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Nikon WX10x50 その2(自分的運用編) [天文>機材>双眼鏡]

WX10x50を自分なりに使い勝手が良くなるように幾つか手を加えた部分を以下にご紹介します。

《ストラップ》
WXは購入以前は三脚使用前提の運用しか考えていませんでしたが実際に手にしてみて手持ちでも十分に使えると感じた事からやはりストラップを付ける事にしました。但し今回は標準付属のものは敢えて使用せず、たまたま家にNikonのカメラ用?本革ネックストラップが余っていましたのでこちらを使っています。スリムな形状なので嵩張らずに使い勝手は上々です。

《フード》
WXの鏡筒先端部にはφ55mmのネジが切ってありますが、この先端部から対物レンズまでの距離が結構近く、うっかりレンズに触ってしまう事を防ぐ為にハクバのレンズフード(KMH-55)を装着しています。レンズ保護が第一の目的ですが、結露防止の効果も兼ねています。

《キャップ》
対物/接眼レンズキャップは純正で革製のものが付属していますが自分的にはどうにも使い勝手が悪く感じ、対物側は上のレンズフードを付けるとフード先端がφ58mm径のネジとなる事から、ここにカメラ用の同径のレンズキャップを装着しています。接眼側は純正キャップを紐で本体に括り付けていますがこちらの具合は上々です。

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《フィルター》
対物レンズ側にネジが切ってある双眼鏡にフィルターを付けない手はありませんので通常の天体観望用としてケンコーのスターリーナイトフィルターのφ58mm径を導入しました。スターリーナイトフィルターは撮影用のフィルターの名目ですが、透過特性グラフを見る限り所謂ムーン&スカイグローフィルターと同等品ですので、眼視用として使っても全く問題がありません。当初保護フィルターを付けようかと考えたのですが、それであればムーン&スカイグローフィルターは主に光害カットの効力があり、天体に悪さをしないフィルターですのでこれをWXでの天体観望でのデフォルトとしています。

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またUHCやOIIIを使うケースも想定して58mm→48mmのステップダウンリングを調達しフード先端に取り付ける事で2インチフィルターを装着可能としています。対物口径50mmに対して2インチ(φ48mm)径のフィルター装着でケラレが発生しないかは気になる部分でしたが問題無さそうです。

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《ヘッドレスト》
この双眼鏡での手持ち観望は可能、むしろこの見え味を手持ちでも味わえる事がこの双眼鏡の大きな魅力、醍醐味とも感じたので、より快適に手持ち出来る方策としてヘッドレストを自作しました。

スワロフスキーのフラッグシップ双眼鏡のNL Pureには振動対策でヘッドレストが純正オプションで用意されており、WXにこのヘッドレストが付けられないかと色々考えましたが良い方法が思い付かず、汎用のアリガタ、アリミゾの組み合わせで同等の機能の実現を試みました。

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純正三脚アダプターTRA-5は大きく2つのパーツから構成されており、この二つを接続するネジを長いものに交換して長さ20cmの(ファインダー)アリガタを装着、ここにアリミゾを介して額にあたる部分のアリガタを取り付けています。アリミゾのスライドによって額に接触する位置は前後に調整可能となっています。

汎用パーツの寄せ集めにしては具合は上々で、手持ちによる観望ではこれまで目の周り(2点)で支えていたところをこのヘッドレストの追加で3点で保持出来るようになり、目に掛かる重量負担が軽減され(特に高い天体を覗く時)視野の安定性が向上し、より長い時間でも手振れを抑えた観望が可能になりました。

《三脚》
当初架台はAPポルタ高さ調節機能付き椅子で間に合わせるつもりでしたが、高い仰角で苦痛を感じずに覗く為には双眼鏡側のきめ細やかな高さ調節が必須と感じこれにはエレベーター式三脚が必要と判断、自分的にカメラ三脚には殆ど知識がありませんでしたが、有名メーカーでハンドルで昇降可能なエレベーターが装備された、耐荷重が10kg程度あり、且つ中古で数万程度と言う条件を満たしたこのマンフロットの三脚(475B)を手に入れましたが想像以上に具合が良く、これで問題無く覗けるようになりました。と言っても椅子に座りながらでは仰角6~70度程度まででしょうか。

《架台》
475B三脚は3/8インチカメラネジで接続する三脚でしたので、このネジで接続出来る架台が必要でしたが、自分的には相変わらず架台には手動微動が必須と考えていた為、またWXを載せるとなるとそこそこ耐荷重のある架台が欲しかった事から、在庫払底直前にとりあえず確保していたものの使い道が定まっていなかったスコープテックのZERO経緯台が正にこの条件に合致していて、微動ハンドルの動きがスムーズさに欠ける印象ですが、本体が軽量でやはり折り畳みが可能と言う点で優れた経緯台で、今ではWXにとって無くてはならない架台となっています。

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《L字プレート》
架台と双眼鏡を結ぶL字プレートはケンコーのSky Explorer L字ブラケットを採用。かなり小型のL字プレートなので幅的にWXを載せられるかが微妙でしたがぎりぎり大丈夫でした。

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《ケース》
ケースは純正アルミケースがかなりごつくて嵩張ると感じ、もっと手軽に持ち運べるケースが欲しいと考えて、結果天文界隈では有名なK NebulaさんのHPで紹介されていたアウトドアケース、B&W Type4000を自分も選びました。このケースは三脚アダプターを取り付けた状態のWX(フード付き)を収納する場合、横幅と高さが本当にジャストで(ヘッドレスト装着状態でもかなりきつきつですが入ります)奥行きには若干余裕がありますが、そこにはフィルターやL字プレートなどのアクセサリーの収納場所として有効活用出来、造りもしっかりしていて見た目もカッコ良くて満足しています。

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手を加えたのは大体この様なところでその後WXの運用を続けた感想ですが、使用方法として三脚使用か手持ちかの割合は2:8位で当初の予想より遥かに手持ちでの出番が多いです。ちょっとあの天体を見たいな、と感じた時にひょいと持ち出して、この本格的な見え味を味わえるのは労力に対するリターンと言う点では自分所有の機材ではトップに君臨する存在だと思います。遠征時にもこの双眼鏡一つお供させるだけでその日の観望の楽しみの幅を大きく広げてくれるとても有難い存在となっています。

手持ちで一度に覗いていられる時間は2、3分位かと思いますが、2、3分あれば一つの天体を導入して鑑賞、堪能するには十分で(個人的に)、間に休みを入れながらこのサイクルを繰り返す事で特に疲れを感じずにいくつもの天体を眺めていく事が可能です。勿論三脚を使用すれば星図(SkySafari)を片手にこの双眼鏡の視野が既にファインダー相当の(むしろそれ以上の)広さですのでスターホッピングで思うがままに星空巡りをする事が可能となり、この様にして使っているとこれは双眼鏡のカテゴリーを超えた超広角直視双眼望遠鏡と呼んでも差し支えない機材だと感じます。

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見え味も見る度にうっとりとする眺めで特に透明感が素晴らしく、とにかく視野に見える星の数が他の機材より多く見えるように感じ、超級の視野の広さと相俟って天の川に浮かぶ複数のメシエ天体を一網打尽にするようなこの贅沢な見え味(それも双眼で)は他の機材では味わえない点で、究極のRFT(リッチフィールドテレスコープ)とも言っても過言ではない天文機材と言えるかも知れません。

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SVBONY SV152(SWA20mm70°十字線アイピース)+自作3cmファインダー小改造 [天文>機材>ファインダー]

これまで自作してきたファインダーには視野の広さ、良像範囲の広さを最優先していた為フラット系長焦点広角の通常観望用のアイピースを使用していましたが、ファインダーには一般的な十字線が入っていなかった事から高倍率の惑星の導入には苦労する事が多く、視野の中心に目見当で対象を持ってくる導入方法では視野から外れている事も少なくなかった事から、3cm自作ファインダーに十字線入りアイピースの組み合わせを今回試してみる事にしました。

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このSVBONYの製品の中身は中華定番アイピースのSWA20mm相当(見掛け視界70度)と思われ、今回ファインダー(F4.3)で性能を確認したところ、UF24mmの時は良像範囲は8割程度だったのに対してこちらは7割程度、SWAアイピースはフラット系ではないので良像範囲を超えた部分の崩れもUFより大きいですが、レンズ枚数が少なく(UFが5群8枚に対してSWAは4群5枚)倍率もUFより若干高いせいか良像範囲内の星は綺麗に見えて微光星も多く見える様な気がしました。

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このアイピースが周辺像の崩れが多少大きくても惑星導入目的では何の不都合も無く、DSO導入用としてもこのファインダーとの組み合わせでは倍率6.5倍、実視界は10.8度と十分に広い視野が得られるので問題無く使える印象です。但し一つ注意点としてはアイピース本体とバレル間に暗視野照明装置を組み込んでいる構造の為かピント位置がかなり手前側となっていて以前のファインダー構成ではピントが出ず、ダイアゴナルと31.7mm径スリーブの間のM42延長筒を短縮させる必要がありました。

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その一方でこのアイピースは回転ヘリコイドも組み込まれている事からアイピース側でピント調節が可能となっており、今回のファインダーは合焦機構を省いていてアイピースの抜き差しでピントを合わせていましたのでその点では相性が良いです。レチクルの形状はシンプルな十字線ですが期待通り惑星の導入が格段に楽になって満足しています。

SVBONY SV152 十字線入アイピース 暗視野照明 SWA 20mm 70°
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