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インディゴ式 等倍延長レンズ(Mk-V双眼装置用) [天文>機材>双眼装置]

我が家の惑星番長ことオライオンUKのVX250L改めVX10L(25cmF6.3ニュートン)ですが、我が家の最大口径の鏡筒を惑星観望のみに使うのも勿体無いと感じ、かと言って単眼での観望は自分的にNGだった事から等倍双眼観望する手段として導入したELS双眼装置でしたが、やや癖のある見え味が性に合わず手放してしまったのですが、それでもこの鏡筒でのDSO双眼観望を諦め切れず、兼ねてより関心があったインディゴさんの等倍延長レンズ(Mk-V双眼装置用)の制作を意を決してお願いしたのでした。

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実は今回制作をお願いする前に等倍レンズを自作出来ないかと思案して、汎用の拡大撮影アダプターの外径が丁度2インチである事にたまたま気が付いた事で、これに顕微鏡用の1xリレーレンズ(Nikon製)内蔵する構成を試したのですが、バックフォーカスを140mm程引き出せて倍率的にもいい線いけた(1.1x位?)のですが、周辺像が壊滅的でお蔵行きになった経緯があり、これに対して制作をお願いして2ヶ月程経って手にしたインディゴさんのレンズを早速地上風景で確認すると、期待通り完全なる等倍で周辺像の崩れも感じない、ELS双眼装置の様な不自然さ(これは個人差があるかも知れませんが)も感じない見え味に、これは流石と唸らされました。

造りを見比べてもインディゴさんの方はレンズ口径は格段に大きく、後群レンズはぎりぎりまで双眼装置に近寄るように工夫、設計されており、これを見ると顕微鏡用のリレーレンズ一本で自作を目指そうとしたのはあまりに無謀な試みだったのかも知れませんが、この経験があったからこそインディゴさんのレンズの性能の凄さがより実感出来た気がします。

《前群側》
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《後群側》
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星での見え味はまずは31.7mm径アイピースで最大視野が得られるES24mm使用(倍率67倍、実視界1.02度)でしし座のトリオ銀河に向けるとR200SS-BINOでの見え味と比較すれば視野が若干狭く、倍率も高い事もあってやはり銀河は一段暗く、全体的に見劣りする事は否めませんがこれはある意味予想通りで、やはり周辺像の崩れも殆ど感じられず、等倍レンズ使用は反射双眼と違って裏像にはならない点も星図との対比がし易く大きな利点と言えると思います。

ただ個人的に一つ難を感じたのは視野の周辺減光で、視野の50%程度から外側が徐々に暗くなり視野環が判然としない見え味で、この周辺減光は仕様である事は事前に知ってはいましたが、想像以上に見え味に影響している印象です(但し周辺減光の程度はアイピースとの相性で変わる可能性があります)。そこでES24mmよりは若干視野が絞られるXW20(80倍、0.88度)に代えたところ周辺減光はかなり軽減され、これであれば自分的に観望にそれ程支障は無く、こちらを今回環境での最大視野、最低倍率用アイピースとして使う事にしました。

更にSSW14mm(114倍、0.73度)に倍率を上げると既に周辺減光は全く気にならないレベルで、高めの倍率なので球状星団を入れてみると一転してこれはいいな、と思わせる見え味で、単眼と比べれば明るさやツブツブ感は多少失われますがその度合いは大きくは無く、惑星状星雲も同様にトータルの見え味でR200SS-BINOのそれを上回っている様に感じました。球状星団や惑星状星雲は中央集光している天体で小さくとも輝度が高いので双眼装置のビームスプリッターによる光量損失よりも双眼視による視認性の向上、双眼装置使用によるメリットが上回る印象です。

更にUW9mm(178倍)やUW6mm(267倍)を使うとそのまま惑星観望に使用するレベルに倍率が引き上げられ、勿論惑星観望であれば通常のバロー使用に12mmクラシックアイピースの組み合わせに比べれば、等倍レンズを使用した上にスマイス入りの広角アイピースを使用しての惑星観望では見え味の点で不利になる事は否めませんが、アイピースの見比べ等本気の惑星観望でなければ十分な見え味で、DSO観望と惑星観望を切り替えをパーツの変更無くシームレス、気軽に行える点でこちらの等倍レンズ使用の恩恵は大きいと感じられます。

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31.7mm径の最大視野での観望が個人的に厳しいのは残念でしたが高倍率でのDSO双眼観望の見え味(特に球状星団)は期待以上で、一方R200SS-BINOは中低倍率、広視野の観望に強いものの高倍率の運用が逆に難しく、この等倍レンズのお陰でお互いの弱点が上手く補完された格好となりました。

今回は口径25cmニュートンとの組み合わせでしたがどの様な望遠鏡であっても等倍で双眼観望可能とするこのレンズがあれば大口径のドブソニアンと組み合わせれば並の双眼望遠鏡では太刀打ちできない見え味が得られる可能性がある事を考えるととても夢のあるアイテムだと感じました。