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片持ちフォークSP赤道儀改 [天文>機材>架台]

自分はベランダでの観望は手軽さを重視するので経緯台で観望する事が多いのですが、たまに赤道儀を持ち出してモータードライブで自動追尾するとその楽さに改めて感激する事が多かったので、経緯台の手軽さと赤道儀の便利さを両立させた架台があればなあと考える事が多くなりました。

自分的に赤道儀の使用が億劫に感じる最大の理由がバランスウェイトの存在で、片持ちフォーク経緯台を好んで使う理由もウェイトが無くてもバランスが取り易い理由によるもので、どんなに優秀な経緯台であってももしウェイトの使用を余儀なくされれば自分にとっては赤道儀を使った方が良いと言う判断になります。

その様な訳でウェイトを使用せずに自動追尾できる架台を考えた場合に、片持ちフォーク経緯台を北に傾けて、水平軸をモーター駆動できれば実現出来そうと考え、ここで思い付いたのがこれもFL-90Sと同様に学生時代から使っていて想い入れがあったものの現在使い道が無く、物置に眠っていたビクセンSP赤道儀の活用でした。

結果としてSP赤道儀の赤経体のみ使用し、フォーク部分は丈夫さには自分的に定評があるAPM10cm対空双眼鏡用L字プレート、上下微動の微動体はAPZポルタの手動モジュールを流用する事で出来上がったのがこちらです。

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補強策としてAmazonで見つけたコーナー金具を一箇所ネジ穴を開けてL字プレートに取り付けたところ格段に強度が上がり、これでTSA-120を載せても運用出来そうな目途が立ちました。またこの運用の場合極軸望遠鏡が不要になりますので外した上でφ55mm径のレンズキャップがこの部分の蓋としてジャストフィットしています。

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SP赤道儀を久々にモータードライブで動かす上で手間取ったのがクラッチの調達でした。GP赤道儀用とSP赤道儀用のクラッチでは微妙に仕様が違っており、当初GP用を使おうとしたところギアが装着出来ず、家宅捜索してSP用を発掘して事無きを得ましたが、GP用が取り付かなかった原因は赤道儀の微動ハンドル取り付け部分の平らに削られた部分の深さがSPは浅く、GP用クラッチを使うとイモネジが長すぎて飛び出るのが原因で、短いイモネジを別途調達できればGP用でもSPで使えるのではないかと思われます。

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この架台の弱点は鏡筒を北に向けられない点ですが、南向きのベランダでの使用に限定すれば問題とはならず、はっきり言ってメリットしかありません。架台全体の重量も相当軽く、経緯台と変わらないお手軽さで自動追尾の恩恵も受けられる自分にとっては本当に便利な架台が出来上がり、何より思い入れの深いSP赤道儀に再び活躍の場を与えられたのが嬉しく感じられました。

後で調べると同じ様な試みをされている方は何人も見受けられ、既製品でもこの様な架台が既に存在する事は薄々知ってはいましたがその使い道は今一つ理解していませんでしたので、今回自分なりにこの解に行き着いた事でその意義をより深く実感出来た気がします。


2020/12/21 木星-土星超大接近デジタルスケッチ [天文>デジタルスケッチ]

実は最接近の21日は観望が出来ず、じっくり観望してスケッチが取れたのはその前後の20日と22日となりました。

以下12月20日のスケッチです。この視野円の大きさ(実視界)は0.42度となっています。

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気合を入れて寒い中TSAを持ち出したもののシーイングが今一つで正直このスケッチほど惑星はシャープでは無く、実際はもっとユレユレでボケボケでしたが絵で表現するのが難しく、もしシーイングが良かったら、と言う想像も混じったスケッチとなったかも知れません。

このスケッチではガリレオ衛星が5つあるように見えますが、木星から一番遠い光点はHD191250と言うやぎ座の7.5等の恒星で、この世紀の超大接近にしれっとガリレオ衛星に成りすましていたのが面白かったですwこの日はこの恒星も含めて土星から木星までの星の並びで数字の「7」を思わせるアステリズムが形成されていたのも(但し鏡像で)楽しませてくれました。

以下は最接近の翌日、12月22日のスケッチです。この視野円の大きさ(実視界)は0.23度となっています。

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やはり一段と木星と土星が近くなり、約250倍でも余裕で同一視野に収まって見えました。この日はFL-90Sに口径を下げたものの低空の割にシーイングが良好で、20日にTSAで見たよりも詳細が良く見えました。ただ20日はタイタンがかすかに見えていましたが、この日は視認する事が出来ませんでした。

割と最近始めたデジタルスケッチですが、じっくり観望した上で記録としても残せるのは自分にとっては一石二鳥と言ったところで、今シーズンの木星、土星の観望の締め括りとしては一生の想い出として残る、最高の体験が出来たと満足しています。

2020/12/21 木星-土星超大接近 [天文>日記]

ここまでの接近は397年ぶりとなった木星と土星の世紀の超大接近ですが、普段視界が限られたベランダで惑星観望している自分的に木星土星の観望は10月頃で一段落し、その後火星の観望に注力していたので12月の下旬になっても木星土星がまだベランダから見えるのかどうかが不透明で、もしベランダから狙えないならお手軽観望で済まそうかなどと、この時点ではそこまでこの現象を熱心には捉えていませんでした。

しかし火星も次第に小さくなる中でこの現象が更にクローズアップされて改めて木星土星の位置を確認すると、確かに高度はどんどん下がってきていますが、それと同時に冬至に向かって日の入りもどんどん早くなっていったので当日ぎりぎりベランダから見えそうな希望が見えてきました。

ベランダで見られると分かれば俄然やる気が湧いてきて、基本写真はしない自分もスマホで撮ってみたいと考えましたが、高倍率の惑星をスマホで撮るのは自分には困難と思われたので、少ない観望時間をなるべく直接目に焼き付けたいとの思いもあり、そうだ、こんな時こそスケッチを取ってやろうと思い立ち、準備を始めたのでした。

以下最接近の一日前の12月20日に予行演習として観望している様子です。

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この写真ではかろうじて木星と土星が分離して見えていますがやはり非常に近いです。150倍の倍率でも同一視野に捉える事が出来てこれは凄いと感じ、急遽両親を呼び寄せてあまり関心が無さそうでしたが、これが如何に貴重な現象かを熱弁する事により多少満足してくれた様子だったので自分も満足しました。

これで翌日の最接近もより楽しみとなりましたが、この日のー5℃の気温の中での観望で少し風邪を引いてしまい、肝心の21日の観望はチラ見しかできず残念でしたが、実は22日も21日と殆ど変わらない接近具合なのを事前調査で知っていたので、目標を22日に切り替えて体調の回復に努めました。

以下、22日に再度挑んだ様子ですが、やはり20日よりは接近していてこの写真では分離しているように見えません(僅かに2つに見える??)。

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望遠鏡では250倍でも同一視野に収まっており、改めてこれは凄いと再び両親を呼び寄せて、20日との位置の違いや大きさの違いを体感してもらって、この貴重な体験を分かち合う事が出来て嬉しかったです。

幼少から惑星、特に木星と土星を眺めるのが何よりも好きだった自分にとっては正に夢の競演と呼ぶに相応しい光景で、こんな事が現実に起こるんだなあと不思議な感覚に見舞われ、少しでも記憶に刻み込んでおこうと、低空で隣家の屋根に隠れるまでの短時間でしたがその姿を堪能していました。

この時の接近の様子をスケッチしたのがこちらです。

LED 光拡散キャップ 3mm 赤(SD-1減光対策用) [天文>機材>アクセサリー]

赤道儀用のモータードライブとして使用しているSD-1コントローラーですが、駆動確認用の緑発光のLEDが眩しく観望の妨げになる事が多く、観望会に持っていった時に話題になった事もあって何か手を打つ事を考える事になりました。

最初赤セロハンでも貼ろうかと思いましたがもっとスマートな方法は無いものかと調べていて見つけたのがこのキャップでした。

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3mmのものを購入しましたが、SD-1のLEDにぴったりサイズで特に接着などしなくてもただ被せるだけでしっかり食い付いており、通常使用で取れる事はまず無いと思います。

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このキャップを装着してSD-1の電源を入れるとLEDの明るさが減光されると同時に色もアンバー(橙)色となりました。

ttks-201023-2_1.jpg →  ttks-201023-2_2.jpg

天体観望において暗順応を妨げないライトと言えば赤色のものが昔からの定番ですが、LEDが普及して必ずしもベストな選択では無くなったとの意見も見受けられ、赤色の代わりにアンバー色のライトを推奨する意見も最近見受けられるようになりました。現にビクセンから天体観測用として電球色のヘッドライトも販売されています。

このキャップを被せただけで緑色のLEDが適正な色(特性)となっているかは厳密には分かりませんが、以前はとにかく目に刺さる眩しさだったものが、非常に目に優しい光に変化を遂げ、観望の妨げとなる事が殆ど無くなり、確かにアンバー色の視認性と目の優しさを両立させたライトの有用性はあるように感じられ、この色のヘッドライトにも少し興味が湧いた今回の試みでした。