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我が家の自作BINOの特徴、及び使用アイピースの考察 [天文>機材>望遠鏡]

日頃我が家の自作BINOに組み合わせるアイピースの選定に頭を悩ませる事が多く、運用シミュレータを毎回叩くのも手間なので、ある程度考えが固まったものを自分用のメモとして表にまとめてみました。

 使用アイピース 倍率 見掛け視界 実視界 射出瞳径

 VX10LMk-V
等倍延長レンズ使用)
UW6mm
UW9mm
SSW14mm
XW20
267倍 
178倍
114倍
80倍
68度
68度
83度
70度
0.26度
0.38度
0.73度
0.88度 
0.9mm
1.4mm
2.2mm
3.1mm 

 R200SS-BINO
(1.8xバロー内蔵)
・SSW14mm
・XW20
SWA32mm
103倍 
72倍
45倍
83度
70度
70度
0.81度
0.97度
1.56度 
1.9mm
2.8mm
4.4mm 

 APM12cm双眼・UW6mm
XWA9mm
・SSW14mm
ES24mm
110倍
73倍
47倍
28倍
68度
100度
83度
68度
0.62度
1.36度
1.76度
2.47度
1.1mm
1.6mm
2.5mm
4.4mm

 FL90S-BINO12mm3.6xバロー
EWV16mm+3.6xバロー 
WS20mm+3.6xバロー
・XWA9mm
Ethos17mm
Masuyama32mm
246倍
184倍
145倍
90倍
48倍
25倍
50度
85度
84度
100度
100度
85度
0.2度
0.46度
0.58度
1.11度
2.1度
3.36度
0.4mm
0.5mm
0.6mm
1mm
1.9mm
3.6mm

 ミニボーグ71FL-BINO ・12mm+3.6xバロー
・EWV16mm+3.6xバロー
・WS20mm+3.6xバロー
・XWA9mm
・Ethos17mm
・Masuyama32mm
121倍
91倍
71倍
44倍
24倍
13倍
50度
85度
84度
100度
100度
85度
0.43度
0.94度
1.18度
2.25度
4.25度
6.8度
0.6mm
0.8mm
1mm
1.6mm
3mm
5.7mm

 CUSTOM60L-BINO
(2.2xバロー内蔵)
・12mm
・EWV16mm
・WS20mm
167倍
125倍
100倍
50度
85度
84度
0.3度
0.68度
0.84度
0.4mm
0.5mm
0.6mm

 CUpレンズNo5-BINO・XWA9mm
・Ethos17mm
・Masuyama32mm
22倍
12倍
6.3倍
100度
100度
75度
4.5度
8.5度
12度
1.8mm
3.3mm
6.2mm

自分的にBINO用のアイピースの決め方としてはまず最大実視界が得られる低倍率側のアイピースと、その機材で実用範囲の最高倍率を出せるアイピースを決めた上で、その間を2、3のアイピースで埋める、と言う傾向が多いように思えます。

また自作BINOが増えてきて、その特徴、使用目的、コンセプトを明確にしておかないと機材作りが迷走して際限無く増殖してしまう懸念がある事から(やや手遅れ)、各BINOの長所、短所についても以下にまとめてみました。

《R200SS-BINO》
tlscp-bnftr_r200ss_2.jpg
【長所】
・集光力が高く、銀河、球状星団が良く見える。
【短所】
・視軸の微調整が困難な構造の為高倍率が不適。
・裏像。
・コントラストが低いのか淡い散光星雲が思ったより見えない。
《APM12cm双眼》
tlscp-bnftr_apm120bn_1.jpg
【長所】
・大口径屈折の利点を活かしたコントラストの高さで散光星雲に強い。
 → ナローバンドフィルターを使えば色収差、像の甘さはキャンセル出来る。
・正立像。
・視軸調整が不要。
・一体型構造の為口径の割に運用が楽。
【短所】
・構造上高倍率は不適。
・星像が甘く、散開星団の見え味は今一つ。
《FL90S-BINO》
tlscp-bnftr_fl90s_1.jpg
【長所】
・星像が非常に鋭く、散開星団に強い。
・コントラストが高く、散光星雲も口径なりに強い。
・ダイアゴナルが一回反射の為光量損失が最小限。
・2インチアイピース使用可能。
【短所】
・視軸が非常にずれ易い。
 → 調整機構の操作性は良いのでかろうじて高倍率観望が可能。
・裏像。
・構成パーツが多く、口径の割に手軽では無い。
《ミニボーグ71FL-BINO》
tlscp-bnftr_mb71fl_1.jpg
【長所】
・小口径だがそれを感じさせないオールラウンダー。
・正立像。
・2インチアイピース使用可能。
・目幅調整、視軸調整機構の精度が高い。
【短所】
・高倍率適性は高いが短焦点の為高倍率が出し難い。
《CUSTOM60L-BINO》
tlscp-bnftr_cstm60l_2.jpg
【長所】
・裏像ではない高倍率双眼観望が可能。
・L字プレートなどが不要で架台に直接取り付けられる構成の為設置撤収が早い。
・小口径の為温度順応が早く、冬場でも短時間で惑星観望が可能。
【短所】
・視軸調整が癖があり慣れないと難しい。

自分が最初の自作BINO、ミニボーグ45ED-BINOを作ったきっかけはイーソス17mmを使用した100度双眼の世界をどうしても味わってみたいと言う理由が第一でしたが、もう一つ、雑誌やネットで望遠鏡・双眼鏡サミットや双望会と言ったスターパーティで紹介されるオリジナリティー溢れる自作機材を拝見して、自分も小口径でも良いのでオリジナルの機材を所有する事に憧れた事も大きな原動力となりました。

実際作ってみると期待以上の見え味に自作の手応えを感じ、市販の機材に比べると自由度や万能性、機動性などは低いかも知れませんがその分一点突破の尖ったスペックで至上の見え味を味わえるメリットに加え、アイデアを思い付いて工夫、改善を積み重ねた機材が狙い通り、もしくはそれ以上の機能、性能を実現出来た時のカタルシス、大きな達成感が得られるところが自作の醍醐味と言えるのかも知れません。

自分にとって達成感とはある目標を決めてそれを達成する事で自己成長が実感出来、それが自分の自信に繋がり、人生を前向きに生きる原動力、生きる力にも繋がるものと考えていますので、それ故に最近は自作する過程が楽しく、ややもすると「手段の為には目的を選ばない」状況に陥り兼ねませんが笑、投じれる資金や保管スペースには限りがありますのでその機材が本当に必要かどうかもよく吟味した上で今後も自作を楽しんでいければと思うところです。

天体観測あおちゃん [お絵描き>萌え系]

以前弊ブログ100万PV記念で描いたあおちゃん絵に背景を描き起こして天体観測風に仕上げてみました。

220812_1_41_1p.jpg

自作バローレンズ Ver3.0 [天文>機材>バローレンズ]

前回自作したバローレンズ12mmアイピース使用を前提とした直進ヘリコイドを使用した可変倍率のバローとしていましたが、前回このバローとEWV-16mmとの相性も良い事が分かり、同じくスマイスレンズを使用していない広角アイピースのWS20mmとの相性も良く、惑星観望用途だけでなくDSO用途にも使えるバローとなる事が期待できた為、12mmアイピース使用の拘りを捨ててヘリコイドも撤去し、固定倍率のバローに再構成しました。

blw-dyv3_1.jpg

今回使用パーツは対物側から、

・バーダーハイペリオンズーム2.25xバロー
・31.7mmバレル→M42オスAD
・M42延長筒80mm
・M42メス→31.7mmスリーブAD

とシンプルな構成となっており、前回のバローはバックフォーカスが短い鏡筒では合焦しない弱点がありましたが、今回は先端のバローをより拡大率の高いバーダーハイペリオンズーム2.25xバローに換装する事で光路消費が抑えられ、これにより拡大率は約3.6倍となりました。

blw-dyv3_2.jpg

よって今回のバロー使用により、

・12mmアイピースの場合 → 焦点距離3.3mm相当
・EWV16mmの場合 → 焦点距離4.4mm相当
・WS20mmの場合 → 焦点距離5.6mm相当

となり、Nikon双眼装置使用により出番が減っていた(Mk-V双眼装置より射出口径が小さく、視野がケラれる為)EWV-16mm、WS20mmを高倍率用アイピースとして再活用する道が開けて一石二鳥となりました。

APM 20x80MS [天文>機材>双眼鏡]

WXを快適に運用出来るようにZERO経緯台やエレベーター式三脚(Manfrotto 475B)を用意しましたが想像以上に頑丈で(逆に言えばお手軽では無く)耐荷重的にまだまだ余裕があった事から(ZEROは7kg、475Bは12kg)、WXより一クラス上の口径の直視双眼鏡を同架出来ればより観望が楽しめそうと考えて相方として手に入れたのが今回の双眼鏡です。

bn-apm-20x80ms_2.jpg

当初2~3万円台の安価な20x80双眼鏡を物色していましたが、以前安価な15x70を所有していて有口径が実測で約63mm(対物口径の9割)しか無かった事から20x80も同じ欠陥を抱えていないかが気がかりで、15x70と20x80の外観を見比べて対物レンズ以外のプリズム収納部分は部品が共通(大きさが同じ)に見えた事からやはり少し怪しいと感じ、別設計と思われる20x80を探してみたところこのAPMの製品が価格は大きく上がりますがプリズム部分の大きさは一回り大きく見え、安価な双眼鏡は視軸のズレの当たり外れも懸念材料だったので、その点でAPM製品は自分でもこれまでいくつか手にしてきて品質面や性能、サポート面で高い信頼のおけるメーカーの認識でしたので今回は確実性、安心感を優先させました。

bn-apm-20x80ms_3.jpg

実物を手にした感想はWXではないですがこれまた軽い!が第一印象でした。重量は約2.5kgとなっていますが見た目の大きさ、質感から得られる感覚より相当軽く感じます。また気になる有口径ですが瞳径を測定してきちんと4mmありましたので口径のケラレは無く一安心しました。そして見え味ですがこれも驚きで、以前スカイマスターや安価な25x100双眼鏡も所有していましたが昼間の景色は色収差が顕著でベールが掛かったような眠たい画質、ただ星見にはそれ程支障は無い、と言う印象でしたが今回の20x80は昼間の景色を見ても視界が透き通っており、EDは使用していないモデルですが色収差もあまり感じず(APM12cm双眼より格段に少ない)全く鑑賞に耐えます。もう一つ心配していた視軸のズレも皆無でした。

bn-apm-20x80ms_4.jpg

また星見では気になる良像範囲ですがこれも想像以上に素晴らしく、見掛け視界66度の広角に関わらず微光星を見る限りではほぼ視野最周辺まで点像なのは嬉しい誤算で(1等星以上の明るい星だと8割位から若干崩れます)星像もシャープです。この双眼鏡の対物レンズの焦点距離が公称305mmとなっている事から口径80mmからF値は約3.8となり、20倍の倍率から接眼レンズの焦点距離は約15mmと算出され、この短焦点対物に広角アイピースの組み合わせでこの良像範囲の広さは正直立派な性能と感じます。この双眼鏡全体のレンズ構成はスペックシートを見ると5群8枚となっていますが、この内対物レンズは1群2枚で残りは4群6枚、この内3群5枚を接眼レンズとしても一枚余りますのでやはり性能の良いフラットナーが入っている(もしくはアイピースのフラット性能が高い)構成なのではないかと推測しています。

bn-apm-20x80ms_5.jpg

また双眼鏡全体の造りの良さも触れておきたい部分で、高級感を感じたり持つ喜びを感じる、まではいかないかも知れませんが外装のラバーの貼り付けはとても丁寧で、対物レンズのフードの構造や開け閉めの感覚が絶妙だったり、ピントを合わせる感触も固すぎず柔すぎずこれも絶妙だったり、外からは見えない部分の使い易さの面でも良く考えて作られていると感じます。こう言った抜かりの無い部分は流石APMの製品と言ったところでしょうか。

WXとの同架はWXの導入により退役した55FL-BINOのL字プレートを再構築し水平側のプレートをより長いものに換装、SVBONYのアリミゾを装着しこちらに20x80を搭載、垂直側はプレート上部のファインダーアリミゾに視軸調整用のSLIKの微動雲台を介してこちらにWXを搭載しています。

bn-apm-20x80ms_6.jpg

この形態では経緯台搭載物全体の重心がやや高く、仰角を上げた時にZERO経緯台の上下軸フリクション調整ノブを目一杯締め付けても手前側に全体がおじぎしてしまう動きが止められなかった事から、経緯台のフォークアームとL字プレートの間に引っ張りばねを(長さ6cm、10mm径)を2本入れる事で支障の無い動作が可能となりました。ZERO経緯台は拡張性を考えてあちこちネジ穴が設けられていますが、今回はその構造に助けられました。

bn-apm-20x80ms_7.jpg

この双眼鏡の実視界は3.3度となっており、散開星団を観望するには正に打って付けの広さで、この場合ファインダー代わりともなるWXとの相性は抜群です。WXの9度の視界で俯瞰した景色を楽しんでそこで見つけた気になる天体を20x80で拡大して観察するこの観望スタイルで期待通り楽しめる天体の幅が大きく広がりました。

以前は自分的に天体観望用の双眼機材は対空式に強い拘りがありましたが、WXの導入により直視双眼鏡が自分の中で解禁となった事で思わず増やした双眼鏡でしたが、直視双眼鏡は口径の割に軽くアイピースを着脱する手間なども不要ですので他の観望機材に比べれば格段に設置撤収が楽な上に、この双眼鏡が見え味に良像範囲に製造品質も購入前の予想より大きく上回っていた事で、これであればこの双眼鏡単体でも十分に楽しめそうで今後お手軽機材として使用する機会も増えそうです。

その後フィルターの装着を可能にしました。

賞月観星 UWA16mm [天文>機材>アイピース]

R200SS-BINOで使用するアイピースは現在UW9mmSSW14mmXW20SWA32mmの4本となっていて、一方APM12cm双眼で使用するアイピースはXWA9mm→SSW14mm→XW20と言った具合で使用するアイピースをなるべく共通化していましたが、先日APM12cm双眼用の最低倍率用のアイピースをES24mmに変更した事で倍率の間隔的にXW20、SSW14mmが使い難くなったと感じた為、悩んだ結果XWA9mmとES24mmの間を埋めるのに適した焦点距離、見掛け視界のアイピースとして採用したのが今回のアイピースです。

eyep-uwa16mm_4.jpg

アイピースはなるべく複数機材間で使い回すのが自分の信条でしたが、R200SS-BINOとAPM12cm双眼で最低倍率用のアイピースを共通化出来なかった事でそれぞれ別個のラインを保有する事になり、結果として更にアイピースが増殖する事になりました。つくづく我ながら度し難いと思います(汗。

それはさておきこのUWAアイピースは結構歴史の長いアイピースで自分の知る限りではWO(WilliamOptics)のUWANアイピースが最初で焦点距離ラインナップは4mm/7mm/16mm/28mmとなっており、この後笠井でUltraWideAngleシリーズとして同等品が販売されました。これがもう10年以上前の事です。

WO UWANシリーズ
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笠井 UWAシリーズ
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そしてこれらのアイピースが一度市場から姿を消して暫くした後、装いを新たに賞月観星やアイベルから再販売されたのが今回のUWAアイピースと認識しています。海外でもMeadeや米オライオンなど多数のディーラーからも同じスペック、似たような外観のアイピースがリリースされており、恐らく世界中で姿形を変えて販売されている中身は同じOEMアイピースなのだろうと推測するところです。

見え味ですがSWAアイピースもそうですが息の長い中華アイピースはやはり基本性能は高いものが多い印象で、今回のUWA16mmもAPM12cm双眼(F5.5)で星を見る限りでは星像も周辺像も良好(良像範囲は9割~)で普通に不満無く使えるアイピースの印象です。賞月観星の商品説明ではナグラーType6の性能を目指したと書かれていましたが、ナグラーにはType5の16mmが既に存在していますので当初こちらのコピーでは?と自分的に推測していましたが、実物を見てアイレンズの大きさがナグラー16mmより一回り大きく、アイレリーフも長く、外観寸法も異なり、そもそもレンズ構成が4群7枚とナグラー16mmの4群6枚と違っていますので確かにこれはType6の16mm版と言える意欲的なアイピースの様に感じました。視野最周辺像はやはりナグラーが上回る印象ですが、覗き易さはこちらが上回っている様に感じます。

eyep-uwa16mm_5.jpg

このアイピースはアメリカンサイズで80度クラスの見掛け視界を持つ条件で最大限の実視界を確保したいと考えた場合最有力となるアイピースで(WS20mmと言う例外がありますが短焦点鏡筒との組み合わせでは周辺像は崩れが大きく、またピント位置が大きく手前側のアイピースの為双眼望遠鏡では合焦しません)、ナグラーはちょっと手が出ないと考える方にはイーソスに対するXWAと同様、コストパフォーマンスを考えれば買ってまず文句は出ない、正にプアマンズナグラーと呼ぶに相応しいアイピースと言えると思います。

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また最近の大きな動きとしてこのUWAシリーズに焦点距離10mmと13mmが新たにラインナップに追加されました。中華アイピースで一度リリースしたシリーズに追加のラインナップが入る事は稀な事だと自分は認識していましたので、これはこのシリーズの優秀さ、評判の良さを示す証左と言えるのかも知れません。

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賞月観星UWA16mm
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