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Explore Scientific ES24mm/68° [天文>機材>アイピース]

APM12cm対空双眼鏡がアメリカンサイズのフル口径のアイピースでもケラれない事が分かった事で、最低倍率用に実視界が限界まで取れる長焦点広角アイピースが欲しいと物色した結果手に入れたのがこのアイピースでした。

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アメリカンサイズのフル口径のアイピースと言えば手持ちでTV PL32mm(視野環径27mm)を持っていましたが自分的に惑星観望では狭視界は気にならないのですがDSO観望では耐えられない事が分かり、今回見掛け視界60度以上で極力広い実視界が確保出来る条件で探した結果以下のアイピースも候補となり実際に見比べてみました。

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この条件では以前所有していたTVのパンオプ24mmが見え味において最強である事は多分疑いが無かったのですが、昨今の円安で恐ろしい価格となってしまい(現時点6万6千円)次点候補としてのアイピース選びとなっています。まずは室内環境でミニボーグ50(F5)で見比べたところでは、

・見掛け視界
ES24mm=ハイペリオン24mm>UF24mm>PF-25mm
・良像範囲
ES24mm(80%)>PF25mm(75%)>UF24mm(70%)>ハイペリオン24mm(60%)

APM12cm対空双眼鏡(F5.5)で見比べた印象では、

・良像範囲
ES24mm(ほぼ100%)=PF25mm(同左)=UF24mm(同左)>ハイペリオン24mm(90%)
・星像の良さ
ES24mm>=UF24mm>=ハイペリオン24mm(FPXフィルター使用)>=PF25mm

と言った印象です。

バーダーのハイペリオン24mmは視野絞りがバレル内径一杯を使用しており実視界は一番広く、像質も素直で室内環境では一番中心星像が鋭いと感じたのですが良像範囲は他のアイピースより若干狭い印象で、また難点としてピント位置がかなり手前側のアイピースで、APM12cmではそのままではピントが出ず、笠井のFPXフィルター併用でぎりぎりピントが出ましたがバレル端にフィルターを付けているせいか視野が若干ケラれてしまい、この部分で今回は脱落となりました。

笠井から最近販売されたプレミアムフラットフィールドを謳うPF-25mmですが、他のアイピースと見比べたところ公称値で同じ見掛け視界のUF24mmより少し狭く感じました(60度位?)がその分室内環境では良像範囲が広く感じ、この中では安価ながらフラットフィールド性能は中々高いと感じました。また今回見比べたアイピースの中では圧倒的に軽量で、3群4枚のケーニヒ設計との事ですので恐らくスマイスレンズも入っていませんので双眼装置との相性は一番良いかも知れません。

賞月観星のUF24mmは見掛け視界はES24mmやハイペリオン24mmより少し狭いですがやはりフラットフィールド性能は高く、室内環境では中心像のシャープネスはハイペリオン24mmの方が僅かに上回るかと感じましたがAPM12cmで実際の星を見ると逆転する程像質が良く、視野周辺隅々まで星が点で非常に優秀な見え味と感じました。

上記3種の見比べでUF24mmの見え味が満足行くものだったので採用し掛かったのですが、この後でES24mmの存在をtwitterでアドバイスされて思い出し、今となってはそれ程新しいアイピースでもなかったので大きくは期待していなかったのですが、今回見比べて公称値通りの見掛け視界の広さで、驚いたのはフラット性能の高さで良像範囲はUF24mmよりも広く星像も文句が無く、APM12cmでピントも余裕でこれ程優秀なアイピースが何故これまで話題とならなかったのかが少し不思議に感じる程で、今回環境ではパンオプ24mmの代替として文句無く合格点があげられるアイピースとして即採用となり散財した甲斐がありました。

このアイピースのアイレリーフは公称18.4mmで見口を立てた状態で覗くと丁度良い覗き易さになります。鏡胴径は56.2mmで双眼の使用も問題無く、重量も329gとXW20よりも若干軽量です。

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視野環径の公称値は27.2mmとなっており、パンオプ24mmの27mmよりもより攻めた設計に好感が持てます。これでAPM12cmでは実視界2.47度の視野が得られるようになり、より楽しめる散光星雲、散開星団が増えました。

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Explore ScientificはかつてTVに真っ向勝負のラインナップで彗星の如く現れたメーカーで、現在の製品群は、

・ES52° Series(3mm/4.5mm/6.5mm/10mm/15mm/20mm/25mm/30mm/40mm)
・ES62° Series(5.5mm/9mm/14mm/20mm/26mm/32mm/40mm)
・ES68° Series(16mm/20mm/24mm/28mm/34mm/40mm)
・ES82° Series(LER4.5mm/4.7mm/LER6.5mm/6.7mm/LER8.5mm/8.8mm/11mm/14mm/18mm/24mm/30mm)
・ES92° Series(12mm/17mm)
・ES100° Series(5.5mm/9mm/14mm/20mm/25mm/30mm)
・ES120° Series(9mm)

と言った非常に豊富なラインナップとなっており、中には見掛け視界120度のアイピースや3インチアイピースなどTVを超えるスペックの製品も出しており、広角アイピースの開発に非常に意欲的な姿勢が見て取れます。

今回初めてES製品の実物を手に取りましたが、製造品質は最近中華広角アイピースとしてスタンダードな存在となりつつあるXWA、UWA、SWAと比較すると一段上で、アイピース一つ一つにシリアル番号が刻まれているなど、性能面だけでなく品質面も重視するメーカーの姿勢が窺えます。

残念ながら現在はES製品は徐々に市場から姿を消しつつありますが、中華鏡筒や中華アイピースの安かろう悪かろうのイメージが払拭されつつある今だからこそ、意欲的な高級志向の中華アイピースとして見直されても良いシリーズかも知れません。