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タカハシ LE12.5mm [天文>機材>アイピース]

LEシリーズはLE50mmが1989年に発売されて以来、国産アイピースの中でも異例のロングセラー製品となっています。焦点距離ラインナップは5mm/7.5mm/10mm/12.5mm/18mm/24mm/30mm/40mm/50mm、これに超短焦点のHi-LE2.8mm、Hi-LE3.6mmが後に加わり豊富なラインナップとなっています。

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LEとはロングアイレリーフの意味らしく、その為か短焦点のLE5mm、7.5mmはスマイスレンズ入りの設計となっています。これより長焦点は3群5枚の所謂アストロプラン、もしくはその改良型と言える設計かも知れません。

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国産のアストロプラン設計のアイピースと言えば笠井APが個人的に馴染みでしたが、焦点距離ラインナップは5mm/7.5mm/10mm/12.5mm/15mm/20mmとなっており、LEと比較すると5mm、7.5mmはスマイスレンズは内蔵されておらず、LEには15mmや20mmの焦点距離は存在せず、アイレリーフや見掛け視界、アイレンズの大きさも異なる(LE:約12mm、AP:約13mm)ので別の設計と自分は見ています。

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ところで最近顕微鏡用接眼レンズに手を出した事で顕微鏡の仕組みについて色々調べたところ、Plan/プランと呼ばれる単語がよく目に付き、これはドイツ語で「平面」の意味が語源とされ、顕微鏡光学系においては像面湾曲や非点収差などの周辺像が補正された設計を指すらしく、例えば顕微鏡の対物レンズにはプランアクロマート、プランアポクロマートと言った種類が存在します。

よって天体向けのアストロプランやプラノキュラー(Planokular)と言ったアイピースは天文向けのPlan接眼レンズ、平坦なアイピースと言った意味合いが込められているのではと推察します。

3群5枚とアッベオルソやプローセルに比べてレンズが1枚多いアストロプラン設計の長所が個人的に今一つ分からないところがありましたが、アッベオルソは見掛け視界45度未満のものが多いのに比べると見掛け視界が多少広く、同様の見掛け視界を持つプローセルと比較した場合には周辺像の補正に優れており、更にアイレリーフも長いとするならば、アストロプラン設計の特徴、長所が見えてくる気がします。

95年頃の天文ガイドを見るとLEシリーズの広告に、

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と書かれており、タカハシの最新のカタログ(2020年度)のLEシリーズの説明にも「52°の視野の周辺まで星像が崩れにくいスタンダードなアイピース」と記されています。

室内環境で以下のアイピース、

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アイピース名アイレリーフ見掛け視界
タカハシ LE12.5mm 9mm 52度
笠井 AP12.5mm 10.6mm 50度
Meade SP12.4mm 8mm 52度

APは同じ日本製のアストロプラン設計と言う事と、SPは同じ見掛け視界を持つ日本製プローセルと言う事で周辺像に着目して見比べたところ(鏡筒はブランカ70EDT)、LEとAPの良像範囲は9割程度に対してSPは8割程度で歪曲も比較的大きい印象で、まずまず推測通りと言ったところでしょうか。

中心像に関しては良く出来たアイピースの標準と言ったところですが、扱い易く性能のバランスの取れたシリーズで、自分もアイピースを見比べする時に良し悪しの基準にする事も多いアイピースです。