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Zeiss West Germany Kpl20x(顕微鏡用接眼レンズ、12.5mm相当) [天文>機材>アイピース]

冷戦時代にZeissが東西ドイツで分かれていた時代の西ドイツ側のZeissで製造された顕微鏡用接眼レンズです。

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東ドイツ側のCarl Zeiss Jena(略してCZJ)の望遠鏡製品は民生品も販売されていたのに対し、西ドイツのZeissからはアマチュア向けの製品は製造されておらず、こうした顕微鏡用の接眼レンズを流用する方法でなければ西独Zeissのレンズで星を眺める事は難しいかと思われます。その点で貴重な見えを味わえる接眼レンズと言えるかも知れません。

レンズ形式は不明ですが、KplのKはコンペンゼーション、plはプラン対物向けの接眼レンズと解釈すれば、絞り環が視野レンズより対物側に設置されている事からやはりケルナーに近いデザインなのではと推測しています。また絞り環径をノギスで測ると8mmですので見掛け視界は約37度と算出しています。因みにこの接眼レンズは2本1セットで入手しましたが、片方の接眼レンズにはスケールが内蔵されていて、星見に使う上でスケール版が絞り環に接着されていたのを剥がす一手間が掛かっています。

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惑星観望における見え味は本当に素晴らしく、我が家の12mmアイピースの中でも文句無しのトップクラスです。CZJの12,5-OPK20xに比肩し、優秀な国産アイピースと比較しても一段模様が詳しく見える驚異の見え味で、Zeissの接眼レンズには特別な何かがあると思わせる、元々Zeissに強い想い入れを持っておらず、強い期待もしていなかった(失礼)自分にそう感じさせる程確かな実力を持った接眼レンズと評価しています。

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勿論この接眼レンズは天体用ではありませんので周辺像は多少崩れますがPK20x程ではなく、コーティングのお陰か迷光もそれ程感じないトータルバランスでも非常に優れた接眼レンズの印象です。何度も書いていますが周辺像に関しては天体用の12,5-Oが完璧です(もしくはペンタO)。

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東西ドイツ統一後のZeissでは天体用アイピースとしてZAOが市販された一方、顕微鏡用接眼レンズは自分が探す限りでは20xは存在しなくなったので、この焦点距離に拘るならば冷戦以前の製品に頼らざるを得ませんが、東西どちらでも手を出しても文句の出ない実力を有していると個人的には確信するところです。