12mmクラシックアイピース対決2020 [天文>機材>アイピース]
昨年の12mmクラシックアイピース対決以降順調にアイピースは増え続け、あまつさえ20倍の顕微鏡用接眼レンズが12.5mm相当である事を知ってしまった事で収集に拍車が掛かり、現在はこの様な有様となっています。
こうして見ると見境無く増やした感がありますが、ここまで同じ焦点距離のアイピースをかき集めている理由を少し説明させて頂くと、当初はどのアイピースが一番優れているか知りたい動機で始めましたが、アイピースの種類が次第に増えていく中で、製造不良でもない限りどのアイピースも良く見える事が分かって、特に中心像に関しては好条件の空で見比べて僅かな差異が感じられるかどうかと言う非常に微妙な違いであり、そこそこの条件の空でも絶えず変動するシーイングの中で大量のアイピースのランク付けを行うのは難しいものがあり、評価に悩む中で次第に自分が観望を楽しめなくなっている事に気づく事になりました。
そうした中でも世界にどんな種類のアイピースが存在するのかを調べる事は面白く、様々な設計の違い、製造国や年代、開発の経緯などを知る事で見え味に大差が無くても楽しめる、例えば望遠鏡で様々な恒星を観望する場合に、見た目はどれも光の点でビジュアル的に大差はありませんが、その星までの距離や大きさ、どのような天体かを頭に入れておくと俄然楽しめるようになるのと同じ様に、アイピースの見比べも知識と想像で見た目を補う眼視観望の楽しみ方に通じるものがある事に気付き、違いを見つける事に余り拘らずに様々なアイピースを覗く事が再び楽しめるようになりました。
なので現在はランク付けは目的としては二の次になり、ファッション感覚でその日の気分で見たいアイピースをピックアップしてこれらの開発者や使ってきた先人の考えに思いを馳せながら見え味を楽しむようになっています。
その様な訳で今回の対決に使用した鏡筒はブランカ70EDT、FC-100DL、TSA-120、ブランカ150SEDなど主にアポ屈折で、Mk-V双眼装置+バローの使用を前提に主に木星、土星、火星の見え味を評価したランキングになります。ランキング表の項目は、アイピース名称/形式/レンズ構成/見掛け視界/製造国/バレル径、と言った順に表記しています。
※注1)CZJはCarl Zeiss Jenaの略称です。
※注2)ZWGはZeiss West Germanyの略称です。(勝手に付けました)
※注3)EOはEdmund Opticsの略称です。
<Sランク寸評>
惑星用アイピース個人的絶対王者TMB SuperMonoと今回同ランクに付けたのは何とCZJの怪しい顕微鏡接眼レンズでした。CZJ12,5-Oも噂通り、自分の想像以上に非常に良く見えるもののシングルコーティングのせいか迷光が目に付くのに対し、PK20x(10)の方は恐らくマルチコートされている事から12,5-Oより設計が新しく、解像度は同等ながら迷光の少なさでコントラストが良い部分を加味してこのランク付けとなりました。一方西ドイツツァイスの顕微鏡接眼レンズ、Kpl20xも他のアイピースから交換した時により詳細な模様が浮き出てくるこのクラス独特の見え味を有している事からSランク入りとしました。Brandonもやはりどの様なシチュエーションでも安定した高レベルな見え味を発揮しています。
但し今回登場した東西ツァイスの顕微鏡接眼レンズに総じて言えるのは良像範囲が狭く、惑星が画面の端に移動するとかなりの倍率色収差が発生します。これはPKの「P」やKplの「pl」は顕微鏡のプラン(周辺像が補正された)対物レンズと組み合わせる事を前提にした接眼レンズである事を意味している事から望遠鏡の対物レンズとの相性が良くないのではと考えているのですが、視野の中央3割程度は良像ですのでそこを上手く使えば望遠鏡で使用しても問題はありません。これに対して12,5-Oは周辺まで微塵も像が劣化せず、望遠鏡用に作られたツァイスのオルソの名は伊達ではないと思いました。
<A+ランク寸評>
このクラスの日本製のアイピースも非常に良く見えるものの、アイピースを交換した時により細かい模様がぐっと見えてくる感じがあまり得られず、そこがSランクアイピースとの評価の分かれ目になっています。それでもこのクラスはどれも見蕩れる程の見え味で、海外での評価も高いニコンO、ペンタOは勿論、プアマンズZAOとも呼ばれていた笠井のHC-Or(Baader Genuine Ortho、University Optics HD Ortho同等品)、そしてマニアの一部で評価の高いAPも負けていません。顕微鏡接眼レンズであるLeica20x/12も一目見て優秀と判る見え味で、55度の見掛け視界を持ち、このクラス以上で最も広角である事から個人的に経緯台での観望では現在最も出番が多いアイピースかも知れません。
<Aランク寸評>
このクラスもとても良く見えるアイピース揃いで、A+ランクとの違いは僅かですが強いて違いを挙げるとすると惑星を立体的に見せる性能、表現力に僅かに差があるように感じています。解像度の面ではA+ランクと殆ど違いは無く、日本製のMeade SPやタカハシのMC Or、LE、そして谷Orはバランスの良い見え味で自分の中ではアッベ/プローセル/アストロプランのそれぞれの設計に対するリファレンス的な(評価基準となる)存在となっています。五藤MHもハイゲンスながら高レベルな見え味を発揮し、やや覗き難いなど扱いにピーキーな部分もありますがお気に入りです。
ピーキーと言えば自作のDollondで見掛け視界が狭すぎて経緯台では使う気になれませんが、合成Fを30程度にするなど条件を整えてあげれば1群2枚のポテンシャルを感じさせる見え味です。逆に顕微鏡接眼レンズのUW20xは今回見比べたアイピースの中でも圧倒的な見掛け視界の広さを誇り、それでいて見え味も優秀ですので他のアイピースでは真似ができない、この唯一性は高く評価したいところです。PK20x(8)は他のツァイス接眼レンズより低めの評価ですが、これは迷光処理があまり良くない部分で減点した結果で、像質から言えばA+の実力はあると思います。
<Bランク寸評>
このクラスも見え味には何の問題もありません。何となく中華アイピースが下に来てしまった感じになりましたが、低廉なアイピースであるOmni PLやGSOも決して性能が低い訳ではありません。LongPerng(Sterling) PLは望遠鏡アイピースの中では55度と広い見掛け視界が強みでしたが、同程度の見掛け視界を持つ顕微鏡接眼レンズが加わった事で個性がやや失われてしまった感があります。但しSterling PLは丁寧なマルチコートが施されていますので、迷光処理の点ではこれらより優れています。顕微鏡接眼レンズのE20x、G20xに関しては周辺の歪曲の少なさは特筆するものがありますが、迷光が目に付く点がマイナスポイントとなっており、惑星観望より別の使い方が向いているかも知れません。エドモンドのRKEも全然悪くは無いですが、可もなく不可もなくと言った見え味で、個性に乏しい印象です。
タカハシのNP-12は拡大撮影用のアイピースで、ペンタXPのタカハシ版とも言えるアイピースで眼視観望にも使えるとの謳い文句でしたので手に入れてみましたが、思ったよりぱっとしない印象でした。ただ双眼用に揃えた2本の焦点位置が微妙に違っていた可能性があり、ピントが今一つ合わない気がしたのはこのせいかも知れません。セレストロンのズームアイピースはクラシックアイピースでは無いですので本来ここに並ぶ資格がありませんが、たまたま手元にあったので12mmでの見え味をチェックした次第ですが、安価なズームアイピースと言う印象から受ける程見え味は悪く無く、普通に惑星観望に耐える見え味でした。
<総評>
今回の対決で感じたのは顕微鏡用接眼レンズの予想以上の健闘です。どこかの業者の様に顕微鏡用と望遠鏡用ではあまりに性能が違うなどと言うつもりはありませんが、ユニークな性能、設計を持つ接眼レンズが多いのは確かです。使用感に関しては顕微鏡用接眼レンズだからと言って特に特別な準備や覚悟が必要な訳ではなく、バレル径さえ工作すれば後は望遠鏡用アイピースと同じ様に使えます。問題は主に中古でしか手に入らない点ですが、望遠鏡用アイピースの様にプレミアが付いて高騰する様な事が余り無いですので、性能の割に安価に入手できるのも魅力的な部分かも知れません。
一方望遠鏡用アイピースに目を向けると前回と順位に大きな変動は無く、今回加わった個人的に見比べてみたいと思っていた往年の日本製アイピースも総じて優秀な見え味でしたが、名立たる望遠鏡メーカーがクラシックアイピースの開発に鎬を削る時代はとうの昔に過ぎ去って、スマイスレンズを含んだハイアイや広角アイピースが市場を席巻する今となってはこの順位をひっくり返すような新製品が今後出る可能性は薄い様に思われ、その点では個人的な収集も一段落付くだろうと思われますが、少し寂しい気もします。
その一方でクラシックアイピースの需要が完全に無くなる事も考え難いですので、その点で今後注目すべきは低廉な中華アイピースかも知れません。これらの中華アイピースにはプローセルを筆頭にしたクラシックアイピースの現行品が数多く出回っており、その性能も決して侮れず、中には上位陣を脅かす性能を持つものも存在するかも知れません。いわば宝探しの感覚で優れたアイピースを見つける楽しみがありますので、個人的にも面白そうなものがあれば今後も取り上げていければと思っています。
こうして見ると見境無く増やした感がありますが、ここまで同じ焦点距離のアイピースをかき集めている理由を少し説明させて頂くと、当初はどのアイピースが一番優れているか知りたい動機で始めましたが、アイピースの種類が次第に増えていく中で、製造不良でもない限りどのアイピースも良く見える事が分かって、特に中心像に関しては好条件の空で見比べて僅かな差異が感じられるかどうかと言う非常に微妙な違いであり、そこそこの条件の空でも絶えず変動するシーイングの中で大量のアイピースのランク付けを行うのは難しいものがあり、評価に悩む中で次第に自分が観望を楽しめなくなっている事に気づく事になりました。
そうした中でも世界にどんな種類のアイピースが存在するのかを調べる事は面白く、様々な設計の違い、製造国や年代、開発の経緯などを知る事で見え味に大差が無くても楽しめる、例えば望遠鏡で様々な恒星を観望する場合に、見た目はどれも光の点でビジュアル的に大差はありませんが、その星までの距離や大きさ、どのような天体かを頭に入れておくと俄然楽しめるようになるのと同じ様に、アイピースの見比べも知識と想像で見た目を補う眼視観望の楽しみ方に通じるものがある事に気付き、違いを見つける事に余り拘らずに様々なアイピースを覗く事が再び楽しめるようになりました。
なので現在はランク付けは目的としては二の次になり、ファッション感覚でその日の気分で見たいアイピースをピックアップしてこれらの開発者や使ってきた先人の考えに思いを馳せながら見え味を楽しむようになっています。
その様な訳で今回の対決に使用した鏡筒はブランカ70EDT、FC-100DL、TSA-120、ブランカ150SEDなど主にアポ屈折で、Mk-V双眼装置+バローの使用を前提に主に木星、土星、火星の見え味を評価したランキングになります。ランキング表の項目は、アイピース名称/形式/レンズ構成/見掛け視界/製造国/バレル径、と言った順に表記しています。
《SSランク》 | |||||
・TMB SuperMono12mm | モノセントリック | 1群3枚 | 30° | 独 | 31.7mm |
・CZJ PK20x(10) | 改良ハイゲンス? | 3群4枚? | 46° | 東独 | 30.0mm |
《Sランク》 | |||||
・Brandon 12mm | プローセル | 2群4枚 | 45° | 米国 | 31.7mm |
・CZJ 12,5-O | アッベオルソ | 2群4枚 | 40° | 東独 | 24.5mm |
・ZWG Kpl20x | ? | ? | 37° | 西独 | 23.2mm |
《A+ランク》 | |||||
・Nikon O-12.5 | プローセル | 2群4枚 | 45° | 日本 | 24.5mm |
・Pentax O-12 | アッベオルソ | 2群4枚 | 42° | 日本 | 24.5mm |
・笠井 AP12.5mm | アストロプラン | 3群5枚 | 50° | 日本 | 31.7mm |
・笠井 HC-Or12mm | アッベオルソ | 2群4枚 | 42° | 日本 | 31.7mm |
・Leica 20x/12 | ? | ? | 55° | 独? | 30.0mm |
《Aランク》 | |||||
・Meade SP12.4mm(JP) | プローセル | 2群4枚 | 52° | 日本 | 31.7mm |
・タカハシ MC Or12.5mm | アッベオルソ | 2群4枚 | 41°? | 日本 | 24.5mm |
・タカハシ LE12.5mm | アストロプラン | 3群5枚 | 52° | 日本 | 31.7mm |
・五藤 MH-12.5mm | ミッテンゼーハイゲンス | 2群2枚 | 43°? | 日本 | 24.5mm |
・谷 Or12.5mm | アッベオルソ | 2群4枚 | 44° | 日本 | 31.7mm |
・自作 Dollond12mm(Ver.K) | ドロンド | 1群2枚 | 20° | 中華 | 31.7mm |
・Nikon UW20x | ? | ? | 69° | 日本 | 30.0mm |
・CZJ PK20x(8) | ? | ? | 37° | 東独 | 23.2mm |
《B+ランク》 | |||||
・Celestron Omni PL12mm | プローセル | 2群4枚 | 52° | 中華 | 31.7mm |
・GSO PL-12mm | プローセル | 2群4枚 | 50° | 台湾 | 31.7mm |
・LongPerng PL12.5mm | プローセル | 2群4枚 | 55° | 台湾 | 31.7mm |
・EO RKE12mm | リバースドケルナー | 2群3枚 | 45° | 米国 | 31.7mm |
・ビクセン HM-12.5mm | ミッテンゼーハイゲンス | 2群2枚 | 40° | 日本 | 24.5mm |
・Nikon E20x | 改良ケーニヒ? | 2群3枚 | 55° | 日本 | 30.0mm |
・Olympus G20x | ? | ? | 56° | 日本 | 30.0mm |
《Bランク》 | |||||
・タカハシ NP-12 | ? | ? | ?° | 日本 | 24.5mm |
・Celestron 8-24Zoom | ズームアイピース | ? | 40-60° | 中華 | 31.7mm |
※注1)CZJはCarl Zeiss Jenaの略称です。
※注2)ZWGはZeiss West Germanyの略称です。(勝手に付けました)
※注3)EOはEdmund Opticsの略称です。
<Sランク寸評>
惑星用アイピース個人的絶対王者TMB SuperMonoと今回同ランクに付けたのは何とCZJの怪しい顕微鏡接眼レンズでした。CZJ12,5-Oも噂通り、自分の想像以上に非常に良く見えるもののシングルコーティングのせいか迷光が目に付くのに対し、PK20x(10)の方は恐らくマルチコートされている事から12,5-Oより設計が新しく、解像度は同等ながら迷光の少なさでコントラストが良い部分を加味してこのランク付けとなりました。一方西ドイツツァイスの顕微鏡接眼レンズ、Kpl20xも他のアイピースから交換した時により詳細な模様が浮き出てくるこのクラス独特の見え味を有している事からSランク入りとしました。Brandonもやはりどの様なシチュエーションでも安定した高レベルな見え味を発揮しています。
但し今回登場した東西ツァイスの顕微鏡接眼レンズに総じて言えるのは良像範囲が狭く、惑星が画面の端に移動するとかなりの倍率色収差が発生します。これはPKの「P」やKplの「pl」は顕微鏡のプラン(周辺像が補正された)対物レンズと組み合わせる事を前提にした接眼レンズである事を意味している事から望遠鏡の対物レンズとの相性が良くないのではと考えているのですが、視野の中央3割程度は良像ですのでそこを上手く使えば望遠鏡で使用しても問題はありません。これに対して12,5-Oは周辺まで微塵も像が劣化せず、望遠鏡用に作られたツァイスのオルソの名は伊達ではないと思いました。
<A+ランク寸評>
このクラスの日本製のアイピースも非常に良く見えるものの、アイピースを交換した時により細かい模様がぐっと見えてくる感じがあまり得られず、そこがSランクアイピースとの評価の分かれ目になっています。それでもこのクラスはどれも見蕩れる程の見え味で、海外での評価も高いニコンO、ペンタOは勿論、プアマンズZAOとも呼ばれていた笠井のHC-Or(Baader Genuine Ortho、University Optics HD Ortho同等品)、そしてマニアの一部で評価の高いAPも負けていません。顕微鏡接眼レンズであるLeica20x/12も一目見て優秀と判る見え味で、55度の見掛け視界を持ち、このクラス以上で最も広角である事から個人的に経緯台での観望では現在最も出番が多いアイピースかも知れません。
<Aランク寸評>
このクラスもとても良く見えるアイピース揃いで、A+ランクとの違いは僅かですが強いて違いを挙げるとすると惑星を立体的に見せる性能、表現力に僅かに差があるように感じています。解像度の面ではA+ランクと殆ど違いは無く、日本製のMeade SPやタカハシのMC Or、LE、そして谷Orはバランスの良い見え味で自分の中ではアッベ/プローセル/アストロプランのそれぞれの設計に対するリファレンス的な(評価基準となる)存在となっています。五藤MHもハイゲンスながら高レベルな見え味を発揮し、やや覗き難いなど扱いにピーキーな部分もありますがお気に入りです。
ピーキーと言えば自作のDollondで見掛け視界が狭すぎて経緯台では使う気になれませんが、合成Fを30程度にするなど条件を整えてあげれば1群2枚のポテンシャルを感じさせる見え味です。逆に顕微鏡接眼レンズのUW20xは今回見比べたアイピースの中でも圧倒的な見掛け視界の広さを誇り、それでいて見え味も優秀ですので他のアイピースでは真似ができない、この唯一性は高く評価したいところです。PK20x(8)は他のツァイス接眼レンズより低めの評価ですが、これは迷光処理があまり良くない部分で減点した結果で、像質から言えばA+の実力はあると思います。
<Bランク寸評>
このクラスも見え味には何の問題もありません。何となく中華アイピースが下に来てしまった感じになりましたが、低廉なアイピースであるOmni PLやGSOも決して性能が低い訳ではありません。LongPerng(Sterling) PLは望遠鏡アイピースの中では55度と広い見掛け視界が強みでしたが、同程度の見掛け視界を持つ顕微鏡接眼レンズが加わった事で個性がやや失われてしまった感があります。但しSterling PLは丁寧なマルチコートが施されていますので、迷光処理の点ではこれらより優れています。顕微鏡接眼レンズのE20x、G20xに関しては周辺の歪曲の少なさは特筆するものがありますが、迷光が目に付く点がマイナスポイントとなっており、惑星観望より別の使い方が向いているかも知れません。エドモンドのRKEも全然悪くは無いですが、可もなく不可もなくと言った見え味で、個性に乏しい印象です。
タカハシのNP-12は拡大撮影用のアイピースで、ペンタXPのタカハシ版とも言えるアイピースで眼視観望にも使えるとの謳い文句でしたので手に入れてみましたが、思ったよりぱっとしない印象でした。ただ双眼用に揃えた2本の焦点位置が微妙に違っていた可能性があり、ピントが今一つ合わない気がしたのはこのせいかも知れません。セレストロンのズームアイピースはクラシックアイピースでは無いですので本来ここに並ぶ資格がありませんが、たまたま手元にあったので12mmでの見え味をチェックした次第ですが、安価なズームアイピースと言う印象から受ける程見え味は悪く無く、普通に惑星観望に耐える見え味でした。
<総評>
今回の対決で感じたのは顕微鏡用接眼レンズの予想以上の健闘です。どこかの業者の様に顕微鏡用と望遠鏡用ではあまりに性能が違うなどと言うつもりはありませんが、ユニークな性能、設計を持つ接眼レンズが多いのは確かです。使用感に関しては顕微鏡用接眼レンズだからと言って特に特別な準備や覚悟が必要な訳ではなく、バレル径さえ工作すれば後は望遠鏡用アイピースと同じ様に使えます。問題は主に中古でしか手に入らない点ですが、望遠鏡用アイピースの様にプレミアが付いて高騰する様な事が余り無いですので、性能の割に安価に入手できるのも魅力的な部分かも知れません。
一方望遠鏡用アイピースに目を向けると前回と順位に大きな変動は無く、今回加わった個人的に見比べてみたいと思っていた往年の日本製アイピースも総じて優秀な見え味でしたが、名立たる望遠鏡メーカーがクラシックアイピースの開発に鎬を削る時代はとうの昔に過ぎ去って、スマイスレンズを含んだハイアイや広角アイピースが市場を席巻する今となってはこの順位をひっくり返すような新製品が今後出る可能性は薄い様に思われ、その点では個人的な収集も一段落付くだろうと思われますが、少し寂しい気もします。
その一方でクラシックアイピースの需要が完全に無くなる事も考え難いですので、その点で今後注目すべきは低廉な中華アイピースかも知れません。これらの中華アイピースにはプローセルを筆頭にしたクラシックアイピースの現行品が数多く出回っており、その性能も決して侮れず、中には上位陣を脅かす性能を持つものも存在するかも知れません。いわば宝探しの感覚で優れたアイピースを見つける楽しみがありますので、個人的にも面白そうなものがあれば今後も取り上げていければと思っています。
2020-10-27 09:18
Mk-V双眼装置用バローレンズの拡大率測定 その2 [天文>機材>バローレンズ]
これまでMk-V双眼装置用のバローの装着は31.7mm径のノーズピース先端に取り付けて、これにTVの2インチ→31.7mm変換アダプターを付ける事で2インチ接眼部に取り付けていたのですが、このアダプターによる光路消費を失くす為、双眼装置本体には2インチノーズピースを取り付けその先端に2インチフィルターネジを31.7mm径フィルターネジに変換するアダプターを取り付け、これにバローを装着する事でより少ない光路消費で使えるようになりました。
バローの装着方法が変わった事により、バローとアイピースの間隔が以前と変わってしまった可能性があり、またバローの種類も以前より増えた事から各バローの拡大率を再測定する事にしました。
方法は前回同様、壁に貼り付けた方眼紙を望遠鏡で覗いて目盛りを読む事で算出しました。使用鏡筒はブランカ70EDT、アイピースはセレストロンのOmni PL12mmです。
<<バロー無し(等倍)>>
視野の直径は約33.5mm。
<<笠井 BS双眼装置用1.6xバロー>>
直径は約19.4mm。よって拡大率は33.5/19.4=約1.73倍
実は手持ちの屈折鏡筒ではこのバローではピントが出ないので出番は少ないです。
<<笠井 BS双眼装置用2xバロー>>
直径は約15.2mm。よって拡大率は33.5/15.2=約2.20倍
12mmアイピースで観望していて、シーイングが余り良くなくて倍率を下げたい時に重宝しています。
<<ミード 2xバロー(日本製)>>
直径は約10.2mm。よって拡大率は33.5/10.2=約3.28倍
12mmアイピース使用で、気流がまずまず良好な時に出番が多いバローです。
<<ビクセン2xショートバロー>>
直径は約9.6mm。よって拡大率は33.5/9.6=約3.49倍
ミード2xと笠井3xとの間でやや出番が少ないです。
<<笠井 BS双眼装置用3xバロー>>
直径は約9.3mm。よって拡大率は33.5/9.3=約3.60倍
12mmアイピース使用でシーイングが良好と感じる時に使います。
1.6xバローや2xバローもそうですが、やはりBS双眼装置に付けるよりは拡大率は上がるようです。
<<バーダーハイペリオンズーム用2.25倍バロー>>
直径は約8.0mm。よって拡大率は33.5/8.0=約4.19倍
12mmアイピースとの組み合わせではFの長いFCや150SEDではやや過剰倍率となりますが、TSAを使う時は丁度良い高倍率になります。
<<ヤフオク購入中華3倍ショートバロー>>
直径は約5.6mm。よって拡大率は33.5/5.6=約5.98倍
ブランカ70EDTなど短焦点鏡筒で強拡大したい時に重宝します。
他の鏡筒でも思い切った高倍率を出したい時にも使います。
高い倍率を出せるバローは充実してきましたが、まだ笠井2xバローとミード2xバローの中間、拡大率2.7倍程度となるようなバローが欲しいですので、まだ暫くバロー探しの旅は続きそうです。
バローの装着方法が変わった事により、バローとアイピースの間隔が以前と変わってしまった可能性があり、またバローの種類も以前より増えた事から各バローの拡大率を再測定する事にしました。
方法は前回同様、壁に貼り付けた方眼紙を望遠鏡で覗いて目盛りを読む事で算出しました。使用鏡筒はブランカ70EDT、アイピースはセレストロンのOmni PL12mmです。
<<バロー無し(等倍)>>
視野の直径は約33.5mm。
<<笠井 BS双眼装置用1.6xバロー>>
直径は約19.4mm。よって拡大率は33.5/19.4=約1.73倍
実は手持ちの屈折鏡筒ではこのバローではピントが出ないので出番は少ないです。
<<笠井 BS双眼装置用2xバロー>>
直径は約15.2mm。よって拡大率は33.5/15.2=約2.20倍
12mmアイピースで観望していて、シーイングが余り良くなくて倍率を下げたい時に重宝しています。
<<ミード 2xバロー(日本製)>>
直径は約10.2mm。よって拡大率は33.5/10.2=約3.28倍
12mmアイピース使用で、気流がまずまず良好な時に出番が多いバローです。
<<ビクセン2xショートバロー>>
直径は約9.6mm。よって拡大率は33.5/9.6=約3.49倍
ミード2xと笠井3xとの間でやや出番が少ないです。
<<笠井 BS双眼装置用3xバロー>>
直径は約9.3mm。よって拡大率は33.5/9.3=約3.60倍
12mmアイピース使用でシーイングが良好と感じる時に使います。
1.6xバローや2xバローもそうですが、やはりBS双眼装置に付けるよりは拡大率は上がるようです。
<<バーダーハイペリオンズーム用2.25倍バロー>>
直径は約8.0mm。よって拡大率は33.5/8.0=約4.19倍
12mmアイピースとの組み合わせではFの長いFCや150SEDではやや過剰倍率となりますが、TSAを使う時は丁度良い高倍率になります。
<<ヤフオク購入中華3倍ショートバロー>>
直径は約5.6mm。よって拡大率は33.5/5.6=約5.98倍
ブランカ70EDTなど短焦点鏡筒で強拡大したい時に重宝します。
他の鏡筒でも思い切った高倍率を出したい時にも使います。
高い倍率を出せるバローは充実してきましたが、まだ笠井2xバローとミード2xバローの中間、拡大率2.7倍程度となるようなバローが欲しいですので、まだ暫くバロー探しの旅は続きそうです。
2020-10-02 08:29