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Zeiss West Germany Kpl10x/16(顕微鏡用接眼レンズ、25mm相当) [天文>機材>アイピース]

ミニボーグ50-Hα太陽望遠鏡用のアイピースはこれまでAH40mmTV PL32mmを使用していましたが、もう少し高い倍率の出る焦点距離25mmのアイピースが欲しいと物色して入手したのが今回のアイピースでした。

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自分のHα太陽観望は双眼装置バローを使用するのでアイレリーフの長いアイピースを使用するとブラックアウトが生じ易く極めて覗き難い為、アイレリーフの短いハイゲンスが太陽観望には向いていると考えましたがハイゲンスの25mmは新品で買えるところが見つからず、中古だとNikonのH-25mm、五藤のMH-25mm、CZJの25-Hなどが候補に挙がりましたがこれらも滅多に中古市場に現れず、たまに出ても高騰して双眼用に2本揃えるのは困難だった事から焦点距離が25mmであれば顕微鏡用では豊富な10x接眼レンズが流用出来ると考えて、顕微鏡用は2本セットで出品される事も多かった事からこちらに目を向けて物色を開始しました。

顕微鏡用の接眼レンズはレンズ設計が印字からはほぼ読み取れませんので外見から判断する事になりますが、ハイゲンスの特徴としてはまずアイレンズが他設計と比較して小さい事、そして視野レンズがバレル先端に装着されている事などが考えられましたが、現代風のアイピース設計はハイアイ仕様でバレル先端に装着されたレンズはスマイスレンズの可能性もありましたので、ハイアイの概念が薄かったと思われる古い時代の接眼レンズに着目しました。

個人的に惑星観望用の12mmアイピースを集めていて顕微鏡用でもZeissの接眼レンズは非常に見え味が良いと感じていた事から10倍も東西冷戦時代のZeiss接眼レンズに狙いを定めましたが外見からハイゲンスに見える製品は少なく、冷戦時代の製品ともなるとコンディションが悪そうな個体多いのが悩ましいところでやはり望遠鏡用のCZJ 25-Hを気長に探す道も考えましたが、日課のようにebayを物色していたある日外見が上記条件に合致する、何と未開封新品の今回のKplを見つけ一も二もなくポチってしまったのでした。

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この接眼レンズの視野数は16となっていますので見掛け視界は37度となり、Kplはコンペンゼーション(対物の色収差を接眼レンズで打ち消す設計)の接眼レンズと思われますので望遠鏡で普通に使用すれば視野周辺で色収差が発生すると予想されましたが、太陽相手のHα単色観望ではこれは全く問題になりません。気になる設計は視野レンズ側から中を覗いても視野絞りらしきものが見当たらず正か負かの判断が難しいですが、視野レンズとアイレンズの間にレンズも無さそうに見えるのでやはりハイゲンスっぽいように感じました。

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何はともあれ欲しいのはアイレリーフの短さですので実際太陽観望に使用してみるとこれは明らかに他の設計のアイピース(プローセルやアストロプランやケルナーの25mmも試しました)よりアイレリーフが短くブラックアウトの発生は感じられず格段に覗き易いですのでやはりハイゲンスに類する設計なのではないかと推測するところです。見え味に関しても全く問題無く、惑星観望用途のKpl20xもその性能は自分的に折り紙付きですので(但しこちらはハイゲンス系では恐らくありません)、Hα太陽観望用の25mmアイピースとしては個人的に最適に近いものが手に入ったのではないかと満足しています。