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ビクセン A62SS(見え味編) [天文>機材>望遠鏡]

前回の外観編に続き、今回はA62SSの見え味についてのインプレですが、自分はアクロ鏡筒を見慣れてない事もあり、A62SS単体で観望しても良し悪しが判断できないだろうと思われたので、手持ちの鏡筒の中で焦点距離が近いアクロと言う事でZeiss C50/540とサイドバイサイドで見比べる事にしました。

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まずは地上風景を見比べてみましたが、全体的な印象としてA62SSの方が色収差が多く、C50/540の方が明るくシャープで良く見えました。折角なのでスマホ手持ちコリメートで写真を撮ってみました。アイピースはMeade SP20mmで26倍前後です。

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こちら↑がA62SS

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こちら↑がC50/540

更に笠井の5倍バローを入れてみました(130倍前後)。

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こちら↑がA62SS

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こちら↑がC50/540

写真下手くそマンなので申し訳ありませんが、何か感じ取って頂ければ幸いです。この時点では、あーやっぱり口径が大きくてもツァイスには敵わないかーと思いましたが、日が沈んで本命の木星が見えてきたのですぐさまそちらに向けてみました。

シーイングはまずまず(3~4/10)で木星の模様を観察しましたが、こちらでは評価が逆転、割とはっきりとA62SSの方が良く見えます。眼視のイメージをお絵描きソフトで手描きしてみました。

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こちら↑がA62SS

191001c50_1.jpg

こちら↑がC50/540

感じた事をまとめると、

・A62SSの方がNEBの輪郭が明瞭、全体的に模様がシャープ
・A62SSではNTBの白い帯も見え、C50/540ではこれが不明瞭
・C50/540の木星像は若干暗く、全体的に解像度が低い
・C50/540の木星は上下に何故か色が付く(赤と青)
・但しA62SSはハロが目立ち、模様のコントラストを下げている感じ

やはり口径の差なのか、A62SSはC50/540と比べて明るさと解像度に結構な差があるように感じました。このクラスで1cmの口径差は思った以上に大きいのかも知れません。A62SSではC50/540に比べてハロが結構目に付きますが、明るさのより暗い土星ではこれも目立たなくなり、C50/540との見え味の差は更に広がる感じです。逆に月だと昼の景色のようにC50/540の方が良く見える可能性はあります。

またサイドバイサイドで見比べるのにほぼ同倍率を掛けていましたが、A62SSは口径の約3倍の倍率に対して、C50/540は約4倍の倍率となっていて、流石にC50/540の方は過剰倍率が過ぎるのでは?と思わなくもありませんので、これを以ってA62SSの方が優秀な光学系と結論付けるのは早計に思えます。

C50/540も最初VMC110Lと見比べてアクロってこんなに見えるのかと驚いた程でしたので、良く見えるアクロなのではと思うのですが、それを概ね(木星土星を見る限りは)上回る見え味のA62SSも悪くない光学系の様に思えます。

本体の上質な造りと現在の投売り状況を考えれば、お手軽観望用として持っていても損はしない鏡筒かも知れません。鏡筒単体も安くなっていますが、モバイルポルタ経緯台とのセットも3万強と相当安い気がします。以前ミニポルタを使用していましたが、この鏡筒とモバイルポルタであれば恐らく無理の無い組み合わせと思われ、個人的に最初の望遠鏡セットとしても薦められると感じました。