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自作 口径3cm実視界10.5度対空正立ファインダー [天文>機材>ファインダー]

以前自作した口径3cmの広角対空ファインダーは重宝していたものの、自作方法が切断、接着と言った不可逆な強行手段を用いた事に微妙に不満を抱いており、全面的に作り直してみたのがこちらです。

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今回はパーツは全てネジによる接続で、加工の類は一切行っていません。構成は以下の様になっています。

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《フード部》
・M42-M37ステップダウンリング
・M42延長筒15mm
・M42延長筒30mm

この一見対物レンズに見える部分は全てフードです。ファインダーは自分にとっては天体導入の要であり、この対物レンズが曇ると導入不能となってしまうので曇り防止の為M42の延長筒で長めのフードを構築しました。

《対物レンズ部》
・M37-M42ステップアップリング
・M32-M37ステップアップリング
・MoreBlue FG004-ガイドスコープ(対物レンズ部分)
・M30-M42ステップアップリング

MoreBlueで取り扱いされている口径30mm、焦点距離130mmのガイドファインダーの対物レンズ部分を使用しています。接眼側はM30、対物側はM32のメスネジが切られており、それぞれステップアップリングでM42に変換しています。

《合焦機構》
・M42延長筒10mm
・M42全ネジアダプター10mm
・MoreBlue TP552-M42止めリング

このファインダーのピントはこの部分のM42の延長筒のメスネジとM42オスの全ネジアダプターとのねじ込みによる伸縮で調整しています。ピントが決まったら止めリングでピント位置を固定します。

《台座兼回転装置》
・BORG M42回転台座【4520】

以前はしゅう動による鏡筒回転でスムーズさに欠けるところもありましたが、今回はきちんとした回転機構が設けられており、鏡筒全体のスムーズ且つ正確な回転が可能となりました。この回転装置の前後のM42ネジのピッチはP1とその前後のパーツのピッチ(M42P0.75)とは異なるのですが気にせず接続しています。

《ダイアゴナル部》
・M28-M42ステップアップリング
・WO 31.7mmNew90°正立プリズム(本体部分のみ)
・M28-M42ステップアップリング

WOのヘリコイド付き正立プリズムのヘリコイドとバレルを外すと共にM28のメスネジが切ってあるので、そこにM42に変換するステップアップリングを装着しています。ここも恐らくピッチが異なりますが、ステップアップリングは根元までぴったり接続出来ています。

《アイピース部》
・M42-M39全ネジアダプター
・M42延長筒10mm
・M37-M42ステップアップリング
・SWA-27mm(笠井EF-27mm相当)

アイピースのバレルを外すとM37のメスネジが切ってあり、ここに変換リングを介する事でダイアゴナルと直付けしています。ここでアイピースのケラレを抑える為に可能な限りダイアゴナルとの間にM42の延長筒を挟む事で、以前のファインダーと同じ対物レンズ、ダイアゴナルを使用しながら約10.5度のより広い実視界を確保する事が出来ました。

このアイピースは恐らく笠井EF-27mm相当品と予想され、この状態で見掛け視界は約50度、8割以上の良像範囲を確保でき、プローセルの様な像の硬さが無く、目位置にも寛容で覗き易く仕上がっています。倍率は約4.8倍となっています。

《ファインダー脚部》
・MoreBlue FG310-ビクセン規格80mmファインダーアリガタ
・ビクセン 微動雲台
・MoreBlue FG310-ビクセン規格80mmファインダーアリガタ

鏡筒と微動雲台の間にはMoreBlueのファインダーアリガタを介して後方にオフセットさせる事で、全体をコンパクトに折りたためるようにしています。微動雲台によるファインダー調整は一般のファインダーのネジ3点による調整と比べると操作が直感的で圧倒的に合わせ易いと感じます。

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重量は890gと5cmファインダー(830g)より重くなってしまいましたが、あらゆる操作性がこちらが上回っており、何より実視界の広さを優先させたファインダーでしたので本末転倒と言う訳ではありません。

小口径ファインダーは見える星が暗くなっても、その分視野が広ければ明るい星が視界に入り易くなるのでスターホッピングによる星の辿り易さと言う点では5cmファインダーと変わらないと個人的には感じ、むしろ一回の移動(ホップの)量を大きく取る事が出来る事による導入速度の向上のメリットが大きく最近は5cmファインダーは殆ど使わなくなりました。

勿論3cmでは導入対象そのものが視認し辛い、もしくは見えない弱点がありますが、星図にSkySafariを使うようになってからはある程度対象に近づけば望遠鏡側の視界で詰めの導入が継続出来る様になった事でその弱点を補えています。