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Leica 20x/12 10446356(顕微鏡用接眼レンズ、12.5mm相当) [天文>機材>アイピース]

天文ファンでもライカと言えばカメラや双眼鏡、フィールドスコープのメーカーとして多くの方に知られた存在ですが、顕微鏡の大手メーカーとしても名が知られており、自分的に顕微鏡用接眼レンズの天文用への流用を考える上でも外せない存在でした。

しかしやはり20倍の接眼レンズとなるとライカと言えども選択肢が少なく、例によってクラシックアイピースに類すると思われるものを物色して今回見つけたのがこの接眼レンズでした。

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この接眼レンズが開発された経緯やどの様な設計であるかなどはやはり調べても自分には分かりませんでしたが、30.0mm径の接眼レンズである事から比較的新しい製品と考えられ、外観を見るとやはりスマイスレンズの類は入っておらず、現代風の設計では無さそうなところを見ると、ニコンのE20xやUW20xと同年代(90年代頃)の製品かも知れません。スペックは20x/12と明記されていますので、望遠鏡換算で焦点距離が12.5mm、見掛け視界55度と導き出せます。

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外観を見て目を引かれるのはアイレンズの大きさで、望遠鏡用の12mmクラスのクラシックアイピースと並べてみても一際大きいです。またコーティング色も黄色系でギラギラと輝いているような、これも望遠鏡用ではちょっとありえない特徴ある外観を誇っています。筐体も金属は一切使われておらず、樹脂製の材質と思われますが、貧弱さや安っぽさは一切感じられず、またこのお陰で非常に軽い(約48g)仕上がりとなっています。

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見え味は例によってアポ屈折にバローを付けた双眼装置で惑星を高倍率で見た印象ですが、一目見てこれは良く見える接眼レンズだと感じました。ヌケとコントラストが良く上質な天文用アイピースと比べても互角以上の見え味に感じます。おまけに見掛け視界も良像範囲も広いですので見え味に妥協せずに経緯台でじっくり眺めたい時には自分の中では最適解に近い接眼レンズとなっています。

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ライカは何故か望遠鏡業界には参入をしていませんので、ライカの光学製品を天文用に流用するにはこうした手段を用いる以外にありませんが、ライカの歴史を紐解くと特に顕微鏡事業(ライカマイクロシステムズ)に関してはこれまで様々な企業(ワイルドやボシュロムなど)と合併して現在のライカグループを構成している様ですので、エルンスト・ライツ直系の開発製品であるかどうかは見抜くのは難しく、ライカの名を冠していても設計思想の異なる製品が存在する可能性がありますが、それらも受け入れる寛容さが必要となるかも知れません。