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Series 500 Plossl 12.5mm [天文>機材>アイピース]

典型的な格安中華アイピースと言った趣のこのプローセルですが、twitterのフォロワーさんのシベットさんのブログLambdaさんのブログで好評価されていて関心が湧き、例によって12.5mmがラインナップに存在した事から取り寄せてみました。Amazonで「Plossl 12.5mm」で検索するとこのアイピースが出てきます。

eyep-s500pl125_1.jpg

本体の造りはセレストロンのOmniプローセルやGSOプローセルに比べると若干雑ですが、レンズにキズやゴミの混入などは見受けられず、製造品質としてはまずまず及第点と言えるレベルです。

このアイピースの海外での評判はそれ程多くはありませんでしたが、印象に残ったのは見掛け視界が狭いと言う話で、惑星用として使う分にはそこは気にはならないポイントで、むしろ見掛け視界が狭いアイピースは周辺まで良像で中心像も優れているものも少なくない経験から、逆に期待するところもありました。

しかし届いた12.5mmを覗いてみてびっくり、想像より、と言うより一般的なクラシックアイピースより広い見掛け視界を持っており、見比べるとSterlingPL(55度)と同等の広さがありました。この後同じSeries500のPL30mmを手にする機会がありましたが、こちらは事前の評判通り一般的なPL30mmよりは大分狭い見掛け視界で、焦点距離によって見掛け視界が大きく異なるある意味中華製らしい統一性の無さが感じられました。これだとシリーズ一律の評価はもしかすると難しいかも知れません。

12.5mmに関して惑星観望に使用した第一印象は評判通り、自分が予想したより良く見えると感じました。中華アイピースにありがちな迷光がそれ程目に付かず、バックグラウンドが暗く保たれており、中心像のシャープネスもOmniプローセルやGSOプローセル、ややもすると国産アイピースにも引けを取りません。

周辺像に関してはSterlingPLと崩れ方の性格が違うと感じたので、ミニボーグ45EDII(F=7.22)を使い、室内環境で崩れ方を比べた結果が以下です。また見掛け視界55度クラスの準広角クラシックアイピースと言う部分で共通するニコンの顕微鏡接眼レンズのE20xも比較対象に加えてみました。

 Series 500 PL12.5mm Sterling PL12.5mm     E20x    
 歪曲収差 
 非点収差 
 良像範囲 80%95%75%
 周辺減光 


歪曲収差に関しては顕微鏡接眼レンズのE20xが圧勝で手持ちの全12mmアイピースの中でもトップクラスの収差の少なさでこれに比べると劣るもののSeries500はこの見掛け視界の天体用アイピースとしては歪曲は少ない部類のように感じます。SterlingPLは比較的収差が大きく、木星などが視野周辺に位置すると楕円に歪みます。

その一方で非点収差、ここでは視野周辺まで点像を維持出来るかの性能を示しますが、この性能ではSterlingPLが視野最周辺までほぼ点像で他を圧倒しています。Series500とE20xはどっこいどっこいで視野周辺では点像にはなりません。良像範囲もSterlingPLが広く、また周辺減光に関してはSeries500は視野環がややはっきりしない見え味と感じました。

総評としては周辺像に強いのはSterlingPLで歪曲を多少犠牲にしても星像を崩さない点で準広角の天体用アイピースとしてかなり優秀で、流石に中華アイピースの中でも気合を入れて作られているだけの事はあると感じました。E20xは歪曲だけ突出して優れているのはやはり顕微鏡用の性格かも知れませんが、天体用でもこれを活かした使い道を見つけられれば輝ける接眼レンズと思います。Series500はこれらに比べると標準的な準広角アイピース(12.5mmに関しては)と言った趣ですが性能面は概ね良質と言え、何より圧倒的にリーズナブルな価格を考えれば買っても損をしないアイピースと言えると思います。