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ブランカ150SEDロンキーテスト [天文>機材>望遠鏡]

ブランカ150SEDのロンキー像を撮ってみました。ロンキーアイピースでスマホ(ASUS Zenfone3)コリメートでベガを撮影、シーイングは3-4/10位の条件です。一枚だけの画像では傾向が読み取り難く感じたので、内像と外像を各4枚ずつチョイスして並べました。オートコリメーターの様なきちんとした設備で撮ったものではありませんのであくまでご参考までです。

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これを眺めると全体的に負修正傾向で、輪帯的な縞の歪みも見受けられる気がしますが、ロンキーアイピースの記事にリンクしているジズコHPの縞の見方にも書かれている様に、ロンキー像は望遠鏡の性能を測る「判断材料の一つ」であり、実際に星を見て良く見えるかどうかを判断する方が重要です。自分的にはこの鏡筒で何度も素晴らしい惑星像を観望していますので、多少縞が曲がっているように見えようがこの鏡筒への信頼が揺らぐ事はありません。

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ビクセン屈折鏡筒のSとMとLの基準を探る [天文>日記]

FL-90Sを眺めていてふと思ったのが、この鏡筒はF9で今のご時世では長焦点の部類と思うのですが、それでも型番の末尾に「S」が付いているのが気になり、ビクセンが鏡筒の長さ(F値)に対してSとMとLをどのような基準で割り当てているのか気になったので手持ちのビクセンのカタログを調べてみました。但し今回は主な屈折のみです。

《Newポラリス時代》
・パルサー102M:口径102mm、焦点距離1300mm → F12.7
・ポラリス60L:口径60mm、焦点距離910mm → F15.2
・ポラリス80M:口径80mm、焦点距離910mm → F11.4
・ポラリス80L:口径80mm、焦点距離1200mm → F15
・ポラリス90L:口径90mm、焦点距離1300mm → F14.4
・センサー102M:口径102mm、焦点距離1000mm → F9.8
・サターン102L:口径102mm、焦点距離1500mm → F14.7

・ポラリスFL-55S:口径55mm、焦点距離440mm → F8
・ポラリスFL-70S:口径70mm、焦点距離560mm → F8
・ポラリスFL-80S:口径80mm、焦点距離640mm → F8

《スーパーポラリス時代》
・スーパーポラリス60L:口径60mm、焦点距離910mm → F15.2
・スーパーポラリス80M:口径80mm、焦点距離910mm → F11.4
・スーパーポラリス90M:口径90mm、焦点距離1000mm → F11.1
・スーパーポラリス102M:口径90mm、焦点距離1000mm → F9.8

・スーパーポラリスFL-55S:口径55mm、焦点距離440mm → F8
・スーパーポラリスFL-70S:口径70mm、焦点距離560mm → F8
・スーパーポラリスFL-80S:口径80mm、焦点距離640mm → F8
・スーパーポラリスFL-90S:口径90mm、焦点距離810mm → F9
・スーパーポラリスFL-102S:口径102mm、焦点距離900mm → F8.8

《GP登場期》
・GP-ED80S:口径80mm、焦点距離720mm → F9
・GP-ED102S:口径102mm、焦点距離920mm → F9

・GP-FL80S:口径80mm、焦点距離640mm → F8
・GP-FL102S:口径102mm、焦点距離920mm → F9

アクロは割愛。GP登場のタイミングでFL102Sの焦点距離が900mm→920mmに変更されています。

《2002年カタログ》
・ED80S:口径80mm、焦点距離720mm → F9
・ED102S:口径102mm、焦点距離920mm → F9
・ED130SS:口径130mm、焦点距離860mm → F6.6
・ED102SS:口径102mm、焦点距離660mm → F6.5
・ED114SS:口径114mm、焦点距離600mm → F5.3

・NA120S:口径120mm、焦点距離800mm → F6.7
・NA130SS:口径130mm、焦点距離800mm → F6.2
・NA140SS:口径140mm、焦点距離800mm → F5.7

この頃FLシリーズ消滅。

《2007、2008年カタログ》
・A80SS:口径80mm、焦点距離400mm → F5
・A80M:口径80mm、焦点距離910mm → F11.4
・A105M:口径105mm、焦点距離1000mm → F9.5

・ED81S:口径80mm、焦点距離625mm → F7.7
・ED103S:口径103mm、焦点距離795mm → F7.7
・ED115S:口径115mm、焦点距離890mm → F7.7

ポルタが出てきた頃です。中華(Sf)鏡筒は除外。

《2011年カタログ》
・AX103S:口径103mm、焦点距離825mm → F8

ここから先は大きなラインナップ変更が無く、サンプルとしてはこの程度で良いでしょうか。

上記をまとめてみると、

・L鏡筒のF値の範囲:F14.4~F15.2
・M鏡筒のF値の範囲:F9.5~F12.7
・S鏡筒のF値の範囲:F6.7~F9

SS鏡筒はそれ以下と言った具合で、境目としては大雑把にL鏡筒はF13以上、M鏡筒はF9.5以上、S鏡筒はF6.7以上と言ったところかも知れません。ニュートンやカセグレンであればまた違う基準になっていると思います。今の短焦点写真鏡筒全盛のご時世ではSSS鏡筒の登場もありえるかも知れませんね(^^

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ケンコー Sky Explorer 銀色プローセル12.5mm [天文>機材>アイピース]

12mmクラシックアイピース蒐集で低廉な中華プローセルを加えていく中で、ヤフオクでも頻繁に出品される銀色の外観が特徴的な、相当昔から見掛けるこのアイピースの見え味を確かめてみたくなり今回手に入れてみました。

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このアイピースは海外ではその見た目通り通称「Silver(銀色)」プローセルと呼ばれており、ケンコーやビクセンの安価な望遠鏡の付属品となっていた事でまともに使われずにヤフオクで出品される事も少なくない不遇?なアイピースと言えるかも知れません。

このシリーズの焦点距離ラインナップは6.3mm/7.5mm/10mm/12.5mm/17mm/20mm/25mmとなっており、中でも望遠鏡の付属品となっている事が多い6.3mm、10mm、20mm、25mmの中古での入手は容易ですが、7.5mmと17mmは他のシリーズではあまり見掛けない焦点距離で少しレア、そして個人的に手に入れたかった12.5mmは珍しい焦点距離ではありませんが中古では殆ど見掛けた事が無く、もしかするとこのシリーズの中では最も必要とされていない(笑)焦点距離なのかも知れません。

その様な事情から12.5mmの中古を狙っていたのですが機会が訪れないので新品の購入も検討しましたが実はこのアイピース、新品では結構なお値段で8千円以上のプライスが付いており、この価格では正直「低廉」の範疇を超えてしまうので入手を躊躇っていたところ、海外で比較的安く販売しているところが見つかってわざわざ個人輸入で手に入れる事となったのでした。

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見え味に関しては一般的には恐らく先入観からか高い評価はあまり見受けられませんが、マニアな人の中にはこのアイピースを高評価している方も見受けられ、自分が惑星観望に使用した印象でも中心像、周辺像、迷光処理など優秀でバランスが取れており、国産アイピースと比べても特に悪いと感じるところは見当たりません。中華クラシックアイピースの中でも製造品質が良く感じられ、他の焦点距離もこのクオリティで設計製造されているならば、やはり侮れない性能を秘めたシリーズと言えるかも知れません。個人的にはゴム見口の無いフラットトップな形状も好みです。

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今の国内販売価格を見る限り新品購入を人にお勧め出来るかと言えば微妙ですが、状態の良い中古品を格安で手に入る機会があるならば狙っても損はしないアイピースと言えると思います。


自作 ACクローズアップレンズ5cmファインダー [天文>機材>ファインダー]

先日メインのファインダーとして笠井のGuideFinder-50を復帰させたばかりなのですが、その後アイデアを思い付いてKenkoのACクローズアップレンズを使用したファインダーを新たに構築しました。

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今回対物レンズとして使用したクローズアップレンズはAC No.5の58mmフィルター径で焦点距離が200mm、つまり倍率や実視界が前回と同じながら口径をアップさせる狙いがありましたが、有口径を実測すると53mm程度で実はそれ程変わりが無い事が判明しましたが、実視界が同じであれば少しでも口径が大きい方が良いと考えこちらを採用する事になりました。鏡筒部分のパーツ構成は対物側から、

・M62-M58ステップダウンリング
・Pixco 58mmレンズフード(光路長35mm)
・M62-M58ステップダウンリング
・Pixco 58mmレンズフード(光路長35mm)
・Kenko ACクローズアップレンズNo.5 58mm径
・M58mmメス-メス継手リング
・M58-M60ステップアップリング
・BORG M57/60延長筒L【7604】
・Pixco BORG互換延長筒14mm
・M57メス-M42オスアダプター
・M42回転装置
・M28-M42ステップアップリング
・31.7mm径ヘリコイド付き正立プリズム(GuideFinder-50の対空正立接眼部を流用)
・賞月観星 UF24mm

となっています。重量はファインダー脚込みで約1100gです。

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ヘリコイド付き正立ダイアゴナルはGuideFinderのものを流用していますが、これが無ければWOのものが同等品ですのでこちらで構築も可能です。またファインダー脚も前回からそのまま引き継いでいます。フード部分についてはその気になればいくらでも延長出来るのも自作品のメリットで58mmフィルター径のレンズフードを連結させて約7cmのフードを構築して結露対策としています。

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口径がやや大きくなって焦点距離が同じですので対物のFは前回より短くなりましたが、良像範囲に関しては以前と同じく7~8割程度をキープしており、導入面での使い勝手の点では殆ど変わりはありません。口径が大きくなった部分の効果に関しては気持ち暗い星が見えるようになったかな?と言う程度ですが、まずまず狙い通りの性能が出せて、自作品と言う事で愛着も増して気に入っています。


スコープタウン AH40mm [天文>機材>アイピース]

ミニボーグHα太陽望遠鏡用の最低倍率用のアイピースとしてこれまでMeade SP40mm(日本製)を使用していましたが、見え味は文句ありませんでしたが目位置が相当にシビアでフードを自作したりと工夫していましたが、もう少しアイレリーフが短いアイピースであればより覗き易くなるのではと考え、アイレリーフの短さには定評がある(?)ハイゲンスを試したくなり、見つけたのがこのアイピースでした。

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スコープタウンにはこのアイピースの十字線ありモデルと無しモデルの2種類が販売されており、今回購入したのは観望用ですので十字線の無いモデルです。このアイピースは2群3枚のアクロマートハイゲンスで純粋なハイゲンスではないせいか、アイレリーフの公称値が35mmと結構長いのが懸念材料でしたが、SP40mmと見比べて格段にアイレンズから近い位置で覗く事が出来、35mmは無さそうに感じます。

見掛け視界に関しても公称値33度との事ですがTMBモノセン12mm(公称30度)と見比べると若干狭く、30度無いのでは(28度位?)と感じました。ただ視野レンズは24.5mm径のバレル内径をフルに使用しているようです。

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余談ですが恐らくこのアイレリーフ公称値は見掛け視界が狭いので目を離しても全視野が見える、と言う意味でのアイレリーフ表記では無いかと思われ、実際アイレリーフをこの様に定義されているところも見受けられますが、個人的にはブラックアウトなどを生じない適切なアイポイント(射出瞳)までの距離をアイレリーフと考えています。

前者の定義ですと同じアイピースでも見掛け視界が狭ければ狭いほどアイレリーフが伸びる事になり、逆に同じアイピース(絞り環径)でもバローを使用するとアイレリーフが伸びる、と言う現象も説明が付かない事になり、自分は光学理論には詳しくありませんがアイレリーフを単に全視野が見える(最遠)距離とは言えないだろうと考えるところです。

その点で自然に覗く事が出来る、と言う意味でのアイポイントまでの距離はSPよりもAHの方がずっと近く、実際の太陽観望で使用してみると狙い通り劇的に覗き易くなりました。目位置に寛容でブラックアウトもし難くなりましたのでSPでは不可欠だった自作フード無しでも覗けるようになりました。

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今回の太陽観望の用途においてはAHの見掛け視界の狭さも全く問題は無く、見え味も文句無しで、これにより太陽観望の低倍率用のアイピースはこちらに置き換わる事となりました。太陽観望にはハイゲンスが向いていると言われる事がありますが、これは貼り合わせレンズを使用していないので熱でレンズが壊れない意味合いで語られる話と認識していましたが、このハイゲンスのアイレリーフの短さが太陽観望においては覗き易さを向上させる意味でも適しているのはないだろうかと思わせる今回の試みでした。

尚念の為、太陽観望は非常に危険を伴いますので十分な知識無しでは行わないでください。このアイピースを使用する太陽望遠鏡は特殊な望遠鏡ですので、普通の望遠鏡で太陽を見る事は絶対にお止めください。失明します。