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タカハシ MC Or12.5mm [天文>機材>アイピース]

古いツァイスサイズのアイピースでオルソの名を冠していても必ずしもアッベではなくプローセルやケルナーですらオルソとして販売されているものもあった様子で、手持ちの12mmクラシックアイピースで言えばペンタOは改良アッベですが、ニコンOは改良プローセル、ビクセンのOrもプローセルが多い(焦点距離によってはアッベもある様です)事からタカハシのOrはどっちなのだろうかと言う点は気になる部分でした。

アッベがプローセルより必ずしも高性能とは限らないかも知れませんが、やはりアイピース好きの自分としては現在ありふれたプローセルよりも製造難度や希少性も高いアッベに魅力を感じてしまうところがあり、タカハシのOrもアッベである事を期待して調べていたところ、このアイピースを分解している方のHPが見つかってそちらの写真を見るとアッベである事が分かり一安心(?)しました。

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タカハシのOrは、タカハシのメーカーHPによれば、1971年の4月に新型オルソシリーズとして5mm/7mm/12.5mm/25mm/40mmが発売され、その後1972年の6月に9mm/18mmが追加された模様です。更にその後1978年12月にマルチコーティング化されたとの事でこのタイミングで「MC」の名前を冠したのだろうと推察します(ゴム見口を採用したのもこのタイミングかも知れません)。更に1985年6月にはHi-Or2.8mm/Hi-Or4mmがラインナップに追加されたようです。その後新シリーズのLEアイピースが登場してもこのアイピースはしぶとく残り続け、2000年代初頭まで天文ガイドの広告に載っていました。LEも相当なロングセラーでしたがこちらも負けていなかったようです。

今回手に入れたのはマルチコートモデルの方で、「実用 天体望遠鏡ハンドブック(川村幹夫著)」によればMC Orはレンズ全面に6層のマルチコートが施され、ゴースト、フレアの減少、コントラストの向上、清澄な視野の実現と性能アップが図られているとの事で、アイレンズを見ると青緑色の深みのあるコーティングが印象的です。

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見掛け視界の公称値が調べても分からなかったのですが、絞り環径をノギスで測ると約9mmで例によってここから見掛け視界を算出すると約41.3度となり、他のアイピースと覗き比べるとZeiss 12,5-O(40度)より大きく、公称42度のペンタO-12や笠井HC-Or12mmとほぼ同じ見掛け視界ですので、これは42度と言っても差し支えないだろうと思います。

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惑星の見え味は全く自然で癖のない、良質な国産アッベの印象で文句の付けどころが無く、長期間に渡りタカハシ鏡筒の付属品として高性能を引き出す役割を担っていた訳ですから悪かろうはずがありません。ラインナップの内望遠鏡の付属品となっていたのは7mmと18mmが多かった様子で、中古が比較的安価で手に入り易いですので、良質なアッベオルソを手に入れたい方には狙い目かも知れません。