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ユーハン工業 Tマウント経緯台 [天文>機材>架台]

ブランカ150SEDをもっとお手軽に使いたいと考えていた矢先に手動微動が可能な片持ちフォーク経緯台としては耐荷重において最強クラスと思われるこの経緯台を中古で見つけてしまい思わずポチってしまったのでした。

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この経緯台はメーカー直販の他、国際光器でも取り扱いされていましたが、エンコーダーが内蔵のものがT-REX経緯台、非内蔵のものがこのTマウント経緯台と大きく2つの機種が存在し、T-REXはエンコーダーユニットが一段間に挟まっている構造上、全長や重量がTマウントより長く重くなっており、エンコーダーが不要で架台にはシンプルさを求める自分的にはこちらが性に合っていました。

それでも最初に手にした時に感じた第一印象はやはりその重さ(アリミゾ、ハンドル込み約7.3kg)で、これまで触ってきた経緯台と比べると桁違いに頑丈、重厚です。それ故に安定感は抜群で150SEDを載せて振り回しても強度に不安を感じる事はありません。ただ口径の大きい鏡筒を載せる場合にはカウンターウェイトが必要になる事もあるかと思います。

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この架台でやや気難しいと感じたところがウォームギアの嚙み合わせ調整でほんの少し強めに締め付けただけで微動が完全に回らなくなります。APポルタGPなどではガタが出ないように気持ち強めに締め付けて、多少微動が重くなってもゴリゴリ動かせる使い易さがあったのですが(あまりよろしくは無い使い方かもですが)、その点Tマウントは調整が相当にシビアである意味余裕がありません。また鏡筒の前後バランスの崩れにも敏感で、バランスが偏った状態で微動を回すとガクガクとスムーズに動かず、如何にもギアに無理が掛かっているような嫌な感触が伝わってきます。個人的には双眼装置を外した状態等バランスがきちんと取れていない状態で微動させたい状況もありますので、その様な時は手でサポートしながら微動させますが、もうちょっと寛容に微動が動いて欲しいのが自分としては正直な感想です。

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ユーザー側でのウォームギアの嚙み合わせ調整はメーカーでも余り推奨はされていませんが、構造としてはギアボックスの外側の4つのキャップネジは引きネジ、その内側4つのイモネジは押しネジとなっていて、押しネジを緩めて引きネジを締めればギアの間隔は狭まり、逆に引きネジを緩めて押しネジを締めれば間隔は空きます。この締め過ぎず、緩め過ぎずの按配が超微妙な事に加えて、4つ×2セットのネジを均等に緩める/締める事を意識しないと偏った締め付けではギアボックスが斜めに固定されてしまい、よってギアも斜めに接触する事になるのでそのまま微動を回せば故障、破損の原因になります。よってしっくりこない、メーカーアジャストの状態から大きく狂った、もしくは傾き具合が分からなくなったと感じたら大人しくメーカーに調整に出すのが賢明と思います。

自分的にやや難を感じた点に細かく触れましたが、バランスがちゃんと取れていれば不都合無く使える上に、やはり片持ちフォーク経緯台としては唯一無二とも言える耐荷重の高さを考えれば大した事では無いのかも知れません。当初150SEDを載せる目的で、と思ったのですが試しに25cm反射(VX250L)を載せてみても普通に使えることが分かり(これにはちょっとびっくり)、我が家の重量級機材をお手軽に運用させてくれる架台として大事にしたいと思います。

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Edmund Optics RKE28mm [天文>機材>アイピース]

RKEのアイピースを調べていて一部マニアに絶賛されている28mmの「フローティングエフェクト(floating effect)」なる見え味がどうしても気になって、手に入れてみました。

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既に手持ちのTVのPL32mmと近いスペックですが、このアイピースに手を出したもう一つの理由として、PL32mmは31.7mm径をほぼフルカバーできる視界の広さを持っていますが、これが逆に対空双眼鏡や双眼装置、正立プリズムと言った接眼側の開口径が最大径より幾分絞られている機材に取り付けるとケラレが生じる為、こうした機材でケラれない範囲でぎりぎり広い視野、低倍率を得られるアイピースとしてこのRKE28mmの見掛け視界45度と言うスペックはより適していると判断した事がありました。

届いたこのアイピースを手に取ってまず中空に向けて覗くと何となく視野が迫ってくるような見え方に普通のアイピースと一味違う印象を持ちました。次にミニボーグ50BINOで昼間の風景を覗くとやはり非常に臨場感や立体感のある見え方をします。

これをTV PL32mmに替えてみるとやはりその様には見えず、所謂PLらしい真面目な、悪く言えば「面白みを感じない」「平坦な」見え味で、このRKEの独特の見え方は単に見口の形状の違いかも知れないと考えて、PL32mmの見口を全部外して覗いてみましたが、やはりRKEの様な臨場感のある見え方にはなりません。比べるとどうしても「狭い穴を覗いている」感じに見えます。

見掛け視界50度のPL32mmと見比べて、45度のRKE28mmは視野が狭く見えるはずですが、一見した時にどう見てもRKEの方が広く見えたので、たまによくあるカタログスペックと実際のスペックが違うパターンでこれは60度位あるだろうと当初本気で思いました。しかし他のアイピースとサイドバイサイドで見比べてほぼ公称値である事が分かり、広く見えたのは錯覚であった事が分かりました。

このこれまで感じたことの無い見え味にこれは結構スゴいアイピースなのでは?と星での見え味にも期待が膨らみ、APM10cm対空双眼鏡で星空を見たところ臨場感、像が迫ってくる感覚がより増したように感じ、違う言い方をすればアイポイントに目を置くとアイピースの存在が消える、と言う表現が近いかと思います。この像のみが見える感覚がフローティングエフェクトと言われる現象なのでしょう。心配していた周辺像も悪くありません。

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これは自分の見解ですが、RKE独特のカルデラ状の見口はきちんとした狙いがあり、やはりアイポイントに目を置いた時に視界周辺のアイピースの枠を目立たなくさせる効果を狙ったものではないかと思われ、RKE28mmではこれが見事にハマって稀有な見え味を実現させましたが、例えばRKE12mmではそこまでの効果は得られておらず、RKE8mmに至っては見口の周囲の山の出っ張りが邪魔で逆に覗き難くさせていると不評を買っているところを見ると、他の焦点距離でもフローティングエフェクトを狙ったものの効果が上手く出せなかったのではないかと推測しています(RKE21mmはどうなのかは分かりません)。

こうして考えると所謂ボルケーノトップ(Volcano Top、略してVTとも呼ばれる。「火山」の意)デザインと呼ばれる谷オルソに代表される見口が山の形状のアイピースもRKEと同様の効果を狙って作られたのかも知れないと思わなくもありませんが、残念ながら谷オルソ、谷エルフレを覗く限りではその様な効果を感じる事はありませんでした。ただ思い起こしてみると谷オルソ25mmはアイレリーフがかなり長く、少し浮いた感じがあったかも知れませんが、それ以前にアイポイントがシビアすぎてまともに覗く事が出来ず手放した経緯がありましたので、RKE28mmのシビア過ぎるとは感じさせないアイポイントの設計も巧みなのではと思わせます。

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その様な訳で自分も思わず絶賛するような感想になってしまいましたが、他の方が同じ様な印象を持つかどうかは個人差があるところと思いますが、自分的には非常に面白い、ユニークなアイピースを手に入れる事が出来て星を見る楽しみが増えたと喜んでいます。