SSブログ

APM 20x80MS [天文>機材>双眼鏡]

WXを快適に運用出来るようにZERO経緯台やエレベーター式三脚(Manfrotto 475B)を用意しましたが想像以上に頑丈で(逆に言えばお手軽では無く)耐荷重的にまだまだ余裕があった事から(ZEROは7kg、475Bは12kg)、WXより一クラス上の口径の直視双眼鏡を同架出来ればより観望が楽しめそうと考えて相方として手に入れたのが今回の双眼鏡です。

bn-apm-20x80ms_2.jpg

当初2~3万円台の安価な20x80双眼鏡を物色していましたが、以前安価な15x70を所有していて有口径が実測で約63mm(対物口径の9割)しか無かった事から20x80も同じ欠陥を抱えていないかが気がかりで、15x70と20x80の外観を見比べて対物レンズ以外のプリズム収納部分は部品が共通(大きさが同じ)に見えた事からやはり少し怪しいと感じ、別設計と思われる20x80を探してみたところこのAPMの製品が価格は大きく上がりますがプリズム部分の大きさは一回り大きく見え、安価な双眼鏡は視軸のズレの当たり外れも懸念材料だったので、その点でAPM製品は自分でもこれまでいくつか手にしてきて品質面や性能、サポート面で高い信頼のおけるメーカーの認識でしたので今回は確実性、安心感を優先させました。

bn-apm-20x80ms_3.jpg

実物を手にした感想はWXではないですがこれまた軽い!が第一印象でした。重量は約2.5kgとなっていますが見た目の大きさ、質感から得られる感覚より相当軽く感じます。また気になる有口径ですが瞳径を測定してきちんと4mmありましたので口径のケラレは無く一安心しました。そして見え味ですがこれも驚きで、以前スカイマスターや安価な25x100双眼鏡も所有していましたが昼間の景色は色収差が顕著でベールが掛かったような眠たい画質、ただ星見にはそれ程支障は無い、と言う印象でしたが今回の20x80は昼間の景色を見ても視界が透き通っており、EDは使用していないモデルですが色収差もあまり感じず(APM12cm双眼より格段に少ない)全く鑑賞に耐えます。もう一つ心配していた視軸のズレも皆無でした。

bn-apm-20x80ms_4.jpg

また星見では気になる良像範囲ですがこれも想像以上に素晴らしく、見掛け視界66度の広角に関わらず微光星を見る限りではほぼ視野最周辺まで点像なのは嬉しい誤算で(1等星以上の明るい星だと8割位から若干崩れます)星像もシャープです。この双眼鏡の対物レンズの焦点距離が公称305mmとなっている事から口径80mmからF値は約3.8となり、20倍の倍率から接眼レンズの焦点距離は約15mmと算出され、この短焦点対物に広角アイピースの組み合わせでこの良像範囲の広さは正直立派な性能と感じます。この双眼鏡全体のレンズ構成はスペックシートを見ると5群8枚となっていますが、この内対物レンズは1群2枚で残りは4群6枚、この内3群5枚を接眼レンズとしても一枚余りますのでやはり性能の良いフラットナーが入っている(もしくはアイピースのフラット性能が高い)構成なのではないかと推測しています。

bn-apm-20x80ms_5.jpg

また双眼鏡全体の造りの良さも触れておきたい部分で、高級感を感じたり持つ喜びを感じる、まではいかないかも知れませんが外装のラバーの貼り付けはとても丁寧で、対物レンズのフードの構造や開け閉めの感覚が絶妙だったり、ピントを合わせる感触も固すぎず柔すぎずこれも絶妙だったり、外からは見えない部分の使い易さの面でも良く考えて作られていると感じます。こう言った抜かりの無い部分は流石APMの製品と言ったところでしょうか。

WXとの同架はWXの導入により退役した55FL-BINOのL字プレートを再構築し水平側のプレートをより長いものに換装、SVBONYのアリミゾを装着しこちらに20x80を搭載、垂直側はプレート上部のファインダーアリミゾに視軸調整用のSLIKの微動雲台を介してこちらにWXを搭載しています。

bn-apm-20x80ms_6.jpg

この形態では経緯台搭載物全体の重心がやや高く、仰角を上げた時にZERO経緯台の上下軸フリクション調整ノブを目一杯締め付けても手前側に全体がおじぎしてしまう動きが止められなかった事から、経緯台のフォークアームとL字プレートの間に引っ張りばねを(長さ6cm、10mm径)を2本入れる事で支障の無い動作が可能となりました。ZERO経緯台は拡張性を考えてあちこちネジ穴が設けられていますが、今回はその構造に助けられました。

bn-apm-20x80ms_7.jpg

この双眼鏡の実視界は3.3度となっており、散開星団を観望するには正に打って付けの広さで、この場合ファインダー代わりともなるWXとの相性は抜群です。WXの9度の視界で俯瞰した景色を楽しんでそこで見つけた気になる天体を20x80で拡大して観察するこの観望スタイルで期待通り楽しめる天体の幅が大きく広がりました。

以前は自分的に天体観望用の双眼機材は対空式に強い拘りがありましたが、WXの導入により直視双眼鏡が自分の中で解禁となった事で思わず増やした双眼鏡でしたが、直視双眼鏡は口径の割に軽くアイピースを着脱する手間なども不要ですので他の観望機材に比べれば格段に設置撤収が楽な上に、この双眼鏡が見え味に良像範囲に製造品質も購入前の予想より大きく上回っていた事で、これであればこの双眼鏡単体でも十分に楽しめそうで今後お手軽機材として使用する機会も増えそうです。

その後フィルターの装着を可能にしました。