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自作50mm水晶玉ボールレンズアイピース [天文>機材>アイピース]

直径50mmの水晶玉を使用したボールレンズアイピースを自作してみました。

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ボールレンズの焦点距離の求め方は、焦点距離をf、ボールレンズの直径をD、硝材の屈折率をnとすると、

f=nD/4(n-1)

として求められ、今回は直径D=50mm、ボールレンズの材料は水晶ですので水晶の屈折率をn≒1.55とすると、焦点距離fは約35.2mmと求められます。

何故いきなりこんなアイピースを作ったかと言えば、かつてクチュールボール(Couture Ball)の名前で知られた光学ガラスのボール玉を使ったアイピースを知ってからボールレンズアイピースに興味が湧いて自作を模索したものの、自分が見比べたい焦点距離12mmのアイピースを作るには上記の式から導くと直径17~18mmのボールレンズが必要で、EOなどで取り扱われているBK7などの光学硝材で作られたボールレンズは直径10mmまでの商品しか取扱いが無く、それ以上のガラス玉が欲しいとなると安価な水晶玉しか入手が難しく、何よりボールレンズを31.7mm径のアイピースとして使用する為の鏡胴の調達が難だったので、とりあえずボールレンズアイピースがどの様な性能と特徴を持つのかを知る上で最も製作が容易な組み合わせを模索した結果、50mmのガラス玉であれば、2インチ(50.8mm)の延長筒に丁度良く収まるのでは?と考えて、Amazonで800円で手に入れた水晶玉に、既に持っていたボーグパーツ、50.8→M57/60AD【7425】に2インチホルダーSII【7504】を組み合わせる事で出来上がったのが今回のアイピースです。

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見た目的にボールレンズを使っている事をアピールする外観に仕上げたい狙いがありましたが、割と思い付きで作ったにしては収まりが良く出来たかと自画自賛しています。2インチホルダーSIIのアイピース固定ネジの先端にはテフロンチップが埋設されているので水晶玉にキズが付けずにホールド出来るのも密かなアピールポイントです。

問題の見え味ですが、ミニボーグ45ED鏡筒に付けて覗いたところ、安価な水晶玉だけに気泡やキズなどが入りまくりですがそこを避けるようにボールの取り付けを調整すると評判通り中心像は割と普通に見えます。目位置も割と寛容で覗き易いです。

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周辺像はそれはもう壊滅的ですがきちんとした視野絞りを作ってあげれば良像範囲は見掛け視界でやはり10~20度程度かと思いますが、惑星観望用としては使えるかも知れません。ネタアイピースとしては合格と言ったところでしょうか。

やはり水晶玉と言えばスピリチュアルな界隈向けに販売されている商品ですので、これを覗く事で運気を呼び込んだり、身体の調子が良くなったり、天体が映し出される事で地球外生命との交信も期待できそうな、霊験あらたかな効能も期待されます。

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冗談はさておきこの品質の水晶玉でここまで見えるなら、きちんと研磨された光学ガラスを使用したボールレンズアイピースであれば相当良く見えるのではないかと知見が深まったのが大きな収穫でした。

惑星デジタルスケッチ2021/06/22+ブランカ150SEDの実力について [天文>デジタルスケッチ]

この日は久しぶりに晴れたのでフンパツしてブランカ150SEDTマウント経緯台でお手軽出動させたところ近年稀に見る好シーイングで、これはスケッチ取らないと勿体無いと思い急遽メモスケッチを準備して記憶が薄れない内にデジタルで仕上げました。

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この時の木星で印象的だったのはガリレオ衛星の小ささで、シーイングが良ければここまで締まって見えるんだと驚きました。NEBが単なる太い縞ではなく、その中央に一際濃い細い縞が通っているのを確認できたのも初めてだったかも知れません。

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土星もスケッチでは表すのが難しいですが、この時はとにかく立体感を感じました。細かく煌びやかな衛星がたくさん見えたのも印象的でしたがメモを取っておらず、上のスケッチでは衛星の位置はうろ覚えです。

これまでブランカ150SEDの実力、高倍率での惑星の見え味に関して、TSA-120と比べて『恐らく』上回っている、条件が良ければ『多分』上回る、と言った想像や仮定を含む評価でしたが、今回の観望で先日のTSAで見た木星も良い条件だった事もあり、はっきりと150SEDの方がTSAを上回ると断言出来る性能を持っている事が確認できました。

これまでTSAに比べると150SEDの見え味は若干眠さを感じており、解像度では150SEDが上回るがシャープネスではTSAが上回る?と言う印象だったのですが、この日の見え味ではシャープさでもTSAに遜色無い15cmアポとしてまず真っ当な性能が出ていると感じました。以前観望会でPENTAX 150EDで観た木星や土星が15cmアポの見え味としてこれまで目に焼き付いていましたが、この日の150SEDの見え味であればそれ程負けていなかったと思います。

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ようやくこの鏡筒が信頼のおける性能を持っている事を確認できたのは大きな収穫でしたが、この判断が下せるまでに購入から一年半を待たなければならなかった事を考えると大口径アポの実力を引き出す難しさも改めて感じた次第です。

ビクセン SG-L01(天体観測用ライト) [天文>機材>その他]

これまで天体観望用のヘッドライトにはPETZL タクティカプラス(E49P)を愛用してきましたが、ブラスチック部品が割れて接着剤で直したり再び壊れたりなどかなりくたびれてきたので、天体観測用と銘打たれたビクセンのこのライトに買い替えてみました。

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パッケージを開封した時の第一印象はプラスチック部品の質感が安っぽく、これでこのお値段はいささか高くないです?と一瞬思ったのですが、少し使ってみて評価はがらりと変わりました。正に天体観測用のヘッドライトとしてとても良く出来ていると思います。ここでタクティカプラスとの違いを列記してみます。

《明るさ》
まずはこの製品の大きな売りとなっているライトの明るさ(暗さ)、やはりタクティカプラスと比べてみても最小光量はこちらが一段暗く、またライトの点灯が最小光量から始まるのが何より便利で、タクティカプラスが最大光量から始まり、最小光量にする為にスイッチを数回押して切り替える手間が必要だった事を考えると、暗順応した目をなるべく刺激したくない天体観測者の要望に応えた設計だと思いました。

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《光量の変更》
光量の変更はタクティカプラスは大→中→小→点滅と段階的にスイッチで切り替えていたのに対し、SG-L01は点灯状態からスイッチを押し続ける事で連続的に光量が変化し、光量が最大に達すると点滅してそこが上限だと知らせてくれます(上限を超えると暗くなって行き、最小光量になるとここでもお知らせで点滅します)。素早く明るさを変えられるのは前者ですが、好みの明るさに調整出来るのは後者のメリットだと思います。

《ライト色の切り替え》
赤ライトと白ライトの切り替えは、タクティカプラスは白色LEDの前に赤い透明プラスチックのシャッターを下ろす事で実現しているのに対し、SG-L01は赤ライト点灯時に素早く(2秒以内)再度スイッチを押す事で白ライトに切り替わります。逆に言えば白ライトでいきなり点灯させる事が出来ないのですが、後継製品のSG-L02では初期点灯色も自由に選べるそうです。

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《白ライトの照らし方》
白ライトで両者を比べると、タクティカプラスは真っ白なLED光に対して、SG-L01は電球色LEDとなっており、光り方もタクティカプラスは光が中央に集中して一部を明るく鋭く照らすのに対し、SG-L01は光の広がりが緩やかで広い範囲を均等に柔らかく照らす違いがあります。パーツの調整など手先の細かい作業をするには前者が向いており、機材の撤収や物を探す作業などでは後者が向いているように感じました。

また電球色は物体の色味が変わって見えますので、機材の色の確認が必要な作業には後者は不向きかも知れませんが、やはり電球色は目を刺激しないので天体観望中の使用には概ね適していると言えます。

《電池交換》
電池の交換はタクティカプラスは単四電池3本に対し、SG-L01は単三電池1本で済み、電池ホルダーの開け閉めの構造もSG-L01がシンプルで扱い易いです。

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どちらのヘッドライトも一長一短があり、両者の機能の違いをよく見極めた上でどちらのタイプが自分に向いているか判断する必要がありますが、やはりSG-L01のウリであるライトの暗さが他のライトには無い特徴であり、天体観測用として一歩抜きん出た存在のように思えます。

またビクセンからはSG-L01の後継の製品としてSG-L02が現在販売されています。大きな違いは電源で、L01は電池駆動ですが、L02はUSB充電式の内蔵バッテリー駆動で、個人的には充電式乾電池のエネループが好きだった事がありこれが使える前者を選びましたが、その様な拘りが無い方はL02の方が軽くて良いかも知れません。