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FC-100DL vs ALTER-7 [天文>機材>望遠鏡]

寒さがようやく和らぎ、この地域では比較的シーイングが良く、木星が観望好機の今の時期は望遠鏡の高倍率性能を確かめるには絶好の機会です。と言う訳で今回はFC-100DLALTER-7を引っ張り出して見え味を比較してみました。

先日これをやろうとまずALTERを引っ張り出したところ壊滅的なシーイングで即撤収させた経験から、今回はまずブランカ70EDTでシーイングをチェック、まずまずな事を確認して本番に移行しました。多少面倒でもこのやり方が良いかもですね。その点ではブランカの様な高性能な軽量機材は有用です。

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今回もまず出したのはALTER。いつものように双眼装置で200倍超えで見ましたが今一つ木星像が眠い・・・切れ味が余り良くなくピントがスパッとは決まらない、縞模様は2、3本見えるものの詳細が中々見えてこない、温度順応が足りない?思ったよりシーイングが悪いのかな?ともう少し温度順応させる為FCに交代。

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FCに交代したら切れ味が全然違います。縞模様の輪郭がシャープに見え、ALTERより見える模様が多く、FCに代えてALTERでは気づかなかった大赤斑が見えている事に気づきました。この時の大赤斑は今までFCで見た中で一番と思える程はっきり視認できました。TSAでもこんなに見えた事あったかな?と錯覚するほどで、木星の模様の見方を脳が学習したのか、天頂ミラーを銀ミラーのBBHSにした効果もあったのかも知れません。

その後何度か2台を載せ代えて見比べしてましたが、この日はどうやってもALTERがFCに勝てるシーンはありませんでした。確かにシーイングが大きく揺らいでいてあまり良くなかったかも知れませんが、シーイングが収まる一瞬良く見えた時のイメージで比べてもFCには及びませんでした。

これはシーイングの影響の受け易さがそこまで違うのか、昔はALTERももっと見えていた気もしますし何とも釈然としません。ただピントの山の緩さはALTERは以前からこんな感じでFCに比べればスパッと決まる感じではありません。この日の比較だけで優劣を決定付ける訳にはいきませんが、条件によってはALTERでもFCに全然敵わないと言う今日の結果に高倍率観望に用いる望遠鏡の選定の奥深さを再認識した次第です。

その様な訳で前回の見比べではC6を見直しましたが、今回はFCの良さを再認識した感じです。10cmアポのカテゴリーで見え味だけで比べればTSA-102やFL-102Sの方が上かも知れませんが、これらは重さ的にポルタでは運用が難しいと思いますので、ポルタで使える条件ではやはりFC-100DLが一番惑星が良く見える鏡筒なのではと、パワーウェイトレシオ的な観点で見ればやはり相当に優秀な筒ではないかと思いました。

一方18cmカセグレンではμ180やBKMAK180の方がALTERより惑星は見えるかも知れませんが、ミューロンはF12、BKMAKはF15とFが長いのである意味有利なのは当然で、低倍率を出す事に掛けてはALTERが長けてますので、高倍率性能で及ばなくてもどちらかと言えば星雲星団観望用途でこちらを使う事を考えると像の平坦さにおいてはルマック式マクカセのALTERの方がアドバンテージがあり、見る対象を選ばないオールラウンダーとしての適性はALTERが上ではないかと考えています。以前も書きましたが見え味以外の部分でも本当に扱い易い鏡筒でバランスの取れた、遠征して軽く観望するのに取り合えず一本だけ持っていくと考えた場合にはよく働いてくれる鏡筒です。

2本の見比べが終わった後、土星と火星が出てきてFCで火星を初観望しました。高度が低かったので大気の影響でぐにゃぐにゃでまともに見えませんでしたが予想していたより視直径が大きく、シーイングが良ければこの大きさでも表面模様が見えそうでしたので、大接近時にどんな姿を見せてくれるのか期待が高まりました。

2018年4月14日士幌高原ヌプカの里星空観察会 [天文>日記]

先日ネットの新聞記事、

ヌプカの里 望遠鏡復活 町職員の鈴木さん整備【士幌】
http://www.hokkaido-nl.jp/article/5512

ヌプカの里HP
http://www.nupuka.jp/

こちらを拝見して、以前何度か士幌高原を訪れた事があって上に天文観測ドームが乗っているこの建物が気になっていたのですが、中に入っていた機材がPENTAX 150ED+MS-5と言う自分が学生時代に天文ガイドで見て以来の憧れの機材で、ここ数年稼動していなかったものを職員さんがコツコツ直して使えるようにされたとの事でそれは見に行かなくては!と参加する事にしました。

当日は天気が悪いのは分かっていたので星を見る事は出来ないだろうと思っていましたが、逆に曇りの日の方が濃い天文ファンの人が集まるだろうと言う算段もあり笑、場所的にも一般の人が集まるにはかなり遠い立地条件と思われたので、元々人が集まるところが苦手な自分的には少人数の集まりの方が都合が良かったのである意味好条件でした。

中に入ると既に和気藹々とした雰囲気。曇りの日と言う事でスライドが上映されていて拝見しましたが到着した頃には既に終わり頃で、主催者の方が「今日は曇ってしまって・・・」と話し掛けて下さったのに対し「いやー望遠鏡見に来ましたので大丈夫です!あっはっはー」と機材オタ全開の返事をしてしまい、今まで一人で星を見続けてきた自分的に、星を見る集まりに参加するのは人生初めてだったので緊張して舞い上がってしまいました汗;

そんな訳であたふたしてたので建物の写真とか撮るのすっかり忘れてました・・・すみません><

スライド上映後、すぐに望遠鏡を見る準備が出来たとの事でドームのある観測室に上がるとそこには燦然と輝くペンタ150EDが。

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やっぱりカッコイイなーこの組み合わせ(うっとり)。職員の方の話をお聞きするとやはり復活させるのは大変だったご様子で、極軸望遠鏡が2005年までしか対応していないので合わせるのに苦労したり、メーカーメンテナンスが終わってるかも知れないので対物レンズのメンテをどうするかなど興味深いお話が聞けました。対物レンズを直接見る限りでは現状は特に問題なさそうに見えました。

MS-5は移動観測で使う人もいたと言う話は聞いた事がありましたが実物見たら無理ゲーとしか思えませんでした笑

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曇りでしたが地上風景を見せてもらえました。接眼部はバーダーのクリックロックアダプターで2インチ化し、アイピースは国際光器のフォトン32mmが付いていました(恐らく職員さんの自前)。フォトンは自分でも以前25mmを使ってましたが良く見えるアイピースで、今では絶版になったこの32mmも覗き易くて綺麗に風景が見えました。

ドームに入れる望遠鏡は大口径反射である場合も多いですが、大口径故に特に惑星観望では実力を発揮できない事も多いと思われますので敢えてそこは対象を絞り、惑星を見る事に関しては15cmアポは性能が出し易い点で最適解に近い望遠鏡と思いますので、特に一般人には手が出せないこの150EDを選択された事は遠くからでも足を運びたいと思わせる、ドームの大きさ的にも(4~5m位?)ナイスな判断だと思いました。

この望遠鏡は数年間使えない状態だったとの話でしたが、ウチの30年前のFL-90Sでも最新アポに負けない実力を持ってますし、メンテナンスがしっかりしていれば数十年は全然使えると思いますので、ましてやこれだけの機材を眠らせておくのは正直勿体無いのでこの先も末永く使われる事を願いたいところです。ペンタの機材はデザインセンスが秀逸なので古さを感じさせないのもいいですね。

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観望会に参加されていた方々(20人位?)は皆さん気さくで気軽にお話させてもらえました。びっくりしたのは女性の方の多さ、かなりの星好きの方に見受けられましたが主に機材ヲタ話しかできない(星の知識があまりない)自分に話し掛ける勇気も無くひたすら自らの挙動不審さを抑えるのに必死でした(^ω^A

男性の方々はそれこそ幾多の修羅場を潜り抜けてきた猛者の匂いしかしない方々で、自分の25cmのニュートンがF6なのが長くて(運ぶの大変)・・・とボヤいたらF6なんて短いよ!と一斉にツッコミが入ったのが面白かったです笑

8月の火星大接近を控え、惑星を見るのが一番好きな自分的にはこの望遠鏡でどんな風に見えるのか興味津々ですので、今後見させてもらえる機会があればまた参加させて頂こうと思います。

GuideFinder50-BINO その2 [天文>機材>望遠鏡]

対空双眼鏡が手持ちで使えたら?と言う発想の元作ってみたGuideFinder50-BINOでしたが、TG-S経緯台を手に入れた事でミニボーグ60ED-BINOよりお手軽な対空双眼鏡として架台に載せて使いたい欲求が高まり、どうにかしてこのBINOにアリガタを付けられないだろうかと思案して、鏡筒を支持する3点のファインダー調整ネジの一つが真横から付いている事に着目、これをもっと長い普通のネジにしてリングとネジの間にアリガタを挟みこめないだろうかと考え、BORGのVプレート80【3165】と長さ30mmの先端ソフトチップ埋設キャップネジ(M5)をミスミで探して手に入れ、これで思ったよりあっさりと形になりました。

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この構造では右側の鏡筒の視軸調整が出来なくなるので、鏡筒がリングの内側に接する形で(目幅が最小となる様に)固定させ、目幅調整、視軸調整は左側鏡筒のみで行うようにしました。

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アリガタの固定には前後からナットとワッシャーを挟み、リングのネジが通る部分も内側からナットとワッシャーで締め付ける事(下の写真参照)で鏡筒の重みでこの部分から全体が撓んでしまう事を防いでいます。

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架台に取り付けての使用感ですが、TG-Sとの組み合わせは非常に軽快で、ミニボーグBINOはイーソス17mmによる見掛け視界100度の超広角低倍率双眼視が出来るのが圧倒的強みですが、逆にそこに拘らなければ口径が1cmしか違わず、こちらはかなりの短焦点なのでミニボーグBINOにXL40を付けた時の実視界(8.8倍、7.43度)とこちらにXW20を付けた時の実視界(10倍、7度)はそれ程変わらないので、XW20の見え味が優秀な事もあり、出番はこちらのBINOが圧倒的に多くなりました。

こちらのBINOはアイピース無しで1250g、一方ミニボーグ60ED-BINOは3300gと2.5倍以上の重量差があるので、架台もこちらはTG-Sを使える事を考えると機動性は比較になりません。それでいて構造は簡素ながら目幅調整、視軸調整、任意のアイピースの交換が可能、直進ヘリコイドによる合焦機構が備わり、アミチプリズムによる正立90度対空を実現と対空双眼鏡として一通りの機能は備わっていて、行き当たりばったりで作った割には良い機材が出来たと思っています。

但し一点(結構大きな)問題があります。それは左右の視軸のずれ易さです。架台に取り付けあちこち振り回す運用をするとしょっちゅうずれます。アイピース交換でもずれてる事がありますwずれる度に視軸調整が必要ですが、そこは元がファインダーな事もあり、ファインダー調整と同じ要領ですので即座に直せるのですが、覗いた時にまたずれたかーとなるのはそこそこストレスでもあります。何が原因でずれてるのかはっきりしないのですが見るからに弱そうな構造なのであちこち無理が掛かっているのかも知れません。実用に支障を来たすレベルでは無いのがまだ救いですが、XWより重いアイピースは使わない方が良さそうです。

また簡素な構造故に目幅調整などはかなり手間が掛かります。左右の鏡筒及び前後のリングの傾きや位置調整、位置が決まってからの左側鏡筒の3点調整ネジ×2での目幅と視軸の同時調整は結構大変です。これでも架台に固定出来るようになったので前よりは楽になりましたが、構造上覗く人しか調整できない都合上(目幅を変えると必ず視軸も調整しなければならないので)他の人に気軽に見てもらうと言う訳にも行かず、実質主に一人で使う機材となりそうです。とは言えミニボーグ60ED-BINOも目幅68mm以上の人限定と言う大概な仕様ですし、テレコンビノとか既に目幅70mm固定ですので、あまり他人に見せる事は想定していません。まあ一人でしか観望しないので何も問題は無いのですが(何て寂しいオチだ・・・(;∀;)

ブランカ70EDT vs C6 vs FC-100DL [天文>機材>望遠鏡]

今年に入って再び木星が見えてきてシーイングもまずまずになってきた頃合を見計らって、これまで頭の中では良い勝負かな?と思っていたものの直接対決させた事のなかったブランカ70EDTC6の2台で覗き比べをしてみました。

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木星の表面模様の見え方で比べたところブランカよりC6の方が見え味は上でした。やはり光量差が大きいのでC6の方がブランカより模様が見易く、より細かい模様が見えます。ただ光量差に比べて解像度の差はそこまで大きくなく、C6に比べてブランカはかなりの過剰倍率にも関わらずシャープネスがそれ程落ちていない見え味に光学系の素性の良さを感じました。

当初雲が多かったものの天候も回復してきたので今度はFC-100DLも引っ張り出して3台で見比べました。FCとC6の直接の見比べも初めてでしたがやはりFCの方が解像度が高く、模様もより立体的に見えます。明るさは同程度でコントラスト(模様の濃さ)は意外にそれ程変わりません。C6はフードも無い補正板丸出しの状態で近所に明るい街灯も照っており、FCが有利な条件と思いましたがそれでもいい勝負しているC6を正直見直しました。昔はシュミカセはコントラストが・・・と言うイメージがあったものですが。

総合的な見え味の順番で言えばFC>C6>ブランカと言う順当な結果になりましたが、今回の見比べでお気に入り度がアップしたのはC6でした。月惑星観望するには十分な高倍率性能で口径が大きいので星雲星団観望にも使えますし、その際双眼装置もバロー無しで使えますし筒が短く扱いも楽です。ピント合わせも今回の3台の中では一番スムーズでストレス無く使えました(ウチのを普通に触っている限りミラーシフトってホント何?って感じです)。シュミカセっていいものですね。

余談ですが架台が揺れる度合いはC6+APZポルタ>FC-100DL+APZポルタ>ブランカ+TG-SとC6が一番揺れが少なく見えました。