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Zeiss C50/540対物レンズ内蔵ミニボーグ鏡筒 [天文>機材>望遠鏡]

この対物レンズは笠井の蔵出しで偶然に見つけて、これまで古い望遠鏡(所謂古スコ)には関心が無かったのですが、このレンズは何と新品との事で、新品のツァイス望遠鏡を手に入れる数少ないチャンスと思い衝動買いしました。スペックは製品名の通り、口径50mm、焦点距離540mmとなっています。

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尚裏には『DDR』の印字がされていて、これはカールツァイス・イエナ(東ドイツ)で作られた製品を指すとの事です。実物を触れてみた印象としてはとても『上品』と言う言葉がしっくりきます。実用性を重視する自分的にはこのように感じる事は珍しいのですが、丁寧な造りも去ることながらレンズの反射光などが何故か美しく感じられ、これもツァイスの魅力の一つなのかなと思いました。

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このレンズに対する知識は全く無かったのですが、多分対物レンズのセルの内側にネジが切ってあって、アダプターリングでも特注すればミニボーグ鏡筒に取り付けできるだろうと高を括っていましたが、いざ現物を確認してみてもその様なメスネジは設けられておりません。これはどうしたものかとセル内側にネジを切ってもらう事も考えましたが折角のツァイスの新品の対物レンズにいきなり加工を施すのも抵抗があり、かと言って他に方法も思い付かずしばらくお蔵入りとなったのでした。

その後ネットでこのレンズの情報を収集していて、ボーグパーツの2インチホルダーL【7509】の内側を切削加工し、そこにこのレンズセルを収める方法が紹介されていて、他の方の作例を見てもやはり何らかの金属筒の中にこのセルを収める方法が主流でセルそのものには手を加えないのが流儀のように感じました。

自分も先人に習い【7509】を加工してボーグパーツにしようかと考えていましたが、ふとこの対物セルと目の前の多数のボーグパーツを眺めていて、M57延長筒の中にこのセルがぎりぎり入る事を発見し、延長筒の端のオスネジのある部分は内径が狭くなっていてセルを差し込めばそこで突き当たって止まる構造になっていたので、これはM57延長筒2つのメス側を向かい合わせて両者をM60→M60AD【7460】で連結させた中にセルを収める事が出来るのでは?と思い付き、試してみたところM57延長筒L【7604】とSS【7601】の組み合わせで良い感じにセルを収める事ができました。

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M57延長筒の内側と対物セルの外側との隙間はコピー用紙一枚分程度しかなく、これを2枚重ねにすると既にセルは入っていきません。M57延長筒の内径はひょっとしてこのセルを入れる事を想定していたのでは?と勘違いする程にはぴったりのサイズです。

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コピー用紙一枚間に挟む事でセルにキズが付く事を防ぐ事ができますので一石二鳥となり、これで中でセルが動く事も無さそうで光軸にも影響しないと思われます。結果として無加工無改造でこの対物をボーグパーツ化できましたので、この対物を鏡筒化する上でかなり難易度の低い方法が確立できたのではないかと思っています。

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対物レンズ部分がボーグパーツに出来れば後はどうにでもなりますが、個人的には鏡筒のベースとなる部分はHα太陽望遠鏡で使っていた構成を使い回す事にしました。対物フードは使いどころが見つからなかったミニボーグ用フードが余っていて、正にこの将来を見越して手放さなかったのではないかと思うほどでしたが、まあボーグパーツあるあるですね。最終的に構成は以下の様になりました。

・BORG ミニボーグ50用フード(BK)【60207】
----<C50/540対物レンズ収納部分>
・BORG M57/60延長筒L【7604】
・BORG M60→M60AD【7460】
・BORG M57/60延長筒SS【7601】
----
・BORG M57→M57ADⅢ【7459】
・BORG M57/60延長筒L【7604】
・BORG M57/60延長筒L【7604】
・BORG M57ヘリコイドLIII【7861】
・BORG M57/60延長筒L【7604】
・BORG DZ-2【7517】+Vプレート80S【3165】+笠井DXファインダー台座
・BORG M57/60延長筒S【7602】
・BORG 2インチホルダーSII【7504】

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この構成は、2インチ天頂ミラー双眼装置4xバローを付けた構成でピントが出るように長さを調整しています。

対物の性能に関してはいくらZeissと言っても所詮は5cmのアクロだしなあと、さほど見え味に期待していなかったのですが、その直前に木星を見ていたVMC110Lからこの鏡筒に交代させてびっくり、シャープで解像度も高くこちらの方が格段に良く見えて、色もさほど感じずアクロってこんなに見えるの?とびっくりしました。

VMC110Lで木星土星などを見ると、140倍位が使える目一杯かなあと感じるのですが、この鏡筒だと150倍でもまだ余裕があり、FPL53を使った3枚玉アポのブランカ70EDTには流石に及びませんが、個人的には口径(mm)の3倍の倍率で像が破綻していなければ超優秀な望遠鏡と思っているので、その点では十分に合格点を上げられるレンズ性能と言えます。

ただ自分はこれまで(高倍率での観望用としては)アクロを毛嫌いしていて長い事覗いていなかったので、Zeissだからここまで見えるのか、それともちゃんと作られたアクロであればこの位見えるのが普通なのか判断ができませんので、機会があれば別のアクロ鏡筒と見比べたいと考えています。

これによって今までアクロには全く食指が動かなかったのですが、往年の長焦点アクロが良く見える、現行アポにも負けてないものもある、と言う話も信じられる気になってきました。ニコンや五藤の8cmF15アクロが今でも高値取引されているのもある意味納得です。

自分のtwitterのフォロワーさんでもこのレンズをお持ちの方が何人もいらっしゃって、皆さん思い思いのアイデアでこのレンズを鏡筒化されているのを知り、皆さんの鏡筒を持ち寄って並べてどのような工夫をされたのか語り合うだけでも楽しそうで、Zeissがこの対物レンズを自作キット化したのはそうした楽しみ方を提供する狙いもあったのかな、などと思ったりした次第です。

ボンド GPクリヤー(接着剤) [天文>機材>その他]

自作アイピースケースなどで個人的に多用しているブロッククッション(Astage ブロッククッション BC-L60)ですが、余ったクッションを有効活用するべく、クッション同士を接着できる100円ショップで買える接着剤を探して見つけたのがこちら(キャンドゥで購入)。

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クッションの素材はポリウレタンで、これを接着できると言う記載は説明書きに特に無かったのですが、試してみたところ問題無く接着でき、アイピースを買い替えたりしてブロックの構成を一部変えたい場合でも、余ったクッションも再利用したり好きなように作り変える事が出来るようになりました。

ACクローズアップレンズNo.9+ELS双眼装置でWX超え計画 [天文>機材>望遠鏡]

ケンコーACクローズアップレンズの望遠鏡用対物レンズとしての可能性について(マニアの一部で)注目が集まる昨今ですが、個人的に眼視用の対物としてどう使うかを模索する中で、ふとネットでACクローズアップレンズ『No.9』の文字が目に入り、「9・・・だと??それもACで!?」と何ぞそれと思い調べるとどうも実在するレンズの模様。現行のケンコーACクローズアップレンズのラインナップは、

種類焦点距離レンズ構成
AC No.2500mm1群2枚
AC No.3330mm1群2枚
AC No.4250mm1群2枚
AC No.5200mm1群2枚

と4種類ありますが、これに加えてかつては、

種類焦点距離レンズ構成
AC No.9115mm2群3枚
AC No.1760mm4群4枚

の2種類が存在していたようです。

へーそんな製品もあったんだと納得したところで、以前『MC』クローズアップレンズNo.10とELS双眼装置を組み合わせたお遊び双眼鏡を作ってみて完全にネタにしかならなかったのですが、このNo.9は2群3枚のアクロマートだし焦点距離も若干長いのでそれなりに像が改善するのでは?と興味が湧き、また前回の実験ではアイピースはナグラー9mmでしたが、今はELS双眼装置で最大視野が得られる100度アイピースのXWA9mmが手元にあり、周辺像の改善効果が噂されるELS双眼装置用の0.66xレデューサーもあるので、これらを組み合わせるとスペック的には、倍率8.4倍、実視界11.86度、瞳径5.9mm、見掛け視界100度と(口径は50mmと仮定)、かのお化け双眼鏡ニコンWX10x50を凌駕するスペックとなり、面白そう・・・やってみよう!と期待に胸を膨らませて動き出したのでした。

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中古で何とかレンズを入手し、フィルター径58mmに対して有口径を定規で測るとやはり50mm程度で、家の中のあっちこっちのBORGパーツその他をかき集めてピントが出るように試行錯誤した結果、以下の構成になりました。

・Kenko ACクローズアップレンズNo.9(フィルター径58mm)
・継手リングφ58mm径 (メスーメス)→ノーブランド、以前ヤフオクで購入
・BORG M57→M58AD【7407】
・BORG M57→M57ADIII【7459】
・BORG M57ヘリコイドS【7757】
・BORG 2インチホルダーSII【7504】
・Baader 2インチ→31.7mmアダプター
・笠井 ELS双眼装置(0.66xレデューサー装着)
・賞月観星 XWA9mm×2本

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で、覗いてみたところ・・・これはすごい!マジかよ!?と唸るレベルで、ACと付いただけでMCのNo.10とここまで見え味が違うとは全くの想定外で、色収差もあまり感じず、像もシャープで良像範囲も8割位ありそうで、これであれば像質は十分実用レベルと感じました。双眼装置を使っているので像は暗いですが、プリンス6.5x32と見比べると、見掛け視界が圧倒的に広いのに実視界も上回っており、スペック倒れのネタ双眼鏡の範疇を完全に超えている印象です。重量は上記構成で約1950gとちょっと重いですが。

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しかし他の双眼鏡と見比べてみて、双眼装置を使っているにしてもあまりに暗くない?と疑問に感じ、もしかして口径ケラレてるのでは?と双眼装置のレデューサーを外してみたところ、倍率は上がったにも関わらず像はむしろ明るくなったように感じ、これはいよいよ怪しいと対物レンズ前に半紙を張ってアイピースから電灯の光を入射して、半紙に投影される光の円の直径を見たところ大体2cm強(レデューサー有りだと1.5cm程度)の大きさしかありませんw

あちゃーこんなにケラレてるの!!?とこれでは周辺像が良かったのもある意味当然かも知れません。ELS双眼装置の第一焦点は双眼装置のバレルの中にあるらしいので、そこまで光路がケラレずに光が到達すればそこからはリレーレンズで焦点が延長されるので問題無いかと勝手に思っていたのですが、ケラレに関しては別問題なのか色々と考え方が間違っていたのかも知れません;

恐らくは盛大にケラレているので暗くて解像度も落ちるのですが、明るい場所であれば他の双眼鏡では味わえない世界が体験できるのは間違いなく、この超視界と見え味(周辺像)を得る為には口径の犠牲も無意味では無かったと考えれば半分成功、と言える結果かも知れません。

ニコンWXを凌駕するスペックとはなりませんでしたが、WXの世界を垣間見れた(こんな感じに見えるんだろうな、と言う想像は付く)点ではやってみて良かったと思えた今回実験でした(^-^ゞそれにしても生半可な機材ではスペックすら再現できないWXはやはり凄い双眼鏡なんだなあと再認識した次第です。

尚、一瞬この計画が大勝利を収めたと喜び勇んで勢いだけで調達したのがこちら。

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どーすんねんこれ・・・笑;

その後No.17の転職先が見つかりました。