏡全体の造りの良さも触れておきたい部分で、高級感を感じたり持つ喜びを感じる、まではいかないかも知れませんが外装のラバーの貼り付けはとても丁寧で、対物レンズのフードの構造や開け閉めの感覚が絶妙だったり、ピントを合わせる感触も固すぎず柔すぎずこれも絶妙だったり、外からは見えない部分の使い易さの面でも良く考えて作られていると感じます。こう言った抜かりの無い部分は流石APMの製品と言ったところでしょうか。

WXとの同架はWXの導入により退役した55FL-BINOのL字プレートを再構築し水平側のプレートをより長いものに換装、SVBONYのアリミゾを装着しこちらに20x80を搭載、垂直側はプレート上部のファインダーアリミゾに視軸調整用のSLIKの微動雲台を介してこちらにWXを搭載しています。

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この形態では経緯台搭載物全体の重心がやや高く、仰角を上げた時にZERO経緯台の上下軸フリクション調整ノブを目一杯締め付けても手前側に全体がおじぎしてしまう動きが止められなかった事から、経緯台のフォークアームとL字プレートの間に引っ張りばねを(長さ6cm、10mm径)を2本入れる事で支障の無い動作が可能となりました。ZERO経緯台は拡張性を考えてあちこちネジ穴が設けられていますが、今回はその構造に助けられました。

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この双眼鏡の実視界は3.3度となっており、散開星団を観望するには正に打って付けの広さで、この場合ファインダー代わりともなるWXとの相性は抜群です。WXの9度の視界で俯瞰した景色を楽しんでそこで見つけた気になる天体を20x80で拡大して観察するこの観望スタイルで期待通り楽しめる天体の幅が大きく広がりました。

以前は自分的に天体観望用の双眼機材は対空式に強い拘りがありましたが、WXの導入により直視双眼鏡が自分の中で解禁となった事で思わず増やした双眼鏡でしたが、直視双眼鏡は口径の割に軽くアイピースを着脱する手間なども不要ですので他の観望機材に比べれば格段に設置撤収が楽な上に、この双眼鏡が見え味に良像範囲に製造品質も購入前の予想より大きく上回っていた事で、これであればこの双眼鏡単体でも十分に楽しめそうで今後お手軽機材として使用する機会も増えそうです。

その後フィルターの装着を可能にしました。

賞月観星 UWA16mm [天文>機材>アイピース]

R200SS-BINOで使用するアイピースは現在UW9mmSSW14mmXW20SWA32mmの4本となっていて、一方APM12cm双眼で使用するアイピースはXWA9mm→SSW14mm→XW20と言った具合で使用するアイピースをなるべく共通化していましたが、先日APM12cm双眼用の最低倍率用のアイピースをES24mmに変更した事で倍率の間隔的にXW20、SSW14mmが使い難くなったと感じた為、悩んだ結果XWA9mmとES24mmの間を埋めるのに適した焦点距離、見掛け視界のアイピースとして採用したのが今回のアイピースです。

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アイピースはなるべく複数機材間で使い回すのが自分の信条でしたが、R200SS-BINOとAPM12cm双眼で最低倍率用のアイピースを共通化出来なかった事でそれぞれ別個のラインを保有する事になり、結果として更にアイピースが増殖する事になりました。つくづく我ながら度し難いと思います(汗。

それはさておきこのUWAアイピースは結構歴史の長いアイピースで自分の知る限りではWO(WilliamOptics)のUWANアイピースが最初で焦点距離ラインナップは4mm/7mm/16mm/28mmとなっており、この後笠井でUltraWideAngleシリーズとして同等品が販売されました。これがもう10年以上前の事です。

WO UWANシリーズ
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笠井 UWAシリーズ
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そしてこれらのアイピースが一度市場から姿を消して暫くした後、装いを新たに賞月観星やアイベルから再販売されたのが今回のUWAアイピースと認識しています。海外でもMeadeや米オライオンなど多数のディーラーからも同じスペック、似たような外観のアイピースがリリースされており、恐らく世界中で姿形を変えて販売されている中身は同じOEMアイピースなのだろうと推測するところです。

見え味ですがSWAアイピースもそうですが息の長い中華アイピースはやはり基本性能は高いものが多い印象で、今回のUWA16mmもAPM12cm双眼(F5.5)で星を見る限りでは星像も周辺像も良好(良像範囲は9割~)で普通に不満無く使えるアイピースの印象です。賞月観星の商品説明ではナグラーType6の性能を目指したと書かれていましたが、ナグラーにはType5の16mmが既に存在していますので当初こちらのコピーでは?と自分的に推測していましたが、実物を見てアイレンズの大きさがナグラー16mmより一回り大きく、アイレリーフも長く、外観寸法も異なり、そもそもレンズ構成が4群7枚とナグラー16mmの4群6枚と違っていますので確かにこれはType6の16mm版と言える意欲的なアイピースの様に感じました。視野最周辺像はやはりナグラーが上回る印象ですが、覗き易さはこちらが上回っている様に感じます。

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このアイピースはアメリカンサイズで80度クラスの見掛け視界を持つ条件で最大限の実視界を確保したいと考えた場合最有力となるアイピースで(WS20mmと言う例外がありますが短焦点鏡筒との組み合わせでは周辺像は崩れが大きく、またピント位置が大きく手前側のアイピースの為双眼望遠鏡では合焦しません)、ナグラーはちょっと手が出ないと考える方にはイーソスに対するXWAと同様、コストパフォーマンスを考えれば買ってまず文句は出ない、正にプアマンズナグラーと呼ぶに相応しいアイピースと言えると思います。

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また最近の大きな動きとしてこのUWAシリーズに焦点距離10mmと13mmが新たにラインナップに追加されました。中華アイピースで一度リリースしたシリーズに追加のラインナップが入る事は稀な事だと自分は認識していましたので、これはこのシリーズの優秀さ、評判の良さを示す証左と言えるのかも知れません。

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Nikon WX10x50 その2(自分的運用編) [天文>機材>双眼鏡]

WX10x50を自分なりに使い勝手が良くなるように幾つか手を加えた部分を以下にご紹介します。

《ストラップ》
WXは購入以前は三脚使用前提の運用しか考えていませんでしたが実際に手にしてみて手持ちでも十分に使えると感じた事からやはりストラップを付ける事にしました。但し今回は標準付属のものは敢えて使用せず、たまたま家にNikonのカメラ用?本革ネックストラップが余っていましたのでこちらを使っています。スリムな形状なので嵩張らずに使い勝手は上々です。

《フード》
WXの鏡筒先端部にはφ55mmのネジが切ってありますが、この先端部から対物レンズまでの距離が結構近く、うっかりレンズに触ってしまう事を防ぐ為にハクバのレンズフード(KMH-55)を装着しています。レンズ保護が第一の目的ですが、結露防止の効果も兼ねています。

《キャップ》
対物/接眼レンズキャップは純正で革製のものが付属していますが自分的にはどうにも使い勝手が悪く感じ、対物側は上のレンズフードを付けるとフード先端がφ58mm径のネジとなる事から、ここにカメラ用の同径のレンズキャップを装着しています。接眼側は純正キャップを紐で本体に括り付けていますがこちらの具合は上々です。

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《フィルター》
対物レンズ側にネジが切ってある双眼鏡にフィルターを付けない手はありませんので通常の天体観望用としてケンコーのスターリーナイトフィルターのφ58mm径を導入しました。スターリーナイトフィルターは撮影用のフィルターの名目ですが、透過特性グラフを見る限り所謂ムーン&スカイグローフィルターと同等品ですので、眼視用として使っても全く問題がありません。当初保護フィルターを付けようかと考えたのですが、それであればムーン&スカイグローフィルターは主に光害カットの効力があり、天体に悪さをしないフィルターですのでこれをWXでの天体観望でのデフォルトとしています。

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またUHCやOIIIを使うケースも想定して58mm→48mmのステップダウンリングを調達しフード先端に取り付ける事で2インチフィルターを装着可能としています。対物口径50mmに対して2インチ(φ48mm)径のフィルター装着でケラレが発生しないかは気になる部分でしたが問題無さそうです。

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《ヘッドレスト》
この双眼鏡での手持ち観望は可能、むしろこの見え味を手持ちでも味わえる事がこの双眼鏡の大きな魅力、醍醐味とも感じたので、より快適に手持ち出来る方策としてヘッドレストを自作しました。

スワロフスキーのフラッグシップ双眼鏡のNL Pureには振動対策でヘッドレストが純正オプションで用意されており、WXにこのヘッドレストが付けられないかと色々考えましたが良い方法が思い付かず、汎用のアリガタ、アリミゾの組み合わせで同等の機能の実現を試みました。

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純正三脚アダプターTRA-5は大きく2つのパーツから構成されており、この二つを接続するネジを長いものに交換して長さ20cmの(ファインダー)アリガタを装着、ここにアリミゾを介して額にあたる部分のアリガタを取り付けています。アリミゾのスライドによって額に接触する位置は前後に調整可能となっています。

汎用パーツの寄せ集めにしては具合は上々で、手持ちによる観望ではこれまで目の周り(2点)で支えていたところをこのヘッドレストの追加で3点で保持出来るようになり、目に掛かる重量負担が軽減され(特に高い天体を覗く時)視野の安定性が向上し、より長い時間でも手振れを抑えた観望が可能になりました。

《三脚》
当初架台はAPポルタ高さ調節機能付き椅子で間に合わせるつもりでしたが、高い仰角で苦痛を感じずに覗く為には双眼鏡側のきめ細やかな高さ調節が必須と感じこれにはエレベーター式三脚が必要と判断、自分的にカメラ三脚には殆ど知識がありませんでしたが、有名メーカーでハンドルで昇降可能なエレベーターが装備された、耐荷重が10kg程度あり、且つ中古で数万程度と言う条件を満たしたこのマンフロットの三脚(475B)を手に入れましたが想像以上に具合が良く、これで問題無く覗けるようになりました。と言っても椅子に座りながらでは仰角6~70度程度まででしょうか。

《架台》
475B三脚は3/8インチカメラネジで接続する三脚でしたので、このネジで接続出来る架台が必要でしたが、自分的には相変わらず架台には手動微動が必須と考えていた為、またWXを載せるとなるとそこそこ耐荷重のある架台が欲しかった事から、在庫払底直前にとりあえず確保していたものの使い道が定まっていなかったスコープテックのZERO経緯台が正にこの条件に合致していて、微動ハンドルの動きがスムーズさに欠ける印象ですが、本体が軽量でやはり折り畳みが可能と言う点で優れた経緯台で、今ではWXにとって無くてはならない架台となっています。

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《L字プレート》
架台と双眼鏡を結ぶL字プレートはケンコーのSky Explorer L字ブラケットを採用。かなり小型のL字プレートなので幅的にWXを載せられるかが微妙でしたがぎりぎり大丈夫でした。

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《ケース》
ケースは純正アルミケースがかなりごつくて嵩張ると感じ、もっと手軽に持ち運べるケースが欲しいと考えて、結果天文界隈では有名なK NebulaさんのHPで紹介されていたアウトドアケース、B&W Type4000を自分も選びました。このケースは三脚アダプターを取り付けた状態のWX(フード付き)を収納する場合、横幅と高さが本当にジャストで(ヘッドレスト装着状態でもかなりきつきつですが入ります)奥行きには若干余裕がありますが、そこにはフィルターやL字プレートなどのアクセサリーの収納場所として有効活用出来、造りもしっかりしていて見た目もカッコ良くて満足しています。

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手を加えたのは大体この様なところでその後WXの運用を続けた感想ですが、使用方法として三脚使用か手持ちかの割合は2:8位で当初の予想より遥かに手持ちでの出番が多いです。ちょっとあの天体を見たいな、と感じた時にひょいと持ち出して、この本格的な見え味を味わえるのは労力に対するリターンと言う点では自分所有の機材ではトップに君臨する存在だと思います。遠征時にもこの双眼鏡一つお供させるだけでその日の観望の楽しみの幅を大きく広げてくれるとても有難い存在となっています。

手持ちで一度に覗いていられる時間は2、3分位かと思いますが、2、3分あれば一つの天体を導入して鑑賞、堪能するには十分で(個人的に)、間に休みを入れながらこのサイクルを繰り返す事で特に疲れを感じずにいくつもの天体を眺めていく事が可能です。勿論三脚を使用すれば星図(SkySafari)を片手にこの双眼鏡の視野が既にファインダー相当の(むしろそれ以上の)広さですのでスターホッピングで思うがままに星空巡りをする事が可能となり、この様にして使っているとこれは双眼鏡のカテゴリーを超えた超広角直視双眼望遠鏡と呼んでも差し支えない機材だと感じます。

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見え味も見る度にうっとりとする眺めで特に透明感が素晴らしく、とにかく視野に見える星の数が他の機材より多く見えるように感じ、超級の視野の広さと相俟って天の川に浮かぶ複数のメシエ天体を一網打尽にするようなこの贅沢な見え味(それも双眼で)は他の機材では味わえない点で、究極のRFT(リッチフィールドテレスコープ)とも言っても過言ではない天文機材と言えるかも知れません。

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SVBONY SV152(SWA20mm70°十字線アイピース)+自作3cmファインダー小改造 [天文>機材>ファインダー]

これまで自作してきたファインダーには視野の広さ、良像範囲の広さを最優先していた為フラット系長焦点広角の通常観望用のアイピースを使用していましたが、ファインダーには一般的な十字線が入っていなかった事から高倍率の惑星の導入には苦労する事が多く、視野の中心に目見当で対象を持ってくる導入方法では視野から外れている事も少なくなかった事から、3cm自作ファインダーに十字線入りアイピースの組み合わせを今回試してみる事にしました。

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このSVBONYの製品の中身は中華定番アイピースのSWA20mm相当(見掛け視界70度)と思われ、今回ファインダー(F4.3)で性能を確認したところ、UF24mmの時は良像範囲は8割程度だったのに対してこちらは7割程度、SWAアイピースはフラット系ではないので良像範囲を超えた部分の崩れもUFより大きいですが、レンズ枚数が少なく(UFが5群8枚に対してSWAは4群5枚)倍率もUFより若干高いせいか良像範囲内の星は綺麗に見えて微光星も多く見える様な気がしました。

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このアイピースが周辺像の崩れが多少大きくても惑星導入目的では何の不都合も無く、DSO導入用としてもこのファインダーとの組み合わせでは倍率6.5倍、実視界は10.8度と十分に広い視野が得られるので問題無く使える印象です。但し一つ注意点としてはアイピース本体とバレル間に暗視野照明装置を組み込んでいる構造の為かピント位置がかなり手前側となっていて以前のファインダー構成ではピントが出ず、ダイアゴナルと31.7mm径スリーブの間のM42延長筒を短縮させる必要がありました。

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その一方でこのアイピースは回転ヘリコイドも組み込まれている事からアイピース側でピント調節が可能となっており、今回のファインダーは合焦機構を省いていてアイピースの抜き差しでピントを合わせていましたのでその点では相性が良いです。レチクルの形状はシンプルな十字線ですが期待通り惑星の導入が格段に楽になって満足しています。

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ミニボーグ50-Hα太陽望遠鏡 [天文>機材>望遠鏡]

ミニボーグ45EDIIを使用したHα太陽望遠鏡で双眼装置を使用して観望する場合、バローを挟む都合で倍率が高くなり40mmのアイピース使用でももう少し低い倍率で観たいと感じる時が少なくなかった事から、対物レンズをより短焦点のミニボーグ50に換装しました。

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また従来の構成ではピント合わせにM57ヘリコイドLIIIを使用していましたが、これを対物側に置いてもエタロンが重く、接眼側に置いても双眼装置が重く動きが渋いのがストレスでしたので、今回フォーカサーもMMF-1に換装させたところ圧倒的に動きがスムーズで余裕があり、ストレスの無いピント合わせが可能になりました。今回の構成は以下の様になっています。

・Coronado SolarMaxII-40mmダブルスタック用フィルター
・Coronado SolarMaxII-40mmメインフィルター
・BORG ミニボーグ50対物レンズ【2050】
・BORG DZ-2【7517】+Vプレート80S【3165】+笠井DXファインダー台座
・BORG MMF-1【9857】
・Coronado BF5ブロッキングフィルター

鏡筒部分のボーグパーツは3つのみとほぼ最小(最短)構成となり、全長が以前より短くなった事で対物の先にあるエタロンのチューニングダイアルへのアクセスが容易になり、双眼装置も従来のMk-VからNikon顕微鏡用に交代して重量が軽くなった事で使い勝手も大幅に向上しました。

この構成にNikon双眼装置との組み合わせで最も倍率が低くなるバローを手持ちのものから調べたところMeadeの2xバローが最適で、これで拡大率が約3.8倍、AH40mmとの組み合わせで約24倍まで倍率を引き下げる事が出来ました。

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この組み合わせで期待通りに太陽像は大幅に小さくなり、双眼装置を使用しても十分な明るさで観望出来るようになりました。逆に今度は40mmアイピースでは若干小さく感じる様になり、TV PL32mmがより具合が良く、もうちょっと倍率を上げても良い感じですがとにかく見易くなり、PSTやソーラーマックス40鏡筒の焦点距離が400mmなのに比べてミニボーグ50の焦点距離は250mmですので、口径40mmのダブルスタックHα太陽望遠鏡で双眼装置を使用した太陽像としては他では出ない俯瞰した低倍率が出せているかも知れません。

Nikon WX10x50 その1(ファーストインプレッション編) [天文>機材>双眼鏡]

ざくたは激怒した。必ず、かの双眼鏡の王を手に入れなければならぬと決意した。ざくたには経済がわからぬ。けれども値上げに対しては、人一倍に敏感であった --『ポチれざくた』より冒頭の一節

自作の双眼望遠鏡は市販の双眼鏡に比べれば設計の自由度が高いので自分にとって至高のスペックの機材を追い求める事が出来る点が魅力的で、この中で低倍率広視界観望用途の自分なりの完成形として作り上げたのがミニボーグ55FL-BINOでしたが、このBINOの構築中、常にその向こう側に見え隠れしながら様々思考を巡らせても自作ではどうしても届かないと脱帽せざるを得ない、究極のスペックを実現したこの双眼鏡の値上げの報を聞き居ても立ってもいられず過去最高高度からの清水ダイブをキメてしまったのでした。

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この双眼鏡の究極と言える部分は、10x50のスペックで実視界9度の広視界、見掛け視界90度の超広角でありながら視野最周辺までの良像を実現している点で、例えば55FL-BINOにUF30mmの組み合わせも見掛け視界72度の広角で良像範囲ほぼ100%を実現した自分としては完成度の高いBINOと自画自賛していましたが、WXはこれを圧倒する見掛け視界に加え実視界をも上回り、瞳径も5mmと個人的により天体観望に適した(バックグラウンドが暗く、コントラストが良く、乱視の影響も出難い)スペックである事も大きな魅力でした。

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このスペックを実現する上で要となるのはやはりアイピースではないかと個人的に思いますが、WX10倍のアイピースのスペックを推測するならば対物レンズの焦点距離が200mm(F4)でアイピースの焦点距離を20mm、見掛け視界を90度と仮定すれば瞳径は5mm、倍率10倍で実視界は9度となりこの双眼鏡のスペックと一致します。仮にアイピースがこのスペックとして絞り環径を算出すると、

[視野環径]=[見掛け視界] × [アイピースの焦点距離] × π/180

より

90×20×π/180≒31.4mm

と算出されます。これはイーソス17mmの公称値29.6mmを上回り(あくまで仮定ですが)、イーソス17mmは鏡胴径が62.5mmと双眼用として使うにはやや太いのに対してWXのアイピース部分の鏡胴径は58mmに抑えられている事や、短焦点対物と超広角アイピースとの組み合わせと考えればこの見掛け視界で周辺までピンポイントの良像範囲を実現しているとなれば正に驚異的な設計と言えると思います。

恐らくこの性能はアイピース単体では実現は難しく、対物レンズやプリズム、フラットナーも含めたトータルの設計で生み出されていると考えればWXの為だけのオーダーメイドの(=通常のアイピースの様な販売数が見込めない)アイピースとも言え、更に双眼鏡なので2本必要と考えればアイピースだけで3、40万しても不思議ではない気がします(因みに現時点でのイーソス17mmの販売価格は一本148,500円となっています)。

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もしかするとこの様にアイピースだけ切り取って語っても意味が無いかも知れず、EDレンズを片側鏡筒だけで3枚使用していたり、Nikonの開発ストーリーを読むと最も開発に苦労したとエンジニアが口を揃える大型、高精度のアッベケーニッヒプリズムを採用している事なども考えればトータルの製品価格としてはやはり今の価格は妥当なのだろう(むしろ安いのでは?)と考えるところです。

スペックだけでなく見え味の点でも最高となるようにコーティングや迷光対策などの面でも惜しみなく技術が投入されており、防水設計は勿論、耐久性、耐候性を考慮しつつ限界まで軽量化された筋肉質なボディに窒素封入とおよそ現時点で考えられる性能向上の要素がふんだんに盛り込まれ、日本が世界に誇る光学機器メーカーのNikonが正に威信を掛けて開発した究極と呼んでも差し支えない双眼鏡と言えると思います。

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実物を手にした第一印象は、あれ?軽い?と手持ちでの使用を毛頭考えていなかった自分でしたが想像するより遥かに軽く感じ、公称重量2.5kgとの事でかなり身構えていましたが両手で持てば普通に眺められ、本当にこれ2.5kgもあるの?と思う程です。目玉を包み込むようにフィットする見口の形状が非常に優れており、恐らく手で持った時の前後バランスが絶妙でとても持ち易く、覗いている時の振動は10倍とは思えない程安定しています。

見え味に関してもやはりこの視界の広さは本当に圧倒的です。但し最初にこの双眼鏡を覗く前に一つ強くお勧めしたいのは他の普通の双眼鏡を直前に覗いてから見比べる事です。と言うのも望遠鏡のアイピースには既にナグラーやイーソスと言った超広角のものが出回っていますので、そうしたアイピースを見慣れている人であればうん、すごい程度で感動が薄くなる可能性があります。この双眼鏡の凄さが分かるのは他の双眼鏡を覗いた時で、WXを覗いた後に例えば自分の場合プリンスED6.5x32を覗くと(この双眼鏡も見掛け視界65度の広角です)うげっ狭っ!とその狭さに逆にびっくりします。普通の双眼鏡を覗いてから改めてWXを覗いて初めてとんでもない双眼鏡だと気付かされます。その意味ではやはり異次元の見え味です。

スペックだけを追い求めると疎かになりがちな覗き易さの面でもこの双眼鏡は特筆すべきものがあり、望遠鏡用の広角アイピースでは星見に最適化され昼間に使用すると目位置にシビア、ブラックアウトがし易いものも少なくないですが、この双眼鏡では当然かも知れませんが昼間の使用が想定されており、この見掛け視界から考えればとても目位置に寛容と言えると思います。勿論目位置をきちんと合わせずに視野をギョロつかせるとビーンズエフェクトは発生しますが、6段階のクリック付きターンスライド方式のアイカップがとても良く出来ており、きちんと合わせればとても快適に覗く事が出来ます。裸眼で近視気味の自分は3段目で使用していますが、見口を一番縮めれば眼鏡使用でも全視野が見通せるアイレリーフも持ち合わせており、アイレンズが凹んでいるので眼鏡と接触する心配もまずありません。

画質面でもやはり非の打ちどころが無く、透き通った歪の無い映像で眼前が満たされる印象で没入感が半端ではありません。自分的にはミニボーグ45ED-BINOから始まる低倍率広角のBINOを自作してきて、実/見掛け視界の広さと良像範囲の広さを両立させる対物レンズとアイピースの選択には本当に苦労させられたので、WXがこれらを凌駕する視界の広さでありながら隅々まで星が点に見える事は覗いていて本当にすごいなーすごいなーと言う言葉しか出てきません。正にマニアを唸らせる、と言うよりマニアこそ黙らせられる、そんな双眼鏡かも知れません。

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この双眼鏡の世間の評判を見るともっと口径が小さくても良いので安く軽くして欲しいとの要望も見受けられますが、この基本設計を踏襲する限り口径を下げても安価にも軽量にもならないと思われ、もし見掛け視界を下げてしまえばアイピースが小型軽量化され、全体のダウンサイジングにも繋がるでしょうが、それではスペック的に他の双眼鏡と競合してしまい、この双眼鏡の魅力が半減してしまう事でしょう。

またこの双眼鏡の開発ストーリーを先のニコンのHPで見ると開発には天文好きのエンジニアが多く携わっており、開発陣がこの双眼鏡での天体観望を強く意識していた事が窺われ、口径的に天体用には50mmは欲しいと言う想いがあったのだろうと、逆にこれ以上口径大きくしてしまうと手持ちの限界を大きく超えてしまう点でこの口径を採用したぎりぎりの判断があったのではと推察するところです。

この双眼鏡を手にしてIFでのピント合わせや重量の面でこれは双眼鏡人口の多いバードウォッチング趣味の方々は恐らく手を出さないだろうと感じ、人口の少なそうな天文趣味それも眼視派をターゲットにこの様な超絶価格の双眼鏡を販売するのはマーケティング的に余りに冒険的過ぎてよく商品化が許されたものだと感じられ、本当にこれは採算度外視(この価格でも)でNikonの開発者の半分趣味で作られたのではないかと、大企業Nikonの創業100周年記念と言う大義が無ければ作る事が許されなかった双眼鏡ではなかろうかと感じざるを得ません。



その2(自分的運用編)に続きます。

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Explore Scientific ES24mm/68° [天文>機材>アイピース]

APM12cm対空双眼鏡がアメリカンサイズのフル口径のアイピースでもケラれない事が分かった事で、最低倍率用に実視界が限界まで取れる長焦点広角アイピースが欲しいと物色した結果手に入れたのがこのアイピースでした。

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アメリカンサイズのフル口径のアイピースと言えば手持ちでTV PL32mm(視野環径27mm)を持っていましたが自分的に惑星観望では狭視界は気にならないのですがDSO観望では耐えられない事が分かり、今回見掛け視界60度以上で極力広い実視界が確保出来る条件で探した結果以下のアイピースも候補となり実際に見比べてみました。

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この条件では以前所有していたTVのパンオプ24mmが見え味において最強である事は多分疑いが無かったのですが、昨今の円安で恐ろしい価格となってしまい(現時点6万6千円)次点候補としてのアイピース選びとなっています。まずは室内環境でミニボーグ50(F5)で見比べたところでは、

・見掛け視界
ES24mm=ハイペリオン24mm>UF24mm>PF-25mm
・良像範囲
ES24mm(80%)>PF25mm(75%)>UF24mm(70%)>ハイペリオン24mm(60%)

APM12cm対空双眼鏡(F5.5)で見比べた印象では、

・良像範囲
ES24mm(ほぼ100%)=PF25mm(同左)=UF24mm(同左)>ハイペリオン24mm(90%)
・星像の良さ
ES24mm>=UF24mm>=ハイペリオン24mm(FPXフィルター使用)>=PF25mm

と言った印象です。

バーダーのハイペリオン24mmは視野絞りがバレル内径一杯を使用しており実視界は一番広く、像質も素直で室内環境では一番中心星像が鋭いと感じたのですが良像範囲は他のアイピースより若干狭い印象で、また難点としてピント位置がかなり手前側のアイピースで、APM12cmではそのままではピントが出ず、笠井のFPXフィルター併用でぎりぎりピントが出ましたがバレル端にフィルターを付けているせいか視野が若干ケラれてしまい、この部分で今回は脱落となりました。

笠井から最近販売されたプレミアムフラットフィールドを謳うPF-25mmですが、他のアイピースと見比べたところ公称値で同じ見掛け視界のUF24mmより少し狭く感じました(60度位?)がその分室内環境では良像範囲が広く感じ、この中では安価ながらフラットフィールド性能は中々高いと感じました。また今回見比べたアイピースの中では圧倒的に軽量で、3群4枚のケーニヒ設計との事ですので恐らくスマイスレンズも入っていませんので双眼装置との相性は一番良いかも知れません。

賞月観星のUF24mmは見掛け視界はES24mmやハイペリオン24mmより少し狭いですがやはりフラットフィールド性能は高く、室内環境では中心像のシャープネスはハイペリオン24mmの方が僅かに上回るかと感じましたがAPM12cmで実際の星を見ると逆転する程像質が良く、視野周辺隅々まで星が点で非常に優秀な見え味と感じました。

上記3種の見比べでUF24mmの見え味が満足行くものだったので採用し掛かったのですが、この後でES24mmの存在をtwitterでアドバイスされて思い出し、今となってはそれ程新しいアイピースでもなかったので大きくは期待していなかったのですが、今回見比べて公称値通りの見掛け視界の広さで、驚いたのはフラット性能の高さで良像範囲はUF24mmよりも広く星像も文句が無く、APM12cmでピントも余裕でこれ程優秀なアイピースが何故これまで話題とならなかったのかが少し不思議に感じる程で、今回環境ではパンオプ24mmの代替として文句無く合格点があげられるアイピースとして即採用となり散財した甲斐がありました。

このアイピースのアイレリーフは公称18.4mmで見口を立てた状態で覗くと丁度良い覗き易さになります。鏡胴径は56.2mmで双眼の使用も問題無く、重量も329gとXW20よりも若干軽量です。

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視野環径の公称値は27.2mmとなっており、パンオプ24mmの27mmよりもより攻めた設計に好感が持てます。これでAPM12cmでは実視界2.47度の視野が得られるようになり、より楽しめる散光星雲、散開星団が増えました。

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Explore ScientificはかつてTVに真っ向勝負のラインナップで彗星の如く現れたメーカーで、現在の製品群は、

・ES52° Series(3mm/4.5mm/6.5mm/10mm/15mm/20mm/25mm/30mm/40mm)
・ES62° Series(5.5mm/9mm/14mm/20mm/26mm/32mm/40mm)
・ES68° Series(16mm/20mm/24mm/28mm/34mm/40mm)
・ES82° Series(LER4.5mm/4.7mm/LER6.5mm/6.7mm/LER8.5mm/8.8mm/11mm/14mm/18mm/24mm/30mm)
・ES92° Series(12mm/17mm)
・ES100° Series(5.5mm/9mm/14mm/20mm/25mm/30mm)
・ES120° Series(9mm)

と言った非常に豊富なラインナップとなっており、中には見掛け視界120度のアイピースや3インチアイピースなどTVを超えるスペックの製品も出しており、広角アイピースの開発に非常に意欲的な姿勢が見て取れます。

今回初めてES製品の実物を手に取りましたが、製造品質は最近中華広角アイピースとしてスタンダードな存在となりつつあるXWA、UWA、SWAと比較すると一段上で、アイピース一つ一つにシリアル番号が刻まれているなど、性能面だけでなく品質面も重視するメーカーの姿勢が窺えます。

残念ながら現在はES製品は徐々に市場から姿を消しつつありますが、中華鏡筒や中華アイピースの安かろう悪かろうのイメージが払拭されつつある今だからこそ、意欲的な高級志向の中華アイピースとして見直されても良いシリーズかも知れません。

12mmクラシックアイピース対決2022 [天文>機材>アイピース]

今回ランキングの評価ポイントは、

1、中心像で惑星(特に木星)の表面模様が良く見えるかどうか
2、周辺像の悪化具合
3、覗き易さ、迷光処理、見掛け視界
4、製造品質

と言った4つの項目を7:1:1:1位の割合で評価しています。前回までは1の中心像の見え味のみで評価していましたが、2、3、4の性能が悪い場合見え味にも影響する事があり、中心像はとても良く見えるけれども他の要因が悪さをして評価の邪魔をする、と言う部分も総合評価に加味する事にしました。

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このランキングを公表する前に強調しておきたい事はランキング的に下の方に位置したアイピースでも問題なく良く見える、決して性能が低い訳ではない、と言う事です。アイピースの見比べ、ランク付けは本人にとっては本当に楽しい作業でこうして結果を公表したくはなりますが、そのせいで特定のアイピースにネガティブな印象を与えてしまったり、評価が一人歩きしてしまうのは望むところではなく、あくまで主観的なランク付けである事は強調しておきたいところです。

また今回のランクの違いを言葉で表現するなら、

・SSランク:極めて良く見える
・Sランク:非常に良く見える
・A+ランク:すごく良く見える
・Aランク:とても良く見える
・A-ランク:かなり良く見える
・B+ランク:普通に良く見える
・Bランク:まずまず良く見える

と言った具合でかなり曖昧、抽象的なものとなり、実際の見え味の違いもこの様な微妙な差でしかありませんが、「良く見える」事が共通している点も強調したいところです。

《SSランク》
TMB SuperMono12mmモノセントリック1群3枚30°31.7mm 
CZJ PK20x(10)アクロマートハイゲンス3群4枚?46°東独 30.0mm
《Sランク》
Brandon 12mmプローセル2群4枚45°米国31.7mm
CZJ 12,5-Oアッベオルソ2群4枚40°東独24.5mm
ZWG Kpl20x37°西独23.2mm
LOMO K20x41°23.2mm
・Leitz Periplan GF20xケルナー?3群5枚?53°?23.2mm
《A+ランク》
Nikon O-12.5プローセル2群4枚45°日本24.5mm
笠井 AP12.5mmアストロプラン3群5枚50°日本31.7mm
笠井 HC-Or12mmアッベオルソ2群4枚42°日本31.7mm
ユニトロン Konig12mmケーニヒ3群4枚40°日本31.7mm
Leica 20x/1255°独?30.0mm
自作 Hastings12.5mmモノセントリック1群3枚°日本31.7mm
《Aランク》
Pentax O-12アッベオルソ2群4枚42°日本24.5mm
Meade SP12.4mm(JP)プローセル2群4枚52°日本31.7mm
タカハシ LE12.5mmアストロプラン3群5枚52°日本31.7mm
国際光器 HD-OR12.5mmアッベオルソ2群4枚42°日本31.7mm
・五藤 MH-12.5mmミッテンゼーハイゲンス 2群2枚43°?日本24.5mm
Kenko 銀色PL12.5mmプローセル2群4枚50°中華31.7mm
自作 Kepler12mm ケプラー1群1枚10°中華31.7mm
《A-ランク》
・谷 Or12.5mmアッベオルソ2群4枚44°日本31.7mm
タカハシ MC Or12.5mmアッベオルソ2群4枚42°日本24.5mm
Celestron Omni PL12mmプローセル2群4枚52°中華31.7mm
Nikon UW20x69°日本30.0mm
・Olympus G20X56°日本30.0mm
自作 Dollond12mm(Ver.K) ドロンド1群2枚20°中華31.7mm
《B+ランク》
EO RKE12mmリバースドケルナー2群3枚45°米国31.7mm
・GSO PL-12mmプローセル2群4枚50°台湾31.7mm
LongPerng PL12.5mmプローセル2群4枚55°台湾31.7mm
・ビクセン Or12.5mmプローセル?2群2枚43°日本24.5mm
《Bランク》
・Meade MA12mmケルナー2群3枚40°日本?31.7mm

※注1)CZJはCarl Zeiss Jenaの略称です。
※注2)ZWGはZeiss West Germanyの略称です。(勝手に付けました)
※注3)EOはEdmund Opticsの略称です。

《Sランク寸評》
アッベでもないZeissの顕微鏡用接眼レンズのPK20xをランキングトップとする事は当初は躊躇するものがありましたが、最近アイピース好事家の間で長焦点ハイゲンス+バローの高倍率性能が見直される向きもあって、スマイス入りのアクロマートハイゲンスとも言えるこの接眼レンズを自分の眼を信じてトップに据えたのは間違いではなかったかもと安心しているところです。木星の模様に関しては何度見ても他より良く見えると感じる自分にとってはお宝接眼レンズです。とは言え元は顕微鏡用ですので望遠鏡用として使用すると周辺像が悪化するなど完璧なアイピースとは言えず、その点ではTMBやBrandonは天体用アイピースの完成度として上回っていると感じます。

今回Sランクに入ってきたLeitzのPeriplanは少し気難しいアイピースで望遠鏡との相性が余り良くないのか中心を外れると色が出易いのですが、フローティングエフェクト感のある独特の見え味で中心像は抜群に良く、キャラクターとしてはPK20xに近い印象です。一方LOMOはZeissの描写に近い印象で中心像は一歩及ばないかも知れませんが周辺像が良好で癖が無く使い易い接眼レンズです。

西独ZeissのKplも疑いなく良く見える接眼レンズで中心像はCZJ 12,5-Oに比肩し、トータルバランスでBrandonとLOMOの中間のような完成度の高さがあります。12,5-Oは着色、明るさ、迷光処理の点で多少の減点要素がありますが模様を細かく見せる性能だけはとにかく高く、中心像だけでなく周辺像もほぼ完璧な点が顕微鏡用とは一線を画すところで、経緯台での観望やスケッチで威力を発揮するアイピースです。

《A+ランク寸評》
自作Hastingsは少し手前味噌な評価な気もしますが、レンズそのものは国産のトリプレットで非常に優秀な見え味でこの位置は妥当と判断しています。笠井の2本は12mmアイピースを蒐集し始めた初期から所有しているアイピースですが、本数が増えてもその地位が揺らぐ事が無く、未だに国産トップクラスの見え味の印象です。ニコンOも極めて優秀で、ニコンバイアスが効いているとも言えなくもないですが、とにかくバックグラウンドが暗い、透明感のある見え味は特筆するものがあります。Leicaの20x/12は55度の準広角クラスの接眼レンズの中では一番見えるように感じ、見え味だけでなくアイレンズが大きく目位置にも寛容で覗き易い点も加点要素としました。最近加わったユニトロンのKonigですが予想以上の見え味、特に像のキレが印象的で国産アイピーストップクラスの評価としました。

《Aランク寸評》
ペンタOは国内外問わず非常に評価の高いアイピースでこのポジションにランク付けするのはかなり悩ましいものがありましたが、自分的には木星の模様を見ていてすごく見えると感じますが、ものすごく、までは感じる事が少ない印象でこの位置に落ち着きました。但しこれぞオルソと太鼓判を押せる均一な視野、覗いていてストレスを感じない癖の無い見易さでは傑出しており、PENTAXらしいバランスの良さが天体用アイピースのお手本とも呼べる、今回挙げたアイピースの中で評価基準となる一本を選べと言われたらこのアイピースを挙げるかと思います。

HD-ORは中身は同一かと予想したHC-Orと比べると僅かに差があるように感じましたが、それでも予想通りの高水準な見え味で、現行品で手に入る国産アッベオルソとして誰にでもお勧めできる良質なアイピースと思います。Meade SPとタカハシLEは相変わらずリファレンス的なポジションのアイピースでバランスが良く、覗いていて安心感を感じます。五藤MHはやはりハイゲンス独特のアイレンズの小ささ、アイレリーフの短さが若干足を引っ張っており、あまりレンズに目を近づけたくない自分的には見ていてややストレスを感じるところもありますが、見え味に関しては文句を付けるところはありません。

ケンコー銀色PLもバランスの良い見え味で製造品質も悪くなく、性能が十分ながら中華製で多少雑に扱っても良い観望会向けのアイピースとしてこれまでOmniPLを主に使用していましたがその地位はこちらに移りつつあります。自作ケプラーは中心像だけはこのランクより一段上かも知れませんが性能を引き出す条件が他のアイピースより厳しい点、そして余りにも狭い見掛け視界も覗く意欲を失わせるところで減点しています。

《A-ランク寸評》
谷オルソとタカハシMC OrはAランクと比べると描写が若干大人しい(強いて言えば立体感の乏しい)印象でこの位置としました解像度の高い高性能アイピースである事に疑いの余地はありません。ニコンUWはこの視野の広さと見え味の良さをバランスさせている点に改めて凄いと感じさせる接眼レンズで顕微鏡用に手を出して一番の当たりだったと思う程気に入っています。天体用アイピースでこの接眼レンズの真似が出来る製品が見当たらず、ニコンの顕微鏡用接眼レンズ開発に懸ける本気度が伝わってくるようです。オリンパスG20Xも海外の準広角顕微鏡用接眼レンズと比べると周辺像の崩れは少なく中心像も良好で、バランスの良い使い勝手の良さが好印象です。自作ドロンドは3種類程自作しましたが、このケンコーの銀色PL6.3mmを使ったこのVer.Kが一番良く見えると感じ、このポジションとしましたが、やはり見掛け視界の狭さが足を引っ張っています。

《Bランク寸評》
RKEは歪曲が顕著で、視野周辺で木星が楕円に大きく歪むのが見る度に気になるのでこの位置としましたが、それでも中心像は問題無く良く見え、ユニークな設計も魅力的な個人的にお気に入りのアイピースです。LongPerngプローセルも惑星の観望においては周辺の歪曲が少し気になる印象ですが中心像は良好で、特筆すべきは広角プローセルながら周辺の星を点に見せる性能が高い点で、ここは同じ準広角でも歪曲の補正に重点を置いた顕微鏡用とは設計思想の違いを感じさせる部分で、惑星は元よりDSO向きの準広角クラシックアイピースとして活躍する場面も少なくありません。

GSOやビクセンOrも問題なく見えますが、悪く言えば平凡な描写で個性に乏しく、自分の中では積極的に使う理由が余り見当たらない点でこのポジションとしましたが、普通に良く見える真面目に作られた良質なアイピースですので手元に残っており今回のランキングに入れています。MA12mmは個体差が大きく感じられ軸が中心に出ておらず双眼では調整しないと見え難い点、ゴーストが目立つ点など完成度が今一つと感じますが中心像そのものは問題は無く、真面目にケルナーの改良を試みた意欲的な設計でたまに覗いてみようかと思わせるこちらも不思議な魅力あるアイピースです。

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最近の天文twitter眼視勢の動向としては宝石鑑定用などのルーペのアイピースへの流用が静かなブームとなっている模様です。自分も食指が動いたのですが顕微鏡用接眼レンズの20倍は焦点距離12.5mm相当ですが、ルーペの焦点距離は「250mm÷(倍率-1)」ですので20倍のルーペの焦点距離は約13.2mmとなってしまう為手が出せず仕舞いでしたが、こうした他の分野の拡大レンズを天文用に流用する事で思わぬ発見をする事があり、アイピースの可能性を広げる試みとも言えますので自分も固定観念に囚われず、こうした貪欲な姿勢を見習いたいと思うところです。

火星デジタルスケッチ2022/12/02+片持ちフォークSP赤道儀のプチ改良 [天文>デジタルスケッチ]

今回の火星接近は前回よりも仰角が上がり、自宅2階ベランダからでは屋根の上に位置してしまい満足に観望出来る機会が中々訪れない日々が続いていましたが、そうこうしている内に最接近(12月1日)を過ぎてしまい、これはもううかうかしていられないとこの日外に望遠鏡を出したところまずまずのシーイングでかろうじてスケッチを取る事が出来ました。

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最接近時の火星であれば輝度が高いですのでもう少し倍率を掛けられた気もしましたが、それでも北極冠(→すみません北極雲との事です)から垂れ下がるように見えるアキダリア平原、子午線湾、ペルシャの海、オーロラ湾と言ったこの辺りのメジャーな地形が確認出来ました。但し今回観望の前にステラナビゲーターで見える地形を事前に確認しており、これ無しでいきなり見ても地形の判別は難しかったかも知れません。逆に言えば予習をする事でそれ程大きいとは言えない今回の火星でも十分に見えを楽しむ事が出来、知識と経験でそれまで見えなかったものが見えてくる天体観望の醍醐味を味わえた気がします。

今回使用した機材の面では架台に片持ちフォークSP赤道儀を使用し、この架台は北側を見る事が出来ないベランダ限定の機材と考えて構築しましたが、黄道は南天を通っていますので惑星を自動追尾したい目的で使うのであればベランダに限らずに使用しても不都合は生じず、やはりバランスウェイトを使用せずに済むので総重量が軽く、それでいて赤道儀としての運用(自動追尾)が可能な部分が本当に便利で助かっています。

また今回プチ改良として片持ちフォークのオフセット量を(画像の青い)アリガタを挟む事で増やしてTSA-120使用時のバランスの崩れを低減させました。

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これまではTSA使用時は向きによってはバランスの崩れが大きく微動に負担が掛かっている感触がありましたが、今回改良で東から西までスムーズに動作するようになり、今後より気持ち良く使う事が出来そうです。

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自作 口径30mm実視界12度対空正立ファインダー [天文>機材>ファインダー]

笠井のガイドファインダーにUF24mmを組み合わせてもケラレ無い事が判明したので、これと恐らくプリズムは同じダイアゴナルを使用している自作3cmファインダーにUF24mmを組み合わせれば更なる視野の拡張、像質の向上が見込めるのでは?と思い再構築してみたのが今回のファインダーです。

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当初このアイピースの組み合わせでは光路長が厳しいと考えていましたが、これまで合焦機構にネジ回転式を採用していた拘りを捨てて、ピント合わせは31.7mmスリーブに対するアイピースの抜き差しで対応する事にしましたがアイピースの交換はしませんのでこれで何の支障も無く、合焦機構を省いた事でよりシンプルな構成とする事が出来ました。

今回のパーツ構成は、

《フード部》
・M42-M37ステップダウンリング
・M42延長筒30mm
・M42延長筒30mm
・M37-M42ステップアップリング

《対物レンズ部》
・M32-M37ステップアップリング
・MoreBlue FG004-ガイドスコープ(対物レンズ部分)
・M30-M42ステップアップリング

《台座兼回転装置部》
・M42-M39全ネジアダプター
・BORG M42回転台座【4520】

《ダイアゴナル部》
・M28-M42ステップアップリング
・WO 31.7mmNew90°正立プリズム(本体部分のみ)
・M28-M42ステップアップリング

《アイピース部》
・M42延長筒10mm
・M42全ネジアダプター10mm
・M42→31.7mmスリーブ変換AD
・UF24mm

となっています。

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この組み合わせで倍率5.4倍、そして実視界は12度まで拡張され、実視で確認してもオリオン座の下半分(三ツ星からリゲル、サイフまでの範囲)はすっぽり収まっていますので計算通りの視野が確保出来ています。期待通り焦点距離24mm見掛け視界65度のアイピースでもケラレは発生しておらず、良像範囲も8~9割となり、瞳径も下がった(5.5mm)事で更に覗き易く、前作よりかなりのパワーアップを遂げる事が出来ました。

重量は約1120gと3cmファインダーとしてはやや重くなりましたが、対空正立で12度の実視界となると小口径のデメリットはより感じる事は少なくなり、理想のファインダーにまた一歩近づいた気がします。

自作可変バローレンズ Ver2.0 [天文>機材>バローレンズ]

以前自作した可変バローレンズですが中々按配が良く、より使い易くする為に筒の伸縮をヘリコイドで行うように改良してみました。但し構築した後(ブログを書く段階)で気づいた事ですが、この自作バローは焦点位置が大きく後退し、FL90S-BINOでは問題無く合焦しますが、バックフォーカスに余裕がない他のBINOでは使用出来ない事が分かりましたので汎用性は高くないかも知れません。

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今回使用したヘリコイドはR200SS-BINOの接眼部に使用しているものと同じ物で全長は36mm~90mmまで可変、ストローク量は54mmとこれまでの拡大撮影アダプターを使用したものよりも伸縮量が多く、最小短縮時は前回よりも短く、最大伸長時は前回より長くなるように全長をM42の延長筒で調整しました。構成は対物側から、

・SVBONY2倍バローレンズ(先端部)
・31.7mm→M42アダプター
・M42延長筒(30mm)
・M42中華ヘリコイド
・M42延長筒(5mm)
・M42→31.7mmアダプター

となっており、直径もφ60mmと双眼での使用も問題ありません(目幅60mm以下の方スミマセン)。ここで例によって室内環境で拡大率を測定してみました。

《バロー無し(等倍)》
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視野円の直径は約86.4mm

《ヘリコイド最小短縮時》
blw-vrhlcl2-df.jpg

視野円の直系は約29.2mm、
よって拡大率は、86.4/29.2mm=約2.96倍

《ヘリコイド20mm伸長時》
blw-vrhlcl2-10m.jpg

視野円の直系は約26.0mm、
よって拡大率は、86.4/26.0mm=約3.32倍

《ヘリコイド40mm伸長時》
blw-vrhlcl2-20m.jpg

視野円の直系は約24.2mm、
よって拡大率は、86.4/24.2mm=約3.57倍

《ヘリコイド最大伸長時》
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視野円の直系は約23.0mm、
よって拡大率は、86.4/23.0mm=約3.76倍

12mmアイピース使用時はこのバローレンズを使用で3.19mm~4.05mm相当で使用する事が出来ます。

因みに我が家でこれより焦点距離の長いBINO用のアイピースはXWA9mmSSW14mmXW20が定番なのですが、XWAと12mm+バローの間の5mmクラスのアイピースが欲しいと感じる時があり購入を検討していましたが、ふと手持ちのアイピースで出番の少なかった笠井EWV-16mmをこのバローに組み合わせると凡そ5mm相当(4.26mm~5.41mm)のアイピースとして使える事に気づき、見掛け視界も85度と文句無く、スマイスレンズは入っていないのでバローとの相性も良好と、元々この自作可変バローは12mmアイピースを惑星観望用の短焦点にするのが目的でしたが、EWV-16mmとの組み合わせも超広角のナグラーズームの様に使えるのが想像以上に便利で、DSOの観望用途でも今後活躍してくれそうな気配です。

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メシエ天体クイズ Ver1.1 [天文>Webツール]



<<メシエ天体クイズ>>
メシエ天体に関する問題を出題します。
正しいと思う回答を選択肢から選んでください。

◆設問内容
カタログ番号 
星座
明るさ
大きさ
距離
名称
種類

◆出題数


◆選択肢数
 
開始するには下のSTARTボタンを押下して下さい。





《制作の経緯と出典》

自分的に天体の情報を知識として持っておく事は、天体観望をより楽しめる事に繋がると考えているにも関わらず、せめてメシエ天体だけでもと思っても中々覚える事が出来なかったので、書籍やネット(もしくは実観望)などでインプットした知識が記憶に定着しているかをテストする環境が欲しいと思い、作ってみたのがこのツールです。

但しこのクイズの設問となっている天体の明るさ、大きさ、距離に関してはデータの出典元、測定基準によってまちまちであり(大きくは違わないと思いますが)厳密な答えではありませんので、凡その天体間の相対的な違いの目安とお考え下さい。これらの3つの設問に対する軽微な回答ミスは余り気にする必要は無いと思います。

今回データの出典は自分で購入したアストロアーツのステラナビゲータ10からとなっています。これは事前にアストロアーツさまに相談させて頂き、何処で何をしたいかをお伝えして、非営利での使用と言う事でデータ使用の許可を頂く事ができました。これは内容によっては許可されない場合もあり、今回用いたデータも二次使用は禁じられていますのでご承知おきください。この他にもステラナビゲータには個々の天体の文章解説など盛り沢山の内容ですので詳しくは是非買って確認しましょう(ダイマ)。

《成績を上げる為に》

全てを一度に覚えるのは大変ですので、覚え易いところから手を付けていくといいでしょう。まずは天体の「種類」を覚えるのが良いと思います。どの様な種類が存在するかはアストロアーツのHP内の『メシエ天体の種類と特徴』がとても参考になります。ここで散光星雲/惑星状星雲/銀河/散開星団/球状星団/超新星残骸と言った天体の種類について覚えましょう。

次にどのメシエ天体がどの種類の天体に当てはまるのかは同じくアストロアーツのHP内の『メシエ天体の分類』ページに分かり易くまとめられています。ここで種類が分かってくると距離、大きさ、等級の大体の目安が見えてきます。

「距離」に関しては近い順に、

・散開星団:数百~数千光年(3~4桁光年)のオーダー
・散光星雲:数千光年(4桁光年)のオーダー
・球状星団:数万光年(5桁光年)のオーダー
・銀河:数百万~数千万光年(7~8桁光年)のオーダー

となっています。散開星団は星団を構成する個々の星々が見える位ですから距離は近く、散光星雲のようなガスが直接見える事も比較的近い(数百~数千光年)事を示しています。一方球状星団は個々の星を判別する事はより難しくなり星の集団でありながら星雲状にも見える事からこれらよりはずっと遠く、銀河系の周辺に分布している天体と考えれば数万光年と言うスケール感がイメージ出来るかも知れません。銀河はもう我が銀河系の外の存在ですので桁違いに遠くなり数千万光年のオーダーとなる事もイメージし易いかと思います。

「明るさ」に関しては、

・散開星団:3~7等
・球状星団:6~9等
・散光星雲:6~9等
・銀河:8~10等

オリオン大星雲(M42)やアンドロメダ銀河(M31)の様な例外もありますが、概ねこの様な範囲だと思います。光害地でも比較的見えるのは散開星団、もしくは球状星団で散光星雲は厳しく、銀河はまず見えないと言った経験則から考えればこの順番も覚え易いかと思います。

「大きさ」に関しては、

・散開星団>散光星雲>銀河>=球状星団

と言ったところでしょうか。散開星団は近いのでやはり他の天体より大きい一方、散光星雲や銀河も暗い割には面積体で大きいものも少なくありません。球状星団は最大でもここでは17分(M22)で概ね10分以下と考えれば絞り込みし易いかも知れません。

種類の次に覚えるべきは「所属星座」かと思います。これはアストロアーツのHP内の『メシエ天体の所属星座別の分類』ページに分かり易くまとめられています。個人的にはMナンバーと星座(種類も)の関連を覚えるには実際にフィールドで導入、観望するのが一番だと思いますが、これらを覚えれば、カタログ番号(NGCナンバーなど)も類推し易くなり、例えばおとめ、かみのけ座の銀河であればNGC4000番台が多く、しし座は3000番台、いて、さそり座の天体は6000番台と言った具合に大まかな関連付けも出来るようになってきます。

個々のメシエ天体のより詳しい情報を参照するにはアストロアーツのHP内の『メシエ天体インデックス』が役立ちます。このページには各メシエ天体の星図や写真も掲載されていますので、位置や形状のイメージを頭に入れるのも有効かと思います。もしこのクイズをする時は同時にこのページを開いておいて答え合わせしていくのも良いかも知れません。

この様に書いている本人ですらまだまだ覚え切れていませんが、検定などにも役立つ部分もあるかも知れませんので、お役立ていただければ幸いです。

※注意事項
PCでの使用を前提としています。モバイル環境では上手く動作しない可能性があります。
・ソースコードの二次使用はご遠慮ください。

※変更履歴
Ver1.1:正答率(%)の表示を追加
Ver1.0:公開


APM 120mmSA対空双眼鏡 [天文>機材>双眼鏡]

FL90S-BINOの構築に伴い口径が近いので手放したAPM10cmセミアポ対空双眼鏡でしたが、こうなるとR200SS-BINOを含めた上位口径のBINOが裏像双眼のみとなってしまった事で、この間の口径で正立双眼が出来る機材が欲しくなり、結果としてAPMの対空双眼鏡が口径アップして戻ってくる事となりました。

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実はSE120双眼やC6双眼の自作などもかなり検討していましたが、自作BINOは運用面で制約や面倒が生じる事も多く、対空双眼鏡の扱い易さは10cmで身に染みて感じていた事もあり、今回は自作は避けて完成品のお世話になる事にしました。

実物をチェックした感想は、まずアイピース交換式の初期の90度対空双眼鏡は口径がケラれているとの評判を聞いた事があり、今の製品ではそんな事は無いだろうと思いつつも気になるポイントでしたがルーペで射出瞳径を測定したところ計算通りで全くの杞憂でした。

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次に接眼部ですが前の10cmでは接眼側の開口径が幾分絞られており、長焦点広角のアイピースではケラれる心配ありましたが、今回はアメリカンサイズ目一杯の開口径があり、自由にアイピースの選択が出来るようになりました。

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今回はアイピース固定の締め付けリングの上端がアイピース当たり面まで来ている事でリングがアイピースの脱落防止溝に入らない設計となっており、10cmの時はリングが溝に入らない様に一工夫する必要もありましたが、今回はその心配も不要となりました。

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一般的にアイピース交換式の対空双眼鏡はバックフォーカスが短く、10cmの頃はピントが出ないアイピースも結構ありましたが、この点に於いても今回の双眼鏡は10cmでは結構ぎりぎりだったXW20SSW14mmなども余裕を持って合焦し、ピントに余裕がある設計に改善されていると感じました。

三脚台座には2箇所の1/4インチカメラネジ間に3/8インチネジが切られており(合計3箇所)、ここには予めアダプターが仕込まれていて1/4インチネジとしても使用可能になっています。ここにアリガタとしてBORGのVプレート125【3125】を取り付けています。

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架台はTマウント経緯台いつものL字プレートを装着しアリガタアリミゾで双眼鏡を着脱するシステムとしましたが強度的な問題はありません。ただ写真では使用していませんが実際の観望では転倒防止の為にカウンターウエイトを装着した方が安心出来るでしょう。また取っ手の部分には付属スポットファインダー取り付け用のネジ穴が2箇所設けられていましたのでここに汎用のファインダーアリミゾをやや強引ですが装着しています。

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視軸に関しては同梱されていた品質保証書?に何mmのアイピースを使って何倍までOKだったかのテスト結果が記載がされており(具体的な数値は伏せます)、自分がこの双眼鏡で使用を想定していた最高倍率(XWA9mm使用で73倍)は余裕を持ってクリアされており、実視でも全く問題はありませんでした。

見え味に関してはまず地上風景を見ると色収差が割と盛大に出ていて、セミアポを称するこの双眼鏡ですが正直何処にアポの要素があるのか分からない印象ですが、像自体はシャープに結像しており球面収差は悪くなさそうな印象です。下の写真はHD-OR12.5mm使用(52.8倍)でスマホでコリメート撮影したものです。

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色収差に関してもこの程度でしたら大口径短焦点アクロマートと考えれば普通ですし、APMの対空双眼鏡にはSDレンズを使用したモデルも販売されていますが、自分的には対空双眼鏡は構造上高倍率は向かない機材の認識でしたので、中低倍率での天体観望が前提であればセミアポ仕様が価格と性能のバランスが取れている様にも感じるところです。

天体の見え味に関してはSQM値21程度の空でM51、M81、M82、M87、マルカリアンチェーン、M22、M28辺りを見た印象では銀河や球状星団は光量のあるR200SS-BINOの方がやはり良く見えますが、網状星雲、M17、M16、M8、M20、M27、らせん状辺りをOIIIやUHCを付けて見ると写真の(を薄くした)様にも見え、Hβを使えばカリフォルニア星雲も視認できる程で、R200SS-BINOが銀河に特化したギャラクシービノとするならば、こちらは屈折のコントラストの高さを活かした散光星雲、惑星状星雲に滅法強いネビュラービノと言った趣かも知れません。

またR200SS-BINOやFL90S-BINOは裏像での観望となるのに対してこの対空双眼鏡では正立像で観望出来る点も大きく期待していた部分でしたが、天体導入においてはファインダーもメイン鏡筒も正立である事で星図との見比べによる視野内の天体の同定が格段に楽で、特徴的で豊かな形状の多い散光星雲は写真で形状が予め脳内にインプットされているものも少なくない事から、実物を見た時の違和感を感じない点もやはり大きなメリットと感じます。

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使用アイピースはXWA9mm(倍率73.3倍、実視界1.36度)、SSW14mm(47.1倍、1.76度)、XW20(33倍、2.12度)辺りがメインで、以前45度の対空双眼鏡では仰角を上げた状態でのアイピースの交換は下に落ちてくるアイピースを押さえつけながら固定する必要があり若干ストレスでしたが、今回90度対空では落下の心配は無く、やはり地上風景を少しでも見るのであれば45度対空(+EDレンズ)の意義がありますが、天体観望専用であれば90度対空が選択として妥当と感じました。

重量は公称9.6kgと10cm(6.4kg)から3kg重くなった程度ですが、持ち上げるのには両手が必要になったり体感では倍以上重くなった印象で、架台もAPポルタでは扱えない点など手軽な機材とは言えなくなったのが少し残念なところですが、12cm口径の屈折双眼と考えれば非常にコンパクトにまとまっていると感じられ、パーツの組み上げや調整が必要な自作のBINOと比べるとセッティングや撤収、運搬などの面で手間が掛からずとにかく扱いが楽と言うのが強く実感するところです。

収納に関しては以前R200SS用に購入したOptics Asiaの30インチケースがこの双眼鏡にもジャストサイズでした。このケースは中を縦に2列に仕切って望遠鏡や三脚を並べて収納する事が想定されており、それぞれの列の機材を固定するベルトが配置されているのですが、これがこの双眼鏡を収納する場合にも左右の鏡筒をそれぞれ固定してケースの中で動かないようにする役目を果たしています。

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全体として以前の10cmと比べるとあらゆる点で改良が施されており、非常に完成度が高い、洗練された機材に仕上がっていると感じました。双眼望遠鏡を自作するのも愛着が湧いて良いものですが、やはり完成品の対空双眼鏡は面倒が無く、双眼望遠鏡の自作は存外お金が掛かる事を考えると割安で手に入れる事が可能で、この様な製品が市販されている事はとてもユーザーにとって有難い事だと思います。

タカハシ MC Or12.5mm [天文>機材>アイピース]

古いツァイスサイズのアイピースでオルソの名を冠していても必ずしもアッベではなくプローセルやケルナーですらオルソとして販売されているものもあった様子で、手持ちの12mmクラシックアイピースで言えばペンタOは改良アッベですが、ニコンOは改良プローセル、ビクセンのOrもプローセルが多い(焦点距離によってはアッベもある様です)事からタカハシのOrはどっちなのだろうかと言う点は気になる部分でした。

アッベがプローセルより必ずしも高性能とは限らないかも知れませんが、やはりアイピース好きの自分としては現在ありふれたプローセルよりも製造難度や希少性も高いアッベに魅力を感じてしまうところがあり、タカハシのOrもアッベである事を期待して調べていたところ、このアイピースを分解している方のHPが見つかってそちらの写真を見るとアッベである事が分かり一安心(?)しました。

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タカハシのOrは、タカハシのメーカーHPによれば、1971年の4月に新型オルソシリーズとして5mm/7mm/12.5mm/25mm/40mmが発売され、その後1972年の6月に9mm/18mmが追加された模様です。更にその後1978年12月にマルチコーティング化されたとの事でこのタイミングで「MC」の名前を冠したのだろうと推察します(ゴム見口を採用したのもこのタイミングかも知れません)。更に1985年6月にはHi-Or2.8mm/Hi-Or4mmがラインナップに追加されたようです。その後新シリーズのLEアイピースが登場してもこのアイピースはしぶとく残り続け、2000年代初頭まで天文ガイドの広告に載っていました。LEも相当なロングセラーでしたがこちらも負けていなかったようです。

今回手に入れたのはマルチコートモデルの方で、「実用 天体望遠鏡ハンドブック(川村幹夫著)」によればMC Orはレンズ全面に6層のマルチコートが施され、ゴースト、フレアの減少、コントラストの向上、清澄な視野の実現と性能アップが図られているとの事で、アイレンズを見ると青緑色の深みのあるコーティングが印象的です。

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見掛け視界の公称値が調べても分からなかったのですが、絞り環径をノギスで測ると約9mmで例によってここから見掛け視界を算出すると約41.3度となり、他のアイピースと覗き比べるとZeiss 12,5-O(40度)より大きく、公称42度のペンタO-12や笠井HC-Or12mmとほぼ同じ見掛け視界ですので、これは42度と言っても差し支えないだろうと思います。

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惑星の見え味は全く自然で癖のない、良質な国産アッベの印象で文句の付けどころが無く、長期間に渡りタカハシ鏡筒の付属品として高性能を引き出す役割を担っていた訳ですから悪かろうはずがありません。ラインナップの内望遠鏡の付属品となっていたのは7mmと18mmが多かった様子で、中古が比較的安価で手に入り易いですので、良質なアッベオルソを手に入れたい方には狙い目かも知れません。

ブランカ150SEDロンキーテスト [天文>機材>望遠鏡]

ブランカ150SEDのロンキー像を撮ってみました。ロンキーアイピースでスマホ(ASUS Zenfone3)コリメートでベガを撮影、シーイングは3-4/10位の条件です。一枚だけの画像では傾向が読み取り難く感じたので、内像と外像を各4枚ずつチョイスして並べました。オートコリメーターの様なきちんとした設備で撮ったものではありませんのであくまでご参考までです。

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これを眺めると全体的に負修正傾向で、輪帯的な縞の歪みも見受けられる気がしますが、ロンキーアイピースの記事にリンクしているジズコHPの縞の見方にも書かれている様に、ロンキー像は望遠鏡の性能を測る「判断材料の一つ」であり、実際に星を見て良く見えるかどうかを判断する方が重要です。自分的にはこの鏡筒で何度も素晴らしい惑星像を観望していますので、多少縞が曲がっているように見えようがこの鏡筒への信頼が揺らぐ事はありません。

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ビクセン屈折鏡筒のSとMとLの基準を探る [天文>日記]

FL-90Sを眺めていてふと思ったのが、この鏡筒はF9で今のご時世では長焦点の部類と思うのですが、それでも型番の末尾に「S」が付いているのが気になり、ビクセンが鏡筒の長さ(F値)に対してSとMとLをどのような基準で割り当てているのか気になったので手持ちのビクセンのカタログを調べてみました。但し今回は主な屈折のみです。

《Newポラリス時代》
・パルサー102M:口径102mm、焦点距離1300mm → F12.7
・ポラリス60L:口径60mm、焦点距離910mm → F15.2
・ポラリス80M:口径80mm、焦点距離910mm → F11.4
・ポラリス80L:口径80mm、焦点距離1200mm → F15
・ポラリス90L:口径90mm、焦点距離1300mm → F14.4
・センサー102M:口径102mm、焦点距離1000mm → F9.8
・サターン102L:口径102mm、焦点距離1500mm → F14.7

・ポラリスFL-55S:口径55mm、焦点距離440mm → F8
・ポラリスFL-70S:口径70mm、焦点距離560mm → F8
・ポラリスFL-80S:口径80mm、焦点距離640mm → F8

《スーパーポラリス時代》
・スーパーポラリス60L:口径60mm、焦点距離910mm → F15.2
・スーパーポラリス80M:口径80mm、焦点距離910mm → F11.4
・スーパーポラリス90M:口径90mm、焦点距離1000mm → F11.1
・スーパーポラリス102M:口径90mm、焦点距離1000mm → F9.8

・スーパーポラリスFL-55S:口径55mm、焦点距離440mm → F8
・スーパーポラリスFL-70S:口径70mm、焦点距離560mm → F8
・スーパーポラリスFL-80S:口径80mm、焦点距離640mm → F8
・スーパーポラリスFL-90S:口径90mm、焦点距離810mm → F9
・スーパーポラリスFL-102S:口径102mm、焦点距離900mm → F8.8

《GP登場期》
・GP-ED80S:口径80mm、焦点距離720mm → F9
・GP-ED102S:口径102mm、焦点距離920mm → F9

・GP-FL80S:口径80mm、焦点距離640mm → F8
・GP-FL102S:口径102mm、焦点距離920mm → F9

アクロは割愛。GP登場のタイミングでFL102Sの焦点距離が900mm→920mmに変更されています。

《2002年カタログ》
・ED80S:口径80mm、焦点距離720mm → F9
・ED102S:口径102mm、焦点距離920mm → F9
・ED130SS:口径130mm、焦点距離860mm → F6.6
・ED102SS:口径102mm、焦点距離660mm → F6.5
・ED114SS:口径114mm、焦点距離600mm → F5.3

・NA120S:口径120mm、焦点距離800mm → F6.7
・NA130SS:口径130mm、焦点距離800mm → F6.2
・NA140SS:口径140mm、焦点距離800mm → F5.7

この頃FLシリーズ消滅。

《2007、2008年カタログ》
・A80SS:口径80mm、焦点距離400mm → F5
・A80M:口径80mm、焦点距離910mm → F11.4
・A105M:口径105mm、焦点距離1000mm → F9.5

・ED81S:口径80mm、焦点距離625mm → F7.7
・ED103S:口径103mm、焦点距離795mm → F7.7
・ED115S:口径115mm、焦点距離890mm → F7.7

ポルタが出てきた頃です。中華(Sf)鏡筒は除外。

《2011年カタログ》
・AX103S:口径103mm、焦点距離825mm → F8

ここから先は大きなラインナップ変更が無く、サンプルとしてはこの程度で良いでしょうか。

上記をまとめてみると、

・L鏡筒のF値の範囲:F14.4~F15.2
・M鏡筒のF値の範囲:F9.5~F12.7
・S鏡筒のF値の範囲:F6.7~F9

SS鏡筒はそれ以下と言った具合で、境目としては大雑把にL鏡筒はF13以上、M鏡筒はF9.5以上、S鏡筒はF6.7以上と言ったところかも知れません。ニュートンやカセグレンであればまた違う基準になっていると思います。今の短焦点写真鏡筒全盛のご時世ではSSS鏡筒の登場もありえるかも知れませんね(^^

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ケンコー Sky Explorer 銀色プローセル12.5mm [天文>機材>アイピース]

12mmクラシックアイピース蒐集で低廉な中華プローセルを加えていく中で、ヤフオクでも頻繁に出品される銀色の外観が特徴的な、相当昔から見掛けるこのアイピースの見え味を確かめてみたくなり今回手に入れてみました。

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このアイピースは海外ではその見た目通り通称「Silver(銀色)」プローセルと呼ばれており、ケンコーやビクセンの安価な望遠鏡の付属品となっていた事でまともに使われずにヤフオクで出品される事も少なくない不遇?なアイピースと言えるかも知れません。

このシリーズの焦点距離ラインナップは6.3mm/7.5mm/10mm/12.5mm/17mm/20mm/25mmとなっており、中でも望遠鏡の付属品となっている事が多い6.3mm、10mm、20mm、25mmの中古での入手は容易ですが、7.5mmと17mmは他のシリーズではあまり見掛けない焦点距離で少しレア、そして個人的に手に入れたかった12.5mmは珍しい焦点距離ではありませんが中古では殆ど見掛けた事が無く、もしかするとこのシリーズの中では最も必要とされていない(笑)焦点距離なのかも知れません。

その様な事情から12.5mmの中古を狙っていたのですが機会が訪れないので新品の購入も検討しましたが実はこのアイピース、新品では結構なお値段で8千円以上のプライスが付いており、この価格では正直「低廉」の範疇を超えてしまうので入手を躊躇っていたところ、海外で比較的安く販売しているところが見つかってわざわざ個人輸入で手に入れる事となったのでした。

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見え味に関しては一般的には恐らく先入観からか高い評価はあまり見受けられませんが、マニアな人の中にはこのアイピースを高評価している方も見受けられ、自分が惑星観望に使用した印象でも中心像、周辺像、迷光処理など優秀でバランスが取れており、国産アイピースと比べても特に悪いと感じるところは見当たりません。中華クラシックアイピースの中でも製造品質が良く感じられ、他の焦点距離もこのクオリティで設計製造されているならば、やはり侮れない性能を秘めたシリーズと言えるかも知れません。個人的にはゴム見口の無いフラットトップな形状も好みです。

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今の国内販売価格を見る限り新品購入を人にお勧め出来るかと言えば微妙ですが、状態の良い中古品を格安で手に入る機会があるならば狙っても損はしないアイピースと言えると思います。


自作 ACクローズアップレンズ5cmファインダー [天文>機材>ファインダー]

先日メインのファインダーとして笠井のGuideFinder-50を復帰させたばかりなのですが、その後アイデアを思い付いてKenkoのACクローズアップレンズを使用したファインダーを新たに構築しました。

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今回対物レンズとして使用したクローズアップレンズはAC No.5の58mmフィルター径で焦点距離が200mm、つまり倍率や実視界が前回と同じながら口径をアップさせる狙いがありましたが、有口径を実測すると53mm程度で実はそれ程変わりが無い事が判明しましたが、実視界が同じであれば少しでも口径が大きい方が良いと考えこちらを採用する事になりました。鏡筒部分のパーツ構成は対物側から、

・M62-M58ステップダウンリング
・Pixco 58mmレンズフード(光路長35mm)
・M62-M58ステップダウンリング
・Pixco 58mmレンズフード(光路長35mm)
・Kenko ACクローズアップレンズNo.5 58mm径
・M58mmメス-メス継手リング
・M58-M60ステップアップリング
・BORG M57/60延長筒L【7604】
・Pixco BORG互換延長筒14mm
・M57メス-M42オスアダプター
・M42回転装置
・M28-M42ステップアップリング
・31.7mm径ヘリコイド付き正立プリズム(GuideFinder-50の対空正立接眼部を流用)
・賞月観星 UF24mm

となっています。重量はファインダー脚込みで約1100gです。

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ヘリコイド付き正立ダイアゴナルはGuideFinderのものを流用していますが、これが無ければWOのものが同等品ですのでこちらで構築も可能です。またファインダー脚も前回からそのまま引き継いでいます。フード部分についてはその気になればいくらでも延長出来るのも自作品のメリットで58mmフィルター径のレンズフードを連結させて約7cmのフードを構築して結露対策としています。

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口径がやや大きくなって焦点距離が同じですので対物のFは前回より短くなりましたが、良像範囲に関しては以前と同じく7~8割程度をキープしており、導入面での使い勝手の点では殆ど変わりはありません。口径が大きくなった部分の効果に関しては気持ち暗い星が見えるようになったかな?と言う程度ですが、まずまず狙い通りの性能が出せて、自作品と言う事で愛着も増して気に入っています。


スコープタウン AH40mm [天文>機材>アイピース]

ミニボーグHα太陽望遠鏡用の最低倍率用のアイピースとしてこれまでMeade SP40mm(日本製)を使用していましたが、見え味は文句ありませんでしたが目位置が相当にシビアでフードを自作したりと工夫していましたが、もう少しアイレリーフが短いアイピースであればより覗き易くなるのではと考え、アイレリーフの短さには定評がある(?)ハイゲンスを試したくなり、見つけたのがこのアイピースでした。

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スコープタウンにはこのアイピースの十字線ありモデルと無しモデルの2種類が販売されており、今回購入したのは観望用ですので十字線の無いモデルです。このアイピースは2群3枚のアクロマートハイゲンスで純粋なハイゲンスではないせいか、アイレリーフの公称値が35mmと結構長いのが懸念材料でしたが、SP40mmと見比べて格段にアイレンズから近い位置で覗く事が出来、35mmは無さそうに感じます。

見掛け視界に関しても公称値33度との事ですがTMBモノセン12mm(公称30度)と見比べると若干狭く、30度無いのでは(28度位?)と感じました。ただ視野レンズは24.5mm径のバレル内径をフルに使用しているようです。

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余談ですが恐らくこのアイレリーフ公称値は見掛け視界が狭いので目を離しても全視野が見える、と言う意味でのアイレリーフ表記では無いかと思われ、実際アイレリーフをこの様に定義されているところも見受けられますが、個人的にはブラックアウトなどを生じない適切なアイポイント(射出瞳)までの距離をアイレリーフと考えています。

前者の定義ですと同じアイピースでも見掛け視界が狭ければ狭いほどアイレリーフが伸びる事になり、逆に同じアイピース(絞り環径)でもバローを使用するとアイレリーフが伸びる、と言う現象も説明が付かない事になり、自分は光学理論には詳しくありませんがアイレリーフを単に全視野が見える(最遠)距離とは言えないだろうと考えるところです。

その点で自然に覗く事が出来る、と言う意味でのアイポイントまでの距離はSPよりもAHの方がずっと近く、実際の太陽観望で使用してみると狙い通り劇的に覗き易くなりました。目位置に寛容でブラックアウトもし難くなりましたのでSPでは不可欠だった自作フード無しでも覗けるようになりました。

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今回の太陽観望の用途においてはAHの見掛け視界の狭さも全く問題は無く、見え味も文句無しで、これにより太陽観望の低倍率用のアイピースはこちらに置き換わる事となりました。太陽観望にはハイゲンスが向いていると言われる事がありますが、これは貼り合わせレンズを使用していないので熱でレンズが壊れない意味合いで語られる話と認識していましたが、このハイゲンスのアイレリーフの短さが太陽観望においては覗き易さを向上させる意味でも適しているのはないだろうかと思わせる今回の試みでした。

尚念の為、太陽観望は非常に危険を伴いますので十分な知識無しでは行わないでください。このアイピースを使用する太陽望遠鏡は特殊な望遠鏡ですので、普通の望遠鏡で太陽を見る事は絶対にお止めください。失明します。

ミニボーグ55FL-BINO [天文>機材>望遠鏡]

以前相性の良いアイピースが見つからず頓挫した55FL-BINOの構築計画でしたがフラット性能が非常に高いUF30mmとこの対物を組み合わせたところ非常に相性が良い事が分かり、ミニボーグ50-BINOの構成をベースにより進化させたBINOとして復活を果たしました。

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構成は前回の試作時と殆ど同じで、

・ミニボーグ55FL対物レンズ【2555】
・M57ヘリコイドS【7757】
・2インチホルダーSS【7506】
・DZ-2【7517】
・2インチホルダーSSII【7501】
・スタークラウド SC2インチ90°正立プリズム(目幅短縮仕様)

となっています。前回この構成ではイーソス17mmではピントが出ないのでDZ-2の短縮改造なども試しましたが、UF30mmはイーソス17mmと比べて焦点位置が大きく対物寄りで改造無しでも合焦する事から、今回のBINOではイーソス17mmを使用しない前提でシンプルなこの構成をそのまま採用出来ました。

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当初XW20SSW14mmXWA9mmと言った31.7mm径の我が家の定番双眼用広角アイピースもピントが出ず、このBINOの使用アイピースはUF30mmで固定となりそうでしたが、ふとEZMに付属の超ロープロファイルの2インチ→31.7mmアダプターが余っている事を思い出しこれを使用したところこれらのアイピース全てでピントが出るようになり、倍率可変のスタイルを幸い維持出来る事になりました。

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見え味に関しては最初に書いた通り、UF30mmとの相性が抜群で良像範囲はほぼ100%あり、口径55mmで倍率8.3倍、実視界が8.64度(見掛け視界約72度)の視野をフル点像で描写されるこの光景は他の機材では中々味わえない、複数のメシエ天体を俯瞰して一望するような独特の世界観を与えてくれる点で小口径ながらインパクトのあるBINOに仕上がったように思うところです。

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総重量は2750gでミニボーグ50-BINOの時とほぼ変わらずに集光力は約1.21倍上がり、ミニボーグ45ED-BINOから始まった低倍率広視界と良像範囲の広さの両立を目指した小口径BINOの自作もこれでようやく決定版と言える出来になったのではないかと自己満足しています。

木星デジタルスケッチ 2022/09/10 [天文>デジタルスケッチ]

この日はかなりシーイングが良く、これまでブランカ102EDPでスケッチを残した事がありませんでしたのでその良さが分かるように頑張ってみました。

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この日の木星はNEBが途中で途切れている様に見え、その西側に青黒い領域が見えたのが特徴的でした。今年の木星はNEBの北(スケッチでは下)の白い縞が太く、その中心に細くNTB?が走っているのが特徴的に思います。

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ブランカ102EDPはFPL-53使用ではありませんが、アポ屈折としては異例の長いFで高性能を目指すコンセプトが魅力的で、多種多様な望遠鏡に興味を惹かれる中で長焦点屈折に対しての憧れも抱いていた自分的にその期待に十分応えてくれる鏡筒でとても満足しています。

Nikonの顕微鏡流用の自作双眼装置も文句の無い働きをしてくれていて、他の鏡筒で使ってみてもMk-V双眼装置を使っていた時に見た最高の惑星像と比べても全く遜色の無い見え味で、光路長は少々長くなりましたが格段に軽くて扱い易くなり作って良かったと思いました。

今回スケッチで主に使用したアイピースは最近入手したLeitzのPeriplanGF20xと言う顕微鏡用接眼レンズで、やはり望遠鏡との相性が今一つなのか周辺像では色が顕著に出ますが中心像は抜群に良く、CZJのPK20xと特徴がよく似ています。他にも自作のHastingsや定番のHD-ORなどとも見比べながら観察していました。

Nikon双眼装置用バローレンズの拡大率測定 [天文>機材>バローレンズ]

惑星観望用のメイン双眼装置をMk-VからNikon双眼装置に交代した事で光路長の違いによりこれまでのバローの拡大率も変わりましたので再測定しました。

<<バロー無し(等倍)>>
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視野の直径は約51.5mm

《笠井 BS双眼装置用2xバロー》
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直径は約20.2mm。よって拡大率は51.5/20.2=約2.55倍

12mmアイピース使用の場合、
 鏡筒F値倍率瞳径 
FL-90SF9約172倍約0.5mm
BLANCA-102EDP F11約238倍約0.4mm
TSA-120F7.5 約191倍約0.6mm
BLANCA-150SEDF8約255倍約0.6mm
VX250-LF6.4約340倍 約0.7mm 

となり、102EDPではこのバローが概ね適正倍率となります。

《ビクセンDX2xバロー》
blw-nknbnvw-vx_t.jpg blw-nknbnvw-vx_p.jpg

直径は約18.6mm。よって拡大率は51.5/18.6=約2.77倍

12mmアイピース使用の場合、
 鏡筒F値倍率瞳径 
・FL-90SF9約187倍約0.5mm
・BLANCA-102EDP F11約259倍約0.4mm
・TSA-120F7.5 約208倍 約0.6mm 
・BLANCA-150SEDF8約277倍約0.5mm
・VX250-LF6.4約369倍約0.7mm

となり、102EDPや150SEDでよく使うバローです。

《ミード 2xバロー(日本製)》
blw-nknbnvw-md_t.jpg blw-nknbnvw-md_p.jpg

直径は約13.5mm。よって拡大率は51.5/13.5=約3.81倍

12mmアイピース使用の場合、
 鏡筒F値倍率瞳径 
・FL-90SF9約257倍約0.3mm
・BLANCA-102EDP F11約356倍約0.3mm
・TSA-120F7.5 約285倍 約0.4mm 
・BLANCA-150SEDF8約381倍約0.4mm
・VX250-LF6.4約508倍約0.5mm

となり、102EDPでは過剰倍率となり、FL90Sや150SEDでもやや倍率が高めでTSAとの組み合わせが最良のバローです。

《笠井 BS双眼装置用3xバロー》
blw-nknbnvw-bs3x_t.jpg blw-nknbnvw-bs3x_p.jpg

直径は約12.1mm。よって拡大率は51.5/12.1=約4.26倍

12mmアイピース使用の場合、
 鏡筒F値倍率瞳径 
・FL-90SF9約288倍約0.3mm
・BLANCA-102EDP F11約398倍約0.3mm
・TSA-120F7.5 約320倍 約0.4mm 
・BLANCA-150SEDF8約426倍約0.4mm
・VX250-LF6.4約568倍約0.4mm

となり、全体的に倍率高めですが、対象や条件によってはFL90S、TSAや150SEDではまだ使えます。

《バーダーハイペリオンズームバロー》
blw-nknbnvw-bd_t.jpg blw-nknbnvw-bd_p.jpg

直径は約10.5mm。よって拡大率は51.5//10.5=約4.90倍

12mmアイピース使用の場合、
 鏡筒F値倍率瞳径 
・FL-90SF9約331倍約0.3mm
・BLANCA-102EDP F11約458倍約0.2mm
・TSA-120F7.5 約368倍 約0.3mm 
・BLANCA-150SEDF8約490倍約0.3mm
・VX250-LF6.4約653倍約0.4mm

となり、この辺りまで来ると実用範囲を超え始めますのでより短焦点鏡筒、長焦点アイピース向けのバローとなります。

《ヤフオク中華3倍ショートバロー》
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直径は約7.1mm。よって拡大率は51.5/7.1=約7.25倍

12mmアイピース使用の場合、
 鏡筒F値倍率瞳径 
・FL-90SF9約489倍約0.2mm
・BLANCA-102EDP F11約678倍約0.2mm
・TSA-120F7.5 約544倍 約0.2mm 
・BLANCA-150SEDF8約725倍約0.2mm
・VX250-LF6.4約967倍約0.3mm

となり、これは上の鏡筒では完全にお遊び超高倍率を掛けるバローと言った趣ですが、F6以下の高性能短焦点鏡筒を入手する機会があれば必要になってくるバローだと思います。

こうして見るとMk-Vで使用してた時よりも拡大率が高いですので、このNikon双眼装置はより光路長が長い事が分かります。相変わらずMeade2xバローとビクセンDXバローの間の拡大率(3.2倍位)が欲しいですが、中々良い物が見つからず散財する日々が続いています(^^;

総アクセス100万PV突破+MY望遠鏡ランキング [天文>日記]

当ブログの総アクセスが100万PVを突破しましたので感謝絵を描かせて頂きました。

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一応証明写真(?)がこちらです。

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このブログは2015年の7月に始めて、50万PVが2020年の4月でしたのでその後閲覧ペースが若干上がった模様ですが、天体写真が殆ど無い天文ブログでありながらたくさんのお客さまに来て頂いて感謝しかありません。本当にありがとうございます。

機材欲が無くなれば更新が止まりそうなこのブログですが、慢性的に重度のポチリヌス菌に感染し、買わない買わない詐欺で周囲を欺いて、隙を見つけては清水ダイブをくり返す生活が続いていますのでまだ暫くは存続しそうな気配です。



折角ですのでここで唐突にこれまで自分が所有していた望遠鏡のランキングを発表したいと思います。自分は望遠鏡の性能は惑星(特に木星)を観る際に見え味を損なわない範囲で最高何倍まで掛けられるかを一つの判断基準にしています。故に高倍率性能のランキングと言えるかも知れません。

鏡筒名 点数 
 オライオンUK VX250L83点
 笠井 BLANCA-150SED79点
 タカハシ TSA-12074点
 タカハシ FC-100DL66点
 笠井 BLANCA-102EDP64点
 ビクセン FL-90S61点
 INTES-MICRO ALTER-760点
 セレストロン C6XLT56点
 笠井 BLANCA-70EDT54点
 ビクセン A62SS48点
 Zeiss C50/54046点
 ビクセン VMC110L35点

点数は完全に自己満足のフィーリングで付けていますので余り真面目に受け取らない方が良いかも知れません。ただ自分はこのブログで望遠鏡の見え味を評価する際、悪くなければ単に「良く見える」と言う表現を多用しますのでこれでは分かり難いかも知れず、各々の鏡筒に対してどの程度見えると評価しているかを知る上での参考程度に考えて頂ければ幸いです。

但し上のランキングは言ってみれば見え味だけで評価したものですが、望遠鏡のトータル性能のランキングとなるとまた話は違ってきます。例えば車にはパワーウェイトレシオと言う概念がありますが、自分も望遠鏡には見え味使い勝手レシオ(?)の様な評価基準を持っていて、例えば鏡筒の体積や重量は操作性や機動性と言った要素に影響し、また温度順応の早さ、シーイングの影響の受け難さと言った要素はその鏡筒の性能の出し易さに影響してきます。

個人的にこれらの要素と見え味(上の点数)の比で望遠鏡の総合性能を測るのですが、この考えで行けば文句無しの見え味ですがとにかく大きいVX250よりもベランダ観望も可能な150SEDが総合性能で上回り、その上を行くのはやはりTSAです。車で言えば余裕の走りを見せる大排気量車と小排気量ながら高性能を叩き出すチューニングマシンの違いの様なものでどちらが好みかは扱う人の使用環境や価値観などに左右され、一概にどちらが良いとは言えないところだと思います。

機材に対する欲求はその人にとっての最高の望遠鏡を手に入れたい欲求そのものであり、このブログがそのヒントや一助になればいいなあとの想いで今後も続けていければと思うところです。

UW9mm 68° [天文>機材>アイピース]

R200SS-BINOでの最高倍率用アイピースとして当初XWA9mmを使用していましたが、自作したヘリコイド付きの接眼部には少々重く鏡筒の仰角によっては無視出来ないたわみが生じてしまう為、同じ9mmでもう少し軽く、安価でそこそこ広角なアイピースは無いものかと探して見つけたのが今回のアイピースです。

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SVBONYなどでも扱われている中華アイピースと恐らく同じと思われますがレンズ構成は4群6枚との事で、見掛け視界は68度と十分に広角で、重さも実測107gとこれであれば接眼部に負担が掛かる事はまずありません。周辺像をミニボーグ50を使用した室内環境でチェックすると歪曲は視野周辺まで感じられず、星が点像で見える意味での良像範囲は視野の8割から崩れ始め9割から大きく崩れる感じですが、F5の対物で見ている事を考えれば十分に優秀で、バローを入れて合成Fが7強のR200SS-BINOでは周辺まで崩れは感じませんでした。アイレリーフも公称13mmとなっており、ブラックアウトなども生じず普通に覗き易い印象です。

このアイピースの焦点距離ラインナップは6mm/9mm/15mm/20mmとなっていますが、自分的にはこれを見てスコープタウンやBORGでかなり以前から販売されていた中華広角アイピースと同じ製品かと考えたのですがこちらは見掛け視界が66度と今回のシリーズとスペックが僅かに違います。実は今でも今回の68度のシリーズとは別に66度のシリーズも販売されていますので別物なのかも知れません。

何れにしてもリーズナブルで良質な中華アイピースと言った印象で、当初ナグラー9mmを買い戻すか、DeLite9mmなどの購入も検討していましたが今回の自分の要求にはこれで十分で、究極性能までは拘らない方には問題無くオススメ出来るアイピースと思いました。

SVBONY アイピース 接眼レンズ 天体望遠鏡用 9mm 68° 31.7mm径
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