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ミニボーグ50-BINO [天文>機材>望遠鏡]

ACクローズアップレンズBINOを構築した事でミニボーグ45ED-BINOと口径がほぼ同じBINOが2つになってしまった事からミニボーグ45ED-BINOの対物を60ED固定とする事で差別化を測っていましたが、ミニボーグ60ED-BINOとして運用すると最小目幅が68mmとなってしまい、他の人に覗いてもらうのが難しい点が不満に感じ、遂にここに来てEMS/EZMの導入を考え始め、EMSを導入するなら対物の口径もより大きく出来る事から更なる大口径のBINOの構築を検討する事になりました。

そこでEMSを導入するとこれまで使用していた2インチ正立プリズムが不要となり、これも最小目幅を縮める為に加工をお願いしたワンオフものとなっていた事からこれを使わなくなるのも勿体無く感じ、有効活用しようとACクローズアップレンズBINOを2インチ化する事を検討し始めました。

しかし試行錯誤した結果この組み合わせではバックフォーカスを出すのが難しい事が分かり、ここは思い切ってACクローズアップレンズBINOとは全く別にに2インチ対応の小口径BINOを作る方向に舵を切り、ボーグパーツにはやはりボーグの対物レンズが相性が良い事から、ディスコンが決まり在庫限りとなっていたミニボーグ50の対物レンズを急遽手に入れて、ミニボーグ45ED対物レンズよりも焦点距離が短い事からより広い視界が稼げるBINOとして出来上がったのがこちらです。

tlscp-mb50bn_4.jpg

片側の鏡筒部の構成は、

・ノーブランド 52mm→48mmステップダウンリング
・BORG ミニボーグ50対物レンズ【2050】
・Pixco マクロエクステンションチューブ(ボーグ互換延長筒)14mm
・BORG M57ヘリコイドS【7757】
・BORG M57/60延長筒S【7602】
・BORG DZ-2【7517】
・BORG 2インチホルダーSSII【7501】
・スタークラウド SC2インチ90°正立プリズム(目幅短縮仕様)

となりました。対物レンズフードの先端には2インチフィルターを装着出来るようにステップダウンリングを取り付けています。またミニボーグ50の対物レンズの色が黒に仕様変更されていた事からBINO全体の色が黒一色となり何となく味気が無かった事からボーグ互換延長筒部分と正立プリズムの加工部分に紫色のテープを貼り付けてアクセントを出してみました。

BINOのベースとなる台座パーツはACクローズアップレンズBINOに導入したMoreBlueの目幅調節装置の鏡筒の着脱方法がアリガタアリミゾだったので、今回のBINOの鏡筒にもファインダーアリミゾを取り付け、用途によって鏡筒を差し替える形で台座は兼用としています。

tlscp-mb50bn_2.jpg

このBINOでの使用アイピースは、

UF30mm(倍率8.3倍、見掛け視界72度、実視界8.64度)
イーソス17mm(倍率14.7倍、見掛け視界100度、実視界6.8度)
XWA9mm(倍率27.8倍、見掛け視界100度、実視界3.6度)

辺りを想定しています。今回は合焦機構がM57ヘリコイドSのみとなった事でピントの移動範囲が10mmしかありませんので、どんなアイピースでもピントが出る造りでは無くなってしまった事からイーソス17mmを使って無限遠でヘリコイドの中央でピントが出るように光路長を調整しています。

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見え味に関してはF5対物との事で広角アイピースでは周辺像が辛くなるところですが、UF30mmはこの部分の性能に特化した設計なだけあり良像範囲は9割程度あり、イーソス17mmの方も元々短焦点に強くこちらも9割程度の良像範囲がありますので覗いていて周辺像の崩れが特に気になる事はありません。

これらのアイピースの組み合わせの場合実視界が6度~8度超を実現出来ますので、視直径が5度以上あるような天体、例えばヒアデスやMel20と言った大きい散開星団の全体を俯瞰して見る事が可能で、ぎょしゃ座のM36、M37、M38をまとめて同一視界で眺めたり出来るなどこのBINOでなければ味わえない世界を体験できます。

このクラスの実視界は手持ちの双眼鏡であれば割と一般的なスペックですが、50mmの口径で超広角の見掛け視界と広い良像範囲を両立しているものは殆ど見当たらず、対空双眼鏡として架台に取り付けて楽な姿勢で天体を眺められる利点も併せると使用感は手持ちの双眼鏡とは全く別物で、倍率こそ近いですがやはり望遠鏡の範疇に入る機材だと思います。

総重量はL字プレート込みで約2780gでAPポルタとの組み合わせで準備も撤収も楽なお手軽双眼観望機材として今後活躍してくれそうです。