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Edmund Optics RKE28mm [天文>機材>アイピース]

RKEのアイピースを調べていて一部マニアに絶賛されている28mmの「フローティングエフェクト(floating effect)」なる見え味がどうしても気になって、手に入れてみました。

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既に手持ちのTVのPL32mmと近いスペックですが、このアイピースに手を出したもう一つの理由として、PL32mmは31.7mm径をほぼフルカバーできる視界の広さを持っていますが、これが逆に対空双眼鏡や双眼装置、正立プリズムと言った接眼側の開口径が最大径より幾分絞られている機材に取り付けるとケラレが生じる為、こうした機材でケラれない範囲でぎりぎり広い視野、低倍率を得られるアイピースとしてこのRKE28mmの見掛け視界45度と言うスペックはより適していると判断した事がありました。

届いたこのアイピースを手に取ってまず中空に向けて覗くと何となく視野が迫ってくるような見え方に普通のアイピースと一味違う印象を持ちました。次にミニボーグ50BINOで昼間の風景を覗くとやはり非常に臨場感や立体感のある見え方をします。

これをTV PL32mmに替えてみるとやはりその様には見えず、所謂PLらしい真面目な、悪く言えば「面白みを感じない」「平坦な」見え味で、このRKEの独特の見え方は単に見口の形状の違いかも知れないと考えて、PL32mmの見口を全部外して覗いてみましたが、やはりRKEの様な臨場感のある見え方にはなりません。比べるとどうしても「狭い穴を覗いている」感じに見えます。

見掛け視界50度のPL32mmと見比べて、45度のRKE28mmは視野が狭く見えるはずですが、一見した時にどう見てもRKEの方が広く見えたので、たまによくあるカタログスペックと実際のスペックが違うパターンでこれは60度位あるだろうと当初本気で思いました。しかし他のアイピースとサイドバイサイドで見比べてほぼ公称値である事が分かり、広く見えたのは錯覚であった事が分かりました。

このこれまで感じたことの無い見え味にこれは結構スゴいアイピースなのでは?と星での見え味にも期待が膨らみ、APM10cm対空双眼鏡で星空を見たところ臨場感、像が迫ってくる感覚がより増したように感じ、違う言い方をすればアイポイントに目を置くとアイピースの存在が消える、と言う表現が近いかと思います。この像のみが見える感覚がフローティングエフェクトと言われる現象なのでしょう。心配していた周辺像も悪くありません。

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これは自分の見解ですが、RKE独特のカルデラ状の見口はきちんとした狙いがあり、やはりアイポイントに目を置いた時に視界周辺のアイピースの枠を目立たなくさせる効果を狙ったものではないかと思われ、RKE28mmではこれが見事にハマって稀有な見え味を実現させましたが、例えばRKE12mmではそこまでの効果は得られておらず、RKE8mmに至っては見口の周囲の山の出っ張りが邪魔で逆に覗き難くさせていると不評を買っているところを見ると、他の焦点距離でもフローティングエフェクトを狙ったものの効果が上手く出せなかったのではないかと推測しています(RKE21mmはどうなのかは分かりません)。

こうして考えると所謂ボルケーノトップ(Volcano Top、略してVTとも呼ばれる。「火山」の意)デザインと呼ばれる谷オルソに代表される見口が山の形状のアイピースもRKEと同様の効果を狙って作られたのかも知れないと思わなくもありませんが、残念ながら谷オルソ、谷エルフレを覗く限りではその様な効果を感じる事はありませんでした。ただ思い起こしてみると谷オルソ25mmはアイレリーフがかなり長く、少し浮いた感じがあったかも知れませんが、それ以前にアイポイントがシビアすぎてまともに覗く事が出来ず手放した経緯がありましたので、RKE28mmのシビア過ぎるとは感じさせないアイポイントの設計も巧みなのではと思わせます。

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その様な訳で自分も思わず絶賛するような感想になってしまいましたが、他の方が同じ様な印象を持つかどうかは個人差があるところと思いますが、自分的には非常に面白い、ユニークなアイピースを手に入れる事が出来て星を見る楽しみが増えたと喜んでいます。