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火星デジタルスケッチ2020 [天文>デジタルスケッチ]

今年は火星観望をかなり楽しませてもらっています。火星の場合は木星や土星と違い、固定した地形が存在、視認できる事から模様を適当に描く事ができず、当初スケッチを取る事は考えていなかったのですが、今年の火星はベランダからも手軽に観望できる点でも滅多に無い好条件でしたので、このチャンスを逃すと暫くはスケッチを取れる様な機会は訪れないと思われた為、意を決して一旦紙にラフスケッチを取ってからPCで描く2段戦法を取る事で火星のデジタルスケッチに挑んでみました。

以下がブランカ150SEDで見た火星、

ttsct201015_1_6.jpg

流石は15cmアポと言った見え味で、10月6日の最接近を過ぎたばかりだった事もあり(視直径22.4秒)、オーロラ湾から延びるマリネリス渓谷が判別できるなど結構細かい模様まで見えていました。笠井のHPに書かれている「400倍を超える過剰倍率でも、余裕でシャープネスを保つハイレベルな結像性を示します」と言う150SEDの宣伝文句も誇大では無いと思いました。

以下は最近久々に引っ張り出したビクセンFL-90Sで見た火星、

ttsct201107_1_6.jpg

ブランカ150SEDには及びませんが、9cmでも思いの外良く見えました。ステラナビゲーターなどで火星の地形図を確認するとシレーンの海とキンメリア人の海の間は黒い模様が切れている表示になっているのですが、今シーズンの火星を見る限りはこの間は黒く繋がっていて横に長い模様を形成していました。

同じくFL-90Sによる火星、

ttsct201117_1_23.jpg

この時はこの数日前にマリネリス渓谷周辺から発生したダストストームが周囲に広がり始めたところで、ペルシャの海の上空付近に黄雲が漂っている様子を捉える事ができました。尚スケッチ画像に世界時(UT)と日本標準時(JST)の2つを記述している理由は、自分が火星の地形を確認する際に用いているステラナビゲータとWinJUPOSと言う2つのソフトの時間入力がそれぞれ日本標準時と世界時となっており、時差を暗算するのが面倒なので併記している次第です。

更にFL-90Sによる火星、

ttsct201126_1_9_2.jpg

これまで適当に望遠鏡を出していたのでかの有名な大シルチスを拝む機会が中々無かった事から、今回は時間を調べて観望に挑んで正面に捉える事ができました。この時はF9の屈折には明らかに過剰倍率となる6xバローを試しに付けて観望していましたが破綻はしておらず、単位面積当たりの光量が多い火星は倍率を掛け易いとは言え、口径の4倍を耐えるならやはりかなりビクセンFLも優秀な光学系ではないかと思いました。ただこれはアイピースのお陰もあり、国産アイピースよりもZeissのアイピースがやはり一段模様が細かく見えるので、今年の火星のスケッチは最終的にはこのアイピースに頼る事が多かったです。

今回の火星のスケッチでは一旦紙にラフをメモ書きしてからPCで描く方法がまずまず上手く行った気がしましたので、今後は木星や土星のスケッチにも応用していければと思っています。