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大井光機 Masuyama 32mm/85° [天文>機材>アイピース]

これまでFL90S-BINOの低倍率用アイピースとしてSWA-32mmACクローズアップレンズアイピースの2本を使い分けていましたが、F9のこの鏡筒との組み合わせであれば以前UF30mmとの対決の結果惜しくも手放したMasuyama32mmの泣き所の良像範囲の狭さが解消されるのでは?と考えて、実視界や見掛け視界の広さの点でもこれまで使用してきた2本を1本にまとめられるスペックが魅力的でしたので再び試してみる事にしました。

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かつてのマスヤマシリーズは見掛け視界は52度が基本でしたが、復刻版は焦点距離が32mm以短は見掛け視界85度、それより長いものは標準視界となっており、設計は3群5枚(エルフレorアストロプラン?)と見掛け視界80度クラスのアイピースとしてはシンプルな構成が特徴的で、やはり周辺像の補正よりは(中心)像質の良さを優先させた割り切った設計の様に思えます。スマイスレンズを使用していないのでバローを併用する双眼装置などで超広角を味わいたい場合にはナグラーUWAシリーズの様な現代設計の同等スペックのアイピースよりも適性は高いだろうと推測します。

実際にFL90S-BINOで使用した時の良像範囲の広さは7~8割と言ったところで以前ミニボーグ50-BINO(F5)で検証した時の印象から期待する程は広くはなりませんでしたが単焦点鏡筒との違いは周辺の崩れの緩やかさで、遠征でも使ってみて周辺像の崩れで観望への集中が切れると言う事が殆どありませんでしたので、問題無く使えるアイピースとしてこれまでの2本から無事置き換わる事になりました。いざ実戦で使用してみるとミニボーグ71FL-BINOでも意外に周辺像の崩れは気にならず、見え味もやはり視野に透明感がありDSOの観望には向いていると感じます。

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気になった点としては視野最周辺が周辺減光していて視野環がはっきりとしない部分で、特にねじ込み式の見口を付けた状態では視野の中央を見ていると全視野が見えている気がしますが視線を周辺に向けると視野がケラレてしまい、最周辺を見るには横から覗き込むようにしないと見えない、見掛け視界がスペック程広く感じない印象でしたので見口を外したところ、アイポイントが宙に浮いて目位置を固定し難くなり視野の陰りが生じ易くはなりますが全視野を見通し易くはなり、見口は観望時には使用せずキャップとして使う事にしました。

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このアイピースはドブなどの短焦点鏡筒で使用した時の周辺像の崩れに耐えられないと拒絶される方も少なくない印象ですが、焦点距離30mmクラスで双眼に使用出来る鏡胴径と2インチをフルカバー出来る視野の広さを両立している点で他に代替出来るものが殆ど見当たりませんので、また周辺像の崩れが気になるかどうかは個人差も大きく、慣れの部分もある(買った当初は気になっても使っている内に気にならなくなる事もある)かも知れませんので、とにかく広い見掛け視界と実視界の両方が(双眼で)欲しい!と少々の欠点は許容出来る人であれば唯一無二のアイピースとして手放せない存在になるかと思います。