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LOMO K20x(顕微鏡用接眼レンズ、12.5mm相当) [天文>機材>アイピース]

LOMO(レニングラード光学器械合同、ЛОМОと表記)はロシアの光学機器メーカーで、Wikiによれば20世紀初頭よりそのルーツが存在し、第二次大戦後にはドイツに勝利した旧ソ連がツァイスの技術も取り込んで更なる発展を遂げ、カメラ、望遠鏡、顕微鏡などを開発製造し、今尚ロシアの宇宙開発、軍事面においても影響力を誇るロシア有数の光学工場との事です。今回はこのメーカーの顕微鏡用の接眼レンズを入手する事が出来ました。

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このメーカーの一般の天文ファンにも馴染み深い話と言えば、昭和の天文ファンなら誰もが知っているアメリカのパロマー天文台の口径5mのヘール望遠鏡を超える口径6mの反射望遠鏡BTA-6が1976年にゼレンチュクスカヤに建設され、その後長らく世界最大の望遠鏡として君臨していましたがこの望遠鏡を開発、建造したのがLOMOとの事で高い技術力が伺えます(望遠鏡としてあまり実力は発揮出来なかった様ですが)。

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LOMOの接眼レンズにはメーカー名が表記されていない事も多いですが、倍率を意味する「x」の表記が小さく上付きで書かれているのが識別する一つの手掛かりとなっています。レンズは見たところノーコートでこれで星がちゃんと見えるのか一抹の不安がよぎりますが、反射光を眺めるとレンズ表面が水面の様にとても滑らかそうに見えます。バレル径は23.2mmです。

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顕微鏡用接眼レンズの設計には謎が多いですが、この接眼レンズの様に若干古めの製品には「K」の文字を冠している事が多く、これは手持ちの顕微鏡接眼レンズではツァイスのPK20xやKpl20xにも当て嵌まります。このKの意味がずっと謎でしたが、Twitterのフォロワーさんのぼすけさん、Lambdaさんから教えて頂き、このKが「コンペンゼーション方式」を恐らく意味する事が分かりました。望遠鏡用アイピースで例えるならアクロマートハイゲンスに近い設計のようです。

このコンペンゼーションとはオリンパスのHPに解説が載っており、

1、コンペンゼーション方式
コンペンゼーション方式とは、対物レンズで発生する収差を、結像レンズ側で打ち消しあう補正方法です。
2、コンペンゼーションフリー方式
コンペンゼーションフリー方式は、対物レンズ、結像レンズそれぞれが個々に収差補正を完結する方式です。

との事で、PK20xやKpl20xなどが中心像は抜群に優れていますが周辺像に崩れが若干目立つ見え味でしたので、やはり望遠鏡の対物レンズとの相性が良くなかったと考えれば合点が行きます。

このLOMOの見え味に関しても周辺像はそれなり(それでもPKやKplよりは崩れは少ない)ですが、やはり中心像は非常に良く、木星の模様の詳細を見せる性能はツァイスのアイピースと遜色ありません。個人的にはしっとりとした柔らかい描写と言う印象で、迷光処理の面でも目障りな迷光は感じられず(横からの光の入り込みは弱い)、またロシア製と言う事で予測していた像の着色も特に感じられません。総じて良く見える接眼レンズと言えます。