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ミニボーグ55FL対空正立ファインダー その2 [天文>機材>ファインダー]

光学性能的には個人的に最高と思える自作ミニボーグ55FLファインダーですが、SCT/2インチスリーブ部分をAstroStreet扱いのM42/2インチスリーブに変更する事により光路長が短縮され、前回はピント合わせはアイピースの抜き差しで行っていましたが、これによりヘリコイドを挟む余裕が生まれて合焦機構を設ける事が出来ました。

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これにより構成は、

・BORG ミニボーグ55FL対物レンズ【2555】
・BORG M57ヘリコイドS【7757】
・Pixco BORG互換延長筒14mm
・BORG M57/60延長筒L【7604】
・57-55mmステップダウンリング
・55-42mmステップダウンリング
・M42回転装置
・Baader T-2/90°アミチ天頂プリズム(#02)
・M42オス-オスAD10mm
・AstroStreet M42/2インチスリーブ変換アダプター
・APM UF30mm

と変更になりました。

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2インチスリーブが短くなった事によりアイピースの重心が下がって更に使い易くなり我が家の導入番長の名を欲しいままにしています。

AstroStreet T2ネジ 2インチスリーブ 変換アダプター
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大井光機 Masuyama 32mm/85° [天文>機材>アイピース]

これまでFL90S-BINOの低倍率用アイピースとしてSWA-32mmACクローズアップレンズアイピースの2本を使い分けていましたが、F9のこの鏡筒との組み合わせであれば以前UF30mmとの対決の結果惜しくも手放したMasuyama32mmの泣き所の良像範囲の狭さが解消されるのでは?と考えて、実視界や見掛け視界の広さの点でもこれまで使用してきた2本を1本にまとめられるスペックが魅力的でしたので再び試してみる事にしました。

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かつてのマスヤマシリーズは見掛け視界は52度が基本でしたが、復刻版は焦点距離が32mm以短は見掛け視界85度、それより長いものは標準視界となっており、設計は3群5枚(エルフレorアストロプラン?)と見掛け視界80度クラスのアイピースとしてはシンプルな構成が特徴的で、やはり周辺像の補正よりは(中心)像質の良さを優先させた割り切った設計の様に思えます。スマイスレンズを使用していないのでバローを併用する双眼装置などで超広角を味わいたい場合にはナグラーUWAシリーズの様な現代設計の同等スペックのアイピースよりも適性は高いだろうと推測します。

実際にFL90S-BINOで使用した時の良像範囲の広さは7~8割と言ったところで以前ミニボーグ50-BINO(F5)で検証した時の印象から期待する程は広くはなりませんでしたが単焦点鏡筒との違いは周辺の崩れの緩やかさで、遠征でも使ってみて周辺像の崩れで観望への集中が切れると言う事が殆どありませんでしたので、問題無く使えるアイピースとしてこれまでの2本から無事置き換わる事になりました。いざ実戦で使用してみるとミニボーグ71FL-BINOでも意外に周辺像の崩れは気にならず、見え味もやはり視野に透明感がありDSOの観望には向いていると感じます。

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気になった点としては視野最周辺が周辺減光していて視野環がはっきりとしない部分で、特にねじ込み式の見口を付けた状態では視野の中央を見ていると全視野が見えている気がしますが視線を周辺に向けると視野がケラレてしまい、最周辺を見るには横から覗き込むようにしないと見えない、見掛け視界がスペック程広く感じない印象でしたので見口を外したところ、アイポイントが宙に浮いて目位置を固定し難くなり視野の陰りが生じ易くはなりますが全視野を見通し易くはなり、見口は観望時には使用せずキャップとして使う事にしました。

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このアイピースはドブなどの短焦点鏡筒で使用した時の周辺像の崩れに耐えられないと拒絶される方も少なくない印象ですが、焦点距離30mmクラスで双眼に使用出来る鏡胴径と2インチをフルカバー出来る視野の広さを両立している点で他に代替出来るものが殆ど見当たりませんので、また周辺像の崩れが気になるかどうかは個人差も大きく、慣れの部分もある(買った当初は気になっても使っている内に気にならなくなる事もある)かも知れませんので、とにかく広い見掛け視界と実視界の両方が(双眼で)欲しい!と少々の欠点は許容出来る人であれば唯一無二のアイピースとして手放せない存在になるかと思います。

世界の現地時間取得ツール Ver1.0 [天文>Webツール]



地図上をクリックするとカーソル(赤い縦線)が移動し、その地域の経度、日本からの時差、現地時間が下記に表示されます。

 [ 日本時間(JST)  : -  ]


◆経度  : 東経135度
◆日本からの時差  : 0時間
◆現地時間  : -



自分は海外から機材を入手する事も少なくない為、ふと相手国の現地時間を知りたいと思った時に計算せずに知る事が出来るようなツールを作ってみました。

※注意事項
・時差は1時間刻みの表示です。
・各国のサマータイムなどは考慮していません。
・PCでの使用を前提としています。モバイル環境では上手く動作しない可能性があります。
・ソースコードの二次使用はご遠慮ください。

※変更履歴
Ver1.0:公開

ミニボーグ71FL-BINO [天文>機材>望遠鏡]

以前小口径広視界型のBINOとしてミニボーグ45ED-BINO60ED-BINOを切り替えて使用していましたが、45ED-BINOはその後ミニボーグ50-BINO55FL-BINOとそのコンセプトが継承されていった一方で60ED-BINOの口径、視野の広さのバランスの良さも捨て難く、このBINOは対物レンズ外径による68mmと言う最小目幅がネックとなって対物口径が制限されていましたがこの状況を打破する為に意を決してビノテクノのEZMを導入、更に対物レンズをミニボーグ71FLに口径アップする事で中型のBINOへと進化させたのがこちらです。

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鏡筒部の構成は、

・BORG ミニボーグ71FL対物レンズ(WH)【2571】
・BORG M57/60延長筒SS【7601】
・Pixco BORG互換M57延長筒28mm
・BORG M57ヘリコイドDXII【7761】
・BORG M57/60延長筒M【7603】/K-ASTEC TB-60AS鏡筒バンド
・BORG 2インチホルダーSII【7504】
・ビノテクノ EZM(左右ペア/誘電体コート)

と60ED-BINOからの派生とは言っても全くの別物となっています。前作から継承されているのは台座のHowie Glatter製PST BinoPlatform位でしょうか。

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EZMを採用するのであればより大口径も狙えたのですが、このBINOはアンドロメダの全景をなるべく大きな口径で眺めたいと言う目的があり、構造面でも台座パーツやヘリコイドの耐荷重の問題もあり、片手で持ち運べる手軽の範疇の機材に収めたい狙いからも71FLのスペックが最適と判断しました。

今回のBINOの製作で一番苦労したのが台座パーツと鏡筒を繋ぐプレートの特注でした。製作はユーハン工業にお願いし、設計する際の寸法の計測が目見当に頼らざるを得ない部分があり、現物合わせでの修正が必要になるなど一筋縄ではいきませんでしたが無事に出来上がりました。重量は約4.1kgとなっています。

tlscp-mb71flbn_2_2.jpg

使用アイピースはほぼイーソス17mm固定となっており、倍率23.5倍、実視界4.25度での100度双眼視の世界はやはり他の機材では味わえない、新たな眼視体験を提供してくれます。このBINOを作る目的ともなったアンドロメダを見るとM100、M32も含めた全景がバランス良く視野に収まり、これまでの45EDや60ED-BINOで物足りなかった部分がかなり解消され、実視界の広さでは敵いませんが没入感や視野の透明感と言った部分ではWXにも引けをとっておらず、この見え味であれば作る価値があったと満足出来ました。

他にも網状星雲も東側(NGC6992-5)と西側(NGC6960)の両方を一望可能でUHCやOIIIを使用した見え味は写真の様で、北アメリカ星雲もフィルター使用で淡いですが全景が収まり、すばるや二重星団などの散開星団も繊細な描写でありながら迫力があり、小口径ではありますがその分視野が広くイーソス双眼の威力も相俟って、APM12cm双眼などより大口径の双眼機材と比べても見た目のインパクトで遜色の無い天体像を描写してくれます。

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ケースはAmazonで非常にピッタリなサイズのアルミケースを見つける事が出来ました。

ここで我が家の双眼機材の特徴を以下に示します。

 接眼部向き 接眼部径 適正倍率
 R200SS-BINO逆向き31.7mm 裏像低~中倍率 
 APM12cm対空90°対空31.7mm正立像 低~中倍率
 FL90S-BINO90°対空2インチ裏像低~高倍率
 APM20x80MS直視交換不可正立像低倍率
 ミニボーグ71FL-BINO 90°対空2インチ正立像低~高倍率
 CUSTOM60L-BINO90°対空31.7mm倒立像中~高倍率
 ミニボーグ55FL-BINO90°対空2インチ正立像低~中倍率
 WX10x50直視交換不可正立像低倍率
 CUpレンズNo5-BINO90°対空2インチ正立像低倍率

どの機材も一長一短がありますが、個人的に天体用機材で望ましいと考える条件(上の表の赤字部分)、90°対空で正立像、2インチアイピースが使用可能で、低倍率から高倍率まで観望可能と言った条件を全て満たすのは今回のBINOだけとなっています。

きちんとしたBINO用台座(PST BinoPlatform)のお陰で自作では難度の高い精度のある目幅調整、視軸調整機構が備わっており、EZMの使用で正立での高倍率観望においても像の劣化を感じる事は無く、最小目幅や使用アイピースの制限も無いと言った点で自分の手持ちのBINOの中でも恐らく最も完成度が高く、とにかく運用面でも見え味の面でもバランスの良さが光る機材となったと満足しています。