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Edmund Optics RKE12mm [天文>機材>アイピース]

このアイピースは知る人ぞ知る球形マウント卓上望遠鏡アストロスキャンを製造したEdmund Optics(以下エドモンド、もしくはEOと呼称)が設計したアイピースで、自分的にはケーニヒの設計のアイピースに興味が湧いて調べていた時に、この2群3枚構成でケーニヒに近い、逆ケルナーとも言えそうなこのシリーズを見つけました。

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RKEと言うネーミングからしてやはりリバースドケルナーの略では?と一見想像してしまうのですが、このアイピースを設計をしたDavidRank博士曰く、Rank、Kaspereit、Erfleの3氏(敬称略)の頭文字を取ったネーミングとの事です(Rank博士のケルナーと言う説もあるようです)。

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で、こんな設計のアイピースもあったんだで話が終わりそうだったのですが、調べると何とこれが現行品で、今でもEOのHPで普通に買える事が分かり、12mmの焦点距離が存在した事から即座に2本注文してしまいました。RKEの焦点距離ラインナップは8mm/12mm/15mm/21mm/28mmとの事でしたが現在は15mmはディスコンとなっている模様です。

形状はアイレンズの周囲が盛り上がって山になっているデザインが特徴的で、短焦点のモデルはこのお陰で覗き難いとの不満の声もあるようですが12mmは特に問題無く覗けます。ビルド品質は金属加工による微キズが散見されアメリカンな雑さを感じますが中華製のそれとは違い、質感がブランドンにとても似通っていて、安っぽさはありません。

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このアイピースの評判を調べると特に評価されているのは28mmのモデルで、アイレンズから像が浮き上がって、飛び出して見える独特な見え味が特徴的で、これはフローティングエフェクト、フローティングイメージ等と呼ばれている様です。他では得られない宇宙を直接覗き込むような体験が得られるとの事で、この見え味に魅了された方には唯一無二のアイピースとして手放せない存在となっている模様です。

RKE28mmが一部で絶賛されている一方で他の焦点距離の見え味についての情報が殆ど得られず、個人的にRKE12mmにも他の12mmクラシックアイピースでは見られない独特な見え味が得られるのではと期待した部分もありましたが、実際に惑星を見る限りでは特にそうした効果は感じられませんでした。

見え味に関しては短焦点のアストロスキャンとの組み合わせを前提に作られたアイピースとの話もあり、長焦点鏡筒との相性や高倍率での使用には不向きとされる意見も見受けられましたが、確かに合成F30程度の環境で覗いても周辺の歪曲が顕著に見受けられ、木星などが視野の周辺ではかなり楕円に変形します。ただ中心像は優秀で高倍率でも見え味に何の問題も感じられませんでした。

昨年のアイピース見比べでは見え味にこれと言った特徴が感じられなかった事からB+ランクとしましたが、その後の観望でとても見えると感じる時もあって、今はもうちょっと上でもいいかなと感じています。

海外の評判を見ると割と廉価な位置づけのアイピースの印象を受けましたが、その性能を高く評価するマニアの方も少なからず存在し、今では数少ない"Made in USA"の製品と言う事もあって設計もユニークですので、個性的なアイピースを求める方には惹き付ける魅力があるアイピースと思います。